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SPEED interview 後編

加速し続けるユースカルチャーの行き先

 

 

パンク・ロックシーンを賑わすのみならず、ユースカルチャーの新たな担い手として注目が高まる集団・SPEED。定期パーティーの主催やレーベルとしての発足、それだけでなく個としても様々な活動に精を出すSPEEDの速度にフォーカスし、メンバーのKen truths(Us)、akiya(Us / Waater)、Sion(Waater)の3人に話を訊いた。今回のインタビュー後編では、SPEEDの軸として新しいロックの波を巻き起こすUs・Waaterの2バンドの出会いから「速さ」のルーツを紐解いた前編に続き、彼らのスタイルの根底と加速し続けるSPEEDの行き先を探っていく。

 

Text by yukinoise

Photo by Yui Nogiwa

 

 

– 今の時代にロックはダサいとのことでしたが、SPEEDはアーティスト・オーディエンスどちらもファッショナブルな印象があります。SPEEDのファッション観について教えてください。

 

Sion:ファッション面ではコレクションを毎回チェックしてるんだけど、最近だとCELINEの2020年SSを見て意識変わったかも。今回のコレクションではフーディーやスニーカーもないし、確実に時代が変わるなって思った。

 

 

truths: ストリート系のブームもずっと続いてたけど、2015年くらいがピークでいまは徐々に落ち着いてきた感じがする。

 

Sion: ストリート系みたいなノリで、最近俺らは「ロック系」って言ってるね。

 

 

truths:そういう流れを踏まえたうえで、たんぽぽハウスで手繰り寄せる(笑)。

 

akiya:たんぽぽハウスには確実にある(笑)。

 

※たんぽぽハウス:東京・千葉で展開されている古着店・リサイクルショップ

 

Sion:ロック系全盛期の服ってたんぽぽハウスやメルカリくらいでしか売ってないしね。

 

truths:どこにもないというか、みんなが捨てちゃって本来は残ってないはずの服があるのがたんぽぽハウス。淘汰されきった時代の遺産みたいな服とかある。

 

akiya:たんぽぽハウスはディグが難しいからこそ燃えるね、今日着てる服もたんぽぽハウスで買ったやつ。

 

 

truths:たんぽぽハウスは1日でフルコーデ揃えられるくらい安いし、スピード感あるコーディネートできる場所だね。

 

– ファッションでも速さを大事にしているんですね。速さ以外にSPEEDが意識しているものはありますか?

 

truths: SPEEDに重なる部分だと、イギリス最後のユースカルチャーって言われてるしニューレイヴをちょっと意識してるかも。あとは高校生の頃、2010年代のはじめあたりのネットレーベルとかを追っていたんだけど、やっぱりインターネット発祥だと実体がない部分があったんだよね。そこが面白さでもあったんだけど、どこか選民的にも見えた。そういうあのとき見たものから得た学びが、今SPEEDをやるうえでのヒントになってる。

 

 

– かつてのシーンから得たヒントをどのように活用してますか?

 

truths: ユースカルチャーを意識してるのもあるし、クラブに行きにくい若い人にも来てほしいからSPEEDのパーティーは基本日曜日のデイでやってる。 名前の通りBPMが速い音楽ばっかり流れるパーティーだから、案外デイのほうがはっちゃけられる。それに終電で帰れるから次の日に影響も出ないし、むしろ月曜日の活力にもなる(笑)。

 

– 一方、先日のMAX SPEEDは初のオールナイトイベントでしたね。

 

truths:FREE RAVEやWWWβのイベントから受けた影響も大きいし、やっぱりSPEEDの原点にはナイトカルチャーがある。真っ当なバンドシーンにいて学んだこともあったけど、他のシーンも見たからこそ意識が変わったり反面教師になったりした部分もあるね。

 

– どのような部分が反面教師になっていますか?

