2024/02/16
日本ユーロダンス、台湾EDM、韓国ボッコダンス
妙義山は、群馬県甘楽郡下仁田町・富岡市・安中市の境界に位置する日本三大奇景(奇勝)の一つとされる山。
Dirty Kは、東アジア固有のエレクトロニック・ミュージックの突然変異から生まれた、ターボチャージされたレイヴ・ミュージック・マニフェストを提示する。今作は、Dirty Kが東アジアのレイヴ・ソニックを探求し、再生させた最新章。『東京ルネッサンス/Kazumi』に続き、Dirty Kは日本のハイパーテクノ、台湾のEDMダンスホール、韓国のボッコダンスから、東アジアのレイヴ・カルチャーをローカライズした独自視点で表現。
東アジアには、世界的な影響力を持つ土着文化の豊かなタペストリーがある。今日、世界中の外国文化を消費する重要な市場であるにもかかわらず、東アジアのレイヴ・カルチャーのユニークなサウンドは見過ごされる。Dirty Kの前作『東京ルネッサンス/Kazumi』で紹介された90年代のJ-Raveカルチャーやパラパラなど、東アジアの音楽ジャンルやそれにまつわる文化現象は、かつて世界的に大きな波紋を呼んだ。しかし、その影響はしばしば世界的なエレクトロニック・ミュージックの言説では見過ごされ、ハイパーポップなどの不定形な概念に信用されずに包摂されてきた。
『Myogi 妙義』では、日本のユーロダンス&ハイパーテクノから台湾の90年代EDMダンスホール・カルチャーまで、この豊かな文化のタペストリーにDirty Kが飛び込む。DJ Jerry (罗百吉) のようなアーティストは、90年代に西洋のエレクトロニック・ミュージックを台湾に移植した。「Taipei Prince」のようなトラックは、このサウンドを体現しており、シュールなサイレンのようなシンセサイザーと、わかっていながら不愉快なボーカルリフレインが特徴。
『Myogi 妙義』の中で、Dirty Kは東アジア内および国際的な異文化受粉にも焦点を当てている。「Intro (Live my Life)」と「Taipei Prince」には、韓国のボッコダンスからヴォーカル・サンプルが使われている。日本のパラパラに影響を受けたボッコダンスとは、振り付けを多用したダンスで、4×4の電子音楽に合わせて2人以上のグループが協調して踊るのが特徴。これと並行して、Dirty Kがイギリスに住んでいた頃に浸透していたアマピアノやドリルといった、世界的なエレクトロニック・ミュージックのサブカルチャーからインスピレーションも得ている。
この異文化交流に欠かせないのが、東アジアのアンダーグラウンドで活躍するT5UMUT5UMU、WRACK、pìccolo、Sonia Calicoの参加。アートワークではJACKSON kakiと再会し、日本の90年代のクラシックなレイヴ・スリーヴの夢を明晰に表現している。DJ Jerry (罗百吉)がDirty Kに与えた影響から、現代の台湾エレクトロニック・シーンのリーダーによるトラックの再解釈まで、音の受粉の輪が完成した。
Dirty K – Myogi 妙義
Label : Eastern Margins
Release date : Feb 21 2024
Tracklist
1. Intro (Live my Life)
2. Taipei Prince
3. Myogi 妙義 feat. T5UMUT5UMU
4. Hello Hurray
5. Tokyo Sturdy
6. Taipei Prince (WRACK Remix)
7. Hello Hurray (pìccolo Remix)
8. Taipei Prince (Sonia Calico Remix)
Mixed & Mastered by Tsui Honagi
Artwork by JACKSON Kaki
category:NEWS
tags:Dirty K
2022/04/07
90年代初頭の東アジアのDJセット Dirty KによるDJミックス「けいこmegamix」がAVYSSのSoundCloudにて公開。アートワークはTsui Honagiが手掛けている。 「稽古(けいこ)とは?けいことは日本の武道。古文書を読んで古代のことをよく知ること、また武道家の日々の修行のこととも訳されています。1990年代初頭の東アジアのDJセットを徹底的にリサーチし、当時のDJが使っていたメガミックスの素晴らしい技術を取り入れ、当時のハイパーテクノを25分の絶妙なミックステープに仕上げているのです。」 Dirty Kの「Tokyo Renaissance / 東京ルネッサンス」は、インターネットによってもたらされた均質化に対抗して、東アジアのクラブカルチャーをローカルで特殊な視点で捉え直すプロジェクト。90年代のレイヴカルチャーと東アジアの地域的変異、日本のハイパーテクノシーンを探求し、過去を掘り下げ、未来を形作る。90年代初頭、日本のバブル経済はピークに達し、最終的に崩壊していく中で、多くの人がクラブカルチャーに傾倒し、明るい光の中に身を置くようになった。