TYOSiN Interview

アンダーグラウンドから更新される日本のシーン。

 

Photo by Norihito Hiraide

 

アンダーグラウンドは、常にオーバーグラウンドよりも先に新しいムードを持ってシーンを形成している。楽曲のクオリティが海外と同水準だと盛り上がるのはもう過去の話題で、先端で活動するローカルのアーティストは国境やコミュニティのボーダーを崩して、まだ見ぬ地平へと着実に進んでいる。現在どのジャンルにおいてもそのように海外の先端のシーンとフラットに繋がり活動する日本国内のアーティストは増えている。トラップ/ヒップホップに関しても例外ではなく、TYOSiNはその筆頭と言っても過言ではない活動を国内外で展開している。以前は、KiD NATHANとして活動していたTYOSiNのこれまでの活動を振り返りつつ、現在と未来についても語ってもらった。今回インタビュワーには自身もLSTNGTとして音楽活動を行うKenji Komineを迎えて、さらにレーベル「黎 KUROI」のNevalOneも同席し、都内でインタビューを行った。

 

Interviewed by Kenji Komine

 

 

– 世代的なところが謎だったのですが年齢をお伺いしてもいいでしょうか。TYOSiNは兄貴的な感じで慕われてるイメージがあって。それに『SPACE PARANOID』の時の1曲目にゆとり第一世代って歌詞があって、ずっとそれが私の中で引っかかってました。私は今30歳なんですけど近い世代なのかなと。そして、池袋BEDに辿り着いた歴史を教えてください。

 

TYOSiN – 87年生まれで今年32歳です。たぶん、見た目がこういう感じなんでみんな混乱してるんだと思うんですよ。最初、18歳の時にニュージーランドに留学して、その時に向こうのクラブでヒップホップっていうものに出会って。当時はエミネムとかっすかね、あとアッシャーとか、そういうクラブミュージックを聞いてました。でも、まだガキだったんで、ヒップホップがどうっていうよりも、とりあえずモテたいなと思って始めたのがきっかけですね。日本語ラップも知ってて、キングギドラとか中学生の時に聴いてたんすけど、やっぱり海外のヒップホップとは違うなと思ってて。日本帰ってきて、独学で何から始めたらいいんだろうってところで、まずビートが必要だなと思って、Logic買ってビートを作り始めたんです。で、最初は知り合いにビートを提供してました。でも、自分の想像してる曲にはならなかったんで、じゃあ今度自分がラップしてみようかなって思ってやり始めたのが21、22歳ぐらいかな。その当時、友達が「URAWAZA」っていうBEDのパーティーに出てて、それを観てステージ立ちたいなと思い始めて。ただ、その時はけっこう遊びでやってたっていうか、女の子とばっか遊んでたんで、あんまり本気でやってなかったですね。

 

– その時は自分のビートでも歌ってたんですか?

 

TYOSiN – 自分のビートもあるし、拾ったものとか。で、だんだん本気になってくると、一緒にやってる周りの友達への要求がどんどん強くなってきちゃって。自分が求めてるものに全然遠かったんで、それに近づけるために友達に対してもっとこうしてほしい、っていうのが強くなって。そうすると音楽やってて面白くなくなってきちゃう。だったらソロでやろうかなと思ってソロでやり始めたんですね。そっから本気でやり始めた。それが、いつでしたっけ?

 

NevalOne – 5年前ぐらいかな。

 

TYOSiN – そこでちゃんとやろうと思って平日のイベントとかも出始めた。けっこうそこが自分の中ではスタートかなと思ってます。

 

– ワンさん(NevalOne)とはもう出会ってたんですか?

 

NevalOne  – そうですね。で、俺の中では、はっきりこの日から「あ、変わったな」って瞬間はありましたね。

 

– といっても、まだ「BLOCK」よりも前ってことですよね?

