DIRTY DIRT TAPES #2

カセットコレクターDirty Dirtの棚からなんとなくセレクトされたカセットを紹介。

 

 

Dirty Dirtこと戸田氏はエクスペリメンタル、エレクトロニック、テクノなどのアンダーグラウンドの電子音楽を中心に現行のアーティストのリリースを追いかけるヘビーリスナーであり、膨大な量のカセットを所有するコレクターである。今回は戸田氏のカセット棚から、特に選考基準なく、なんとなく選んでもらった数本のカセットを紹介してもらった。戸田氏の紹介コメントも含めて、何か引っかかるものがあれば、是非聴いてみてほしい。

 

 

 

Rabit – 『CRY ALONE DIE ALONE』(Halcyon Veil)

先日Halcyon Veilショーケースとしてアジアツアーを行った(日本にはこなかった…)Rabitが突然リリースしたミックステープ。ヒューストンのHiphopをスクリュー、そこにノイズを重ねたり、コラージュしたり。元ネタがわからないんだけれど、いまの気分にあう。はじめはデータだけかとおもって買ったらのちほどカセットテープが150本限定で売られたため二重に買わざるをえない案件。アートワークはAVYSSグッズのデザインも手がけるCollin Fletcher。

 

 

L.O.A. -『In Your Cities, What About Feelings?』(Forever Now)

2017年からはじまったナポリのDave SavedとNPLGNNによるレーベルForever Now第2弾は、ナポリで94年から続くパーティー『Angels Of Love』の2001年から2003年頃に録音したたくさんのCD-Rの音をスクリューしてコラージュ。ナポリで活動しつづける二人がローカルなカルチャーと向かいあい、いまの雰囲気にというかんじだが、全体のスクリュー加減が強すぎ、とくにヴォーカル曲はかなりずぶずぶで、得体のしれない音像に仕上がっている。JカードがCD-Rの写真。

 

 

 

Ao Wu -『Side Effect』(Future Proof:面向異日)

2018年は東アジアの盛り上がりが目立った。Future Proofは台湾のレーベルであまりフィジカルのでないこの界隈ではうれしい。Ao Wuは台湾を拠点に活動していて、Eternal Dragonzから韓国のラッパーMOLDYとの曲をリリースしたり、グリーンランド? のBio Future Laboratoryのコンピレーションにも参加していたり、映像やアートワークも作製するなど多才で今後注目。今作品は台湾の街中や家のなかの音をスマートフォンで録音したものをサンプルにつかって、東アジアな雰囲気のメロディと今のビートがからみあい構成。 Jカードのデザインも本人によるもの。

 

 

 

V.A. 『Compilation』(Lillerne Tapes)

シカゴのカセットテープレーベルLillerne Tapesの100作目記念コンピレーション。2007年レーベル発足から、Zack Phillipsを筆頭に、Exael、mdo、Gora Sou、YYU、Rhucleなどローファイなポップや、アンビエントをマイペースにリリースを重ね、同時期に始まったレーベルはかなり消えてしまてゆくなか、続けられてるのはすごい。

 

 

AJA 『AJA』(Opal Tapes)

グラスゴーAja Irelandによるソロプロジェクトデビュー作。ノイズと暴力そのものなドラムマシーンによるビート、そして叫び声。それもかなり激しい。LGBTコミュニティでの音楽や詩のワークショップの運営など JカードはLu La LoopというUKのファッションブランドとのコラボレーションで、Aja本人がモデルになっている。

 

 

 

Yeah You 『KHOT<』(Opal Tapes/Slip)

Elvin BrandiとMyki Jaxnによる親子(らしい)ユニット。チープなCASIOのキーボードによるビート、サンプリングなのか入ってしまったのか街のざわめきやノイズ、そこに叫びまくるラップ。ラップしてるからといって、まったくヒップホップでもないし、ジャンル不詳なかんじがよい。蓄光の緑のケースが時折あるけれどもDJするときにあるとフロアで光る。

 

 

 

N1L 『山卂ㄒ乇尺 爪乇爪ㄖ尺ㄚ』(Opal Tapes)

ベルリンのMartins RokisによるN1L。これまでにUIQ、Where To Now? からリリースしてきたが、2018年、コンピレーションやArs Was Takenなどほかの作品への参加、リミックスなどで一番名前を目にしたひとり。これまでのよりもかなりノイジーな展開をみせるA面がよい。 Opal Tapesのものが続くけれども、今年、いや、去年あたりからカセットテープやレコードというくくりだけでなく、ジャンルも音もかなり開かれたあたらしいところに足を踏み入れていて、Stephen Bishopはさすがである。

 

 

 

House Of Kenzo 『Bonfires Of Urbanity』(Ascetic House)

これまでに一ヶ月のうち毎日1本リリースだとか、一挙に30本だとか、リリースする行為自体がアートのようなAscetic House。2017年はUSBとレコードでのリリースだったけれど、2018年のAscetic Houseは15本一挙にカセットテープリリース。CityにKali Malone、Rabitなど幅広い界隈を取り上げていたなか、テキサスのヴォーグのコレクティブであるHouse Of Kenzoがすばらしい。暴力的なラップと激しいトラック、そこにサンプリングのコラージュ、さらにRabitも参加と、2018年の後半の気分にかなり影響した。

 

 

 

TEXT by Dirty Dirt

 

12/19、Dirty Dirtと舘脇悠介がホストを務めるトークイベント『Buy Nowers Club vol.14』がdues新宿にて開催。

 

 

『Buy Nowers Club vol.14』

12/19(水)

at dues新宿

OPEN 19:45 / START 20:00

CHARGE 1200yen+1d

 

TALK: Dirty Dirt、舘脇悠介、Naohiro Nishikawa

 

イベント詳細はこちら

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