2023/03/13
Jiyoung Wi、Joyul、Yeong Die出演
3月12日に下北沢Spreadで開催のイベント「LISTENING TO COLORS」を皮切りにスタートしたJiyoung Wi、Joyul、Yeong Dieのジョイント・ジャパン・ツアー。韓国のアートやDJシーン等で活躍し、新たな電子音楽の潮流を生み出している3組を、幡ヶ谷Forestlimitにて毎週水曜に開催される名物パーティー「K/A/T/O MASSACRE」と、我々(Kenshi & Kenji)がオーガナイズするパーティー「memoir / メモワール」とのコラボレーション企画に招聘します。題して、🥀🎠メモワール・マサカー!🎠🥀
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🇰🇷韓国🇰🇷
Unsound Festival出演やThe Wireでのレビュー掲載等、現行エクスペリメンタルの最高峰とも言える活躍を見せるプロデューサー・belaらと共に、ソウル拠点のイベント「Sorrow Club」を主宰するJiyoung Wi。ホワイトキューブやギャラリーとクラブの間を軽やかに行き来するような作風である彼女は、Nick Clienが運営するPsychic Liberationや北カルフォルニアのDIYレーベルMirae Arts等からノイジーかつ美麗なトラックをリリースする一方で、NTSやLYLにDJミックスを提供する他、詩人として朗読したりと個性的な活動を見せています。こうして記号を並べるとその人はアカデミックな態度(?)だろうとやや構えてしまいますが、彼女の不思議な魅力は底抜けに朗らかな性格にあります。インスタのストーリーには友人の写真や街のスナップが頻繁に上がりますし、そこには飾らない佇まいが伺えます。’表現と生活、そのアンバランスさが良く’…とするのは単純すぎで、あまりにもそれらがナチュラルに在ることを1番のレコメンドとしたいところです。言語化しづらいこの感覚を生で感じて、そして是非交流をして欲しい!今回はヴァイオリン含むLIVEセットでの出演!人生3回目のライヴとのことです。
Joyulは一昨年に発表されたアルバム「Earwitness」がブレイクスルーしたことで認知している方も多いのではないでしょうか。アンビエントを基調とし、フィールド・レコーディング、IDM、フォークなどの要素を丁寧に織り込んだ音作りで、リミキサーには現行アンビエントを代表する作家UllaやLucy Liyouといった錚々たる面々を迎えるなど会心の内容でした。アルバムのライナーが素晴らしいので引用します。「(Earwitnessが)彼女自身の世界観の延長線上にあることを認識しています。それは非常に個人的なものであり、完全に伝えることは不可能です。彼女は、このような体験を間違いなく共有することのむなしさを知っているが、それでも証言することに興味があり、音の曖昧さ、幻想、全く分からないことの中で音楽を提示する。彼女は、リスナーとして私たちが構築し遭遇するサウンドスケープを完全に知ることはできないという真実を受け入れているからである」。ぜひ彼女の美麗で曖昧な世界に浸ってください。
Psychic Liberation等からのリリースでも知られるエッヂなIDMプロデューサーであるYeong Dieは、現代の韓国を代表するDJとしての顔も持っています。また女性とクィアに焦点を当てたオンライン・イベント「CENTERS」を主催したり、アンビエント・デュオSalamandaのメンバーであるUman Therma、Yetsubyと共にレーベル「Computer Music Club」を運営する等、非常にアクティヴで先進的な活動を見せています。アナログ・シンセサイザー・ユーザーらしく柔らかな音色/ダークに沈んでいく音響ダブ/ジャズ・リスナーとしてのバックボーン/それらをミニマルに統括/DJ威力への憧れ。音響やストレンジなDJが多い今回のメモワール出演者のなかで、痛烈に身体の芯から揺らすクラブ・ミュージックを響かせるであろう彼女のDJingは、ダンスの快楽性を再認識させ大きなカタルシスを産むはずです。
日本🇯🇵
京都を拠点に活動する音楽家、美術家のKazumichi Komatsu。2019年に韓国・ソウルで開催されたSorrow ClubにDoveやLe Makeupと共に出演した他、Natalia Panzerらが中心となり運営されるオンライン・コレクティヴ「Lynn」における緩やかな人間関係の一端同士でもあり、パンデミック下でリリースされた韓国と日本の音楽家をフィーチャーしたV/A「INTIMATE GHOSTING」でも同席する等、Jiyoung Wiと彼は非常に長い交友を続けています。(ちなみに「INTIMATE GHOSTING」にはJyoung Wi、Kazumichi Komatsuの他にもJoyul、Yeong Die、Ultrafog、Kenji等も参加しており、今回のツアーにおける縁の証左ともいえる作品です。)音楽と美術の偏差を意識させない活動を見せる彼がメモワールに出演することは、その次世代ともいうべき、しかも同じく京都から発信されるreisenとの邂逅や、韓国勢とのフレンドリーなハングアウトによりまた美しい文脈となることでしょう。Mari Sakurai、Rafto、Ultrafogによる電子音楽コレクティヴ「IN HA」が2019年に開催した最終イベント以来、約4年ぶりにForestlimitでのパフォーマンスを披露します。