 

NevalOne  – 「BLOCK」より前も一緒にイベントはやってたんです。オーガナイザーは僕じゃなかったですけど。その時はソロじゃなかったもんな。

 

TYOSiN – その時に渋谷でライブで出たりしてたすけど、違ったっすね。やっぱ合わなかったんです。

 

– どういうところがですか?

 

TYOSiN – 全体的にかっこよく見られたいってのがあったんで。グループでやってると、自分だけがかっこよく出来ても意味がないんですよ。さっきも言ったけど、それでソロ始めて作品をまず出して、どれぐらいの今の自分でいけるのかなっていうのを確かめたかった。audiomackでしたっけ?その時サンクラじゃなかったんですけど、フリーで出して、ビデオも自分らで撮って出したんすよ。それがシーンの人に目について、渋谷のほうでマネージメントみたいな人がついたんですよ。「Blue Magic」とかに出始めたりもしました。で、俺は芸能人になりたくなくて、アーティストとしてパフォームしたかったんですけど、やっぱシーンの人たちが大事なのって、もちろん音源とかも大事だと思うんすけど、タレント性とか音源以外の事が大事だと思うんすよ。商業的な理由からだと思うんすけど。それに合わせてると違かったんですよね。BEDのシーンが自分の中にずっとあったんで、リアルじゃないのにリアルっぽいことをリリックに入れたりとか、そういうのが許せなかったんすよね。それで衝突して渋谷から1回離れました。そのきっかけで「BLOCK」始めようかってなったんです。

 

Photo by Norihito Hiraide

 

– 今のお話を聞いていると、これまでの経緯がなんとなく理解できるのですが、何故BEDだけでメインのイベントとしてやってたんだろうって思いました。もちろん自分の周りのクルーで携わってるってのは分かってたんですけど、いわゆるVisionとかでやるようなイベントとか出れるぐらいやってるのになんでだろう、というのがずっとあって。それは今のお話でなんとなく見えてきた感じがするんですけど、全然知らない人からすると、何者なんだっていう感じがまだあると思うんですね。

 

TYOSiN – Visionとかそういうでかい箱とかでやるイベントって、だいたいシーンが絡んでるんで。はっきり言っちゃうと、嫌われてたのかなっていう感じっすね。実際そういう話も耳にはしてたんで。

 

– シーンに嫌われてた?

 

TYOSiN – そういう人を怒らしたっていうよりか、俺がケンカふっかけただけなんすけど。当時は尖ってたので気に入らない事があると我慢出来ずにはっきり口に出しちゃったりしました。今その当時の事を考える事も無くなりましたけど、あの時に出会った人達には感謝してますね。ああいう過去があったから今の自分が出来上がったし、あのままトントン拍子で事が進んでたらTYOSiNは存在していないと思います。リスナーもなんでネイサンこのイベントで入ってないんだろう、とかっていうのがあると思うんです。それに対して俺はあまり悲観的に思ってなくて、出さざるを得ない状況を作るしかないなと思ってるし、そういうメンタルと覚悟で「BLOCK」もやってきたんです。BEDでどれだけ上がれるかっていうのが自分の中では渋谷で上がるよりもすごく楽しかったですね。ただ、自分のファンは「もっと売れてほしい」とか思ってくれていると思うので、そういう意味では期待に応えられていない部分のが多いし、申し訳ないなとは思ってます(笑)

 

– 歌詞でも、豊島区というワードが出てきますが、その辺りに住んでたんでしょうか?

