弱さも強さも、全部私のもの|Doja Cat「Ma Vie World Tour」Report by KAMIYA

KAMIYAによるDoja Cat来日公演レポート

 

 

2025年12月15日、世間がクリスマス・ムードに湧きはじめていたこの日、Doja Catの6年ぶりとなる来日公演「Ma Vie World Tour」がKアリーナ横浜にて開催された。本公演は2025年9月リリースの5thアルバム『Vie』をフィーチャーした世界ツアーの唯一となる日本編で、(世界がより豊かで余裕のあった)80年代のきらびやかな文化にインスパイアされた、ポップに愛を歌う本作の世界観が余す所なく披露される日となった。

 

 

前作『Scarlet』ではそれまでのポップス路線を一新、客演を廃しラップに回帰したダークなテイストで衝撃を与えつつ、表現者としての突出した才覚を世に示したDoja Catだったが、『Vie』では改めてセクシーなR&B~ディスコ、メロディックなシンセ・ポップ、そして愛とロマンスへ真っ向から向き合い、堂々と歌い上げるダンサブルなポップ・ラップ路線へと回帰。SoundCloudから世界的スターへと飛躍を遂げた彼女は、紆余曲折を経た今、改めて自身の求められることをやり抜く決断をしたように写った。

 

それでも元来のガーリーな感性を崩すこともなく、たおやかで強く在るその姿は、確実に世界中の女性をエンパワメントしていることだろう(もちろん、女性に限らずすべてのたおやかな人々が)。当日は率直に言って極上のショー体験で、Kアリーナ中を熱狂の渦に巻き込んでいたと断言できる圧巻のステージングだった。

 

今回、AVYSSではDoja Catの来日公演のライブレポートをKAMIYAへ依頼。かつてはガールズグループの練習生として活動し、その後インディペンデント領域でいち早くハイパーポップの潮流に合流、現在はXanseiとのユニット・XAMIYAとしても活動する彼女は、さまざまな挫折や屈折を経験しながらも、Keshaによるオープン・バースコンテストで優勝を飾るなど、パフォーマーとしての評価も苦難の末に勝ち取ってきた。率直に、飾らず、思うままに当日の感動と興奮について綴ってもらった。かつてのブログ文化のように。

 

 

Report / Photo : KAMIYA

Edit / Introduction : NordOst / 松島広人

 


 

 

「So High」を流しながら、ライブに行く準備を始める。

 

久しぶりに聴いたこの曲は、いきなり胸の奥を掴んできた。思い出したくないけど、思い出しちゃう。でも、嫌じゃない。

 

 

初めてこの曲に出会ったのは高校生の頃。友達とApple Musicのプレイリストをシェアしたとき、上から2番目に入ってたんだっけ。

 

再生した瞬間、世界が変わった。こんなにセクシーで、可愛くて、胸がきゅんとなる音楽があるんだって。

 

そこから毎日リピート。

 

デートに行く前、この曲を聴いて少し背伸びしてた可愛い頃。何者でもなかった私。でも確かに、輝きたかった私。

 

この曲をきっかけに、Doja Catを知った。可愛いのに強い。セクシーなのに、怒ってる。ラップも歌もできて、全部さらけ出してる。彼女は「こうでなきゃダメ」を全部壊してくれる存在だった。

 

XG練習生の頃、何曲もカバーした。必死だった。追いつきたかった。自分も、ああなりたかった。メイクする鏡の前。今の私と、過去の私が交互に映る。

 

ちゃんとやれてる?

 

間違ってない?

 

どれが本当の私?

 

考え出したら止まらない。

 

そんなとき、いつもDojaのラップが耳を突き刺してくれる。「今でしょ」って、殴られるみたいに。

 

そうだ、今は今。

 

私はDojaに会いに行く。過去でも未来でもない。今、この瞬間を生きに行く。私は、今日、輝いていいんだ。

 

そこからはもう止まらない。Dojaの曲でテンションはブチ上がり! メイクのノリが良くて最高だ。ラップ口ずさみながら、ちょっと強くなった気がする。カラコンは紫。Dojaを意識して。目がきゅるきゅるして、きゅんとする。

 

メイク完成。牛柄のコートを羽織る。「Mooo!」を流して、気分は最高潮。

 

 

自撮りで確認。うん、大丈夫。今日は私、ちゃんと可愛い。私の持ってる中で1番甘くてセクシーな香水をつけて、ウィスキーを一口ぺろり。喉が熱くなる。

 

よし、行こう。Dojaに会いに行く!!

 

 

電車のドアが開く瞬間、「Paint The Town Red」。

 

 

乗り込んだ瞬間、現実が歪む。空がピンクに見える。世界が私のものになる……と思ったら、乗り換えで一気に現実。黒い服、無表情、刺さる視線。息が詰まる。

 

ふん!!!

 

イヤホンの音量を上げる。

 

今日は誰にも邪魔させない。私は着たい服を着て、したいメイクをして、行きたい場所へ行く。

 

それだけでいい。

 

 

横浜Kアリーナ。編集担当のNordOstくんと合流。久しぶりだ!! 元気そうで嬉しくなる。フライヤーが可愛すぎて笑う。赤と黒。クリスマスの時期とも重なって更にテンションが上がる。会場はギャルだらけ。ここにいていいんだって思えた。

 

 

ホールに入るとR&Bが流れてる、ビビッドピンクのネオンステージ。夢?現実?

