2020/04/16
5月29日リリース
〈EM Records〉から、CVNがキュレーションしたコンピレーション『S.D.S =零=』が発表。5月29日にCDとレコードとダウンロード(bandcamp)で発売され、6月12日からストリーミングが開始される。
昨年末から進められてきたプロジェクト『S.D.S =零=』は今回のパンデミックを迎えて、未来を繋ぎ、途切れさせてはいけないクリエイティビティの種としての新たな意義と使命を受け入れた。
LP、CD共に参加アーティストの詳細、歌詞、CVNによるライナーノーツが封入し、CD版は36ページに及ぶブックレット、ワイドケース仕様。カバーを含む全てのアートワーク/装丁をDaiki Miyamaが手がけている。
今、本当は何が起こっているのか?
デジタル・リリースがデフォルトの世代を中心にしながら、<パッケージ版>を主眼にした2020s新世代コンピレーション。シティーポップもテクノもアンビエントもない、日本のインディペンデントに咲く12曲、途切れさせてはいけないクリエイティビティ、この重く暗い雲に覆われた世界でポスト・パンデミックの未来を照らす。
いつか名付けられるかもしれない日本の2020s音楽シーン。ハイプ無しプロデュース現場の”空気”のパッケージを試みる『S.D.S』。17人のクリエイターと5人の裏方達の手になるセルフ・プロデュース作品12曲を収録、うち8組がフィジカル・リリース経験なし、VINYL版は12人が未経験という、サブスク/DL/YouTubeで音楽体験をしてきた世代の作品集。
『S.D.S』全作品はベッドルーム・ポップというタームを与える必要もないD.I.Y宅録がベースで、トラップ、エレクトロニック・ミュージック、インディーポップ、ベースミュージック、EDM〜ADMといった音楽言語がナチュラルに交錯。ヒップホップ的表現だが現行ヒップホップのメインストリームから立ち位置がズレたむしろエレクトロニック・ミュージック寄り、またはその反対、更に説明困難な異形作、評論家を煩わせるような作品だらけだが、このアマルガムこそがリアリティの核心。この現象は『S.D.S』のクリエイター達に共通して立ち現れている。だからこそ誰が今どんな音楽をやっているか「個々」に耳を傾けることが重要となる。
日本の現行クリエイティビティの空気の一つに過ぎないかもしれない、しかしそれは未来に繋がる点在した個、キレたひたむきさ、ふてぶてしい大胆さ。まずは家に篭って聴こう。そしていつかライブ現場で会おう!
VA – S.D.S =零= (Subscription Double Suicide =Zero=)
Label : EM Records
Format : CD / LP / Digital
2020年6月19日:CD、LP、ダウンロード(Bandcamp) 同時発売
Pre-Order : https://emrecords.shop-pro.jp/?pid=150122933
Stream : https://linkco.re/FmVagr1a
キュレーション:CVN
選曲:CVN and Koki Emura
装丁:Daiki Miyama
アルバム・マスタリング:Takuto Kuratani
LP追加マスタリング&カッティング:Helmut Erler at D&B, Berlin
英訳:Matthew Lane
Tracklist
01. Dove「Irrational」
02. Lil Soft Tennis「Feelin’ Love」
03. 玉名ラーメン「angelnumber」
04. Karavi Roushi and Aquadab「Tokyoite – Val Kilmer (Love Her)」
05. valknee + ANTIC「人生最高のSSS (2020 Mix)」
06. NTsKi「Labyrinth of Summer (KM Remix)」
07. seaketa「よい」
08. Menace無「Lucky Guess」
09. lIlI「悪夢」
10. CVN「withoutu feat. Itaq」
11. S亜TOH「MLC」
12. Le Makeup「Ray」
category:FEATURE
tags:EM Records
2019/01/18
EM Records、2019年の一発目のリリース。 2019年、EM Recordsの新作が届いたが、だいぶおかしい。琴の音楽、箏曲の幻の傑作、京極流「新春譜」。日本に伝統と言われるような音楽を素材に、RVNGなどからリリースを重ね、日本のエレクトロニックシーンを支える1人であるSUGAI KENが調理する。A面には雨田光平による1970年録音のものを、B面にはSUGAI KENのリワークを配置し、10インチ、CD、デジタルでリリースされる。10インチ以外は3/15発売。 プレオーダー、CDはこちら。デジタルはこちら。10インチはこちら。 以下、info 箏曲を知る者は戸惑うに違いないが、ハードエッジ音楽リスナーやアーティスト達を惹き付ける「考えうる最高レベルの古今東西融和」(俚謡山脈)を成し遂げていた作品、それがこの雨田光平「新春譜」だ。 <京極流>は明治に創設された箏曲の流派で、その二代宗家である雨田光平は福井県生まれの彫刻家/画家/作曲家であり日本にアイリッシュ・ハープを紹介したハープ奏者でもある。