京都を拠点に活動するコレクティブ、reisen。昨年夏にはYouTubeチャンネル上で4本の異なる要素を持つ動画をプレミアム公開。それら全てを別々のウインドウで同時再生することで音の重なりやウインドウの行き来=巡回の体験を提案し、一つの作品として機能させる「.☆.。.:*・° thanks!!! merry xmas!!! agam +*:.。.*:+☆」を発表。’友人に贈る為のプレゼントを夜のショッピングモールに買いに行く’という普遍的なシーンを撮影・編集し、そこに幾重にもレイヤーを重ねることで、奇妙ながらも温もりのある時間を提示しました。彼らは自身の活動に対して説明的すぎるキャプションは緩やかに捨てており、受け手側は断片的にしか彼らを観測することしか出来ませんでしたが、満を持して初となる舞台でのパフォーマンスが決定。形態はシアター=演劇!日常と地続きでありながら心地よい違和感を孕んだ世界に我々を誘います。東京で彼らを目撃出来る貴重な機会を絶対に逃さないでください!
Broshuda来日公演や本イベントでもあるK/A/T/O MASSACREの他、脱構築クラブ・ミュージック代表格のFITNESSSをゲストに招いた新大久保Baconでのイベント出演など、独自の活動を見せるDJ God Hates Shrimp。最新のダンス・ミュージックからストラヴィンスキーに至るまでをプレイするジャンルレスなDJである一方、アートイベント「EASTEAST_TOKYO 2023」では’教会にある告解室、信者が自らの罪を司祭に告白して神様のゆるしを得る場’をテーマに、廃ビルを舞台とするアンバランスな神秘性に満ちた展示作品を披露しました。清真、ノワール、つるっとした感触、ざらつき、アイロニック、米国産ミーム画像のようなノリ。捉えどころのないキャラクターと、その型枠をはみ出したり/出さなかったり。彼女のDJにより会を明確にQ.E.Dしない形でクロージングすることで、メモワールは静かに幕を閉じる、予定です。
2010年代のインディペンデント・シーンに絶大な影響を及ぼしながらその’テン年代’の終焉と共に惜しまれつつ更新を停止した米メディアTiny Mix Tapesから、念願の来日を果たしたTek lintowe等が放つストレンジ&ウォーミーなエナジー、’ポストElysia Crampton世代’の衝動をレポートしているYouTubeチャンネルMadjestic Kasualに至るまでをこよなく愛し、深掘り。Rate Your Musicに入浸るオタク的遡及とSoundCloudフィード上での探求を猛スピードで(前後に)邁進するディガー・DMT。K/A/T/O MASSACREでの衝撃デビューから数えて人生2回目となるDJ。シニカルな印象も受けるSNS上でのキャラクターとは裏腹に、溢れ出る音楽へのパッションを感じてほしい!
DMTとは異なりリアルタイム進行でTiny Mix TapesヘッズだったプロデューサーのKenshi。Kazumichi Komatsuもリリース歴のあるpsalmus diuersae界隈の作家、特にchushi等からのインスピレーションが大きい作風です。ファウンダーのJ. Gordon Faylorにより運営され、300ものカタログ番号を重ねたパブリッシャー「Gauss PDF」から作品を発表するなど一定の活動は観測出来ますが、その実態は謎が多く、彼を構成するものの一部はどこか別の場所にあるような気もします。電子音楽イベントとなるとシリアスな雰囲気になる傾向がありますが、あくまでもメモワールはパーティーとしての面を担保したい!プロム的な雰囲気をある程度意識しつつ…そんな内容のDJで彼が幕を上げてくれます。
https://www.gauss-pdf.com/post/188214144260/gpdf283-kenshi-yo-bro
空間を彩るVJは、2010年代インターネット文化を先進しつつベールに包まれた交友譚を残した集団「BACON」の一員で、eminemsaikoとのユニットSOFTPOWERでも活動、今回共演するJiyoung Wiが’世界で一番好きなDJ’とラブコールを送るなど世界各地のクリエイターからそのディグと編纂を支持されるDJでありながら、キム・ギヨン監督作品『死んでもいい経験』のBDパッケージを請け負うなどデザイナーかつヴィジュアル・アーティストでもあるpooteeが担当。美術や映画に対する深い愛情に裏打ちされた端正かつエレガントな映像群でForestlimitに流れる電子音楽に華を添えます。
フライヤーのデザインは、「EASTEAST_TOKYO 2023」のオープニング・パーティーにてspeedy lee genesisとのb2bでクロージングDJを務め、日記-詩-記録-創作、それらを明確にセパレートしない、内/外の輪郭がぼやけた不思議な感触のアートワークを発信しているpnnikinが務めます。起きて少し時間が経ち、すっかりと忘れてしまったけれども、何となく素敵な夢だったことは覚えている…。そんな曖昧さを自然に捉える彼女は、割り切れないことを大切にしたいメモワールのヴィジュアルを見事に表現してくれました。Forestlimitの空気とメモワールの音を感じながら、SNS上のデータだけでなくプリントされたフライヤーを現地で眺めてほしい!