 

truths:イベントの組み方やライブの見せ方、空気感もそうだけど1番は転換DJの文化。転換DJってアーティストもオーディエンスも楽しくないし、たまにいい曲流れたらShazamされるくらいの扱いみたいなマインドが蔓延ってるとブッキングに対して甘えが出てきちゃうと思うんだよね。DJに限らずおまけみたいなブッキングは絶対にしたくない。当然のことだけど。

 

akiya:SPEEDは全員がメインだよね。

 

truths:2回目のSPEEDを開催したとき、あえて集客が見込めないようなアクトにしたとForestlimitのナパーム片岡さんにぼやいたら、「パーティーはいつも全開でしょ」って返されたことがあって(笑)。そこからはもう変な計算入れてる場合じゃない!って完全に振り切れた、からのMAX SPEEDに至る。

 

 

Sion:truthsはSUPER SHANGHAI BANDから全力だったな、あの頃も今のSPEEDでも全アクトにリスペクトや愛がある。 

 

akiya:俺はそのSUPER SHANGHAI BANDのやり方に衝撃受けた。

 

truths:全員楽しくいたいってのは今でも変わってないね。

 

Sion:その同じマインドで、WaaterはSPEEDとは逆にクラシカルにロックバンドだけ集めたパーティーをやってる。エントランス1000円でも、ロックバンドで1番かっこいいパーティーをやれるのは俺らしかいない。

 

truths:Waaterはあえてひとつのカルチャーを大事にしてるし、1000円でやるってのもエントランス代というよりか、そのままアーティストのサポートに繋がるのがわかって面白い。アクトとオーディエンスの距離とか関係なく参加して楽しめる感じがする。

 

– SPEED所属のアーティスト、Psychoheads、Yuzuhaについて教えてください。

 

truths:たしかWaaterのinstagramアカウントをPsychoheadsがフォローしてきたんだよね。WaaterのDNAを感じるバンドがいる!って去年の夏あたりに盛り上がった。

 

 

Sion:まずはライブを観てから俺らのイベントに誘おうと思ってんだけど、その前にNEHANNの自主企画で対バンになったっていう。

 

akiya:NEHANNの企画でいざ会ったらばっちりハマったな。アーティスト写真も19歳でこんな尖った音楽やってるのもかっこいいと思ってたし、Soundcloudもちゃんとチェックしてたしね。

 

truths:Yuzuhaは関西のバンド・YENのボーカル。去年の秋くらいにSionからYuzuhaのソロ曲が送られてきたんだけど、聴いた瞬間めっちゃ食らって(笑)。「俺らSPEEDってパーティーやレーベルをやっていくから、うちで出してほしい」って曲聴いた5分後くらいに電話して、いろいろ話し合ったうえでSPEEDからリリースする流れになった。

 

 

– 今後はレーベルとしての活動に力を入れていくのでしょうか。

 

truths:そうだね。SUPER SHANGHAI BAND時代もWaaterも他のレーベルからリリースしたけど、ちょっとフィットしないところもあって。ちゃんとした大人と一緒に作業するほうがいいときもあるけど、俺らのスタイルには合わないなって感じてた。確実に良いものが作れる自信とお互いの信頼関係があるからこそ、自分たちでレーベルやっていこうと思ってる。

 

akiya:でもPsychoheadsやYuzuha、俺たちもSPEED所属といえど、ある程度のライン引きはしていくつもり。

 

Sion:4組ともそれぞれ別の魅力があるし、違うところにアプローチもできる実力もある。

 

truths:全員感覚は共有してるけど目指してるものはちょっとずつ違うし、自分を先行するのは各々であるべき。SPEEDがなくてもひとりひとり戦っていけるだけのポテンシャルを持っている、そんなやばいアーティストが集まってこそのSPEEDだね。

 

– 緊急事態宣言に伴い延期となってしまいましたが、SPEEDではなくUs・Waaterとしてそれぞれが発表した自主企画について教えてください。

 

truths:SPEEDで培ったものをいったん各々のフィルターを通して、いけるとこまでいってみましょうってのが今回の自主企画。

 

Sion:Waater Houseは去年から始めた自主企画の最終回。初回からDaydream吉祥寺でやってるんだけど、2回目のWaater Parkですらギリギリのキャパで開催が難しくなってきたから、今回を最後にしてグッチャグチャにするつもりだった。

 

