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2010年代初期の日本のインディシーン、その前夜|Teen Runnings × Super VHS × Elen Never Sleeps

当事者による鼎談

 

 

話題の中心になるのは主にUSインディと共鳴 / 同期していた2011年から2012年の日本のインディシーンについて。それ以降から現在に到るまでの彼らが見た光も闇も含めた真実。

 

2011年から2012年、そのたった2年の間で日本と世界では何が起きていたのだろうか。現在、海外のインディシーンで活躍する中堅以降のバンドには、この時期の前後にスタートしたバンドが多いほどに局地的にシーンは膨れ上がっていた。そして、それらの点在したシーンを繋ぎ合わせ、潮流の形成に大きな役割を果たしていたのは世界に無数にあった個人のブログだった。個人ブログが大きな力を持ち、彼らはプレスリリースの文章をコピペするのではなく、自分達が感じた曲への想いや感想をただひたすらに毎日書いていた。

 

2011年の日本に目を向ける。東京にはUSの〈Captured Tracks〉からリリースを果たしたJesse Ruinsを含む〈Cuz Me Pain〉というレーベル / コレクティブ、京都にはUKの〈Double Denim〉からリリースし、日本のメインストリームともリンクしかねないほどに影響力を持ち続けたHotel Mexicoというバンドが存在していた。今回、登場するTeen Runningsの金子、Super VHSの入岡、Elen Never Sleepsの梶原は、急速に拡大した当時のムーブメントの要であり、シーンのリアルな当事者である。当事者とは言え、彼らは現行のアーティスト。それぞれの立ち位置はあれから少しづつ変化しながらも、今も自分達の作品を生み出し続けている。

 

いつの時代もそうなのかもしれないが、新しく起きている言葉に出来ないムードや現場の熱と真実は、メディアの記事には繋がりにくい。あの頃の日本は特にそうだった。当時Jesse Ruinsというプロジェクトで活動をし、当事者の1人であった自分は巡り巡って今このメディアをやっている。だから、この場を使って、彼らの言葉を通して、あの特別な時代のことを記録することは必要だと思った。

 

 

– 2010年、前夜の段階から始めますか。

 

Elen Never Sleeps(以下、梶原) – やっぱりメキシコ(Hotel Mexico)の存在がでかいのかな。2010年8月にもうPitchfork載ってるわけだから。

 

Pitchfork link : https://pitchfork.com/news/11527-its-twinkle/

 

Teen Runnings(以下、金子) – 結構、衝撃受けましたね。やっぱその後に色んなバンド見たんですけど、やっぱりあれが衝撃やったなって。

 

 

Super VHS(以下、入岡) – Friends(改名前のTeen Runnings)はサンクラに上げだしてからカセット出すまでは、どんぐらいだった?

 

金子 – 結構早かったですね。サンクラ上げたのは(2010年の)7月、8月とか。サンクラってか、MySpaceか。それもなんか僕結構全然インディーとか知らなかったんですけど、Crocodilesの人がやってる〈ZOO MUSIC〉にデモを送った時に、「すごい良いと思うからMySpaceとかサウンドクラウドとか使ったら?」みたいなメールが返ってきて。当時は、新しいもの見つけるブログがめちゃくちゃあったから、そういうブログに拾ってもらってみたいな感じはありましたね。

 

梶原 – ブランドン(Crocodiles)にアドバイスもらったって話、してたね。それが2010年なんだ。やばい早い。

 

金子 – 一瞬〈Art Fag〉っていうレーベルから出せそうなったんですけど。そのレーベルの人と話したけど「言葉の壁があるから無理」って言われて。「うわっ」て思った。出したかったんですけど、Best Coastが7インチ出してたし。Heavy Hawaiiとか。

 

梶原 – その頃は結構勢いあったね。7インチいっぱい出してる印象は確かにある。

 

金子 – 今はもう全然動いてない。(当時は)いつ僕のこと発表されるのかって、めっちゃホームページ見てたけど、全然発表されへんし、もういいやと思って。

 

– Super VHSはどういうスタートだったの?

 

入岡 – 僕は2010年の2月に仕事辞めて、ちょっとしてバンド始めるんですけど、最終的に女の子が歌う5人組のバンドになって、バンド名が”夢の夢眠谷”っていうんですけど。結構いいバンドだったんです。手応えはかなりあったんですけど、やってくうちにメキシコとかFriendsとか出てきて。それこそカセットも、その日にJET SETに買いにいきましたし。〈Cuz Me Pain〉の存在とか、そういうシーンの存在を知って。あと、Soundcloudっていうものの存在も。そういう人たちを意識しながらも、やってるジャンルが当時かけ離れてて。だらだら続けてたんですけど、ちょっといろいろあってバンド解散することになってしまって。で、せっかくだからなんかやろうって。海外のインディー、Best CoastとかあとYouth Lagoonとか結構好きで。あといわゆるチルウェーブがその時は自分んなかで熱かったんで、そういうの意識したものを作っていて。で、始めたのがスーVですね。スーV名義で活動し始めたのは、多分2011年の7月とか。カセット出すまでは結構なスピード感でやってました。ほんとにものすごいペースで曲を作って出してました。

 

– エレン君(梶原)はどうですか?

 

梶原 – 僕、このバンド名自体はもう10年以上使ってるんです、名義だけでいうと。昔は普通にスリーピースバンドだった時期もあって。僕はあれなんですよね、NINE SPICESとかERAとかに出てたような、ポストロックと下北の日本語ロックの中間みたいなヤツをやろうとしてた時期があって、そういう界隈にいました。ただ、タイミングははっきり覚えてないですけど、2010年よりは前ですかね、もう「ライブハウスでいっぱいライブやって、できるだけ上を目指そう!」みたいな、そういう世界に未来はないなって気付いたんですよ。あのやり方が是とされているのも間違ってるな、っていう結論に達したんです。じゃ、どうしようかな?ってなったときに、やっぱネットで試聴っていうのは当然になってきたタイミングだったんで、どちらかというと洋楽のほうをメインに聴いてたっていうのもあり、それこそMySpaceとかで、完全に洋楽志向で英語で、日本のライブハウスのシーンなんて知りません!っていう感じのをやろうって思い立ったのが2009年頃なんですよ。それで、多分2010年のリアルタイムでは僕はメキシコの存在には気付いてないんですけど、どういう音楽やろうかな?っていろいろ試したり、仕込んだりはしてて。メキシコもFriendsも、その後2011年に入ってから知ったかな。その頃にはもう普通に外国の音源を探ったりしてる流れで、GORILLA VS. BEARやStereogumあたりを見るようになりだして、当然そこでJesse Ruinsも知って。この時期ぐらいからその、チルウェーブっていう言葉が普通に海外のサイト上に躍るような感じになっちゃってて。これ、日本人かよ…と。「Sofija」とかも多分リアルタイムで聴いてましたね。そんな中、いよいよ自分も公開するかっていうので、最初にbandcampで発表した一曲が、すぐNo Fear of Popに載って、これでちょっと味をしめたっていう感じになる。このやり方でいいんだなって思ったんですよね。そうすると、同じやり方で結果を出してる日本人は他にいないかな?ってなるわけじゃないですか。ただ曲を作ってネットに上げてどっかに載せてもらって、っていうそのフロー。で、FriendsとJesse Ruinsの実績を改めて確認していきました。そしてJesse Ruinsを詳しく調べてたら僕、ナイツさんの活動はDJとかの印象があったんで、あの人かいな!っていう驚きはありましたね。当然、昔はERAによく行ってたので、Faron SquareやAAPSの名前はあらかじめ知ってましたし。〈Cuz Me Pain〉としては多分2011年までは認識してなかったと思いますけど、個人的にはこの2011年7月の「The Japan Times」の〈Cuz Me Pain〉とFriendsのインタビューが載ってる記事(Bedroom ears: Japan’s new D.I.Y. ethic)が結構、影響デカかったですね。考え方やスタンス込みで。

