2020/04/20
水面下で加速する新しいロックの波
「速さ」をキーワードに掲げ、Us・Waaterと2組のバンドを中心に結成された集団・SPEED。東京のパーティーシーンに突如現れた彼らの存在は、わずか半年のあいだでその名の通り猛スピードで広まっていった。そして先日、新型ウイルス感染予防対策として数々のパーティーが自粛に追い込まれる中、苦渋の末にSPEED初となるオールナイトイベント〈MAX SPEED〉の開催を決行。幸いにもパーティーから罹患者は生じず、娯楽を規制されつつある若者たちに希望を与える一夜となった。
その後も全世界的に厳しい状況が続いているが、速さを追求する彼らの勢いが衰えることはない。レーベル〈SPEED〉としてのリリース、Instagramのライブ機能を利用したWaaterの無観客ライブ、S亜TOHをはじめとしたポストコロナ・プロジェクト #2021survive への参加など精力的に活動を広げている。どんな状況下でもとどまることを知らないSPEEDについて、Ken truths(Us)、akiya(Waater / Us)、Sion(Waater)の3人に話を訊いた。今回の前編では、彼らの掲げる「速さ」をルーツとともに紐解いていく。
Text by yukinoise
Photo by Yui Nogiwa
– SPEEDを構成するUs・Waaterの2組についてそれぞれ教えてください。
Ken truths (以下:truths):Usはめっちゃ新しいバンド。俺は去年までSUPER SHANGHAI BANDってバンドをやってたけど、解散して音楽やらずにクラブで遊びまくる時期があって、LSDXOXOとか観に行ったりしてた。ナイトライフでインプットしたものをそろそろアウトプットしたいと思ってたくらいに、Waaterが自主企画「Waater Park」をDaydream吉祥寺でやってたんだよね。そこにバンド名もメンバーも決まってないのに出演だけ決まったっていう (笑)。
akiya:Waaterはどこから話せばいいんだろ、俺がもともとソロでやってたあたりから?
truths:そもそもバンド始めようってなったのは?
Sion:akiyaが仙台でソロやってて、東京のイベント誘われたときにどうせならバンドでやろうってなって。それで友達同士で始めた。
akiya:メンバーどうしよってなったけど、手っ取り早く全員幼馴染ですんまり決まったね。
truths:Usも近いところからメンバー寄せ集めて、8月にバンドとしてスタートした感じ。最初はとりあえずバンド始めなきゃって焦ってたけど、akiyaとTRASH 新 アイヨシとの3人体制になってからは同期とか使ったりして、今は新しいロックのかたちみたいなのを模索する段階にいる。
– お互いの出会いはライブまたはパーティーがきっかけだったんですか?
truths:instagramを見てたときたまたまSionのアカウントに辿り着いて、写真のセンスがめっちゃ良いなと思って俺からフォローしたのがきっかけ。まだWaaterのSoundCloudは再生回数100回ちょいくらいだったんだけど、初めて聴いたときはマジで衝撃受けた。日本にこんなバンドいたんだ!って。
Sion:truthsは最初からずっと速い(笑)
truths:ちょうど当時はSUPER SHANGHAI BANDをやってたから、メンバーのJackson Kakiに声かけて、イベントに呼んでもらったのが初対面。Waaterはビジュアルもやばいし、ライブ見た瞬間から「こいつらできるな」って思った。そこから自然と普通に遊ぶようにもなったね。
akiya:お互い初めて会った時から波長が合ってた。
truths:今までもバンドシーンで仲いい友達はいたけど、音楽性を抜きにライブハウス以外で会っても心地良い相手って少なくて。でもWaaterは気づいたら一緒にいるというか、前から知ってたんじゃないかってくらい気が合う。
– そんな運命的な出会いから、SPEEDとして活動を始めたのはどうしてですか?
truths:Waaterと一緒にイベントやりたいってずっと思ってたんだよね。SUPER SHANGHAI BANDのときから考えてたけど結局できずじまいで。8月にUsがスタートしてから、9月にSoundCloudに曲アップして、そろそろ一緒にできそうな気がして10月に一緒にイベントやったのがSPEEDの始まり。
akiya:SPEED前にやったWaater Parkも大きかったというか、ロックバンドの可能性を感じられるすごい日だった。
truths:Waater Parkには俺ら以外だとThe Cabins、NEHANN、WOOMANの波長が合うメンツが集まってたし、イケる!って思えた日だな。
– SPEEDの名前の由来を教えてください。
truths:ほかの候補は何があったっけ?
