2025/01/24
永遠とオブジェは崩れないこと
木田昨年によるソロユニット、ネオンネウロンと人形作家であるeerie-eeryによる共作アルバム『人形劇『弦と糸の交錯論』に捧ぐトラック集』が1月25日にリリース。
ネオンネウロン(neon-neuron)は『yohak』の元トラックメイカーであり、文学賞を多数受賞している歌人でもある『木田昨年』によるソロプロジェクト。自らの音楽を「不可思議ポップ」と称して、ネット上に作品を発表。
eerie-eeryは2007年より名古屋を拠点に活動する人形作家。布や粘土などの異素材を合わせたぬいぐるみのような人形のような曖昧な立体作品を作っている。その他、ボックスコラージュや絵画作品、近年では自作の人形を用いたストップモーションアニメの制作も行う。
その二名による作品は、eerie-eeryによるオリジナルの異端的な、幻想の掌編を元に、登場人物となる人形を制作、ネオンネウロンが音楽でより深いディテールを加えた、「共作」を意識したアルバム。物語が音楽を追うように、音楽がドール=オブジェを追うように、オブジェが物語を追うように、緻密に編み込まれ、構成され、両者の美しい完成が響き合った作品と言える。それはハイパーポップ以降の、新しいリリシズムと新しい音楽の言語で奏でられる。そして、人形もまた異端的で、固有の声であり、新しいものである、とのこと。
─作品コンセプト─
eerie-eeryの制作した人形、『音楽家』と『人形師』の交錯を、ネオンネウロンのナラティブのある音楽で精密に描き出す。これらを人形劇としてみせることで、作品を立体的に成立させる。人形作品は大阪の雑貨店〈ギニョール〉にて販売する。
『弦と糸の交錯論』と銘打ったとおり、音や形をお互いのやり方で縫い上げるようなつもりで、密に打ち合わせをしながら制作しました。音楽を立体化すること、人形を歌わせること、お互いに成功したとおもいます。
──〈ネオンネウロン(木田昨年)
共作というかたちで制作を行ったのは今回が初めてだったのですが、いつも一人で完了させる作品に音楽が寄り添うことで、こんなにも人形たちがいきいきと動きだし、歌うのか!と、制作中は感激が絶えませんでした。弦と糸の共鳴から生まれた物語のゆくえを見守っていただけましたら幸いです。
──eerie-eery
─プレスリリース執筆者(aroÄb0)よるコメント─
この音楽は凶暴で、狂気的で、構築性に極めて美しい知性があり、人形たちが踊るように物語が進行し、それは音楽であり幻想の異端掌編であり、それが響くこと、響きあうことが中核を成すことを詩である音楽として、音楽である詩として、結晶体の崩落と再生をパラドキシカルに構成し、私に想像された(異端的で美しい)想像上の、架空の天体図の音楽を眺めさせる。それはひとつの快楽である、
仄暗く清々しい。
時間に抗う不壊の存在であることを音楽で示しつつ、だがそれは進行する時間芸術であり、同時にオブジェである筈の人形たちは息衝き、記憶を物語るような声を、声色を、eerie-eeryの固有の声紋=構造された人形を持って木田昨年の青年の叙情する音楽に付与し、ネオンネウロンの音楽、リリカルなすべてのうたわれているものは人形たちの固有性を成立させる刻印として機能している。
これは音楽であり、時間芸術として進行するオブジェである。
ぼくは異端的なものが好きだ、それは美しく、倫理の枠外にあり、彼女、彼はそれを自覚している。そして、この音楽は矛盾するように優しさで満ちていて、世界が終わるすこし前、懐かしさと共にひるがえるシフォンスカートのように光り輝き、翳り、暗がりとひかりの間を柔らかく縫うように進行する。
これは冷たく異端的なひかりであり、輝き続ける彼女と彼の闇であり、ひとつの物語であり、人形が踊る部隊であり、構築された、世界で一番綺麗な宝石のように、不壊のものとしてひかる音楽である。
この音楽を、おふたりの達成を是非体験してください。
──aro(音楽ライター/歌人/詩人/遠泳音楽レーベル「Siren for Charlotte」共同主宰)
ネオンネウロン, eerie-eery – 人形劇『弦と糸の交錯論』に捧ぐトラック集
Release date : January 25 2025
music,lyric by 木田昨年
artwork by eerie-eery
Tracklist
1.弦と糸の交錯論
2.人形師のおへやをのぞくと
3.音楽家はピアノに手を噛まれないようにね
4.黒魔道
5.キャットウォークで踊る猫足ピアノの鮮明描写
6.お人形『エーデルワイス』のテーマ
7.ぬすまれた王冠
8.クチナシ
9.亀裂する音符
10.repair
──ドールの取扱店
・Sipka(名古屋)
・Guignol(大阪)
・前衛派珈琲処マッチングモヲル(東京)