 

 

入岡 – ライブハウスとかでやってくっていうのとちょっと離れたとこでやりたいってのは、僕もすごい思ってました。Hotel MexicoのSNOOZERのインタビュー見たんですけど、ライブハウスにお金払ってライブをしてくって、なんかカッコ悪いぐらいのことを確か言ってて。前のバンドのときはもう毎回2万、3万払ってなんかよく分かんないダメ出しをくらって頭にきてたんです。こういうところにいても、何も生まれないし、誰にも気付いてもらえないなと思ったら、サンクラに上げてブログにっていうそのフローでやってる人がいっぱいいたんで、あ、こっちだなと。

 

梶原 – その日本のライブハウス問題は根深いよね。

 

入岡 – ノルマが良い悪いとかそういうのじゃなくてもう、そうなっちゃってますからね。

 

梶原 – あのビジネスモデルがいけないんだよ。

 

金子 – 小山内さん(Second Royal)が初めてライブを観にきてくれた時もライブハウスのスタッフから「もっとこうやったら?」みたいなこと言われたり。すぐにカセットリリースの誘いがあったあとだったから「いや、もうカセットとか出せそうやねんけど」とか思って。バカらしくなってきたり。

 

梶原 – 彼らからしたらバンドのほうが客だからね。ライブしたいでしょ?させてあげるから、3万円分のチケットを〜って。

 

入岡 – 対バンで釣ってくるんですよね。

 

梶原 – それもあるけど、仕様がもう定着しててさ、若い子がバンド組んでてライブやりたい!みたいになると、この国ではまず数万ノルマを受け入れることがさも当然のような感じじゃん。いまだに、あの仕組みに疑問を持ってないというか。だからここは大声を出して、おじさんたちが”それは間違ってる”って言い続けて、啓蒙して、根本からシステムを崩壊させないと。

 

金子 – zicoさんに初めてイベント誘ってもらった時に、ノルマありますか?って聞いて。「いや、そんなんないよ、逆にギャラ出せるよ」って。え、そんな世界があるんやってビックリして。

 

梶原 – 最初に、ノルマあるのかな…?とか心配しちゃうって環境がそもそもおかしい。そういえば、入岡君と金子君ってどこのタイミングで知り合ったの?

 

入岡 – 僕がMySpaceで金子君にメッセージを送った。

 

金子 – そうやったっけ。

 

入岡 – なんかとにかく繋がりたくてメッセージを送った記憶がありますね。ただ、自分がやってるのが別に良くもなかったんで。ありがとうございます、みたいな感じで返ってきて。

 

金子 – 初めて会ったんは・・・、多分アサミさんと僕が道ばたで会って、焼き鳥をおごってくれた時に「今度イベントやろうと思うんだけど、Friendsを出したい」と。「他は?」ってなったときに僕が「Super VHSってバンド良さそうですよ」って言って。アサミさんのイベントで多分初めて会った。ECHOで。

 

入岡 – 「After Dinner」(Super VHS主催イベント)の前の前の週ぐらいのやつ?ジャジャジャってイベントでした。あとMiila and the Geeksだ。

 

金子 – 懐かしい。

 

梶原 – で、カズロウ(möscow çlub)も来てたんだ、これ(年表を指して)。その2011年12月10日のやつ。

 

金子 – カズ君は、「なんかバンドやるんすけど」って言われて、なんかご飯会みたいなん呼ばれて、「このメンバーでやってます」みたいな。

 

入岡 – ちょくちょくやってるやつだ。

 

金子 – その時に多分ユウマ君(当時möscow çlub/ 現Super VHS)とかマオ君(ミツメ)とかにも会って。

 

梶原 – 入岡君は、僕の2011年の『China Blue』っていうEPを聴いて知ってくれて。でも、きっかけが分かんないけど。

 

入岡 – 「After Dinner」をやるにあたって色々探してて、その前に誘ってたMomentsのタケ君に教えてもらったんですよ。

 

梶原 – タケ君が先に気付いてたのか。前からblog never sleeps(Elen Never Sleepsが運営していたブログ)見てくれてるって言ってたもんな。

 

入岡 – タケ君は、スーVのことつぶやいてくれてて。それで繋がってライブに誘うことになって、誰かいい人いないですか?って教えてもらって。聴いたらものすごい良かったんで誘おうと。

 

金子 – 当時から結構Twitterがやっぱりアレやったん?

 

梶原 – そう、今より重要だった感じがしますね、Twitterは。その頃っていうのは。Taquwami君もこの時期には楽曲を発表しだしてたから、お互いに認識はしていて、フォローし合ってるみたいな感じだった。

 

金子 – 僕も、Taquwamiさんはジャンル全然違うけど、Friendsを結構意識してくれてるみたいやったんで。

 

梶原 – 彼も同じような感じで、日本のライブハウス界隈に嫌気がさしたところから始まって。Hotel MexicoとかJesse Ruinsが、海外のサイトにどんどん載ってるってのに引っ張られつつ、なんとなくおんなじようなことをやってる人たちっていうのが微妙につながり始めた感じは、やっぱ2011年からですね。JET SETのカセットでスーV知ったら、ほんとにその1週間後ぐらいに入岡君からメールが来たから。あそこがファーストなんだ。

 

入岡 – そうですね。JET SETで売られる直前ぐらいに中村義響さん(DJ / JET SET下北沢店店長)から連絡が来て、それで〈Cuz Me Pain〉の原宿のDJ行きました。カセット出して、それを名刺代わりに、いろんなとこに顔出し始めたときですね。そのタイミングでタツキさん(Nag Ar Juna)にもカセット渡したりとかした。とにかくもうゼロベースだったんで。

 

 

金子 – 東京に上京してきて初めてJET SETで買ったレコードはNag Ar Juna。なんかあれインディーガウンって呼ばれてました。

 

入岡 – インディーガウンは、外せないホットワードですね。

 

– 局所的にムーブメントが起きてたインディーガウン。

 

金子 – 1回忘れられへんことがあって、タツキさんと入岡君と僕で、ルビールームの近くの立ち飲み屋みたいなとこで、「君らがやってることって今は受け入れられへんけど2、3年後に同じようなことやるやつがメジャーで出てくる。それが売れたりするのが音楽業界やから。ほんとは小山内とか俺らの世代が頑張らなあかんねんけど頑張ってないから突き上げられへん、申し訳ない」って言われて、そうなんやぁと思って。覚えてる?