https://www.instagram.com/pnnikin/
最後に自己紹介となりますがKenjiです。blog「supernalsofttouch」やそこから派生したmixシリーズ「Blue XP」などを運営しています。昨年Sex Magazineからミックステープをリリースしました。韓国から来てくれた三者全員のことが大好きですが、特に思い入れが深いのはJiyoung Wiです。今まで述べてきたLynnやINTIMATE GHOSTING、Blue XPなど、様々なシーンで彼女とオンライン上の交流を重ねてきました。2019年に「Absurd TRAX」より発表したアルバム「愛の響き」にて楽曲の共作もしています。緩やかに紡がれてきた様々な人間関係とそこに合流する新たな出会いがメモワールを忘れられないものとすれば幸せです。
3/15(wed)
【M/E/M/O/I/R MASSACRE】
#FORESTLIMIT
JST 18:30〜
door:¥1800+1drink
from KOREA
Jiyoung Wi
Joyul
Yeong Die
LIVE
Kazumichi Komatsu
THEATER
reisen
DJ
DJ God Hates Shrimp
DMT
Kenji
Kenshi
VJ
pootee
FLYER DESIGN
pnnikin
category:NEWS
tags:memoir
2023/06/23
7/29 落合soup 2023年3月、Jiyoung Wi・Joyul・Yeong Dieの韓国勢3名をゲストに迎え、幡ヶ谷Forestlimitの名物パーティー「K/A/T/O MASSACRE」とのコラボレーション企画「M/E/M/O/I/R MASSACRE」を開催した我々メモワール。3回目となる今回はヴェニューをAaron DillowayやSugai Kenをはじめとしたドローンやノイズ、テクノ系のミュージシャンからの支持も厚い「落合soup」に移し、夏真っ盛り7月29日(土)に開催します!銭湯のあるビルの真下。地下へと続く階段の先にあるその場所で、東京ではなかなか見ることの出来ない人たちや新鮮な組み合わせによる素晴らしい音楽と、空間を彩るPOP-UPがお迎えします🍵 https://www.instagram.com/memoir.party/ ALMA 🥀 本格的に活動を再開した稀代のSSWが、また私たちの前でライブをしてくれます。2010年代後半にクィアやフェミニズム、社会が抱える諸問題についてのトーク・イベントを開催する他、Lily(ex-ultrademon)をはじめとしてその周囲に集いし音楽が流れるパーティーとしても機能していた”Pink Queendom”の運営メンバーであり、現在はヴィーガン・カレーを提供するカフェ・PQ’sでも働く人物。コロナ禍で職を失い、長野県に滞在した期間も経て、女になりたかった自分とその世界線で生きることをやめたいと願う自分の間にあるものを問うた2017年作「Innocent, Skin」を今年2月にリストア、2021年にBlue Xpに提供したミックスについての思いを2年越しで明かし、「日本」というルーツ再考および先人の叫びに耳を傾ける姿勢を示しました。また先日は陶芸家・相澤真夕の個展にて、自身がリスペクトする桃山晴衣と同じように三味線の演奏を披露する等、普段の生活を垣間見ることの出来ない距離感である立場としては沈黙していたように見えた活動が再び青く燃えています。ALMAの作品は楽曲の素晴らしさは勿論ですが、アートワークやクレジットから窺える人間模様など、細部に至るまで徹底した美意識と信条を受け取ることが出来て、「自分らしい場所」を作り上げていくことの大切さを教えてくれる存在だと思います。あらゆる文脈を前提としてすべてを優しく包み込むように。思慮深いALMAのライブでメモワールは幕を閉じます。 https://www.instagram.com/alma.tomabechi/ Kazuma Sugawara ⛰ 東京在住の美術家/フィールドレコーディング・サウンド・アーティストによる清涼な音世界を、真夏の夜の始まりにお楽しみください。エレクトロニカ、アンビエント・ミュージック、彫刻作品、サウンド・インスタレーションなど幅広いジャンルの制作を行う彼ですが、全ての作品において一貫するのは「風景」を主軸とすること。自然物、人工物、そして自身の3点から、内的或いは外的距離の関係性を詰め、音による情景の再配置を試みます。有機・無機のどちらかであることもあれば、どちらもでもない。曖昧な行き来を軽やかに、心地よく。