2021/05/06
電脳的反抗と絶頂
90年代の本邦サイバー・オカルトとメディアアートの地下水脈で暗躍した音楽家、ヘンリー川原の初アーカイブ作品『電脳的反抗と絶頂: エッセンシャル・ヘンリー川原』がエム・レコードよりリリースされる。
今作は、90年代前半におびただしい数の作品を発表した後、表舞台から姿を消したアウトサイダー作家ヘンリー川原の作品を、メディアアートで活動を共にした沖啓介の寄稿と、その作品を果敢に送り出した八幡書店の社主かつ本邦オカルト界のフィクサー、武田崇元のインタビューを交えて検証している(作品解説は江村幸紀)。
収録曲は、挑発的で実験色強いものから、東南アジア音楽を流用したもの、サイバー感が充満したアンビエント・チューン、スピリチュアルなピアノ曲など、楽曲ごとの振り幅は尋常ではない。精神世界とテクノロジーが怪しく交錯したカウンターとしてのオカルト精神が見え隠れし、聴くものを向こう側の世界へ導く。今作のほぼ全曲が既発版とヴァージョンが仔細に異なる作家のフェイバリット版および未発表曲で、VINYL版はLP2枚組、CD版はCDのみボーナスディスク『無目的論-α』と『無目的論-β』を付けた3枚組となる。これまで知る由もなかった、本邦サイバー・オカルトと初期デジタル・メディアアートをミクスドしたヘンリー川原の真相(深層)に迫る。
まるで2021年のコロナ禍の世に放たれるべく秘蔵されていたかのような、ポストパンデミックな”音泉”が世紀を跨ぎ遂に御開帳!!!!!!! いま、人類にとって必要不可欠なのは、変異株にも効くワクチンの接種と、故・ヘンリー川原の源泉を両耳から魂に直接かけ流す行為だ!!!!!!!
—宇川直宏(DOMMUNE)
Henry Kawahara has been called “the Jon Hassell of Japan”, but upon closer inspection one finds that his work operates on very different terms. Like Hosono’s forays into computerized Ryukyu folk “sightseeing music” or Tsutomu Ōhashi’s Ecophony trilogy, Kawahara’s world projected ancient musical traditions and notions of cultural identity onto the modern digital plane through a fusion of cybernetic thinking and pan-asian cultural introspection that makes Western attempts to do the same seem quaint in comparison. Kawahara’s omnidirectional sound “illusions” were constructed not as albums but psychological experiences, billowing with a then-nascent notion of early 90s cybernetic spirituality that was proliferating on both sides of the Pacific as the hyperlinked state of global connectivity we know today was just beginning to crystalize. Through digital representations of folk instruments, shifting MIDI sequencing and custom binaural recording technology he aimed for psychoacoustic effect as much as artistic, all via a countercultural form of distribution untethered from the commercial expectations of post-bubble modes of artistic production. This EM collection draws out the best of his fruitful early-mid 90s period into a revelatory sequence, generously opening Kawahara’s world to all.
—Spencer Doran (Visible Cloaks)
Henry Kawahara’s deal is Intimate, Intuitive, Adventurous, and Acidy! Spice is added to all, whether its ethereal guitar, nature effects, gamelan club trance, or LSD experimentations. In the vibe of Coil’s “Love Secret Domain” and out there clubgamelan. The creative force of the jungle is mutated and interchanged with further sound palettes, and his effex palette has the schwing of a 90s grunge guitarist. His musical tendencies are natural and his scope and variety are dangerous.