 

TYOSiN – そうっすね。大塚っていう池袋の隣の駅に住んでて、だからライブの時とかタクシーで行ってタクシーで帰ってっていう。BEDって東京の箱で一番アンダーグラウンドを代表する箱だなって思ってて。かつ、ヒップホップっていうジャンルに一番ハマる箱なんじゃないかなと。もちろん渋谷でもイベントはやってたりするけど、ヒップホップの箱かって言ったら、たぶんそうじゃない。俺はBEDがヒップホップの箱だなって思ってたからやりたかったっていうのもデカイです。そのバイブスを渋谷に持ってくると、渋谷のお客さんはたぶん引いちゃうんすよ。ヒップホップを聴きに来てるというよりも、パーティーの華やかさとか、お客さんがどれだけパーティーできるかっていう部分なのかなと思うし。もちろん集客も大事なんすけど、集客がある人間を呼んでもその人間がライブがうまいかどうかってのは別の話じゃないすか。集客もあってライブも間違いないっていうパーティーを「BLOCK」で作りたかったんです。で、始めた時に、当時クラウドラップとかトラップがまだ全然日本で浸透してなかった頃だったんで、だからこそ、それをやっていこうと。当時、Cold RoseDemon setoとか、やっぱあの辺が日本でも一番面白いのかなと思って。最初に呼んだのも彼らでしたっけ?

 

NevalOne – 一番最初にゲストで呼んだのは「Ice Cold City」出たばっかぐらいの頃のkiLLaだったね。Jin Doggを最初呼んだ時は全然有名じゃなかったですけど、最初っからかましてましたね。

 

– KID NATHAN名義の時に音楽的にガラっと変わったのって、Cold Roseさんと一緒にやった『呪』のEPじゃないかなと思うのですが。それまでに比べるとトラップ/クラウドラップの要素がかなり出てきた感じがしたんすけど、あの頃もトラックは作ってたんですか?

 

TYOSiN – 最初のソロで出したフリーの作品以降は、自分でビート作ってると時間的に追いつかなかったんで、それからは他の人にお願いしてやり始めてますね。

 

– プロデューサーを選ぶ基準とかってありますか?最近はビートも売ってたりするじゃないですか。最初の頃とかってどうしてたんでしょうか?

 

TYOSiN – 最初の頃はほんと拾いもんすよ。YouTubeとかで探して自分がフィールするビートを選んでやってたっていうだけ。アーティストって自分に求められてるものと自分がやりたいものと違うと思うんですよ。それどっちかに寄せすぎてもバランスが悪くなって極端になってきちゃうので、当時チョイスがすごく難しかったんすよ。『COMPLETE COSMO』に入ってるJinmenusagiをフィートで入れてやった「意識ハ、冴エテ」って曲、俺の中ではトラックとしてはあんまないっていうか、どっちかっていうとメインストリームに近い音楽だったんす。ただ、メインストリームでもできるんだっていうのをリスナーの人たちに分かってもらわないと、こっちに目が向かないなっていうのも分かってたんで。それで「意識ハ、冴エテ」を作って、フィートを誰がいいかなって思った時に、真っ先にJinmenusagiだなと思ったんすよ。そしたらバズってくれて、リスナーも増えて。ただ、俺に目を向けてくれるメインストリームを聴いてるお客さんが求めてるものは分かってたけど、俺のやりたい音楽はそれじゃなかったんで、そっからトラップに移行してくのが一番難しかったです。

 

 

NevalOne – でも「意識ハ、冴エテ」のすぐ後に「Tokyo Trap」とか出したよね。

 

TYOSiN – 反応を見たかったというか。『意識ハ、冴エテ』を聴いた人が「Tokyo Trap」を聴いてどう思うのかっていうのを見たかったし、それでもついてきてくれる人たちが喜ぶ音楽をもっと作れるなと思ってて。逆にそれで離れてく人は自分の好みではないのかなっていうのも分かったし。やっぱ全員を自分に目を向かせるっていうのは難しいと思うんで、自分の音楽を好きって言ってくれる人たちをどんどん増やしていくしかない状況だった。特にシーンからは見放されてたというか、あまりいい仕事とかもらえなかったんで、自分で一から作ってくしかないっすよね。

 

– 「Tokyo Trap」のPVとかも、池袋北口の辺りの商店街ですよね?