言葉をあまりSNSに残さない彼が時折ポストする美麗な写真は、百聞は一見に如かず、彼が纏う霧のような雰囲気の一端に、何よりも分かりやすく触れることができます。誰とも排他的な意味でなく程よい距離感があり、帯同のエナジーを感じることが多い昨今では珍しく独立した立ち位置にあります。そんな面もありながら、以前、偶然にTwitterのスペースで話す機会があったときには素朴な人柄も垣間見えたり。現在、心象風景をモチーフとしたEPの制作も行なっており、メモワールではそのうちの数曲を披露する予定とのこと。今後の電子音楽を彩るタレントとなるであろう彼のライブを是非体験してください! https://www.instagram.com/kazumasugawara_/ Miki Nigo 🩺 2016年よりドイツ在住。現地の美大に在学中であるアーティストが、新型コロナウイルスのタームを経て、久々となるリラックスした帰国です。今年2月には韓国のMaps Magazineにインタビューが掲載される等、CGをはじめ、ドローイングや映像インスタレーションなどを媒体として制作・表現しています。以前までは夢や思い出など抽象的なものを基本テーマとしていましたが、最近はそれらとは正反対の領域とも言える、触覚をはじめとした感覚的なもの・物質的なものに興味を移しており、時の流れとともにそのスタイルが変容していることが窺えます。ただし変化の中でも詩的であることは常に重要視しており、そのポートフォリオには通底した美意識があります。そうしたアーティストとしての一面も勿論ですが、周囲の人々との交流や温かく美味しそうな手料理の写真などが時折インスタグラムにも掲載され、そこから漏れ伝わる柔らかい人柄も彼女の魅力です。今回のメモワールではスクリーニングを披露し、上映後には本人によるミニ解説も附する予定!こういったパーティーで作家の言葉に耳を傾ける時間は新鮮かと思います。また、彼女のアイデアから招聘が決定した、同じくスクリーニング・セットの天使王国とのペアを据えること。これが今回のメモワールの始点であったことを記します。POP-UP ”NIGO堂 feat.Tenko” ではベルリン在住の陶器作家でありMiki Nigoの友人でもあるTenkoをフィーチャリング。ドイツ土産の謎菓子や小物が並ぶみたいです。 https://www.instagram.com/mikinigo/ 天使王国 👑 2012年よりポエトリー音楽をSoundCloud/Vimeo等で発表、2017年に武蔵野美術大学日本画学科を卒業(在学中はノイズ研究会に所属し、展示への参加、DJを始める)、2021年より現在の”天使王国”として活動するマルチ・アーティストを本会に迎えます。アイドル・和田輪(元Maison book girl)へのアートワーク提供や、古着・古物商/人形、ぬいぐるみ制作など、心安らげる楽園のような拠所が、概念として自らの存在そのものになるための創作を模索。現在も先進的な活動を見せる彼女ですが、活動開始時期を見ても分かる通り、2010年代を横断する形のキャリアとそこに並ぶ作品群は、当時の、つまりインターネットを起点として拡散し始めた音楽文化のエスセティックと、プラットフォーム・Tumblr/SoundCloud上で醸成されていったムード、日本に脈々と受け継がれてきた嶽本野ばらの提唱する「乙女」やドール文化等が合流した結果を捉える上で、国内の人物としては類を見ないぐらいに徹底した世界を構築しています。文化史的に資料価値があるそのアーカイブですが、私個人としては彼女は【「好き」の結果】がこうある、といった具合にナチュラルな佇まいを受け取ります。今回のスクリーニングはサンプラーを導入したライブ・セットとしての面も大きく、彼女の中と周囲に広がる唯一無二のインナー・ワールドがダイレクトに体験できることでしょう。POP-UPとしての出店もあり!ぜひ音楽を聴きながら作品を手に取ってみてください。 https://tenshioukoku.com mareno! 🏋️♀️ 京都在住の大注目SSWが、東京でのデビューとしてメモワールを選んでくれました。12歳からギタリストとして音楽活動を開始、DJやMixでは主にロック以外のジャンルにおけるギターの素晴らしさをプレゼンテーションする態度を持ち、融解したヒップホップを作り上げるプロデューサー兼ラッパーでもあり、昨年からSAUVEQUIPEUTとユニットserah traxとしても活動、更にはWikipediaを活用したブロガーであったり…。彼を特定の言葉で形容するのは非常に困難です。人が持つ多面性をそのまま表現として機能させている印象があります。「全ての音楽体験を通してトラウマや劣等感が瞬間的に浄化される時の高揚感を手にしたい」という彼の願いは、その捉え所のない佇まいも手伝って、皮膚から優しく染み込む水のようなイメージで身体の中に広がる気がしています。