category:NEWS
tags:eerie-eery / ネオンネウロン
2025/01/14
遠い時間、降れられない遠い時間とその実 〈Siren for Charlotte〉から、同レーベルからは二枚目となるネオンネウロンのアルバム『Dead Wood Soundsystem』がリリース。 『Dead Wood Soundsystem』は”前作の空間、(存在しない)場所の遠さの実験に引き続き、遠い時間、降れられない時間の実験であること”をPost-Shoegazeというコンセプトと編み合わせ、緻密に創り上げられたネオンネウロンの美しい意欲作だ。アヴァンギャルドで綺麗なピアノの割れる硝子の破片、 何もかもを時間に込めるようなビート、青年の狂おしい叙情が結晶する声が絡むような音楽である、とのこと。 ─作品コンセプト─ 本作は、『Dead Wood Soundsystem』の名前の通り、死んだ木から作られたピアノやギターが、ネオンネウロンの手で構築されて、あたらしい音響空間へ生まれ変わる描写の繰り返しです。 何度も死に、何度も蘇ることは、当前の起こりではなく、痛いほどの消失を経て音が消え、また鳴り出すのです。 そのような瞬間に作り手として立ち会いながら、気がつけば特別に愛していました。 ──ネオンネウロン(neoneuron) ─レーベルによるコメント─ Siren for Charlotteからneoneuronのアルバムをリリースします。弊レーベルから二枚目の作品となります。 遠さ、音楽における遠さ、遠く離れた美しいもの、見えないもの、触れることが出来ないもの、その遠さはシューゲイズ、ポスト・シューゲイズとして重要な要素である。 前作は距離としての、場所、それらとしての遠さの実験であった。今作は時間的な、触れることが出来ない過去の遠さについての実験である。 同時に今作は、レーベル、特に門脇綱生が提示する近未来都市遠景、という音楽の構造にあてはまる。硬質な都市性、人間の生におけるある種の存在の一側面としての音楽だ。 音響のリリシズム、言葉のリリシズム。「文学性を音楽に昇華したい」と語る木田昨年の実験はコンセプチュアルでアトモスフェリックな領域から、レトリックにおける具体性まで包括している(例えば畳み掛けるような言葉の感性は短歌のテクニックである)。 その速度、光明のようでありつつ薄暗い生の速度。鮮やかな闇、暗黒を超える輝き。それらすべては木田昨年の、内面に輝くものである。 この実践を、音楽をぜひご体験下さい。 ネオンネウロン – Dead Wood Soundsystem Label : Siren for Charlotte Release date : Jan 11 2024 https://eneiongaku.bandcamp.com/album/dead-wood-soundsystem Tracklist 1. 死神の平穏 2. 蕩けるB 3. あなたと、水族館を飲み干すまで。 4. メメント森 5. Heaven’s even seven eleven 6. いかれたショパン 7. 愛されなかった逆夢 8. 動 9. good sanatorium
2024/05/01
地上に堕ちた天使の居場所、孤独感、感情 音楽ユニット・yohakの元トラックメイカーであり、文学賞を多数受賞している現代詩人、歌人でもある木田昨年のソロプロジェクト・ネオンネウロンが7thアルバム『僕は彼女をリマと名付けた』を〈KAOMOZI〉よりリリース。 制作の際に「居場所」を意識した作品を作っていると語る氏の最新作では、”地上に堕ちた天使”の居場所を探している。天使の感じる居場所のなさへの孤独感。異物のような存在である人間と暮らすことで揺れ動く感情。文学的に表現された言葉と音の揺れは、リアリズムと幻想の間にリスナーを招き入れる。 木田自らの経験をテーマに「ストックホルム症候群」を扱ったという本作。投影された実体験と幻想の残滓は「不可思議ポップ」の形をもって立ち上がる。 屋上を駆ける天使を描いたアートワークは〈KAOMOZI〉オーナーの駒澤零が担当している。 ネオンネウロン – 僕は彼女をリマと名付けた Label : KAOMOZI Release date : May 1st 2024 https://kaomozi.bandcamp.com/album/–85 https://big-up.style/geeUT2W9uc 1.天国行きのチケット 2.バニラ・シェイクと拳銃 3.屋上で天使を拾ったら 4.驫 5.バナナフィッシュにうってつけの日々 6.絶頂のダリア 7.おしえてあげるよガリレオガリレイ 8.np 9.リマ 10.壊れた翅のレントゲン
2024/01/29