Sion:truthsは色々考えてたんだろうけど、「SPEEDで良くね?」って言われた気がする。
truths:前からWaaterと動画見たりたんぽぽハウス行ったりして遊んでると「これは速すぎる」ってよく言ってたのが由来。
akiya:Waaterの日常的な遊びというか、内輪ノリみたいなのにtruthsがハマっていったね。
truths:速いって語感もキャッチーだし自分たちのスタンスも表してるワードだもんね。俺はWaaterが出てきたときから、こいつら速いことやってるなって思ってたし。全員セットアップ着てサングラスかけてシューゲイザーやってるようなバンドっていないじゃん、めっちゃ新しいというか。
俺もSUPER SHANGHAI BANDの頃から新しいものが好きで、ずっと世界の最先端みたいなのに関心を置いてた。Waaterも同じスタンスだと思うし、そこがマッチして生まれたのがSPEEDかな。新しさを速さってワードに置き換えてると俺は解釈してる。
– 普段の日常において、どんなときに速さを感じますか?
3人:あらゆるとき(笑)。
truths:絶妙なフォント見つけて「このフォントは速すぎる」って言ったり。
Sion:悪いときも「これはちょっと速すぎる」って使う。
akiya:この前のMAX SPEEDで、PsychoheadsのヒトシがTシャツにネクタイを組み合わせてたのは速かった。
Sion:ネクタイはギリギリイケる速さ。俺がファッションを好きになったあたりの時代では究極にダサいスタイルだったけど。
truths:俺らにとっては懐かしいけど、ヒトシにとっては馴染みがないというか、新しいスタイルなんだろうね。 あのダサさが一周して速くてかっこいいものとして解釈できる時代がきてる、それがいい速さだな。
Sion:悪い速さっていうか、日本の2006.7年あたりの質感はまだちょっと速すぎる。
akiya:たしかに(笑)。でもWaaterはあの辺の時代にもう目を付けてるから。
truths:悪い速さっていうのは、遅すぎて速く見えてるだけなんだよね。たとえば、海外で2004年くらいにトレンドだった音楽を日本で2010年になってやってた人ってめっちゃいたじゃん。
akiya:でも速すぎるって悪いことじゃないんだよね。俺は褒め言葉として使ってるってか、リスペクトは込めてるしdisの要素はない。
truths:dis要素すらも速いって言い換えるとコミカルになるし、すごいピースフルな言葉だね。SPEEDはピースマインドを大事にしてるから。よくSPEEDのイベントでライブ中に激しいモッシュがあるけど、暴力性がすごい低い。ハードコアなモッシュよりか、女の子が入っても全然大丈夫なくらい自然に発生するふれあいみたいな。
akiya:俺らのやってる音楽でしかああいうモッシュが起きることあんまりないよね。
truths:SPEEDのモッシュは、 熱狂を保ちつつ不自然さがないというか、ここで激しくなって盛り上がります!みたいなお決まりごとじゃなくて、「なんかやばくない?」って自然にブチ上がる感じ。
Sion:今でこそ速さは自然発生するようになったけど、SPEEDみたいなシーンはずっと作りたいと考えてたな。バンドを始めてから1年くらい、Waaterとして地道にやってきてもどこか違う部分があって。 2019年になったあたりからNEHANNやThe Cabins、Psychoheadsとかのバンドが出てきたのもあって、WaaterだけではできなかったシーンをSPEEDでやっと構築できた。
truths:SPEEDも含め、今のシーンにクルー的な存在ってたくさんいるじゃん。 クルーはヒップホップ発祥のムーブメントだけど、それをバンドでもやったほうがいいとずっと思ってたんだよね。でも SUPER SHANGHAI BANDでやろうとしたときは、俺が思うようなかたちにはならなくて。Waaterに出会って、こいつらとならSPEEDとして一緒に面白いシーンを作っていけるって確信した。
– 速さに辿り着くまでの道のりは長かったんですね。現在に至るまで受けた影響はありますか?