—Spencer Clark (The Star Searchers / Pacific City Discs)
アーティスト名:ヘンリー川原(Henry Kawahara)
アルバム題名:電脳的反抗と絶頂: エッセンシャル・ヘンリー川原(Cybernetic Defiance and Orgasm: The Essential Henry Kawahara)
フォーマット:3CD / 2LP / Digital
カタログ番号:EM1197TCD/DLP/DL
定価:CD版 3500円(税別)、LP版 3300円(税別)
制作発売元:エム・レコード (EM Records)
マスタリング:Takuto Kuratani
VINYL用追加マスタリング&カッティング:Anne Taegart at D&B, Berlin
解説:沖啓介(寄稿)、武田崇元(インタビュー)、江村幸紀(序文)
英語翻訳:Matthew Lane
装丁:2yang
Ⓒ & Ⓟ 2021 EM Records
発売予定日:6月25日一斉発売
CD : https://emrecords.shop-pro.jp/?pid=159298908
LP : https://emrecords.shop-pro.jp/?pid=159298541
Bandcamp : https://emrecords.bandcamp.com/album/cybernetic-defiance-and-orgasm-the-essential-henry-kawahara
=LP A面=
01. 私とあなたの関係に於いて、私は私自身についてベッドの上で考察する(Panpot Version)
02. 原始の愛 (Delayed Version)
03. 旅立ち
04. Sound LSD #.SS05/7.83HZ (Radio Mix)
05. ECO-Loocation (Stargazer Version)
=LP B面=
06. アンクルンの唄 (Edit)
07. ライラックの弦 (First Version)
08. [java] dance #2. “RELAXED”
09. Nanpū (First 1992 version)
10. 博物館の子供達 (Original Nov. 1991 Mix)
=LP C面=
11. ニケの小舟
12. YEBISU/Yellow #2.
=LP D面=
13. Yorokobi-No-Koe
14. エンドルフィンのゆく先 (Original Edit)
15. 電子ニューロン回路の舞踏 (First Mix)
category:NEWS
tags:ヘンリー川原
2023/03/07
テレサ・テン meets アンビエント テレサ・テン meets アンビエント?テレサ・テン・ヴェイパーウェイヴ?90sサイバー・アンビエント・マンダリンポップ秘匿盤。ヘンリー川原アーカイブ・シリーズの総仕上げは、川原が手掛けたヴォーカル・ユニット、Xiao Yun(ショウイン)のアルバム『Purple Garden』の初LP化。 1994年に川原自身のレーベル〈HMD〉から自主リリースされたショウイン・プロジェクトは、上海出身の歌手、ショウ・イン・ウーとサイバーオカルト音楽の巨匠、ヘンリー川原が組んだデュオで、川原の信頼した作家、沖啓介がサポート参加。川原がプロデュースを担当し、ギター、キーボード、プログラミングを彼の手で行って、浮遊感があり幽玄な雰囲気をもつウーのヴォーカルを引き立てている。歌詞を除き作品のほとんどを川原が編曲し、アルバム用に書き下した曲、過去に発表した川原のソロ作品の再編版、マンダリンポップ名曲のカヴァーを収録。 近未来SFの国際的なアジアを思わせるような、サイバーオカルト的な感覚をもつ楽曲はSNSの時代にアジア圏で交流しているアーティスト達の感覚を予見していたかのよう。 Xiao Yun(ショウイン) – Purple Garden(パープル・ガーデン) Label : エム・レコード Release date : March 24 2023 作品仕様: + 12″ LP、シュリンク封入 + 45回転・高音質カッティング Pre-order : https://emrecords.shop-pro.jp/?pid=173171571 Side A 1. Purple Garden 紫楽園 2. Sweet Dreams 甘美的夢 3. Green Island Serenade (oriental jazz mix) 緑島小夜曲 Side B 4. Bamboo Christmas 竹楽聖誕節 5. Purple Garden (ambience mix) 紫楽園(環境楽奏版) 6. Ye lai xiang (deep-relax mix) 夜来香
2022/10/05