前回のメモワールに出演したreisenのメンバーとは近所に住む友人関係にもあり、彼らに京都のローカル・シーンという尺度は似合いませんが、同じ地域に偶然にもこうした共振の人間模様があるというのは非常に刺激的で、その当事者を東京に招聘できることを嬉しく思います。2021年末に自主リリースした”Ashes & Snow”は、冬とりわけホリデーシーズンに見られる煌びやかさ/静けさへの憧れの中に、そういった人間関係の機微?のようなもの?を見た内容で必聴です。今回は彼の見ている世界をゆっくりと観測できる50分のDJセット。貴重なこの機会を絶対に逃さないでください! https://www.instagram.com/marenoexclamation/ mostin fantasy 🧹 1999年生まれ、札幌在住のカルト的人気を誇るDJが久々に東京でプレイします。2021年、コロナ禍を過ごす友人達に向けて個人的なDJ配信を急遽企画したことがきっかけで現在の活動を開始。東京在住だと勘違いされていたこともあって幡ヶ谷Forestlimitの名物パーティー”K/A/T/O MASSACRE”から出演の声が掛かり、偶発的な形でデビュー。羞恥や取り繕うことの殻を打破した先に存在するエモーショナルで会場をロックし、演劇等を取り入れた彼にしか出来ない圧倒的なパフォーマンスは話題を呼びました。人それぞれにDJの哲学やアートが有るわけですが、彼の場合はDJ機材やブースの外部から何かを展開していくことに興味があります。選曲はジャンル、年代、シーン等を横断しますし、あまりにも自由な「DJ」の解釈は、その在り方を無意識に拡張させています。ただ、そこには「破壊してやろう」であるとか、打算的な思考は見えません。音楽への純真な愛情、悦び、衝動…。感情の渦が生み出した結晶のようなものであると思います。メモ書きのように重ねられていく秘境ブログにはセンシティブな悩みの吐露もあったり、とにかく人間的で不思議な魅力を持つ人物です。今回共演するmareno!には以前よりシャウトアウトを送っており、待望の対面になります。そんな彼が大味に且つ繊細に紡ぐ、ディープ・インターネットのフロンティアに在る最新のモードと、今こそと言うべきノスタルジーが並列する唯一無二の選曲を楽しんでください! https://www.instagram.com/mostinfantasy/ sugar meiha 📚 DJ、映像、人形といったキーワードが並ぶ今回のメモワール。sugar meihaはそれらを自身の活動で紡いでいる人物です。YuhaとのDJユニット・Ole LukøjeとしてK/A/T/O MASSACREやTOKIO SHAMAN vol.9、展示「Consciousness」のイベント等に出演する他、ショートフィルム上映とDJが交差するナイトイベント”in memory…”や、年に一度開催されるDIYレイヴ”waking life”の運営メンバーであり、今回POP-UPとして出店する人形ブランド”Yarila”の生みの親でもあります。また、後述するデザイナー&イラストレーターのjijiが幼少期の頃に絵本に没頭していたように、sugar meihaも幼少期には本ばかり読んでいたそうです。その名残で言葉の存在を旧友のように感じており、詩の執筆を通して心象風景を映し出すことを自身の芯としています。電子音楽のシリアスな面への集中、その一方でダンス・ミュージックの享楽も味わいたい。勿論、人によってはその逆も然り。多種多様な人物や世界が重なる今回。オルタナティヴなDJと言えるmareno!やmostin fantasyに対して互いに引き立てあう関係性としてバイプレイヤーな彼女が居てくれることは非常に心強いです。そしてYARILAについてはこちら👇 https://www.instagram.com/sugarmeiha/ YARILA 🧸 sugar meihaとkahoが2023年2月にスタートさせたハンドメイドの人形ブランド。自然の営みの面影をなぞる精霊ウィリーと仔山羊の人形は、取り残された一刻の中で漂う微細な表情を表現。今年3月にbaconで開催されたgive up ⅱ、4月に山梨県の山奥で開催されたDIYシークレットレイヴ、space orbitでのイベントTohkuなど、幅広いロケーションで展示/出店しています。 揺れるひづめは紐繋ぎ。 神樹ヤリーラから生まれたの。 果てなき荒野へいざ行かん。 あの子の身代わりとなろうとも。 おいでよ
2023/12/01