 

TYOSiN – はい。今もう有名ですけど監督がSpikey Johnで、あれは彼の初めての作品だったんですよ。「意識ハ、冴エテ」の時に、当時kiLLaを撮ってたレンっていう子のアシスタントで来てて。当時からすげえ変わったやつで、アシスタントで来てんのに、「カメラ撮っていいすか、カメラ撮っていいすか」って、ほんとにカメラ小僧みたいなやつで。まだ18歳とかだったと思うんですけど。こいつなんか面白いなと思って、こういう曲あるんだけど今度撮らない?って撮ったんすよ。その時あいつの作品とか1回も見たことなくて、あいつも撮ったことないっ言ってて。まぁいいや、やってみようぜ、ってやったら、あのビデオが生まれて。こいつやべえなと思って。

 

 

NevalOne – Spikey初めて会った時に髪の毛赤くしてて、手も真っ赤だったんです。PVの演出上でやってんのかなと思ったら「素手で髪染めたらこうなっちゃいました。」って言ってて、まじこいつおかしいなって。

 

TYOSiN – 変人すね。

 

– 私自身も池袋に馴染みがあるので観ててめちゃくちゃ池袋を感じました。ちょっとタイミングずれるかもしれないのですが、ACE COOLの「鏡花水月」のビデオも、池袋大橋とその下の神社がけっこう映ってて、観てて嬉しかったです。

 

TYOSiN – あの時は特に池袋をRepするっていうのがすごく強かったかもしんないです。やっと自分が知名度が上がってきたところだったんで。海外のアーティストとかもそうすけど、ブロック(地区)を推してるというか、自分の地元でビデオ撮るじゃないすか。今ではそういうのがだいぶ浸透してるすけど、当時日本のラッパーって東京出てきてなんぼみたいなところがあったんです。でも、別にブロックごとに違うヒップホップの音楽があっていいんじゃないかなって思ってて。例えば東京はこういうジャンル、大阪はこういうジャンルとか、福岡はこういうジャンルみたいのであるのが、ヒップホップのマーケットがもっと広くなるやり方なんじゃないかなと思ってたんすけど、やっぱり東京来ないと稼げないとか、知名度上がらないっていうのが現状なのが分かってるんで、東京で音楽やっていくにあたって、渋谷よりも池袋のほうが面白いなと思って。池袋にスポットあてたラッパーって、アンダーグラウンドの人たちやオールドスクールの人が多いんですけど、池袋でトラップをやってるっていうだけですごいワクワクするし面白いなって。ただ、BEDは難点があるんすよね、渋谷はクラブはしごできるんすけど、池袋来たらBEDしかないから。

 

NevalOne – 良し悪しだけどね。来たら帰れないから、ずっといてくれるってのはあるけど。でも、あの時期に池袋でトラップのイベントはタイミングすごく良かったと思うよ。(TYOSiNが)「BLOCK」って名前も考えて、第1回目のフライヤーも自分でデザインしたもんね。

 

Photo by Norihito Hiraide

 

– これまでBEDの箱の雰囲気も含めて「BLOCK」をやってきたと思うんですけど、先日BEDが閉店してしまいました。新しい「BLOCK」についてはどう考えてますか。

 

TYOSiN – 自分の本心としては、やっぱBEDじゃなきゃ意味がないってのが今でもあるんです。だから別物というか、「BLOCK」なんだけどもう違う「BLOCK」。渋谷は渋谷なりのやり方もあると思うんで、池袋でやってたやり方は渋谷では通用しないし、同じことやっててもつまんないんで、全く別物のイベントとして俺は考えています。

 

– 今後の展望については後でまた聞きたいと思います。話は変わりますが、去年A-THUGさんのEP『PLUG』に共演した「DEVILS LINE」が収録されましたよね。私の知人でハードコアパンク周辺にいる人たちもヒップホップシーンと繋がってる方が多くて、WDsoundsのイベントに行ってる人たちは結構いました。そしてDMFが好きな人も多くて、私がKID NATHANに出会った時に、こっちも聴きなよって言われて教えてもらってたんです。だから、ここに来て合流したというか、それまでDMFが出るイベントにしか行ってなかった人たちも「BLOCK」行くようになったりしましたし。単純に池袋BED周りだから繋がっていったというので分かるんすけど、どういうふうにA-THUGさんと交流が始まったのでしょうか。