 

入岡 – 思い出した。あったわ。なんかその当時って多分みんな、自分たちの状況にワクワクしてた感じは絶対あると思うんですよね。

 

梶原 – それで12月に第一回の「After Dinner」開催だけど、その準備してる間にも、例えばSapphire Slowsが〈Not Not Fun〉とサインとか、Jesse Ruinsがどんどんバズって〈Double Denim〉からの7インチリリースなんかもあり、余計に盛り上がってたという。

 

 

入岡 – スピード感がすごいですね。

 

金子 – 流行とかあったってことなんすかね。自分たちでは分からないけど、今のヒップホップとかみたいに。

 

– 無数にあった個人のインディブログが今ほとんど閉鎖されていたり、影響力を無くしている現状に象徴されてるというか。一時的な世界的なムーブメントだったのかなと。

 

〈インディブログについて〉

 

梶原 – ほんとそんな感じですね。

 

金子 – デモを自分で出して1週間後ぐらいにGoogleでサーチしたら、どっかのブログ載ってたり。

 

入岡 – 3つ、4つぐらいはいつも載ってるから。

 

金子 – あ、載ってる、良かった〜。っていう謎の承認欲求。

 

– どのブログに載った載らないかみたいなのもあったね。

 

梶原 – 分かりますよ。それを元にレーベルが声掛けるみたいな感じでしたからね。

 

金子 – 確かに。Youth Lagoonとかもね、それきっかけでデビューしたみたいなのをなんかで読んだような気がします。

 

梶原 – 今いる中堅アーティストって、元々はその頃に出てきだした人たちが結構多いと思いますね。ほんとに、ポンと出してみたのがどこぞに載ったら、あれよあれよと声が掛かり…みたいなパターンがリアルに起こってた感じ。だからこそみんなそれを夢見てこぞってやってたわけなんで。

 

入岡 – みんな発表のペース早かったですからね。打てば響くから、もう楽しくてしょうがない。

 

梶原 – 一生懸命ブログ見たり、なんかいねえかなって探してるやつの数が尋常じゃなかったですよね、聴く側も。みんなそのムードになって、もっともっと!っていう感じ。これは面白いんじゃないかみたいなスピード感がすごかったですね。

 

金子 – 僕、初期だけでも20曲ぐらい作ってた。

 

入岡 – カセット出す前後とかさ、すごい曲出すし。普通だったら3年ぐらいかかるんじゃないかっていう量。

 

– なんかゲーム感覚みたいな感じはあった。

 

金子 – しかもローファイやったから。なんか音あんま分からんまま作ってましたね。今ヤックさん(HARVARD)とやり取りしてて、やっと分かったみたいな感じ。全然音とかこだわってなかったんで、なんかそれでも全然評価されるみたいな。今でもMac DeMarcoとか音とか全然良くないけど、それでも評価される。それはキャラクター性もあるかもしれないすけど。Best Coastとか逆にハイファイになってからね。。

 

入岡 – ローファイが、そういうジャンルが流行ってたからこそ、僕らが入りやすかった。

 

梶原 – 参入障壁がすごい低いんですよ。ほんとに、コレならすぐできるじゃん!っていう。

 

入岡 – もう家で1日で作って、昼ぐらいから作り出して夜に完成してアップしてみたいな。「Remember The Night」っていう曲とかも1日で作って、マイクも持ってなかったんで、壊れたAKGのヘッドフォンをマイクんとこに刺して、それで歌ってたりしてた。

 

梶原 – すげえ、かっけーなそれ。

 

入岡 – 今はこれでいいんだなって思って、とりあえず続けてた感じ。

 

金子 – 今聴いても普通にいいから、それはそれで良さがあったんやと。

 

– では、当時渋谷にあったヴェニューのECHOについてはどう?何かが始まる予感が詰まったイベントやアーティストが集まる場所だったと思うけど。

 

〈今は無い渋谷ECHOについて〉

 

梶原 – そうですね、入岡くん中心でここで一発リアルイベントをやろうって話になったときに、やっぱECHOの存在が結構大きくて。結局、そのノルマがうんぬんっていうところに対するアンチテーゼっていうのがあったから、当然のように、ただで貸してくれるっていう意味でもね。

 

金子 – へえ、ただやったんや。

 

入岡 – 僕、ECHOに最初行ったのも〈Cuz Me Pain〉とHotel Mexicoのイベントを見にいって。

 

 

金子 – 入場規制かかったやつ?

 

入岡 – そう、だからほんとになんか熱気がすごくて。自分の想像している海外のライブハウスみたいな雰囲気で、ほんとに来てる人もみんなかっこいいなって。

 

梶原 – 結構、トランプルーム系とかのソレとはまた違う感じっていうところも重要で。なんていったらいいのかな…。そんなの日本で見たことなかったから。

 

入岡 – とにかくイケてた。

 

梶原 – そう、DIYで、ほんとインディで。タイミングも込みで、ECHOの存在はデカかった。

 

入岡 – その時は、多分みんな全員集合してただろうけど、まだ誰も知らないし、カセットも出す前だったんで、いきなりよく分かんないやつが話し掛けるのもあれだなと思って。まず仲間に入りたいなと思いながら。

 

梶原 – それはみんな同じだったと思うよ。まあ、そんなこんなでECHOしかないだろ、と。

 

入岡 – それで場所はもちろんECHOでっていう感じで。

 

梶原 – これで2011年の12月17日に、リアルイベントを1回やりました。そしてその翌年頭にはタックンがね、いま何してんのかな…。その彼が当時やっていた「tri-」というイベントの何回目かが1月20日に新宿Marzであったんですけど、これが結構すばらしいメンツで。(LINE-UP : Friends / möscow çlub / New House / Super VHS / Taquwami)

 

入岡 – 確かにこのイベントはすごい。

 

梶原 – で、僕もう忘れらんないんだけど、当時のこのラインナップ決まった時に金子君が、タックンよくやった、これはすごい、みたいなこと言ってたのを覚えてる。今このタイミングでこのメンツ集めたのがすごいって。

 

〈コンピレーション『Ç86』について〉

 

梶原 – そういうのがあって、わりとこのへんの仲間意識がちょっとづつ固まってきてからの、möscow çlub主導による『Ç86』プロジェクトですね。日本全国から、音楽性は多様ながらも近いマインドでDIY活動する人達を集めたコンピレーションアルバムをリリースしようという計画です。で、カズくん的にもやっぱ、そのライブハウスシーンみたいなのに属さないっていうところと、一生懸命ネットで作品を発表していくスタイル、あとはたとえ小規模でもレーベルを介してのリリースをしていない(見つけられていない)事っていうのが大前提のコンセプトとしてあったんですよ。金子君も?って最初言ってたんだけど、そこのコンセプトが第一みたいな感じで、それでFriendsは(既にセカロイからリリースしていた為)はじめからリストになくて、そういう事情があったんです。

 

 

bandcamp link : https://gayveganvinylcassette.bandcamp.com/album/c-86

 

Ç86』について:https://gayveganvinylcassette.com/c%cc%a786/

 

入岡 – エクセルシートで見ました。

 

梶原 – そう、そのエクセルシート探せばまだあるよ。カズロウ君がディグって、ネット上で頑張ってる日本のアーティストをリストアップした、「この人たちに声掛けてみたいんだよね」っていう、名前と、ざっくりジャンルと、活動地域とが記載された一覧表があったんですよ。

 

金子 – そっからデッカなった人とかいます?

 

梶原 – Madegg君かな?