🎅🎁🖌💍⛄️🧢👻🎸🐢🧟♂️🚀🕸💣🔮🐞🦖🕯🎪🧶🥁🌀🎈🍬💥🥽🛋 今回で4回目の開催となる我々「memoir」。ヴェニューを前回の落合soupからJiyoung Wiらを招聘した第2回と同じく幡ヶ谷Forestlimitに移し、名物企画「K/A/T/O MASSACRE」とのコラボレーションで”クリスマス(直前)・パーティー”を提案します!12月20日(水)デイ&ナイトでの開催となりますので、それぞれお好きなタイミングで是非遊びに来てください。🎅🎁 (Text by Kenji) ‘Muppet Christmas Carol’ (1992) dir by Brian Henson 今回のメモワールのテーマはずばり「クリスマス」!華やかなパーティーから静かに過ごす深夜の家など、様々なロケーションにおけるクリスマスをForestlimitに再現します。’誰かと過ごす’という様式が文化的に一般とされる中で、強く’ひとり’を意識する季節でもあると思います。外と内。双方向への視線を中庸させ、人肌のような温度感となることを期待しつつ、リラックスして楽しむことの出来る空間を提案します。そんな堅苦しいことを言いつつもただのクリスマス・パーティーでしかないので何も考えずに楽しむことができたらいいなと…。随分と冷え込んできましたし、暖かく夜を過ごしたいところです。 さて、パーティーの素地となるアートワークを担当してくれたのはこの2人! Utanhole 🖌 2001年生まれ、東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻に在籍し、絵画や詩などの制作を行うUtanholeがフライヤーを制作してくれました。氏の作品に初めて触れたのは、今年AMMON TOKYOで開催された個展「新・家族計画」に訪れた時です。「家族」をテーマとし、西洋画/漫画/英語/日本語/詩/メモなど、様々な要素が織り込まれた絵画がありました。江口寿史の影響を感じるカットもあれば、聖書からの引用となる文章が余白に書かれていたり、自由で衝動的な印象でありながらUtanholeでしかない統一感がありました。そこで販売されていた限定100部の詩集がまた素晴らしく、「家族」や「孤独」に対しての複雑な感情が記されていました。今回のメモワールがセットするものを踏まえつつ、人間の裏表を受け取ることが出来る彼女の作風が交わった素晴らしい作品となりました。 Utanhole ion100 💍 京都在住、プライベート・ギャラリー「I/O/N」を運営するion100はタイムテーブルのデザインを担当してくれました。彼女は写真データそのものへの加工は控えめに、被写体そのものが持つ神秘性や違和感のポテンシャルを最大限に引き出す優れた写真家でもあります。パーティーのコンセプトを言葉を用いずプレゼンする為にこれ以上ないほどの素敵な作品を制作してくれました。会に対して多面的な印象を持たれるよう設計する中で、フライヤーとタイムテーブルの作者を変える試みを快く受け入れてくれたion100に改めて感謝します。タイムテーブルの公開は開催数日前を予定!ちなみにKenjiの運営するmixシリーズ「Blue XP」にmixを提供してくれており、そちらも不思議で彼女らしさが受け取れるので是非楽しんでください。 ion100 パーティー本編は「𝙃𝙤𝙡𝙮 𝙉𝙞𝙜𝙝𝙩 𝙋𝙖𝙧𝙩𝙮」「𝙈𝙞𝙙𝙣𝙞𝙜𝙝𝙩𝙏𝙑&𝙍𝙖𝙙𝙞𝙤」と題してデイ&ナイトの2部構成とし、生活スタイルに合わせて好きな時間に遊びに来ていただけるようにしました。フライヤー掲載順に出演者などをそれぞれ紹介していきます。 ♢♢♢ ♢♢♢ 「𝙃𝙤𝙡𝙮 𝙉𝙞𝙜𝙝𝙩 𝙋𝙖𝙧𝙩𝙮」は18:00~24:00の開催で、華やかな音楽パーティー会場、そしてその暖色の光が窓から漏れてくる様子を雪の降る外の庭から優しく眺める、そんな関係性を目指します。 【𝑳𝑰𝑽𝑬】は’インディー’をキーワードにクリスマスが最高に似合いそうな4組のアクトを招聘しました。 iVy ⛄️ 埼玉在住、pupuとfukiによるユニットiVy。pupuは現在は大学に通いながらぬいぐるみや装飾品、イラストレーションを主に創作活動しています。fukiは今年5月からSoundCloud上で音楽活動を開始。元々は日記の代わりのようにつけていた写真の切り貼りからzineや映像を制作し、展示を行っていました。自我概念の解体を軸に映像を作ると共に音楽制作も開始し、現在は自身の声も入れて、作るようになりました。そんな二人、iVyは今年7月から音楽活動を開始したばかりのニューカマーです。彼女たちは楽曲の発表と同時にビデオを公開する傾向にあり、音のみならず視覚的にも表現に対しての拘りが深いことが判ります。