 

オープニングアクトはSAILORR。歌声が優しくセクシーにグルーヴィ。体が勝手に揺れる。S席から見る景色。ありがたい。ダンスしながら歌う姿、リボンだらけの衣装。可愛い。強い。ダンサーと3人とは思えないほど、華やかなステージに胸がぎゅっとなる。

 

会場が温まっていく。私も、完全に出来上がってる。“最高女”モード。

 

 

ぷりぷりお尻を振って去っていく後ろ姿。可愛くて、誇らしくて、泣きそうになる。
ありがとう、SAILORR♡♡

 

 

そして、暗転。

 

シルエット。トランペット。ドラム。心臓がバクバクする。スクリーンに映る、階段を上がるDojaの足。80年代のディスコを想像させる照明。

 

登場した瞬間、空気が変わった。スタンドマイクを握り、足を大きく開いて歌い出す。全身からエネルギーが伝わってくる。QUEENの登場だ、、、!!

 

衣装にメイク、全身、ピンク、赤、緑、紫、黄色、ヒョウ柄、ウネウネ、キラキラ、ギラギラ、シマシマを纏ってる。彼女は人間じゃない。祈りそのものだ。そう思った。

 

1曲目は「Cards」。まさかのこの曲!?

 

 

生演奏と、Dojaの体から出る癖のあるセクシーな声。体が勝手に揺れる。スクリーンでも肉眼でも、全部見たい。追いつかない。歌にも動きにも、迷いが一切ない。全部が完成されすぎてて、ただ呆然とさせられる。

 

そして「Kiss Me More」。

 

 

アンセムだ。歌わずにはいられない。コールで会場が一つになる。MCは宇宙語。宇宙語の煽りを会場が追って真似する。Doja Worldすぎる! 意味なんていらない。通じてる。

 

 

彼女は色を変える。姿を変える。優しくなって、セクシーになって、怒って、獣になる。そう、女ってこう。ラップが胸に刺さる。「強くあれ」って、私に言ってる気がする。

 

 

「Juicy」。お尻を振りながら歌う姿が、あまりにもJuicy。泣く。なんでかわからないけど泣く。意味なんて考える暇ない。意味なんていらない。

 

 

そして「Streets」で溶けるように歌い踊る。フロアに入り開脚で歌う。全身が楽器みたい。どっから発声してるんだろう? どんなトレーニングをしてる? 普通ではありえない体力、体幹。プロ。

 

 

「Wet Vagina」〜「Demons」で、一気に彼女の表情が変わる。フロアに這いつくばって、吠えて、煽ってくる。怪物のよう。怒ってる。生理の時の私みたい。マイクもスタンドも、床も全部、彼女の体の一部。喰われる、完全に。蜘蛛みたいに手足をつき、舌を出し、マイクスタンドを舐める。彼女に怖いものは無いのか? 何も隠してない。そんな姿から目が離せない。

 

 

マイクコードを口にくわえたまま、「Tia Tamera」。怪しげな緑のライトの照明があまりにも似合う。狂ってる。最高。この曲、私もカバーしたけど、思い出す暇もない。これは彼女のもの。頭を振りながら歌う姿、かっこよすぎて笑える。

 

 

薔薇を観客投げるDoja! 薔薇が似合いすぎる。薔薇から生まれた薔薇を投げてる。素敵。受け取りたすぎて、届くはずがないのに、手を伸ばしてしまう。今、私はちゃんとここにいる。Dojaを感じてる。歌もラップも、全身に刺さる。痛いくらい! でも最高に気持ちいい!! そのままの姿で生きて歌ってくれてありがとう。

 

 

「Boss Bitch」。これもカバーした曲。足音が聞こえてくるんじゃないかと言うくらい、堂々と歩き、飛び跳ねるDoja。泣けてくる。ついて行きます。終盤、彼女は笑う。たくさん笑う。楽しそうに歌って、踊って、観客、光を支配する。風で髪が彼女の顔にかかる。美しい。彼女のために風が吹いてる。

 

 

最後は「Say So」。照明はこの日一番色鮮やかに。Doja、コーラス、バンド、全部が弾けて一つになる。ステージも楽器も照明も光も風も観客もみんなが笑ってる。それぞれの形で。

 

天使と悪魔が喜んで踊ってる宴だ〜! これこそがDivaだ〜!! 心も体も全開放。私も全開放! 祝福だぁ! 楽しすぎる〜!! ありがとう〜!!!

 

 

最後まで、彼女はブレなかった。歌い、踊り、変化し続け、生きてる時間も、揺れる時間も、全部、見せてくれた。最初は、一分の隙もなく完成されたステージだと思ってた。

 

でも違った。彼女のステージは、その瞬間の感情が、そのまま今この場で形になっていくものだった。それが演出だったとしても、私はそう思った。揺れも、荒さも、衝動も、取り繕わない。完璧じゃない姿を、全部見せてくれた。

 

それこそが、彼女の“完璧”だった。だから、私の心に刺さった。ただ整っているものが、美しいわけじゃない。

 

生きているものが、美しい。

 

正直彼女に釘付けで、会場の雰囲気と観客のノリ具合とかはあんまり覚えてない。けれど私は全てを忘れて、ただ今この時間を感じ、体の揺らし、歌い続けた時間だった。彼女が私のハートを掴んで離さなかった。

 

ライブが終わり、グッズのTシャツを購入して、そのまま着て帰った。その次の日のリハもそのTシャツを着て歌った。Dojaが私にはついているので、今日から私はバリバリ最強ナンバーワン!

 

たぶん私はこの日を忘れない。忘れていいこと、忘れちゃダメなこと、今年はしっかり整理していきたいのだけど、この日は確実に忘れてはいけない日だ。

 

彼女のように羽を広げたい。光をみたい。好きという気持ちに自信を持って生きたい。弱さも強さも全部私のもの。他の誰でもない、私は私だ。貫き通すんだ。夢への憧れは止まらない!

 

この機会をくれたAVYSSチームの皆さんに心からの感謝と祝福を。そして、Dojaありがとうありがとうありがとう、ありがとう!!

 

ありがとうございました!

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