 

入岡 – 収録されてたのは変名(Exccow)ですけどね。

 

梶原 – そんな感じで、カズロウ君から、ちょっとメインで手伝ってくれる?みたいなメールがきて。2月の頭に最終的に頼もうってなった人全員にオファーを送ってね、誰も断んなかったんじゃなかったかな、確か。彼もその雰囲気とみんなの盛り上がりをちゃんと確固たるものにして、流れを作りたいなって思ってたみたいですよ。最初はTaquwami君も、”Taquwami”名義で参加って話だったんだけど、ちょうど『with you』とか『time after time』を出してて、彼の再生回数的な成功でいうと、この頃がほんとすごくて。だから、今にもリリース話が舞い込みそうな雰囲気があって、それで変名(Occult You)での参加に落ち着いた。

 

金子 – Marzで見たんOccult You?

 

梶原 – いや、Marzに出てたのは多分Taquwami。

 

金子 – 女の人が歌ってた。

 

入岡 – いや、Taquwami。俺フライヤー持ってるもん。

 

金子 – イズミさん(Slowmarico)は…

 

梶原 – イズミさんのブログで述懐されてた、カズロウがiPhoneにしょうゆと間違えて寿司を、すりつけるっていうやつはこの頃だね。

 

金子 – どういうことよ。

 

梶原 – 酔っ払って醤油の皿と思ってiPhoneの背中に鉄火巻きとかを。

 

入岡 – あれは実はぶりっこだったんじゃないかと僕は今思えば。ぶりっ子の可能性も。

 

梶原 – イズミさん的なネタを提供してただけなのかな?

 

入岡 – イズミさんを喜ばせるためにやった可能性も。

 

梶原 – で、実際にそのV.A.『Ç86』をリリースしたのは2012年の4月20日でしたね。この時International TapesとAdHocで一緒に記事出して貰えるっていう話を取り付けてくれたのは、実は刺繍アーティストのMana Morimotoさんなんですよ。こん時はカズ君と結構密に連絡とってて、当時モスクワのマネージャーって言ってたから彼が。冗談だと思うけど。覚えてない?

 

金子 – そんな感じやった?

 

梶原 – そう。で、ルーク(Luke Carrell, International Tapesのオーナー)がAdHocにも寄稿してたから、彼がAdHocとInternational Tapesに載せてくれたっていうの。これはあらかじめ取り付けがあっての感じですね。で、Dent Mayが即ファボってくれた。

 

金子 – マジっすか。

 

入岡 – あれは、みんなアガりましたね。

 

梶原 – ね。しかも、Jesse Ruinsが〈Captured Tracks〉と契約したっていうので沸いてたのもこの頃だし、Hotel Mexicoは〈Double Denim〉で。2つともこれからLPを出すんだろうなみたいな感じで。ようやくこんくらいになると日本のメディアもそんなこと書き出すような感じになってきましたよね。2011年はまだ無かったけど、2012年からはなんか日本でももうちょっと一段階こういう流れに気付いてる人の数が増えたっていう感じはあって。

 

入岡 – 『Ç86』は、ほんとに日本のメディアはどこも取り上げませんでしたね。

 

梶原 – 個人がやってるようなブログはちょっと載せたりしてくれてたけど。

 

入岡 – リリース送ってないんですか。

 

梶原 – プレミアがそもそもあそこで、それを見てみんな勝手に書けやみたいな。

 

入岡 – 確かにそういうスタンスでしたね。でも、こんな新しいことやってるのに、どこもスルーってのはほんとになんか、、「ま、こんなもんだよね」っていう。

 

梶原 – だって、外国のブログ見てちょっとこういうチルウェーブとか始めましたっていう人たちにはサンクラ、bandcampなんて当然になりつつあったけど、やっぱ本当にそこいらへんにいる日本のバンドとかってまだまだbandcampとか使ってるような時期じゃなかったしね。

 

– 『Ç86』は、実際どれぐらいダウンロードされたの?

 

梶原 – 正確には覚えてないですけど、bandcamp直のダウンロードはほんとに1日とかで止まって(無料DLの制限数に到達)、だからDropboxを急にこしらえてとかやってたんで。その月だけで数千DLは楽勝でありましたね。

 

金子 – すごいね。

 

梶原 – でも、これは!っていうような象徴的なフィードバックは特になかった。

 

入岡 – 出たけど特に何もなかったっていうのが、まあ。

 

梶原 – 特に何もなかったといえば何もなかったね。今にして思うと、当時はアノニマス感が流行ってた時期だったから、あのJesse Ruinsのね、顔が写ってないアー写がかなりイケてたってか、あれの影響って多分デカいと僕思うし、Taquwami君も正体不明感っていうのが大きく良い方向に作用してて。正体不明の匿名性、っていうのがブランドみたいになってた部分があった。

 

 

金子 – ちょっと謎感があったら気になるっていう。今はもう全然あれやけど。セイントペプシも普通に顔出ししてますし。ライブする以上、我慢するしかない。

 

梶原 – 2011年のケツから2012年は、一番色めいてた感じがしますね。

 

金子 – このぐらいに自分たちの中でどうなるかみたいな。これによって、これからが決まるなみたいなあったん?僕は2013年ぐらいから、ちょっと諦めはじめて。

 

梶原 – うーん、その感じはなんか分かる。

 

金子 – やっぱり「オトナの力」がないと日本では難しいなみたいな。

 

入岡 – 確かにね。

 

梶原 – システムね。なんて言ったらいいんですかね。

 

入岡 – 広がっていかないなっていう気持ちはすごい。

 

金子 – 結局声でかい人がいないから、周りに。

 

梶原 – そこが品性っていうかさ、それ(声が大きくない所)がブランドの、イメージの大事な部分みたいなとこあるから難しいんだよね。これで声がデカかったら、なんかさあ…。

 

入岡 – クールじゃないっすよ。

 

梶原 – これって難しいところで。

 

– そのシステムが働かなくてもインディベースで独自に展開していける場合もあるよね。

 

金子 – Boys Ageとかね。サブスクとか再生回数とかすごいのは、この人結構ちゃんと出してるんです。

 

梶原 – そう、それって重要ですよね。

 

金子 – ミツメの川辺君にも言われた。「やっぱ出すん大事よ」って。

 

梶原 – そう、出し続けるのはね。あと、SSENSE(2003年にカナダのモントリオールで設立されたオンラインショップ / セレクトショップ)がミックスにTaquwami君起用したの、結構すげえと思うんだけど。今の会社のデカさ考えると。(唯一残っていたmbmでの記事:https://makebelievemelodies.com/taquwami-makes-a-mix-for-ssense-includes-new-song-hate-winter/

 

金子 – 海外の人やっぱすごいな。よう見つけてくるな。

 

入岡 – How To Dress Wellの対バンもTaquwamiだったんすね。(2013年3月13日)

 

梶原そうだよ。

 

入岡 – 2年前に一緒に見にいって。

 

梶原 – そうそう、もう2年もしたら対バン。2年もしてないよね。2011年のケツに見にいってんだから実質1年ちょいじゃない。

 

〈インディベースで日本から世界に向けて活動すること〉

 