 

TYOSiN – 自分がBEDで認められてくるようになったら、BEDのイベントにもちょくちょく呼ばれるようになって。だいたいBEDのイベントってDMFとか出てるんで、そこで自分のライブとかを見てくれてて、A-THUGさんのほうから声かけてくれたんです。お前やべえな、みたいな。今度一緒にやろうよみたいになって、あの曲ができました。結局Recした時も、2時間ぐらい遅れて来てブース入って、ものの2、3分ぐらいでフック作って、よし出来た!みたいな。それも含めてA-THUGさんだなっていうのをあの曲で実感したっすね。

 

– A-THUGさんが、KID NATHANやCurse Boyzについて話をしているYouTubeのインタビュー動画がありますよね。それもけっこう前ですよね。

 

TYOSiN – そうっす。あの時は、もう俺は曲送ってましたね。

 

NevalOne – でもやると思わなかったね。できると思わなかった。

 

– それはどういう理由で?

 

NevalOne – いや、逆にあそこまで柔軟な感じだと思わなかったっすね。ここまで音楽だと対等に接することできるんだと思って、すげえと思ったっすね。リスペクトじゃないですけど、ほんとに音楽好きなんだなって。

 

 

– ワンさんも「DEVILS LINE」のビデオ出てますよね。

 

NevalOne – 川崎の駅前で1、2時間待たされたよね。ほんとに来んのかなっ言ってたら、コンビニ袋ぶら下げて来た(笑)でもあんだけちょっとしか接してないけど魅力は半端ないよね。

 

TYOSiN – そうっすね。1回会ったら絶対記憶に残るような人っすね。

 

NevalOne – 嫌いにはなんないと思う。一緒になんかやったりとかも大変だけど、その労力を使いたくなるような人だよね。

 

– KID NATHAN、TYOSiNのfeat.関連でいうと、特にこの1年半ぐらいでめちゃくちゃ増えた気がしてます。例えばGOBLIN LAND、韓国のStarexクルー、あともっと違うところでDJ KEN KANEKOはびっくりしました。まずアルバムの人選もそうですし、どこで繋がってるんだろうと。

 

TYOSiN – あんまりそういうの考えないっていうか、やりたかったらやるっていう感覚でいつもやってます。DJ KEN KANEKOに関しては、曲とか客演のチョイスはNATHANくんに任せるっていうふうに言われたんで、かっこいい曲作れればいいかなと思って。Starexに関しては、SKOLORが「Futuristic Swaverってやつがいるんだけど、曲一緒にどう?」って『YABAI』が送られてきて、聴いたら、かっこいいじゃんやろうよってなって。それもちょうど韓国行く予定だったんで、行ってPV撮って、Starexもその時に知りました。今韓国でもかなり人気出てきてるクルーすね。フィートは会ったことなくても、曲がかっこよければあんまり断んないですね。基本的にデータのやり取りだけで会った事ないっていうのはけっこうあります。

 

 

NevalOne – 今の若い人はこんな感じなんじゃないんですか。それこそ海外のやつなんて、会ったことあってしかも仲良くなきゃできないとかって言ったら一生できない。

 

TYOSiN – 最初は、ダサい曲の客演依頼めちゃめちゃあったんすよ。そういうのやっぱ全部できないんでシカトしてたすけど、自分がいろんなフィートで入ってやり始めていい曲を量産してくと、フィートで誘ってくる人間も厳選されてくる。かっこいいやつだけが寄ってくるっていう。それをけっこう自分は考えてたんで、最初ホントにがむしゃらにやってたっすね。今ではけっこう海外のやつからとかもフィートやろう、みたいな話が普通にきます。