どこでもない場所が、あなたにとっての「どこか」になる瞬間 トラックメイカー/歌人の木田昨年による不可思議ポップ・ソロユニットであるネオンネウロンのアルバム『Somewhere, but not here』がリリース。 『Somewhere, but not here』はトラックメイカー/歌人の木田昨年が早いペースでリリースを続ける作品群の3rdアルバムに当たる作品。童心の遊戯性、シュルレアリスムの自動記述のようなピアノ、洒脱で聴者の感覚を震わすビート、それら様々な要素が統合されたこの音楽は木田昨年によって”不可思議ポップ“と名付けられ、誰も見たこと がない場所の音楽を響かせている。その中には、音楽のみならず歌人/詩人としての木田昨年の澄んだ完成が息衝いている。 ─作品コンセプト─ 音は一瞬。どこから来て、どこへ消えるのか、教えてくれない。だから僕は音楽にいのちを、電子音に呼吸を、そのおぼつかない息継ぎを、与えてしまった。ほんの、興味だった。 今回、〈Siren for Charlotte〉という遠泳音楽の概念を見出した新進気鋭のレーベルからオファーをいただいたとき、僕は、僕から一番遠い場所を考えた。いや、それは最初から決まっていたような気がする。 手が届くほど近くて、一生触れられないほど遠い、僕の幻想を、残そうと思った。 〈ポエジー。体育倉庫の鍵。君が切ったシャッター。〉 もう二度と、手に入らない。 〈僕だけの空き地を、あなたに教えよう。〉 ネオンに照らされた瑣末なニューロンたちのなかに、街が広がっている。それが真実だと、僕がいますぐ証明しよう。 〈こちらへ、来てください。〉 既に僕はそこを通り、それから僕の場所を、誰かが通った。 〈もう、そこには誰もいない。〉 ーーーなんて。不案内にも程がある。とても寂しい内側を、そこに残る轍を、ゆびさしても、君に説明できなかったあの日へ、僕はもういちど手を伸ばす。 音は、場所だ。 どこでもない場所が、あなたにとっての「どこか」になる瞬間を、僕は期待してやまない。 ──木田昨年 ─ネオンネウロン/木田昨年とレーベルによるコメント─ Siren for Charlotteからトラックメーカー/歌人である木田昨年のソロユニット、ネオンネウロン『Somewhere, But not here』をリリースします。 どこにもない場所、童心の遊戯と相反する青年の叙情、シュルレアリスム以降の幻景、ノスタルジーと現在の間の揺れ動き、言葉へのエッジ、それらはその架空郷の叙景として、夢の論理の叙情として、朧げな存在である”きみ”に向けられ、エーテルそのものとして空間に充満してゆく。 その空間が、僕たちがいる”今ここ”が現実の場所であるのか、木田昨年が提示する”どこか”であるのか、リスニングを進めるに従ってその境界は限りなく曖昧に変化してゆく。今ここが遠い所と交錯する感覚は紛れもなく新しいシューゲイザーの系譜である。 青年の美しい叙情によって織られた遠い光景の音楽、新しいシューゲイザーを是非ご体験下さい。 ──Siren for Charlotte 幽霊、陰鬱で有能なシンクタンク、終わりのない架空線、おびただしい硝子。頭の中の街を形にすることは僕にとってとても悩ましいことであったが、いつか残すべきだとはどこかで思っていた。 ネオンネウロン、その中身である僕、木田昨年は元来より夢で見た景色や、夢で聴いた音楽を創作に使 う。 夢の中の街、その地理のディテールはいつも決まっているのに反して、君はいつも影だけの存在だった。 顔はなく、声は遠くて、水の中から聞こえるようだった。 ぼくは彼女をうまく知らない。 今作でボーカルが埋もれているのはそれ故の細工である。 その存在を注視することで、どこでもない場所が、どこかに変わる瞬間を、製作過程で見てしまった。 つまり、僕もあなたも、 すでに一歩、 この街に足を踏み入れた。 ──ネオンネウロン/木田昨年 ネオンネウロンが – Somewhere, but not here Label : Siren for Charlotte Release date : January 27 2024 https://eneiongaku.bandcamp.com/album/somewhere-but-not-here Tracklist 1. とある場所のシンクタンク 2. 霊 3. 架空線の向こう側で 4. 機械の街の日常 5. ねむりとめざめのくりかえし (feat. 初音ミク) 6. 白濁 7. 初音ミクの成仏 8. 頭の中の戦争で人を殺してしまったら 9. ブレインシティ・システムダウン (feat. 初音ミク) 10. garasu no machi Tracks & Lyrics : 木田昨年 Vocal : 1, 2, 3, 4,
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