truths:一言では言えないけど、ルーツは全員ロック。The Libertines、The Strokesあたりが根底にある。
akiya:みんな趣味バラバラだけどその辺は共通してるね。俺は70年代のパンクとかが好きで、中学生の頃Sionとよく話してた。親父がバンドやってたからちっちゃい頃からそういうの聴いたり、Youtubeでライブ映像とか見たりしてた。ああいう熱狂がSPEEDの原動力になってる。
Sion:Sex PistolsやThe Clashを1人で聴いてたときは、絶対に俺の周りにこんな音楽聴いてるやついない、日本で俺しかいないって思ってた。けど、試しに話しかけたakiyaは俺以上に知ってた(笑)。
truths:俺も中学のときロックなんて聴いてるの俺しかいなかった。最初レッチリから入ってて、GREEN DAYやParamore、ベタにジミヘンやツェッペリンも聴いて、中3になってThe Strokesあたりをめっちゃ聴いてた。友達はヒップホップが好きだったから、Eminemとかおすすめされて聴いてたし、昔からジャンル問わず聴いてたな。
Sion:周りのやんちゃなヤツらは聴いてたけど、俺はヒップホップは通らなかった。それで遊ばなくなったこともあったし。
truths:そんな時代もあったけど、今は音楽のジャンルを意識するよりかは、シーン・場所がどうなるかを想像して聴いてる。たとえば俺らのやってるパーティーも、音楽のジャンルじゃなくて理想の場所を設定して演者を集めるようにしてるし、自分が持ってる知見を総動員した結果がSPEEDだったりする。今の俺らはロック以外も好きだし、トラップやアンビエント、それこそガバだって聴く。
Sion:昔聴けなかった音楽も今は聴ける。俺はロックが好きというか、アーティストは遠い憧れの存在であってほしかったんだよね。あの頃の俺はヒップホップの存在や歌ってる内容が近すぎて苦手で。でも今はそういう寄り添ってくれる音楽の良さもわかるようになった。
truths:ヒップホップは生活の延長線上みたいな感じがしたもんね。ステージに上がった瞬間に人格が変わるようなロックスターの美学に俺らは憧れてたんだと思う。俺は福岡、Waaterは秋田ってつまんない場所の生まれだから。中学時代に1人でロック聴いてたようなやつらのマインドがそういうロックの美学にフィットした感じ。パーティーや場所を作るためにはジャンルレスでありたいけど、自分たちが押し出していきたいのはやっぱりロック。
– 一時期に比べ、昨今はロックの熱気が落ち着いているように感じています。現在のシーンでロックを押し出していきたい理由はなんですか?
truths:たしかに、今の時代に「何聴いてるの?」って問いに「ロック」って答えるとダサい。だからこそやってるかな。
akiya・Sion:速いから(笑)
truths:ダサいって言われてるからこそ今やりやすい。ロックは速さで言ったらピカイチでしょ。
category:FEATURE
2020/02/12
3月19日開催 〈速さ〉をキーワードに掲げ、Waater、Usの2バンドを筆頭に活動する「SPEED」が、3月19日(祝前日・木)に中野 heavysick ZEROにて「MAX SPEED」を開催。ありとあらゆる〈速さ〉の追求に挑む実験場として、2019年10月より幡ヶ谷Forestlimitにて毎月定期開催している「SPEED」の開催5回記念にあたり、今回は初のオールナイトイベントを決行する。 「MAX SPEED」には主催のWaater、Usをはじめ、NEHANN、Psychoheads、lIlI、YUZUHA (from YEN)、Gokou Kuyt、愛染 Eyezenのほか、奈良のコレクティブ・〈HEAVEN〉からRY0N4、Lil Soft Tennisがライブ出演。DJにはDJ HONEYPANTS、EUREKA (Negative Cloud) 、JACKSON kaki、Kotsu (CYK)、T R A S H 新 アイヨシを迎え、ジャンルやシーンの垣根を超える多彩なラインナップが出揃っている。 MAX SPEED 2020年3月19日(祝前日・木) at 中野heavysick ZERO OPEN / START : 23:00 CLOSE : 29:00 ADV : ¥2,500 / DOOR : ¥3,000 / U-23 : ¥1,500 ACT (A to Z) – LIVE – Gokou Kuyt lIlI Lil Soft Tennis NEHANN Psychoheads RY0N4 Us Waater YUZUHA (from YEN) 愛染 Eyezen – DJ