梶原 – そのチルウェーブとかベッドルームポップの感じと本格的に同期した音楽をやろうって日本で活動してても、そこに興味もってくれる人って結構日本びいきのバイアスから入ってるから、本来コテコテの日本っぽいものが好きな人から、ついでにインディも聴いてます、みたいな感じで拾われるっていうとこは、ずっとジレンマとしてあって。やっぱりどうしても彼ら(欧米人)は、”普通”なものは自分とこの国にちゃんとしたものがあるから、「わざわざ日本に来てそんなの聴かないよ」ってなふしがあって、日本に興味持って何か見にきたりするって事は、基本は日本のシグネチャー的なものを求めているわけなんで。その、イロモノ系じゃなくて、歌モノのベッドルームポップとか、多分日本が一番弱い部分で。エレクトロニック系はエレクトロニック系で、もう土壌があるので相対的にはまだ強いですけどね。イロモノ以外で海外の人たちが日本に求める音楽ってもうパターンがいくつかあって、クラブミュージック除くとまずYMOにコーネリアスとかがくるんで、ああいう感じとか、一方でメルツバウや裸のラリーズの流れと、ノイズ、ドローン、アンビエント系もウケるし…。ボアダムズでもEnvyでもいいけど、結局は歌があんまり重要じゃない音楽になってしまうので、言語の問題も当然あるんですけど、彼らが日本のバンドに期待する路線っていうのが、ほんと限られてくる。どうしても最初っから彼らの頭にないんですよね、ギターポップとかベッドルームポップみたいな歌モノの、英語で歌ってるみたいな音楽をハナっから求めてこないんだなっていう事に途中から気付いて。それ、何とかならんかなって思っていたところではあるんですけど。なんとかならないまま今に至るんですけど。

 

入岡 – 僕はもうちょっとそのラインからは今抜けてしまったので、なんとも言えないっす。

 

金子 – 僕は、Ykiki BeatとかThe fin.とかのYouTubeのコメント欄で「英語の発音がすごい良い」みたいなとか書かれてて、もっと他にも良いとこあるやん。なんかそこだけしか聴いてないんかな、とも感じる。

 

 

梶原 – そこかい?って感じはある。

 

金子 – 日本の人が聴いたらそういう感じやけど、逆にいうと、日本の要素が少し入ってる日本語訛りがちょっとある自分みたいなんがおっても、ま、別にいいんじゃないかと思って、そういうなんか完璧な感じじゃなくて。

 

梶原 – フランス人の英語とかもあるしね。でもYkiki Beatみたいなのがある意味成果とも言える気がするんですよね。結局ちょっとでも英語詞の…、その前までってなんか英語で歌うぜ、つったらもうまずパンク、メロコアみたいな感じだったから。そういうのじゃなくても、”本格的な英語詞”とか”海外でも注目”みたいな言葉を、日本の市場に向けてセールスポイントにできるようになったっていうこと自体は、ある意味成果かなと思いますけどね。彼らが直接的に僕らを聴いたかとかいう話ではなく、昔だったら、その考え(英語詞)自体があんまりなかった感じですよ。メロコアとかハードコアパンク系の人達にだけは不思議と、下手クソでも英語!っていう様式が根付いてたけど。

 

〈SAUNA COOLについて〉

 

金子 – 〈SAUNA COOL〉(金子主宰のレーベル)をつくったのは、変な話〈Cuz Me Pain〉がクールにしすぎてたかなと思ったのもあって。海外やと絶対反応あるけど、日本であんまりモノ言えへんレーベルってやっぱ相手にされないって思って、逆に振り切って、僕なんか、自分の経験とかで、前入ってたレーベルもそうなんすけど、レーベルが声を出していかなあかんのにバンドがやったらダサイじゃないすか。バンドが「今度ライブします」みたいな言いまくってたらめっちゃダサイじゃないすか。なんかそういうのがダサイっていう考えがすごいあって。

 

入岡 – 必死さがね。

 

金子 – それレーベルがやらなあかんのちゃうかみたいな。でも〈Cuz Me Pain〉は結構クールにやってたから、なんかそれは特定の人にしか受け入れられへんかな、みたいな。じゃ、僕はレーベルやるとしたら絶対ふざけてでも、すごい宣伝しまくるみたいなやろうと思ってて。それを体現したかったから。なんかつんけんしてない感じを出したくて。見事にメジャー主催のイベントにコンセプトをパクられたという。

 

入岡 – ロゴもね。

 

金子 – いかついよね、あれ。ああいうことをちょっとされると、ほんまに困る。

 

〈日本語と英語の音への乗せ方、乗り方の違い〉

 

金子 – なんか最近自分のアルバムのインタビューとかにも答えたんですけど、Calvin Harrisの『Funk Wav Bounces Vol.1』を聴き直したら全曲良くて。よく聴いたら「Rollin’」て曲で、カセットのカチって音がキックの3発目の直後に入ってるんですよ。めっちゃいい、裏の裏の裏ぐらいのタイミングで踏んで、めっちゃ気持ちいいタイミングでやってんですよね。また聴いといてください。

 

 

梶原 – 32分ぶんくらい後ろにズレて鳴ってるってことだよね、表拍から。

 

金子 – あれ、なんかやっぱそういう感覚って、日本人が箸を持つ、向こうの人がナイフとフォークを使うみたいな感じで、なんか全然違うリズムの刻まれ方が体ん中にされてるんやなと思って。メロコアとかもなんか前のめりにやってるけど、あれこそがパンクなんやなとちょっと思い出して、裏に対する表っていう反骨精神。でも、どう頑張っても裏がちょっと出ちゃう。アメリカ人とかのそういう気質が。

 

梶原 – それは面白い!なるほど。

 

金子 – なんか何言ってるか自分でも分からない。

 

梶原 – 表の直線的なノリのほうが、むしろカウンターってことでしょう。

 

金子 – そうそう。ダンスミュージックとかの自分の体の中にある裏拍に対するカウンターみたいな。日本の人はそんなんとちゃうから全部表になっちゃうけど。

 

梶原 – そう、表しか。英語って子音がゴーストノートになってるじゃない?日本語ってすべての発音に母音が付くでしょう。なんかどうしてもさ、歌にするにしてもなんでもいいですけど、結局子音が独立してリズムを刻まないから、日本語の歌を楽譜に起こしたときに、その歌詞の一文字ずつに音符を当てがうことができるじゃん。

 

金子 – 一音に一文字ずつなんですよね。

 

梶原 – そう。でも、ボブ・ディランみたいな歌い方だと…別にディランじゃなくてもいいけど、英語って子音が独立してて、必ずしも母音とくっついてないから、しゃべりと歌唱の境界線が日本語よりも曖昧なんですよね。英語の歌って、日本語の歌よりもフリースタイルに流れるような感じが多いでしょ?フランス語でもいいんだけども。遊んでる子音がゴーストとして全体のフローを形成してるので、そこは楽譜に起こせないんですよ。音階がないので、その子音のとこには。結構そのへんとかが影響してて、必ずしも音楽に関してだけじゃなく、元々、日本語がそういうのっぺりした言語だから、裏拍とか、裏の裏とかを自然には感じ取れない。標準的な日本人が、表拍以外感じるの苦手って問題は、この”母音ありきの言語”っていう部分に一因がある気がします、僕は。ホント裏取れないからね、日本人は。

 

金子 – そういう意識があるんかも分からないんです、向こうの人は。

 

梶原 – すごく重要なところだと思いますけど、正確にニュアンスを伝えるのが難しいですね。

 

金子 – 何を言うてるんやみたいに思われるかもしれないですね。

 

梶原 – だってKing Kruleが出てきたときに、入岡君が日本にこういうの全然ないですよね?って言ってたの。

 

 

入岡 – ああ。でも、なんかすごいなと思いましたよ。

 

梶原 – FELTって聴いてる?日本って結構ギターポップがウケる土壌、あると思うんだけど、それでも日本で人気なのってFELT的な、喋ってるような感じより、もっとメロディが1音1音ハッキリ歌える感じのほうで、絶対そっちのが日本人好きだから。シューゲイズとかギターポップって、英語圏のモノでも比較的そういう感じの構造してるパターンがわりと多くて、だから日本でギタポが受容されやすいって部分はあると思う。