 

Photo by Norihito Hiraide

 

TYOSiN – 正直、今の現行のシーンに対してあまり執着していないんすよ。昔のKID NATHANの頃とかの記憶があんまりないんすよ、まじで。なんつったらいいんすかね。ほんとに今の日本のシーンと自分がやりたい音楽って全くの別物なんです。新しい音楽、ヒップホップっていうシーンはあるすけど、世界から見た時に同じ土俵に立てるようなシーンをつくりたい。こないだもミッドナイト(Midnight Society)来たっすけど、やっぱりあいつらは日本を自分らと同じシーンだなって思って見てないんすよ。それって俺らからしたら悔しいことじゃないすか?やっぱり向こうと同じ土俵に常に上がっていけるシーンていうのを日本でもつくってかないと、いつまでたっても”日本のシーン”だなって思われちゃうんで。それが嫌なんで、いろいろ頑張ってるところなんすよ。だから日本人がどうとか、あんまり自分の中で考えてなくて。それを聴いた時に自分のファンが一人でも増えればいいなって気持ちだけでやってて。自分が日本にいても海外のシーンにいても日本の人たちがついてくるアーティストになりたいなと思ってて。そこが一番難しいんですよ。日本でやんないと日本の人ってついてこないし、自分が日本人なんで日本人のファンがほとんどで、自分が海外でいくらライブをやったところで、日本の人が全員来るかっつったら来ないじゃないすか。だから、海外のやつらをこっちに呼んでそちらと同じ土俵でやれるようなパーティーの「月光 GEKKO」をやって。それを日本の自分のファンに見せたくて。それでファンの意識も変われば、何より嬉しいんです。ファンも一緒に上がってきたというか、今までの自分を見てるし、一緒に喜べる環境っていうのをこれからも作っていきたいなと思ってます。そういうのがなかったら刺激にもならないし、「BLOCK」に出てる若い子たちも、「やっぱすげぇな」って思ってくれればといいなと思うし。その土俵に自分も立ちたいなって思って、そういう子たちが今の日本のシーンを世界でも通用するシーンにしていく。そういうことだと思うんすよ。で、それは「BLOCK」がスタートだなとは自分では思ってて。だから日本のシーンではあまり知られてないけど、Cold RoseとかDemon setoは海外のほうが反応がいいし、世界の土俵に立ってるラッパーなんで、そういうやつらが日本にいるっていうのを、もっと日本の人たちは知ったほうがいい。それに対してリスペクトするとかじゃなくて、誇るというか。もちろん商業音楽を好きでいるのもいいと思うし、分かるんですけど、アンダーグラウンドでやってるアーティストでもちゃんと世界の土俵に立ててるやつらがいっぱいいるんで、そういうやつらをもっと上げたいなと。今はそういう事が楽しいすね。

 

FamilypetOriginal Godとか呼んだりした時のイベントが、そういう海外アーティストを招聘した初の自主企画だったんですよね。特にFamilypetのあのスタイルも含めて、これもいいんだっていう発見がありました。普段「BLOCK」とかに来てる人たちや若い人もめっちゃ盛り上がってましたね。

 

TYOSiN – 概念をぶち壊していきたいっすよね。Familypetのスタイルも、今ではけっこう日本でも浸透してるすけどエモトラップって昔からあって、そのスタイルの中でもFamilypetってかなりライブも曲もやばいと思ってて。あのステージを観たらに間違いなく、食らうと思うんすよ。ヒップホップのイベントを観に来てんのに、歌を聴いて、これもありなんだって思ったことによって概念が崩れるじゃないすか。そういうのを皆に見せていきたいし、それを見た若い子たちがどんどん真似してってやってけばいいと思う。その先は真似だけじゃできないすけど。俺らの真似してる子なんか、たぶん今までもいたと思うんすけど、そっから自分のスタイルをオリジナルにした子もいっぱいいるし、でも、できなかった子もいっぱいいる。