「電脳カフェ」のための音楽 西武が情報発信企業としての黄金期だった80s-90s初頭、西武美術館と付属のショップ《アールヴィヴァン》は、現代美術と実験音楽の交差点だった。見たこともないディスクが並び、高橋悠治は水牛楽団を、藤枝守はアメリカ純正調楽派のミニコミ『1/1』を、そしてサウンドアート黎明期の作家たちは変な音のカセットを販売していた。エム・レコードが放つ『「電脳カフェ」のための音楽』はそんなオカルト的空間で行われたオカルト的な音楽。メロディどころか始まりも終わりもない抽象的な電子音は、今ならググれば簡単に調べられる。しかし多少敏感な人たちですらそういう拠り所がない当時は、より興味深く、かつウサン臭い眼差しで接していたはずである。その「見てはならぬものを見た」トラウマが、30年経って新しい何かを生み出しているとすれば、仕掛け人たちにとっては望外の喜びだろう。 (井部治/OMEGA POINT) – 本作はアールヴィヴァン(西武)運営のスペースで高橋悠治が企画したイベント「池袋電脳カフェ」のために制作された幻のカセットの復刻である(*1)。これは高橋悠治と藤枝守のマック(*2)を用いたコンピューターシステムの共演で、柴田南雄宅で櫻井卓の手により録音。揺るぎない信念のもと、高橋がマックでコントロールしたサンプリング音源と、藤枝がMAXで操作した音響システムとFM音源(*3)が交錯する意味不明の音塊が収録された。 当時のパンフレットに高橋が寄せた言葉 「日常のゆらめく時間のなかに暗い電脳空間の半透明な座標軸が陽炎のように見え隠れする」 は、彼がサイバーオカルト的なものに憑かれていた可能性を示し、また、当時の雑誌取材で 「来なかった人も重要。自分はそこにいなかったけれども、何かが起こっていたらしい、と後で知る。そのイメージから全然別のものが出てくる可能性がある」 と語ったのは予言だったのか!?理性が基根をなす現代音楽と怪しい電脳オカルト的世界が交錯したのはごく短い期間であり、本作はその<残してはいけなかったかもしれないもの>を記録した裏歴史資料である。 解説は日本の電子音楽の泰斗、川崎弘二。 *1:オリジナル題名は『Computer Café Music』。 *2:植物学者の銅金裕司によると当時のマックは「オカルト的な感じ」が漂い、価格は「軽トラ2台分」だったという (『エコロジカル・プラントロン』解説より)。 *3:後に『プラントロン』インスタレーションでも使用されるシステム。 ARTIST NAME: Yuji Takahashi, Mamoru Fujieda 高橋悠治、藤枝守 TITLE: Music for “Cyber Café” 「電脳カフェ」のための音楽 FORMAT: CD RELEASE DATE: October 28, 2022 (in Japan) EXPECTED SHIPPING DATE: Mid October Bandcamp: https://emrecords.bandcamp.com/album/music-for-cyber-caf + Standard jewel case with obi + 14-page booklet + Liner notes: Koji Kawasaki + Japanese and English text Tracklist 01. Morning [4:44] 02. Afternoon [9:38] 03. Evening [9:34] 04. Night [4:40]
2020/02/10
3月20日リリース 先日はRAのLabel of the monthでも特集が組まれ、さらにアジア圏を超えた注目が集まる上海のレーベル/コレクティブ〈SVBKVLT〉が2020年最初の作品をアナウンス。 イタリア生まれロンドン拠点のビジュアルアーティスト / マルチメディアアーティストMatteo ZamagniのプロジェクトSeven Orbitsによるオーディオ作品を発表。Matteo Zamagniは、これまでにロンドンのBarbican Centre、Gazelli Art House、NYタイムズスクエアのプロジェクトMidnight Momentでも作品を展示し、HyperdubやBoiler Roomともスタジオで仕事を行なってきた。本作『EP0001』は、彼にとって初のオーディオ作品となる。緻密に設計され、光と音を駆使し、自然や神との超越的かつアニミスティックな繋がりに導く。EPにはイタリアのプロデューサーTSVIとのコラボレーションに加え、33EMYBW、Zaliva-D、Goooooseらの〈SVBKVLT〉クルーによるリミックスを収録。デザインはLuke Griffithsが担当。 bandcamp : https://svbkvlt.bandcamp.com/album/ep0001
第1弾収録アーティスト発表 more
レーベル第一弾作品は後日発表
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受け手の自由に寄り添う作品
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