 

 

金子 – 確かにそんな感じ。

 

梶原 – やっぱその、どうしても表拍と、言葉の1音1音に対して明確に音階を付けられる、楽譜に解体できる感じの歌が日本人の身になじむっていう。そこは絶対あると思いますけどね。なんかBoyishが前Twitterに書いてたエピソードに、某レコ屋へ行った時に聞こえてきた会話で、ネオアコとか、ギターポップとか、シューゲイズっていかにも日本っぽくてダサイ、って他のお客さんが喋ってるのを聞いて、青ざめたっていうのがあって。それがなんか印象的で忘れられないんだけど。結局そうなっちゃうっていうか、広義のオルタナティブ音楽のなかで、日本でまだ市場があるっていうか、マネタイズでき得るサブジャンルは?って考えた時、シューゲイズって結構、その筆頭じゃん。ユニオンの展開とか見てたら分かる。シューゲイズの市場って、確実に日本にあるから。なんかシューゲイズとかネオアコ、ギターポップっていうのは…、その辺を嗜好する文化って、わりかし定着してるんですよね、日本には。

 

金子 – シューゲイザー。

 

梶原 – そうそう、”シューゲイザー”って言っちゃうからね。なんでシューゲイザーって言葉で定着してるのか分かんないですけどね。

 

金子 – 他の何より残ってますもんね。

 

梶原 – ロックのバンドをつかまえて、その音楽をして”ロッカー”って呼んでるような感じだから、シューゲイザーって呼称。

 

入岡 – ジャンルじゃないっすよ。

 

梶原 – シューゲイズを演ってる人をシューゲイザーって呼ぶんだったら分かるんだけど、その音楽自体をシューゲイザーって呼んでるから、いやいやって。パンクの音楽自体を指して”パンクロッカー”って言うのと同じ。

 

入岡 – なんの話でしたっけ。

 

〈シーンの潮流、メディアやレーベルの体制の変化など〉

 

金子 – カナダに行ってるときに思ったことなんすけど、レーベルってだから、言ったらアーティストを育てるためにいるわけじゃなくて、アーティストを拾って、養分を吸い取っていくみたいな。だから、別に育てるためにやるんじゃなくて、売り上げを上げるためにやっていってるから、そうやって流行りとかになっちゃっていくのは仕方ないんかなと思ったりとか。

 

梶原 – 中途半端に大きいレーベルはもうなんかわりとそんな感じですよね。

 

金子 – 僕がカナダ行ってるときに女性シンガーソングライターブームが来て。Japanese Breakfastはもっと早かったんですけど、なんかアジア系の人とかがよく。

 

梶原 – Japanese Breakfastはもうちょっと後っていうか、微妙にバンド系に寄ってる気がするけど、あれでしょ、Angel OlsenからJulie Byrneとかあの流れかなんか。

 

金子 – アジア系の人なんです。なんかMitskiじゃなくてもう一人いて。

 

梶原 – Jay Som?

 

金子 – ああ、そうそう。レーベルでいうと〈Dead Oceans〉とか。他にもSoccer Mommyとかあのへんとか出てきて、これ絶対流れやなと思って。

 

 

梶原 – 今、海外でいうと、こないだちょうどTORRESが〈4AD〉クビになったときの話をメディアに出してたけど。ポリコレ枠っていうかさ、ゲイとかレズビアンとか、有色人種だったりとか、何かしらのマイノリティ要素を抱えてると、今、海外だとむしろプラスだからね。なんか逆転化してるというか、レーベルがサインする相手を選ぶとき、まったく同じ点数だったら白人のストレートの男よりも同性愛者のブラックの女の子とかを選ぶよねっていうムードが、めちゃくちゃあって。

 

金子 – やっぱりそんなのがあるんですね。

 

梶原 – TORRESも結局売れなくて、アルバム3枚のディールだったのに、1枚滑っただけでクビになってたんだけど…ちょっと思ったより売れなかったっていうんで、すぐ切るぐらいなの。それでも最初は結構投資してくれたけどね…みたいな話をしてて。〈4AD〉が。ほんとにこれがイケるって信じて契約したんじゃなくて、TORRESはクィアを公言してて、厳密には分かんないけど、何かしらのLGBTQなんで、結局〈4AD〉もその枠が欲しかったっていうの込みでの契約だったんじゃないか?っていう、TORRESの主張なのね。売れればそのままやれたんだろうけど、多少滑っても2、3枚は出させるっていうくらいの気概で取ってないよね?っていうような話をしてた。

 

金子 – じゃあ、僕の考えは間違いじゃなかったんですね。

 

梶原 – いやまあ、具体的にどこがどうっていう話はできないけど、ある程度多くのレーベルが、売り上げのために軽薄に流行を追いかけてる部分があるというのは、前提でしょう。Vagabonとかもね。

 

金子 – Vagabonってなんですか。

 

梶原 – ブラック入ってる人の音楽って、どうしてもちょっとソウルっぽいニュアンスの強く出るサウンドが多いけど、Vagabonの1stですごいのは、100パーセント白人音楽だから、あれは珍しいかなと思う。多分アフリカ系だと思うけど、ソウルとかラップ要素にまったく行かない、ほんとに平たいインディポップの歌を完全にブラックのベースの人がやってるから、あれはあんまりいないよなと。なんか確かFrank Oceanか誰かが…Serpentwithfeetだったかな?黒人だと何やってもソウルとかブラコンにカテゴライズされるって不満漏らして、今年、メディアが騒いでたけど。その、なんかロックに近いものとかポストロックやっても、何故かソウル側に引っ張って括られるっていうの。その不満、わからんでもないっていう部分もあるけど、でも実際問題ルーツがそういう感じ(ブラック系)の人の音楽って、ちょっとソウルっぽっかったり、R&Bっぽい歌になりがちなとこある気がするんだけど、Vagabonはそれがゼロだから。

 

 

金子 – Vagabon調べよ。

 

梶原 – Vagabonちょっと聴いてみてよ。黒人音楽をまったくもって感じさせないサウンドなんだよね。普通ちょっとぐらいは感じるからね、どうしても。Serpentwithfeetとかだって、ちょっと”音楽が黒い”し。なんかそういう、その辺の話はね、ホント避けて通れないですね。海外は色々ある。PWR BTTMとかだってさ、あれ最初すごかったじゃん、あの話。

 

金子 – なんかPWR BTTMあったらしいですね。僕知らなかったんですよ。

 

梶原 – PWR BTTMの一連の話知ってます?セクシャルマイノリティの味方です!つってクィアを全面的に押し出してゲイカルチャーとかのファンベースつくってて。ソレを売りにしてたのに実際はストレートで、セクシャルアビューズかなんかで訴えられたりして、まさにアルバムをリリースするぞってタイミングで〈Polyvinyl〉をクビに、だったかな。今ってとにかく本当にマイノリティをセールスポイントにしちゃう、売りにしちゃうバンドがいる時代みたい。この事件自体もう2年以上前ですよ。そういう、音楽じゃないとこの要因ってめちゃめちゃ、でかいんだけど、日本ってその辺もちょっと…LGBTQの人の実数とか分かんないですけど、日本ではまだまだそういう問題が顕在化しにくいですよね。そういういざこざって、たまにしか出ないじゃん。でも海外のメディア見てると、その手のニュースがほんとにもう毎日毎日いやっちゅうほど載ってるから。

 

– ところで、今バンドってハードル高くなってないかな?