ヨーロッパでユーロビートとイタリアンディスコが衰退した後、J-Raveは多くのプロデューサーに第二の風を吹き込んだ。やがて、日本はこれらの影響を受けながら、独自のクラブサウンドを作り上げていった。ハイパーテクノは、「ジュリアナ東京」という東京の象徴的なクラブで神話的な地位を確立した。その余波は、アニメ、コミック、ゲーム、ギャル、パラパラにまで広がっていく。そしてavex trax及び、avexが手掛けるシリーズ『SUPER EUROBEAT』は、この類のサウンドをメインストリームに押し上げ、浜崎あゆみなどのポップスターを生み出した。 「Tokyo Renaissance」は、J-Raveのパイオニアの一人であるJohn Robinsonのサンプルを基にアシッドシンセのラインが湧き出るサイレンコールである。同じく中国のプロデューサーであるLJCは、東京湾の海岸線をなぞる夕日のようなアルペジオと、空中に手を置いたようなピアノのコードで構成された、陶酔感溢れるトラック「Kazumi」を提供。また、日本のプロデューサーWRACKとT5UMUT5UMUによるリミックスも収録。アートワークはJACKSON kakiが手掛けている。 Dirty K & LJC – Tokyo Renaissance / Kazumi Label : Eastern Margins Designed by JACKSON kaki Release Date : 11 February 2022 Bandcamp : https://dirtykkkk.bandcamp.com/album/tokyo-renaissance-kazumi Tracklist 1. Dirty K – Tokyo Renaissance 2. LJC – Kazumi 3. Dirty K – Tokyo Renaissance (Wrack & Dirty K VIP Mix) 4. Dirty K –
2022/02/08
90年代レイブと東アジアの地域的変異 Dirty KとLJCによる新作「Tokyo Renaissance / Kazumi」は、東アジアのクラブで鳴らされるHi-NRGを経由し、ジャパニーズハイパーテクノをオーバードライブさせる。AVYSSのSoundCloudにてタイトル曲をプレミア公開。 Tokyo Renaissance / 東京ルネッサンスは、インターネットによってもたらされた均質化に対抗して、東アジアのクラブカルチャーをローカルで特殊な視点で捉え直すためにDirty Kが始めたプロジェクト。90年代のレイヴカルチャーと東アジアの地域的変異、日本のハイパーテクノシーンを探求し、過去を掘り下げ、未来を形作る。 90年代初頭、日本のバブル経済はピークに達し、最終的に崩壊していく中で、多くの人がクラブカルチャーに傾倒し、明るい光の中に身を置くようになった。ヨーロッパでユーロビートとイタリアンディスコが衰退した後、J-Raveは多くのプロデューサーに第二の風を吹き込んだ。やがて、日本はこれらの影響を受けながら、独自のクラブサウンドを作り上げていった。ハイパーテクノは、「ジュリアナ東京」という東京の象徴的なクラブで神話的な地位を確立した。その余波は、アニメ、コミック、ゲーム、ギャル、パラパラにまで広がっていく。そしてavex trax及び、avexが手掛けるシリーズ『SUPER EUROBEAT』は、この類のサウンドをメインストリームに押し上げ、浜崎あゆみなどのポップスターを生み出した。 中国・上海の代表的なレーベル〈Genome 6.66 Mbp〉からのリリースや、Tzusingのレーベル〈Sea Cucumber〉からのリリースされたリミックスアルバム『Next Life』への参加を経て、「Tokyo Renaissance」はDirty Kの青春時代に形成された記憶から、東アジア特有のサウンドへと落とし込んでいく。 「Tokyo Renaissance」は、J-Raveのパイオニアの一人であるJohn Robinsonのサンプルを基にアシッドシンセのラインが湧き出るサイレンコールである。同じく中国のプロデューサーであるLJCは、東京湾の海岸線をなぞる夕日のようなアルペジオと、空中に手を置いたようなピアノのコードで構成された、陶酔感溢れるトラック「Kazumi」を提供。また、日本のプロデューサーWRACKとT5UMUT5UMUによるリミックスも収録。アートワークはJACKSON kakiが手掛けている。 Dirty K & LJC – Tokyo Renaissance / Kazumi Label : Eastern Margins Designed by JACKSON kaki Release Date : 11 February 2022 Tracklist 1. Dirty K – Tokyo Renaissance 2. LJC – Kazumi 3. Dirty K – Tokyo Renaissance (Wrack & Dirty