 

– 今ちょうど、海外のアーティストを呼ぶ理由について聞こうと思ってたところなんですけど。AVYSSのSakumaさんとも話したことがあるのですが、私たちとかもインディーシーンみたいな中で、海外から「日本でライブしたいんだけど」って話がたまに来るんですど、開催する意義については難しいところがあるなと悩んでました。アンダーグラウンドのアーティストの場合、うまく紹介できないと、ほとんどお客さんも自分たち周りのアーティストばっかりになってしまったり。なので、今の話は勇気づけられました。

 

TYOSiN – でも、リスクでしかないんですよね。そのリスクを背負えるか背負えないかってよりも、リスクを背負った上で自分のプラスになるかならないかってとこだと思うんすよね。ぶっちゃけFamilypet呼んだ時も、あんなにお客さん入ると思ってなかったんです。でも、人が入んなかったとしても、Familypetと一緒に曲やったりとか、仲良くなって自分が海外行った時にまた一緒に遊べたらいいなとか。そういう意識で呼んだら、けっこう人来なくても別にどっちでもいいかなっていう。ほんとは来てほしいすけど、そういうマインドでやれるのって大事かなと思うんすよ。

 

NevalOne – 業界の人ってみんな若い人を囲おうとするじゃないすか。囲うくせに一緒にリスクを背負ってあげないから、だからこういう子(TYOSiN)は嫌になっちゃうんだと思うんです。だからリスク背負って一緒に夢を持ってやるんだったら、大人だろうが年下だろうが一緒にやれると思うんです。俺なんかおじさんですけど、概念何回も壊されてる。これもいいんだ、これもいいんだ、って。それを「いや、そんなのは違うよ」ってなるのか「最高じゃん、もっとやれよ」って思うかの違いじゃないすかね。そういう人が増えていけばいいんじゃないすかね。

 

– 「月光 GEKKO」とかまさにその極致でした。

 

 

NavalOne – TYOSiNの周りは、意外と若いやつだけじゃなくて俺ぐらいの世代のやつも意外といて、「DEVILS LINE」のビート作ってるやつも俺と同い年なんです。

 

ATSUKIさんですね。

 

NevalOne – あとベリアル(Belial LXVIII)ってビートメイカーも俺と同い年だったり。あとBEDのJOMOさんとかもそうだし。こいつがやってることを応援したいとか、もしくは俺も一緒に頑張りたいとか、あと何かに対して感じる違和感とかも、たぶん歳関係ないと思うんですね。

 

TYOSiN – 年下だけに気に入られる音楽を作ってても、それは違うと思うし。自分が作ったものだと年下も年上もいろんな人が聴いて、いろんな歳の人たちが周りにいるっていうことが一番いいのかなと思うんすよね。

 

NevalOne – いっつも来てくれる常連のおばさんとかもいるしね。

 

TYOSiN – 子育ての相談されますから。

 

– 今ちょうどベリアルさんのお話が出ましたが、自分がKID NATHANを知ったのが「TrillChillTrap」のMVなんです。そのあとベリアルさんのトラックがほとんど占めてる『death dreaming』のEPとして出ました。どこかで見かけたのですが「一番好きな曲なんですか?」というファンからの質問に対して、確か「TrillChillTrap」って言っていた気がしたのですが。やはり思い入れがあるんですか?

 

TYOSiN – 思い入れ強いっすね。『death dreaming』のEPはKID NATHANとして最後の作品として出そうと思ってたやつなんです。ベリアルさんはワンさんと出会った頃に一緒に出会ってる人なんですけど、ベリアルさんは音楽すごい知ってて、自分が知らないようなことしか知らなかった人だったんで、一緒にいるだけでなんでも自分のプラスになる人でリスペクトしてて。そういう人だったんで、出会った当時は自分のスキルがベリアルさんに追いついてないなと思ってて。で、『death dreaming』の時期に、今だったらベリアルさんのビート乗れるなと思って、作りましょうって声かけて作り始めた。最初「TrillChillTrap」を1曲目に作って、自分の中でもフィールしたっていうか、めっちゃやばいのできたじゃんって思って、だから思い入れはすごい強いですね。リリックもフローも、あのビートにあの乗せ方、俺できるんだって新しい発見もあった。「death dreaming」って曲も最初のフックあるじゃないすか。6回ぐらい作り直してて、そんぐらい難しくて試行錯誤しながら作った作品だった。あそこでけっこう一気にマインド変わりました。もっと上にいけるなって思えた作品ですね。