2019/12/05
1月29日開催 今年初め〈KiliKiliVilla〉よりアルバム『A NAME』をリリースしたバンドWOOMANが初の自主企画イベント「Destruct Session #1」を来年1月29日に下北沢シェルターで開催。昨日「K/A/T/O MASSACRE vol.250」に出演したWaaterをはじめ、NEHANN、Us、The Cabins、DJにはNaohiro Nishikawa、DUPPSYがラインナップされている。 この企画はWOOMANが音楽はもちろん活動スタンスに共感するバンド/DJを誘って開催するイベントなのですが、出演するバンドはほぼ20代前半のこれからやってくれそうな人ばかりブッキングしてます。彼らはまだシーンみたいなものに属していないまたはそれを作るくらいの次の世代の中心にいるバンドばかりだと感じていて、そんな彼らと一緒に上下も横も再生回数もフォロワー数でも無く、偏ったコミュニティやローテーションや概念や文化価値観を壊していきたい(ポジティブな意味で)という気持ちで本イベントを組みました。by WOOMAN —————————– WOOMAN Presents ”Destruct Session #1” 2020.1.29 wed VENUE 下北沢シェルター OPEN/START 18:00- ADV ¥2000 / DOOR ¥2500 Live: WOOMAN / NEHANN / Waater / Us / The Cabins DJ: Naohiro Nishikawa (Solitude Solutions) / DUPPSY ※チケット予約は vvomanmusic@gmail.com まで カタカナフルネーム、枚数を明記してお送りください。
2020/05/19
加速し続けるユースカルチャーの行き先 パンク・ロックシーンを賑わすのみならず、ユースカルチャーの新たな担い手として注目が高まる集団・SPEED。定期パーティーの主催やレーベルとしての発足、それだけでなく個としても様々な活動に精を出すSPEEDの速度にフォーカスし、メンバーのKen truths(Us)、akiya(Us / Waater)、Sion(Waater)の3人に話を訊いた。今回のインタビュー後編では、SPEEDの軸として新しいロックの波を巻き起こすUs・Waaterの2バンドの出会いから「速さ」のルーツを紐解いた前編に続き、彼らのスタイルの根底と加速し続けるSPEEDの行き先を探っていく。 Text by yukinoise Photo by Yui Nogiwa – 今の時代にロックはダサいとのことでしたが、SPEEDはアーティスト・オーディエンスどちらもファッショナブルな印象があります。SPEEDのファッション観について教えてください。 Sion:ファッション面ではコレクションを毎回チェックしてるんだけど、最近だとCELINEの2020年SSを見て意識変わったかも。今回のコレクションではフーディーやスニーカーもないし、確実に時代が変わるなって思った。 truths: ストリート系のブームもずっと続いてたけど、2015年くらいがピークでいまは徐々に落ち着いてきた感じがする。 Sion: ストリート系みたいなノリで、最近俺らは「ロック系」って言ってるね。 truths:そういう流れを踏まえたうえで、たんぽぽハウスで手繰り寄せる(笑)。 akiya:たんぽぽハウスには確実にある(笑)。 ※たんぽぽハウス:東京・千葉で展開されている古着店・リサイクルショップ Sion:ロック系全盛期の服ってたんぽぽハウスやメルカリくらいでしか売ってないしね。 truths:どこにもないというか、みんなが捨てちゃって本来は残ってないはずの服があるのがたんぽぽハウス。淘汰されきった時代の遺産みたいな服とかある。 akiya:たんぽぽハウスはディグが難しいからこそ燃えるね、今日着てる服もたんぽぽハウスで買ったやつ。 truths:たんぽぽハウスは1日でフルコーデ揃えられるくらい安いし、スピード感あるコーディネートできる場所だね。 – ファッションでも速さを大事にしているんですね。速さ以外にSPEEDが意識しているものはありますか? truths: SPEEDに重なる部分だと、イギリス最後のユースカルチャーって言われてるしニューレイヴをちょっと意識してるかも。あとは高校生の頃、2010年代のはじめあたりのネットレーベルとかを追っていたんだけど、やっぱりインターネット発祥だと実体がない部分があったんだよね。