 

梶原 – そうなんです。日本の住環境もあるし。

 

金子 – 少子化もあるし。

 

– 少子化もある?

 

入岡 – 少子化関係あんの?

 

梶原 – 違う話かも。

 

– ま、メンバーがいないと。

 

入岡 – 年取ること大変なんよ。ちょっとそろそろ限界かなって。

 

梶原 – 30歳限界説ですか。

 

– 実際、何を感じる?

 

入岡 – メンバーみんなが同じモチベーションでできなくなる。

 

金子 – 生活の優先順位がね。

 

入岡 – それで、明日でやめちゃうメンバーもいるし。

 

梶原 – やっぱりインディーに殉職じゃないけど、殉教するかっていうところで。

 

入岡 – 仕事はフルタイムでやりながら音楽やるっていう、できてる人たちもいる。それで一定のクオリティを保ったもの出し続けるっていうのはなかなか大変だと思う。

 

金子 – それこそほんとアリムラ君(in the blue shirt)とかみたいに息を吐くようにっていうか普通に生活の中に音楽が溶け込んでるぐらいじゃないと、しかもそれを保つモチベーションがないと難しいかなっていうのはあります。時間の面でもそうやし、モチベーションの面でも難しいなっていう。ほんとに一念発起しないと・・・勢いつけないとできない、っていうのが30代インディーのね。まあ20代でも難しかったんですけどね。

 

入岡 – 一人だったらまだ全部自分でコントロールできるからいいけど。

 

金子 – バンドはね。

 

入岡 – 大人が集まって仕事じゃないことをみんなで一緒にやるっていうのは、なかなかやっぱり難しい問題がたくさんある。だってみんな結婚して子どもができたり。

 

梶原 – 実際にライブするぐらいバンドを運用するっていうのと、バンド音楽でやるっつうのはまたちょっと違うところかな。だから、僕はとっくにバンドを運用するのは諦めてるけど、一応”バンド音楽”をずっとやってる。

 

入岡 – “バンド音楽”ね。

 

梶原 – 金子君の新譜だって、あのスタイルでもバンド音楽に聞こえるもん、やっぱり。だから、いいなって思うんだけど。

 

金子 – あれでね、スネアが全部クラップとかになっちゃうとまたちょっと変わる。

 

– そのバンド音楽も当時と比べると?

 

金子 – 反応があんまりないっていうのは完全に見越して僕は作ってたんで。なんかそれありきで作ってやってる。

 

梶原 – それありきっていうのも分かる。

 

金子 – でも、なんかそれって寂しいけど、ほんとに寂しいんすけど。でも仕方ない。

 

梶原 – ただ、壁に向かって話し続けてる感じやね。僕もその境地みたいな部分ある。

 

金子 – なんか音楽って、人がやってる以上はキャラクター性とかパーソナリティーとかが絶対重視されるのは仕方がないんですけど、日本は結構それが強くて、それありきなんですよね。

 

梶原 – ストーリーからしか入れないからさ。

 

入岡 – バンド音楽だとなおさらね。匿名性はあんま求められてないとは思う。

 

梶原 – どんな幼少時代を送って、どんな苦労をしてきたか?っていうバイオグラフィーの派手さで取っかかるからね。結局、日本ではコンテクストありきじゃないと芸術を消費できないんですよ。

 

金子 – それ、言いたかったんですよ。

 

梶原 – これはもうほんとに、普段生きててね、音楽とかうんぬん以前にこの日本に生きててめちゃめちゃ思う。

 

金子 – 文脈が大事。例えば、「Twitterのつぶやきでバズって何々なった」みたいな人とかって、音楽だけ残ったときにどう紹介されるんかなとか。

 

入岡 – 誰のこと言ってんの。

 

金子 – もしそういう人がいれば。なんかあるじゃないですか、そういう。例えば、YouTuberがめっちゃ曲を作って、良くないけど売れたとするじゃないですか。っていうときに、「音楽」として歴史に残るんかなとか。ま、それタレントソングとかもあんま変わらんけど。

 

梶原 – 例えばカート・コバーンのことをネットで調べてもそこに音楽のことはほとんど書かれてない。そもそも、音楽インダストリーがあって、消費者がいて、そのメディアがいてっていう中で、そこでバンドでもソロミュージシャンでもなんでもいいんだけど、何か音楽コンテンツを扱うってなった時、それが流通して聴かれて消費されて…っていう流れの中で、最後に残るのはパーソナリティと文脈っていうか、なんていったらいいのかな…。音楽ってやっぱその、実体がないものですからね。だから。

 

入岡 – 俺とかと比べると、なんか金子君は文脈があるような気がするけどね。

 

梶原 – あるなしでいったら、あるね。

 

金子 – そうなん?

 

入岡 – あるある。どっちかっつったら、あるほうだと思ってたけど。

 

金子 – 草分け的?

 

入岡 – 草分けだし、お店もやってるし。

 

梶原 – それ大好きじゃんね、うつ病で会社辞めましたってネタ、メディアの飛びつくやつよ。

 

入岡 – それでもこんだけ、しかも10年近く続けてて、もう文脈は完全にできたと思ってる。

 

金子 – そうかなあ。自分なんて色んな人にすぐ認識してもらえるわけではないし。完全に文脈が成立している人って、変な話、リスナーからしたら曲を聴く前からもう既に曲がいいっていうか。

 

梶原 – そうそう。曲を聴く前から曲がいい。その文脈に感情移入じゃないけど、それをいいものとして受容するベースが前もってつくられてて、もうそれが出来てる安心・安全な状態でようやく音楽聴いて、はい、OKっていう。ただの確認作業。

 

〈音楽を続けていくこと〉

 

入岡 – もうちょっとポジティブな話をしたほうがいいんじゃない?俺もアルバム出るし。なんか結局愚痴と日本への不満しかしゃべってない気がする。

 

金子 – 確かに。ポジティブに締めたいな。ポジティブに締まる話なんですか、これ。

 

入岡 – でもやっぱお店もやってるしさ。まだ諦めてないぞっていうのが金子君からは伝わってくるというか。

 

梶原 – そこからすっごいポジティブな力を、僕はもらってるけどね。

 

入岡 – 続いてるっていうことがもうポジティブなバイブスを放出してるともいえる気がする。口では色々言ってるけど、態度ではわりとポジティブというか。

 

梶原 – なんか、最終的にはそれが大事な気がしますね。やめないっての大事で、最近ヨッケさんがWOOMANのインタビューで、すごく良い話をしていたんだけど、昔ちょっとでも自分らの活動を知ってくれてた人が、ふと「あの人達、今も何かやってるのかな?」って調べたときに、ちゃんとやってたいの、って言ってたの、ものすごいよく分かるっつうか、共感する。それが一番大事な感じしますね。好きでやってんだから。

 

入岡 – 分かりますね。何かと別に戦ってるわけではないんですけど。

 