彼女たちのビデオは何か特殊なエフェクトを使用したりテクニカルな処理をするかというとそうではなく、要素と要素を絶妙な透過によって重ね、遠い記憶のどこかで見たような、それでいてどこにも無かったような意匠で自身の音楽との接続を試みています。楽曲は連綿として続いてきた国産インディーの息吹を感じさせ、そのポップ性は広くリーチする可能性を秘めています。それでいながら、数人規模の小さなイベントにも身軽に出演し、それらを愛でる分け隔てない感覚がまた彼女たちらしさに繋がっているのではないでしょうか。 Organ Tapes 🧢 イギリスからの映像出演となるOrgan Tapes。現代のインディーを紐解いた際に、ある方向にはCDJの存在が表出するかと思います。ギタリストが次の日にはDJをするというのも今日では珍しくはありません。彼はDJ Corpmaneとしてマッシュアップ・コラージュのシリーズを2010年代に精力的に発表していました。それらをオルターエゴと強くセパレートするのではなく、ナチュラルにOrgan Tapesとしての活動も在る。彼のライブはDJブースにギターを持ち込み、SSW然とした楽曲を演奏した後に、曲間にCMのような小品をミキサーで差し込んだりするスタイルです。時には楽曲に重なることもあります。その姿はいつかの時代では変則的だったかもしれませんが、今では共感できる感性に思えます。それは彼が切り開いてきた”新しいインディー”、ベッドルーム・ロックとでも評することの出来る地平の上に我々が立っていることの証明なのではないでしょうか。Durutti Columnから先日来日を果たしたmalibuに至るアンビエンスまで、そしてそれらをDJとしての感性も併せて優しく結っていく。今回の出演者を繋ぎ、包含するアンカーとして存在するOrgan Tapesのサウンドに是非触れてください。 serah trax 👻 臣と、前回のメモワールにも出演してくれたmareno!からなるユニット・serah trax。2022年にシングル「everynight」を自主リリースし活動開始。今年、同じくシングル「firefiles」を自主リリース。またチホ&ナコ主催の「ほしのおと」にて初ライブを披露しました。彼らの正式なディスコグラフィーな上記の通りシングル2曲と簡素なものです。しかし、「ほしのおと」で実際にそのライブを体験した身としては、どういう発想で楽曲を製作しているのか、なぜこういう展開になるのか、筆者の定規では測ることが出来ない自由さに溢れていました。その典型的な例がライブ最後の曲です。途中までは2人で進行していた構成が、終盤になり急にサポートでDr、Gt、Baが登場。DJブースとLIVEステージに視線が分散するという未知の展開。彼らのバックボーンにはバンドやギターなどのサウンドへの親近感があります。音楽に対して’混じり気のない’を線引きする必要性が薄れ、これらがスタンダードなのだと強く感じました。先述のOrgan Tapesの精神性にも通じるものがあり、その好例としてserah traxは位置することが出来るかと思います。あと、クリスマスが誰よりも似合う気がしますよね。 yagihiromi 🎸 1999年生まれ。Cruyff/Nitroday/Larks Louなどのバンドに所属し、作曲とギターを担当するyagihiromi。山本精一の『なぞなぞ』に衝撃を受けて宅録を始め、ノイズ、スローコア、サイケデリック、エモラップなどからの影響を受けたという彼女は、録音開始から5年間の集大成となるソロのデモ音源集『MeV』をシカゴのEye Vybe Recordsからカセット・リリースしています。筆者がyagihiromiを知ったのは彼女が所属するCruyffの音源を聴いたのがキッカケで、冷静と情熱の間を強烈に突くようなバンド・サウンドに圧倒されました。(※Cruyffは現在のようなライブ活動は今年限りで終了することをアナウンス。来春より新しいリリースと共に新たなCruyffを開始するとのこと。こちらもどうなるのか楽しみ!)バンドは共同作業故に調和が必要となりますが、並行した彼女のソロ作品は音源のライナーにもあるように等身大の自分を制限なく存分にさらけ出しており、その内外(どちらが内外とかの話ではないです)のバランスに強く惹かれました。バンド文化特有の人間関係が背景によく見えるのも今回のメモワールに大きく影響しており、先日の調布Crossのイベント(「ほしのこえ」)にserah traxが出演した際にはGtでサポートしていたのがyagihiromiだったことを記しておきます。 ♢♢♢ ♢♢♢ 【𝑫𝑱】は5組のアクトがクリスマスらしい選曲をしたり、しなかったりします。 