京極流は箏曲界のスーパースター、宮城道雄らの「新日本音楽」に先立ち(※雨田と宮城は親交が深かった)、黛敏朗、諸井誠、武満徹らが台頭するよりも前、歌唱と演奏の両方で古今東西の均整の取れた合体に成功していた驚くべき例で、誤解を恐れず字義通りに言えば日本式<シンガー・ソングライター>の始原といえる。 この「新春譜」は青木繁の描いた神々のイメージを創作源に、雨田が昭和30年頃に作曲し、京極流箏曲が福井県無形文化財に指定された後、昭和45年に出版した自主制作LP収録のヴァージョンで、琴、笙、ハープを含めた6名で合奏・歌唱したものだ。 対するSUGAI KENのリワークは現代音楽/RVNG/HIPHOPをメビウスの環のようにつないだ作品で、リワークというよりはもはやオリジナル新曲と言っていい。 京極流箏曲と「新春譜」考察した北村卓也の切れ味鋭い解説も必読! ■『京極流箏曲 新春譜』へ寄せられたコメント■ 「聴く環境の音が またこの音を変えてゆく こーゆー曲を俺も作れたら最高だ」 (KILLER-BONG) 「伝統・土着と西洋音楽それぞれへの距離の取り方において、考えうる最高レベルの古今東西融和の成功例であり、我が国にも“パッタナー”が在ったことを示す証拠となる1曲だ」(俚謡山脈) 「新春早々、実は食えないニセのおせち料理を食わされった!って悪夢が満載です!!…でもオイシイでしたね!」(中原昌也) 「身を清めてじっくりと浄化されるかのような、そんな音の処方箋的メディテーショナルな響きと心地よさに完全に魅了されてしまった」(COMPUMA) 以下は、SUGAI KENのGrey Matter Archivesで公開されたMix音源。
2019/03/28
EM Recordsから5/28リリース。 YPYは日野浩志郎によるソロプロジェクト。カセットテープレーベルbirdFriend主宰、バンド「goat」、「bonanzas」のプレイヤー兼コンポーザー、クラシック楽器・電子音ハイブリッド大編成プロジェクト「Virginal Variations」、10台以上のスピーカーや移動する演奏者を混じえた全身聴覚ライブ「GEIST(ガイスト)」の作曲、演出など、様々なプロジェクトを並行して行っている。YPYとしては、これまでNous、EM Records、Where To Now?、TALなどから作品を発表している。 また昨年は、IKU SAKAN、西川文章と共にスタジオ<ICECREAM MUSIC>を立ち上げ、創作活動の幅をさらに広げている。YPY名義では今作『Be A Little More Selfish』で3枚目のアルバムとなり、2016年に発表した1stアルバム『ズリレズム』に続き、EM Recordsでの2作目となる。これまでのYPYらしいハードな曲もあるが、アフロパーカッシブなYPY的ダンスホール、メディテーションに寄りすぎない密林チルな曲など、さらに世界を広げた傑作になっている。 YPY – 『Be A Little More Selfish』 フォーマット:CD/LP/Digital 制作発売元:エム・レコード (EM Records) 01. Guilty Pants (10:43) 02. It’s Not So Bad I Think (1:39) 03. Resom Plants (7:31) 04. All Wounds (13:09) 05. Games #2 p-type (6:34) 作曲・演奏:日野浩志郎 チェロ on “All Wounds”:中川裕貴 マスタリング:倉谷拓人(Ruv Bytes) 装丁画: NAZE 発売日 =5月28日 全フォーマット一斉同時発売= デジタル版:https://emrecords.bandcamp.com/album/be-a-little-more-selfish CD版:http://emrecords.shop-pro.jp/?pid=141657044 LP版:http://emrecords.shop-pro.jp/?pid=141657076
2018/08/09
突如リリースされたアルバム『STEALTH』について。 今年6月にいきなりtakaoから届けられたアルバム『STEALTH』は全編を通して真摯で丁寧なレイヤーに包まれている。付かず離れず一定の距離感を保ちつつも優しく見守ってくれるような守護天使のように生活と耳に寄り添ってくるこのアルバムは、自主リリースかつSNSでオフィシャルのプロモーションが無かったにも関わらず確実に濃い広がりを見せた近年では稀有な作品である。takaoにアルバムのことを中心にメールインタビューを行なった。 – 音楽に目覚めたのはいつですか? takao – 小さい頃からテレビゲームが好きだったので、ゲームの音楽には親しみがありました。92年生まれなので、ニンテンドー64やプレステ1、2らへんのゲームをよくやってました。自分から弾いたり、聴きたいと思ったのはゲームの曲が最初かなと思います。ピアノを習ってたんですが、先生がゲームの楽譜(ゼルダやドラクエ)をよく買ってきてくれたりして、弾いたりしてました。いまでも当時つかってたゼルダの楽譜とかを見ながらときどき弾いてます。あとはなんか目覚めたっていうなら、中学生のとき、友達にSOUL’d OUTを教えてもらってハマったっていうのがありました。ファッションやノリは全然趣味ではなかったんですが、いつのまにかよく聴くようになってました。