2020/02/02
未来から来た印象派 上海から世界へ発信を続け、アジアを代表するクリエイティブコレクティブとなった〈Genome 6.66Mbp〉のメンバーであるDJ / プロデューサーDirty K。 Dirty Kは昨年11月に、2017年作『Exsiccation』以来2年ぶりの新作『Panorama』をリリース。複雑で繊細なサウンドデザインと東洋のメロディーが融合した傑作をひっさげ、3月1日に開催される「CHEMICAL MONSTERS」での来日が決定。「Panorama」の世界観を反映したビジュアルと共に恒例の質問を投げてみた。 – まずは簡単に自己紹介お願いできますか? Dirty K – こんにちは、Dirty Kです。本名はKeyi Xu。南京に住んで25年、学生時代もここで過ごして、今年カレッジを卒業したばかりなんだ。 – 曲を作るようになったきっかけってなんだったんですか? Dirty K – ずっと音楽制作に関連することを専攻してきた。学部ではレコーディングの勉強をしていたんだけど、その頃の仲間とは音楽についての関心の方向が違ってた。彼らの関心はもっぱら技術面に向いてたからね。だから大学院では楽曲制作に専攻を変えたんだ。デモンストレーションはまだ未熟だったけど当時すでにDJを始めたり曲を作ったりはしていたからね。 – 今回のEP 『Panorama』について詳しく教えてくれますか? Dirty K – 未来から来た印象派ってところかな。このEPでは多彩な風景を様々な楽曲・サウンド制作のテクニックを使って描写して、いろんな物の本質にある美を表現しようとしてみたんだ。岩肌や水、シーンごとの色の移り変わりなんかの美しさをね。ちょうど1900年代の印象派の音楽みたいなんだけど、僕が音を使って表現したいのは感情というより感覚によってとらえられるものなんだ。僕の以前の作品には感情がいっぱい込められていたから今回はそれを変えてみたかった。このEPではいろいろなデジタルサウンドも使っているんだけど、そこに僕はある種の「未来」を感じるんだ。もう一つ僕が自分の音楽でやりたいのは、観念とモノを弁証法的に統合すること。価値観やアイデンティティに背負わされた重荷を忘れて、静かな気持ち、開かれた心を持とうよって音楽を使ってみんなに言いたいんだ。印象派の音楽の特徴の一つは西欧的なハーモニーと5トーンスケールの組み合わせだけど僕はこれをもう一度使ってみたかった。西欧的な心と東洋的な心を美で結ぶ懸け橋みたいな響きだからね。 – 収録曲で行われているChamsやLJCとのコラボレーションはどうでした? Dirty K – Chamsを知ったのはEP『Lettre d’Amort』で。そのカバー(美しい風景画) を見て彼とは趣味が合うって分かった。シングル「panorama」を送ってみたら彼もそれを気に入ってくれて、一緒に何かやろうってことになったんだ。LJCとは彼が南京で学生だった頃から一緒に楽曲を作ってきた。彼はとても印象的なメロディや美しいシンセサウンドを作るすごいセンスの持ち主さ。彼らと一緒にやるのはとても楽しいし、彼らから伝えられるアイデアも素晴らしいものなんだ。 – 制作プロセスについて教えてくれますか? Dirty K – タイトル曲「Pamorama」がEP全体の出発点だった。当時ビジュアルアーティストiranacredi (Johanna Invrrea) の作品にインスピレーションを受けたんだ。彼女の撮影した風景を見て感じた気持ちは今でも覚えてるよ。彼女に連絡してプロジェクトに参加してタイトル曲の映像を作ってくれないかって聞いてみたら、すごくラッキーなことに興味を持ってくれた。EPの制作は結構大変だったよ。GRM Toolsで 808drum loop に何回も何回も修正をかけて岩肌の感じを出したり滑らかなリードサウンドメロディで川を表現したりした。あとは、いろいろなやり方でよくある音楽の構造を打ち壊そうともしてみたんだ。このEPの一部ではbpmを数えることもできないぐらいだよ。 – 〈Genome 6.66Mbp〉とはどんな関係にありますか? Dirty K – Genomeのことはみんな知ってるよね。3年もその中心メンバーでいられて本当に嬉しいよ。大変な時期もあったんだけど、今回またこのEPをGenome からリリースできて本当によかったと思ってる。 – あなたのいる音楽シーンつまり上海、ALL、Genomeなどについてはどう感じてます? Dirty K – このシーンは僕にとっては一種のシェルターなんだよ。だけどシェルターはいつも僕を守ってくれるわけじゃない。自分の方がシェルターに貢献しなきゃならない時もあるよね。僕にできるのはみんなにとってより価値のある音楽を作ることだけだね。 – 将来に向けての希望や想いは? Dirty K – 死ぬまであきらめないで音楽の次のレベルに上がっていくこと、だね。 – Can you
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