Kai Whistonが3rdアルバム『Quiet As Kept, F.O.G.』を発表

これまで以上に現実に立ち向かう

 

 

2022年初頭、Kai Whistonはインスタグラムで、霧の湿原で「Universal Music Group」のジャケットを着た自撮り写真を投稿し、沈黙を破った。別の画像には、彼のレコードレーベル「Lux Recordings」の新たなディストリビューション契約を掲載。Kai Whistonは2019年に最後のスタジオ・アルバムをリリースして以来、教育用音楽制作プラットフォーム「Lux Cache」を立ち上げ、Oneohtrix Point Never & Jimmy Edgarといった制作の巨人による舞台裏の特集を含む成功を収め、活動を続けている。また、Kai Whistonは2021年に、Shygirl、VTSS、COUCOU CHLOE、Tommy Cash、Dorian Electraなどのプロダクションワークに加え、ハイブリッド・エイリアンをテーマにしたコンセプト・ミックステープ「Drayan!」をサプライズリリースしている。このUMGの発表に添付された暗号のようなメッセージから、3年後に予定されている彼の3rdスタジオ・アルバムを待つファンへの最初の啓示であることが明らかになったのである。

 

Kai Whistonの新作『Quiet As Kept, F.O.G.』は、圧倒的な野心と破壊的な美しさを持ったシンフォニーである。朽ち果てた遊牧民のバスのクランチーなステレオから歪み、荒涼とした湿原に響き、厚くまばゆい霧に包まれる。Kai Whistonの最新作は、彼のトレードマークである折衷主義を継承しつつ、サウンド面でもテーマ面でも先鋭的な新境地を切り開いている。2018年「Kai Whiston Bitch」や、2019年の「No World As Good As Mine」のポストロック的なカスケード風景から、Kai Whistonの「音」は決して単一のサブジャンルやシーンによって収まるものではなく、編集やサウンドデザインへの最大限のアプローチによって、相互参照的で新しくアレンジを生み出しているのである。Kai Whistonの作品がストーリーテリングにおいて無限の可能性を感じさせ、次に何が来るのかと思わせるのは、この自由な視点と音楽世界の構築への取り組みによるものである。

 

Kai Whistonは90年代後半のダンスミュージックに生まれ、QAKFOGでこれまで以上にその現実に立ち向かっている。彼の母親と父親はニューエイジトラベラーコミュニティの若いレイバーで、南イングランドのフリーパーティーを転々としながら、Massive Attack、The Prodigy、Orbitalの台頭を目の当たりにする生活を送っていたのである。Kai Whistonの母親Helene Whistonは芸術的才能を持ち、トランス、ハードコア、ブレイクビーツのムーブメントの中で、ウェアハウス・レイヴのフライヤーや壁画をデザインしていた。父親はパブのピアニスト兼彫刻家だったが、不幸にも恵まれない地域社会を荒廃させるようなドラッグや暴力といった暗い道へと導かれてしまった。父親は、Kaiがわずか1歳の時にヘロイン中毒で命を落とした。一人っ子で片親の家庭で、旅人やその後の危険に囲まれ、Kai Whistonは何年も憤りを感じながら過ごしたのだった。

 

Words by Seth Jordan

 

 

 

Kai Whiston – Quiet As Kept, F.O.G.

Label : Lux / Universal Music Group

Release date : July 22nd, 2022

Artwork by Furmaan Ahmed & Kai Whiston, featuring Helene Whiston

 

Tracklist

1. Between Lures

2. Q (with Pussy Riot)

3. Carrier Signal (with EDEN)

4. Peace Convoy

5. T.F.J.

6. 27-04-99

7. Div Era

8. Vivienne

9. Lux 3 (with Iglooghost)

10. 10-10-73 (with Helene Whiston)

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