ast midori 🐢 parkkingbabiesクルーに所属し、amo clubで友人とパーティーをオーガナイズする在阪のプロデューサー兼DJ、ast midoriが登場します。ハナバギ推薦というのも勿論あるのですが、彼が纏う角の取れた優しい冷感とオーガニックな有機質感のブレンドはしっかりと季節感にアジャストしてくれそうで、個人的にも非常にプレイを楽しみにしています。作曲で好む輪郭を強く確立しているだけあって、DJでも効果的にそれらが発揮されるでしょうし、流麗で伸びやかなサウンドは室内の暖かさを際立たせそうですよね。それぞれの交友には今のところ無いかもしれませんが、温度へのアプローチという点ではserah traxとの相性も実は良さそう。彼らがお互いに反応することを期待しつつ、バトンパスの関係性となる位置をお願いする予定です。 Hanoi & DMT 🧟♂️ SoundCloud~現代のUSヒップホップ文化のサウンドを無駄なトリートをせずダイレクトに消化する2人、HanoiとDMTによるb2bです。Hanoiは2020年代の幕開けを告げる存在だったクルー・WATER DAWGSのメンバーとして活動。2021年よりプロデュースを開始し、2022年にクルーが解散した後はSoundCloudを中心に曲を公開しています。彼の印象はとにかくアメリカの最新のHIPHOPを愛しており、掘りまくっているということ。ビートに乗る歌ではなくラップが好きということ。作曲もHIPHOPベースで軽率にサンプリングすることを信条とし、上書き行為を好んでいます。WATER
2021/04/01
リアル、バーチャル、ARが重なり合う 音楽メディア/プラットフォームのAVYSSが、新型コロナウィルスによるパンデミック以降にスタートさせた「AVYSS GAZE」は、AVYSSのドネーションプロジェクトとしてスタートし、バーチャルパーティーの開催など仮想空間の可能性を探求している。SUPER DOMMUNEとのコラボレーション・イベントや、渋谷WWWを3DCG化して開催されたコンピレーション・アルバム『S.D.S =零=』のリリースパーティーなどに続き、今年初となるパーティーを幡ヶ谷Forestlimitの看板パーティー「K/A/T/O MASSACRE」とのコラボレーションにより4月7日(水)に開催。 本イベント「A/V/Y/S/S MASSACRE」では、3DCG化した幡ヶ谷ForetlimitにARの技術を融合させたライブ配信に加え、現地会場も解放させ、定員40名のリアルイベントとしても開催する。仮想空間と現実世界に、拡張現実の技術が有機的に繋がり複数のレイヤーからなる実験的なハイブリッド・パーティー。 AVYSS GAZEのキュレーションとして、lIlI、LSTNGT、Yoyou、そしてAVYSSのディレクターCVNがラインナップされ、K/A/T/O MASSACREサイドではBaby Loci + sudden star、Ichiro Tanimoto、WATER DAWGSが出演。また、出演を予定していた食品まつりa.k.a foodmanが体調不良の為にキャンセルになり、新たに追加出演として荒井優作が決定。ポスターのイラストはAiri Kawakami (Cream?)、バーチャルディレクションはJACKSON kakiがそれぞれ担当。尚、AVYSSとしては2019年に渋谷WWWで開催された一周年記念パーティー以来のリアルイベントとなる。 04/07/2021 AVYSS GAZE × K/A/T/O MASSACRE 「A/V/Y/S/S MASSACRE」 VENUE : 幡ヶ谷Forestlimit START : 7PM JST Stream : https://www.twitch.tv/novo_kato Suggested fee : ¥1500~ https://www.paypal.com/paypalme/NOVOkato 会場入場料 : ¥2000+1d(定員40名) 予約:massacre.yoyaku@gmail.com ※お名前と人数をご記入の上、メールをお送りください ACT(A-Z) -AVYSS GAZE- CVN lIlI LSTNGT Yoyou -K/A/T/O MASSACRE- 荒井優作 Baby Loci + sudden star Ichiro Tanimoto WATER DAWGS Illustration by Airi Kawakami (Cream?) Virtual Direction by JACKSON kaki Produced by AVYSS GAZE & K/A/T/O
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