曲自体になんか聴きたくなる魔力みたいなのがあったかもしれないです。僕が中三のときにちょうど3ヶ月連続シングルリリースみたいなのがあって、月ごとに更新される先行情報とかどんな曲がでるかみたいなのを友達と予想したりとか、なにか最新なものを追うみたいな感じも当時楽しかったです。はじめて見たライブも大磯ロングビーチで行われたSOUL’d OUTでした。 – 制作環境どんな感じですか? takao – 主にパソコンで作ってます。Mac miniでableton live(9のスタンダード)を使ってます。ソフトだとXpand2っていうシンセをよく使います。『STEALTH』はほぼXpand2で作りました。ハードの機材は少なくて、SP404とmicro korg xlくらいしか使ってないです。 – 今回のアルバム『STEALTH』にはテーマやコンセプトはありましたか? takao – 漠然としていますが、出自がわからなくてもいいなと思えるアルバムを作りたかったです。『STEALTH』を発表するにあたってとくに話題性などはなく、聴いてくれる人も結構限られるかなと思っていました。けど全然知らない人がなんかの拍子で見つけたときでもいいなと思ってくれるものを目指しました。なのでとっつきやすいものになればなと思っていました。そのため、明確なコンセプトやテーマは考えずに単純にこういうの聴いてみたいなっていうアルバムをつくりました。僕のなかでこういうの聴いてみたいってものは、いままで聴いたことありそうだけど聴いたことないってものでした。聴いたことないものってなると肩に力が入ってしまいますが、肩の力抜いて気楽に聴けるものがよかったです。参考になったのは僕が好きな音楽やゲームでした。それらはときどき聴き返したり思い出したりするようなもので、楽しい気分にさせてくれますが共通して強靭で不動な感じがありました。また、どれも作りこまれていて、力作って感じのものが多かったです。なので『STEALTH』も力作を目指しました。また、力作のようなものであれば息長く聴いてもらえるかなと思っていたからです。あと聴いたことありそうだけどないってものにするなら、アルバムを通して聴いた時に作った年や作者、ジャンルがわかりづらいようになれば面白いかなと思いました。アルバムの曲名は雰囲気やイメージに近い名前になっていて、影響はわかりやすいのかもしれませんが、全体としてはなんでこれが作られたのか不明な感じにしたかったです。古代遺跡でもなんでこんなところにこんなものがあったんだろうってなるもののほうが面白いので、『STEALTH』も何十年か経って発掘されてそうになったら面白いかなと思いました。『STEALTH』には明確なテーマやコンセプトはありませんが、こうしたいっていうことはたくさんありました。なので、自然と他と干渉しないような独立した雰囲気を持つアルバムを作ろうと思いました。 – アルバムはどのようなプロセスを辿りましたか? takao – いままでサンプリングをして曲をつくることが大半でしたが、2年くらい前からほぼ打ち込みでつくるようになりました。多分打ち込みの方がはっきりしたメロディやリズムをつくるのに適してたからだと思います。最初にできた曲は去年の春とかでした。そこから1~2ヶ月に1個くらい作っていって、今年に入ってから調整したりして完成しました。アルバム全体としては、飽きないようにすることに一番気を遣いました。アンビエントっぽい曲の次の曲ははっきりとした旋律がある曲にしたり、同じような雰囲気の曲を続けて置かないようにしました。なので、ある程度完成してからは、自分のiPhoneに曲を入れて通して聴くのをやりました。通勤の電車とかで聴いてみて、飽きたり間延びしそうなところは、順番を入れ替えたり、曲の構成自体を変えたりしました。 – アルバムで気に入ってる曲はありますか? takao – 特別これみたいなのはなくてどれも同じくらいと思っています。 – 最近どんな音楽を聴いてますか? takao – 作ってるときにもいろんなの聴いてましたが、Deep Magicの『Reflections of Most Forgotten Love』をよく聴いてました。あとはこないだフジロックのライブ配信でeastern youthを見てかっこいいなと思って、最近聴きはじめました。ときどきiPhoneに入ってる曲を全部シャッフルして聴くのも面白くて好きです。 – 趣味はありますか? takao – 『Fortnite』っていうゲームにハマっててほぼ毎日やってます。最後の一人になるまで島で戦うっていうオンラインのゲームで、すごいおもしろいです。あとはYoutubeでライブカメラを見るのにハマってます。空港や街の定点カメラの映像をずっと流しっぱにしてるだけなんですが、見ながら音楽聴くのとかも楽しいしコメント欄で人が会話してるのを見るのも面白いです。 – 最近ブチ上がったことありますか? takao – ライブや生演奏を見るとテンション上がりますね。半年くらい前にN響演奏のストラヴィンスキーの火の鳥を見にいったときは感動しました。あとこないだのカトーマサカーでのdie reiheのDJがすごい良くてテンションあがりました。 – 今後挑戦したいことありますか? takao – 合唱できるような歌の作曲とかしてみたいです。 『STEALTH』のダウンロードはこちら。
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