そこが面白さでもあったんだけど、どこか選民的にも見えた。そういうあのとき見たものから得た学びが、今SPEEDをやるうえでのヒントになってる。 – かつてのシーンから得たヒントをどのように活用してますか? truths: ユースカルチャーを意識してるのもあるし、クラブに行きにくい若い人にも来てほしいからSPEEDのパーティーは基本日曜日のデイでやってる。 名前の通りBPMが速い音楽ばっかり流れるパーティーだから、案外デイのほうがはっちゃけられる。それに終電で帰れるから次の日に影響も出ないし、むしろ月曜日の活力にもなる(笑)。 – 一方、先日のMAX SPEEDは初のオールナイトイベントでしたね。 truths:FREE RAVEやWWWβのイベントから受けた影響も大きいし、やっぱりSPEEDの原点にはナイトカルチャーがある。真っ当なバンドシーンにいて学んだこともあったけど、他のシーンも見たからこそ意識が変わったり反面教師になったりした部分もあるね。 – どのような部分が反面教師になっていますか? truths:イベントの組み方やライブの見せ方、空気感もそうだけど1番は転換DJの文化。転換DJってアーティストもオーディエンスも楽しくないし、たまにいい曲流れたらShazamされるくらいの扱いみたいなマインドが蔓延ってるとブッキングに対して甘えが出てきちゃうと思うんだよね。DJに限らずおまけみたいなブッキングは絶対にしたくない。当然のことだけど。 akiya:SPEEDは全員がメインだよね。 truths:2回目のSPEEDを開催したとき、あえて集客が見込めないようなアクトにしたとForestlimitのナパーム片岡さんにぼやいたら、「パーティーはいつも全開でしょ」って返されたことがあって(笑)。そこからはもう変な計算入れてる場合じゃない!って完全に振り切れた、からのMAX SPEEDに至る。 Sion:truthsはSUPER SHANGHAI BANDから全力だったな、あの頃も今のSPEEDでも全アクトにリスペクトや愛がある。 akiya:俺はそのSUPER SHANGHAI BANDのやり方に衝撃受けた。 truths:全員楽しくいたいってのは今でも変わってないね。 Sion:その同じマインドで、WaaterはSPEEDとは逆にクラシカルにロックバンドだけ集めたパーティーをやってる。エントランス1000円でも、ロックバンドで1番かっこいいパーティーをやれるのは俺らしかいない。 truths:Waaterはあえてひとつのカルチャーを大事にしてるし、1000円でやるってのもエントランス代というよりか、そのままアーティストのサポートに繋がるのがわかって面白い。アクトとオーディエンスの距離とか関係なく参加して楽しめる感じがする。 – SPEED所属のアーティスト、Psychoheads、Yuzuhaについて教えてください。 truths:たしかWaaterのinstagramアカウントをPsychoheadsがフォローしてきたんだよね。WaaterのDNAを感じるバンドがいる!って去年の夏あたりに盛り上がった。 Sion:まずはライブを観てから俺らのイベントに誘おうと思ってんだけど、その前にNEHANNの自主企画で対バンになったっていう。 akiya:NEHANNの企画でいざ会ったらばっちりハマったな。アーティスト写真も19歳でこんな尖った音楽やってるのもかっこいいと思ってたし、Soundcloudもちゃんとチェックしてたしね。 truths:Yuzuhaは関西のバンド・YENのボーカル。去年の秋くらいにSionからYuzuhaのソロ曲が送られてきたんだけど、聴いた瞬間めっちゃ食らって(笑)。「俺らSPEEDってパーティーやレーベルをやっていくから、うちで出してほしい」って曲聴いた5分後くらいに電話して、いろいろ話し合ったうえでSPEEDからリリースする流れになった。 – 今後はレーベルとしての活動に力を入れていくのでしょうか。 truths:そうだね。SUPER SHANGHAI BAND時代もWaaterも他のレーベルからリリースしたけど、ちょっとフィットしないところもあって。ちゃんとした大人と一緒に作業するほうがいいときもあるけど、俺らのスタイルには合わないなって感じてた。確実に良いものが作れる自信とお互いの信頼関係があるからこそ、自分たちでレーベルやっていこうと思ってる。 akiya:でもPsychoheadsやYuzuha、俺たちもSPEED所属といえど、ある程度のライン引きはしていくつもり。 Sion:4組ともそれぞれ別の魅力があるし、違うところにアプローチもできる実力もある。 