 

truths: 気合入ったメンツそろえたよね。アクトのAmerican Dream Expressなんてここ50年のロックをいいとこどりしたいうか、ロックのベスト盤みたいなバンドだと思う。

 

 

Sion:WaaterがAmerican Dream Expressのイベントに誘ってもらったときかなり良くて、俺らの企画だったらもっと盛り上がるなと思ってブッキングした。The Cabins、NEHANNは前回出たけど、最終回にも絶対出てもらいたくて呼んだ。この2組もWaater Parkで意識変わったらしいし、シーンがほっとかないくらいかっこいいと思う。

 

 

 

Sion:The Tivaは女の子ふたり組のバンドなんだけど、とにかく曲がいい。そういうかっこいいバンドを持ってくるのが俺らの仕事でもあるから、アクトもオーディエンスも踊れるようなコンセプトで楽しいパーティーをやっていくつもり。俺は中学生のときから踊るためにライブ行ってたし、座って観るような音楽もやってない。非日常的な、発散する気持ちよさをライブやパーティーに求めてる。

 

 

akiya:Daydream吉祥寺はフロアライブ形式だから、オーディエンスとの距離も近くて踊りやすい環境だし、Waaterに合ってる場所だよね。Waater HouseはこれまでのWaater Parkのおさらいというか、総集編みたいなコンセプトかもしれない。

 

truths:Usのパーティーも結構コンセプチュアルだよ。RY0N4、Beawear、the McFaddin、みんな95年で同い年。このアクトはそれぞれバンドシーンには所属してるけど、全員個が強くてやりたいことがはっきりしてる。広いバンドシーンの中でも、俺らはトラップとJ-Popくらい違うってのを今回の企画で見せたかった。

 

 

 

– 95年世代にフォーカスしたのはどうしてですか?

 

truths:Usも含め、今回出演する1995年生まれのアクトは全員未来の音楽をやってるアーティスト。セールス的にまだ伸びてないけど、これから必ず来る音楽をやってると確信してる。これまでのシーンでは、Vaporwaveやシティポップみたいに過去の郷愁に浸るというか、かつての場所に逃避するような流れがあった。こんな暗い世の中だからってのもあるけど、そもそも俺ら1995年世代って阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件が起きた年に生まれて、中学の卒業式では東日本大震災があった。そんな時代を生きてきたやつらが過去を振り返っても気持ちいいわけないし、だったら気持ちよくなれる場所、輝いてる未来に向かった方がリアルだと思う。だから1995年の未来、100年後の2095ってタイトルにした。

 

 

– 今後、SPEEDとしてやっていきたいことがあれば教えてください。

 

truths:いつかデカめの祭りとかしたい(笑)。MAX SPEEDでアンダーグラウンド勢は取り込めた気がするから、これからはもう少しマスでライトな層も巻き込んでいくつもり。

 

Sion:ハウスもやりたいな。親がハウスのDJだったのもあってずっと聴いてきたし、ハウスって案外ロック系と合うと思う。

 

truths:同じ世代だとCYKも熱いしね、マンチェスターのムーブメントあたり見てるとロックとハウスは地続きのカルチャーって感じする。

 

akiya:もっと大きく人を巻き込んでいったとしても、俺はUsとWaaterどっちでもいい曲を作り続けたい。わりとそれだけかも。

 

 

– SPEED info –

 

 

Ken truths – ”wrong world” 

link : https://linkco.re/b4F5m4AP

 

Tracklist

01 runway

02 iiningen feat.RY0N4

03 laid back

 

 

 

Waater – “frozen”

 

Tracklist

1. Intro

2. Nightless

3. Break Your Heart

4. Give

5. I Cant See You Anymore

6. Gone

7. I Dont Mind

8. Illusionary

9. Lonely

10. Bed

11. The Other Way

12. Untitled5

13. Untitled10

14. Lose Your Mind

15. July

16. All F0r You

17. 12

18. Without You

19. Nobody Knows

20. Snow Shadow

21. Flow

22. Last Party

23. Untitled7

24. Demo49

25. Pretend

26. S

27. Charlatan

28. In Your Room

29. Car

30. Untitled6

31. The Parade

32. End

 

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