梶原 – 戦ってるわけじゃないんだけど、なんかやめるのは違うというのは、もう間違いなくある感じがします。ずっといることによって少しでも、その土壌の形成に何か、ほんと微力ながらでも意味があればって。だから今、世の中の流行りと自分の好みとが、たまたま合致する巡り合わせの若い子達は楽しくてしょうがないだろうけど、若者といっても色んな人がいるわけで、かつての自分と同じような感じで、もどかしさとか、時流への違和感抱えて、流行りのものが肌に合わないなっていう思いをしてる子達も絶対いるわけだし、そういう子達が偶然、僕らの活動や音楽を見つけたときに、少しでもね、こういう人達もいるのか!っていう慰みというか…、そいつら(僕ら)がそれでお金儲けできて、いい暮らししてるワケじゃないんだけど、それでも存在しているっていうことで慰みになれたら、ちょっとは違うかなっていうか。

 

入岡 – 確かにそうですね。

 

金子 – 普通に仕事をしながら淡々と続けてやって、別に義務感とかでやってるわけじゃなくて淡々とやっている、自分たちのペースでやってるからかっこいいみたいなあって。なんかそれを思ったときに、CAR10がめっちゃ一番いいバンドの形態やなとずっと思っていて。地元でやりながら、働きながら、なんかそれぞれバンドの中の軋轢とかは分からないですけど、ちゃんと在り続けてるし、コンスタントにリリースしてるし、あれが一番いいなと思って。多分ストレスとかあんまりないっていうか、バンドが楽しいんやろなって、ライブ見てても思うし、理想型やなと。

 

 

 

梶原 – 楽しそうにやってんのって結構、第三者からしたら、相当デカい気がするよ。なんか楽しくなさそうにやってんのって、そんなの見せられてもな〜って感じ、多分あると思うから。やっぱその…色々分析したりして、よくよく考えるとネガティブになることが多いですけど、最終的にはその当事者たちが楽しそうにやってるっていうのが大事だと思う。

 

– 今後の展望はどうでしょう。

 

梶原 – 新作を出す度にすぐ、次はこういうのやろうかな?っていうイメージが自然と出てくるから、もうそれを具現化して録音するっていうだけなんですけどね、僕の場合は。只々、出てきたやつをずっと発表できればいいなっていう感じ、自分の手で。最初っからもう、どっかのレーベルからリリースしてとかっていう頭って、既になくって、全てをサブスクで配信すんのとかも簡単になったから、権利もコントロールも全部自分の手の中でっていう活動は余裕で可能だし、ひたすら湧き出てくるものを、長いスパンあけずに出し続けられればいいなっていう事と、さっき話の流れで言ってたけど、それによってもっと下の世代の、自分と同じような苦しみを感じて、同じような状況になった子達の慰みに、少しでもなればいいなっていう事。なんかその、流行と関係のないインディ音楽を愚直にやり続けるっていう、その実践の絶対数自体が足りない気がするから、まだこの国に。国っていうか、英米とかと比べてね。やっぱ一人の成功者とか、一人だけ目立った存在が”点”で居たって、カルチャー全体としてはあんまり意味がないから、とにかくその数が増えなきゃっていう、その…広義のオルタナっていうか、インディっていうこの文化が日本に根付くっていうのが、真の望みだから。その中で誰がヒットし、売れるのか?とか、そういう話じゃなくって。全体の事。

 

 

– そういう意味では、ブログ(Gay Vegan Vinyl Cassette)もまた始めていて。

 

梶原 – ブロガーの音楽オタクがついでで音楽もやってます、みたいな感じに見られるのはとにかく嫌だったっていうのがあって、今もそれは変わんないんですけど。ただ、やめないでもよかったかな?っていう結論に達したので再開したんです。自分の中では間違いなくミュージシャンとしての感覚の方が先行してるんですけどね、圧倒的に。それが、ついでにblogもやってただけ。もともとだって、Elen Never Sleepsのバンド活動ブログだったわけで。でも、別に僕の音楽を特に気に入ってくれなくたって、自分の記事が、広い目で見て、市場の構成員になってくれる人の入り口、取っかかりになるならもうそれだけでもいいな、っていう風には思うようになった。これね、言いたかったことなんですけど、バンド名とか曲名とかをわざわざカタカナ読みにして、カタカナ変換を多めに載せてるんです。洋楽アーティスト名って、何て読むのか分かんない事とかも結構あるじゃない?アルファベットで書かれてても。それで、不明なバンド名の読みを検索したりしたことない?そういう時に、意外とプレスリリースまんまの情報を載せてるだけのサイトとかだと、当然その原文というか英語でしか名前も載ってないから、なかなか国内盤も出てないようなレベルだと、日本語読みググってもヒットしないっていうケースが多いなと思って。だから、日本語読みのカタカナ表記で結構わざと、こう読むんだよみたいな感じで。厳密に英名を〇〇さんって完全にカタカナ変換することって難しいんで、正解もなかったりするんですけど、そこは妥協して近似値を出してる。なんか足りてないものを、ちょっとでも補いたいっていうのはありますね。それで、自分なりの価値観で少しでもインディの裾野を広げてくっていうのは命題としてあります。あと、AVYSSはこれだけ洗練されてるのに、この内容って…こんなメディア他にないですから、これも僕としては、金子君がお店(サウナクールミニ)をあの感じで運営してて、それをホントに素敵だなと思って見てね、ポジティブな気持ちをもらってるのと同じで、今ナイツさん(古い友人はこの名前で呼ぶ人がいる)がこのAVYSSを、この感じでやられてるっていう事によって、僕はすごいポジティブなものをもらってるんですよね。だから僕もこれを続けて、エレンでもまだ引き続きリリースするつもりですけど、そのGVVCのブログも込みでね、活動を…みんながこういう活動をそれぞれやっていく事によって、前向きな気持ちが生まれる。みんなが自分なりに答えを出して、今何かやってるっていうこと同士のポジティブな感覚の交換みたいなのを、ずっとそのまま続けていくことによって、その外から見てる人が、ちょっとずつね。最初は触れてすぐに分かるようなもんでもないと思うけど、金子君のお店取っかかりでもいいし、AVYSS取っかかりでもいいんですけど、その…高校生とかが見て、だんだんインディにのめり込んでくっていう流れの、その機関の一つっていうか、超個体じゃないですけど、みんなでシーンを作ってくというのは、そういうことのような気がします。

 

金子 – 存在を認識した時点でその人が「生きている」っていう事実が生まれるって感じですね。生きてることが認識される。

 

入岡 – 多分、自分のバンドの話でいうと、これ綺麗にまとめられないすけど、こうやってずっと続けてきてて、続けてくるなかで、こうやっていろんな人と知り会って刺激を受けて、ほんとに最近シーンとかっていうことを正直考える余裕があんまりなくて、なんか作曲のほうにだけ気持ちが行っちゃってて、まだやっぱり100点のものが作れてないので、それ作るためには続けなきゃっていう。

 

 

 

金子 – もし作れたら?

 

入岡 – その前に死んでると思う。いや、ただ、やっとこないだ初めてバンドでのレコーディングをちゃんとしたスタジオでしたんですけど、そういうのも経験して、録り終わったんだけどまだやれることあったなって。多分いいものができると思うんすけど、自分の思う良いものをどんどん更新して作り続けられるような環境に身を置けるように、音楽との向き合い方も、また自分がつぶれないようにうまくやっていきたいなっていうのは最近思ってます。それでしかないです。

 

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今回、本文中に登場する様々な人物を補足説明をElen Never Sleepsが運営する「Gay Vegan Vinyl Cassette」で掲載しています。合わせてチェック。

 

link : https://gayveganvinylcassette.com/annotation-to-avyss/

 

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