truths:全員感覚は共有してるけど目指してるものはちょっとずつ違うし、自分を先行するのは各々であるべき。SPEEDがなくてもひとりひとり戦っていけるだけのポテンシャルを持っている、そんなやばいアーティストが集まってこそのSPEEDだね。 – 緊急事態宣言に伴い延期となってしまいましたが、SPEEDではなくUs・Waaterとしてそれぞれが発表した自主企画について教えてください。 truths:SPEEDで培ったものをいったん各々のフィルターを通して、いけるとこまでいってみましょうってのが今回の自主企画。 Sion:Waater Houseは去年から始めた自主企画の最終回。初回からDaydream吉祥寺でやってるんだけど、2回目のWaater Parkですらギリギリのキャパで開催が難しくなってきたから、今回を最後にしてグッチャグチャにするつもりだった。 truths: 気合入ったメンツそろえたよね。アクトのAmerican Dream Expressなんてここ50年のロックをいいとこどりしたいうか、ロックのベスト盤みたいなバンドだと思う。 Sion:WaaterがAmerican Dream Expressのイベントに誘ってもらったときかなり良くて、俺らの企画だったらもっと盛り上がるなと思ってブッキングした。The Cabins、NEHANNは前回出たけど、最終回にも絶対出てもらいたくて呼んだ。この2組もWaater Parkで意識変わったらしいし、シーンがほっとかないくらいかっこいいと思う。 Sion:The Tivaは女の子ふたり組のバンドなんだけど、とにかく曲がいい。そういうかっこいいバンドを持ってくるのが俺らの仕事でもあるから、アクトもオーディエンスも踊れるようなコンセプトで楽しいパーティーをやっていくつもり。俺は中学生のときから踊るためにライブ行ってたし、座って観るような音楽もやってない。非日常的な、発散する気持ちよさをライブやパーティーに求めてる。 akiya:Daydream吉祥寺はフロアライブ形式だから、オーディエンスとの距離も近くて踊りやすい環境だし、Waaterに合ってる場所だよね。Waater HouseはこれまでのWaater Parkのおさらいというか、総集編みたいなコンセプトかもしれない。 truths:Usのパーティーも結構コンセプチュアルだよ。RY0N4、Beawear、the McFaddin、みんな95年で同い年。このアクトはそれぞれバンドシーンには所属してるけど、全員個が強くてやりたいことがはっきりしてる。広いバンドシーンの中でも、俺らはトラップとJ-Popくらい違うってのを今回の企画で見せたかった。 – 95年世代にフォーカスしたのはどうしてですか? truths:Usも含め、今回出演する1995年生まれのアクトは全員未来の音楽をやってるアーティスト。セールス的にまだ伸びてないけど、これから必ず来る音楽をやってると確信してる。これまでのシーンでは、Vaporwaveやシティポップみたいに過去の郷愁に浸るというか、かつての場所に逃避するような流れがあった。こんな暗い世の中だからってのもあるけど、そもそも俺ら1995年世代って阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件が起きた年に生まれて、中学の卒業式では東日本大震災があった。そんな時代を生きてきたやつらが過去を振り返っても気持ちいいわけないし、だったら気持ちよくなれる場所、輝いてる未来に向かった方がリアルだと思う。だから1995年の未来、100年後の2095ってタイトルにした。 – 今後、SPEEDとしてやっていきたいことがあれば教えてください。 truths:いつかデカめの祭りとかしたい(笑)。MAX SPEEDでアンダーグラウンド勢は取り込めた気がするから、これからはもう少しマスでライトな層も巻き込んでいくつもり。 Sion:ハウスもやりたいな。親がハウスのDJだったのもあってずっと聴いてきたし、ハウスって案外ロック系と合うと思う。 truths:同じ世代だとCYKも熱いしね、マンチェスターのムーブメントあたり見てるとロックとハウスは地続きのカルチャーって感じする。 akiya:もっと大きく人を巻き込んでいったとしても、俺はUsとWaaterどっちでもいい曲を作り続けたい。わりとそれだけかも。 – SPEED info – Ken truths – ”wrong world” link :
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