 

 

– ビデオが『HUNTER×HUNTER』を使ってて、今海外とかでもけっこうAMV(Animation Music Video)みたいなのが主流になったりしてます。それまではアニメ使ったビデオとかってやってないですよね。

 

TYOSiN – ないっすね。当時日本ではAMV自体があんまりなくて。海外のアンダーグラウンドではけっこうあったんすけど、日本人だし日本のアニメだし日本人がやんないでどうすんだろうっていうのがまず一番にあって。しかもアニメだったら日本人の俺のが詳しいし、いいシーンもいいキャラもいいセリフも知ってるじゃないすか。『HUNTER×HUNTER』って特に俺らの世代は嫌いな人いないと思うんですよ。『るろうに剣心』とかもそうじゃないすか。あのへんすげぇ黄金時代じゃないすか?で、団長好きだったんで。最初は賛否あったっすけど、でも賛否があるってことは賛否がないよりはいいことだと思う。だからあの曲でアニメ使ってやったってのは、シーンの中でもかなりいい刺激にもなってくれたんじゃないすかね。俺がやったことによって、あ、いいんだ、って思って使い始めた子もいると思うし。自分よりも知名度がある人がアングラでやってることを模倣してやるのってすごい多いと思うんすけど、それってアングラでやってた子たちからすると、ふざけんなよ俺らが先だし俺らのがやばいことやってるし、もし同じレベルの環境でやってたら、さらに早くやばいこと出来るはずだ、って思うはずで。当時俺もそんな風に思ってて。それを出来る環境と仲間がいなかったけど、ようやく『death dreaming』の頃から環境とか仲間が揃ってきて。そっからは逆に俺も止まれられないなと思って、曲バンバン作っていきました。去年とかで自分でまじ数え切れないぐらい作ったんすけど、出してない曲もいっぱいあるし。海外のやつらが出すペースって異常だと思うんすよ。特にサンクララッパーとかってすごい早いんで。そのスピードプラスいい曲を作んなきゃいけないっていう。そんだけストイックに1回やってみたいなと思って、去年めちゃめちゃやって、結果的に一皮二皮むけられた。いい曲かどうかは聴いてる人の判断すけど、自分で自信がある曲をあのペースで出せるか出せないかって、かなり難しいと思うんですよ。プレッシャーのほうがでかくなるじゃないすか。次の曲受け入れられなかったらどうしようとか、この曲でいいのかなとか、そういう葛藤が海外のやつらにはあんのかなって思ったら、たぶんないと思うんすよ。なぜかっつったら、向こうのやつらって感覚的に遊びなんすよ。本気なんすけど遊びなんすよ。だから俺も同じ土俵に立つんだったら同じペースで出してみて、自分がどういう感じで出せるかなとか、どういう思考になんのかなっていうのを経験したかったんです。で、自分のマインド的には、あんま変わんないんすよ。何が変わるかっつったら環境なんすよ。そのペースで出すことによって寄ってくる人が変わって、聴いてくれる人が変わって、自分自身はあんまり何も変わってない。めっちゃ金稼げたかっつったら稼げてない。でも環境が変わればプラスになることはいっぱいあると思うんすよ。アンダーグラウンドで、できることってそういうことだと思うんすよ。自由じゃないとアンダーグラウンドじゃないと思うし。上にもシーンにも縛られずに、あのペースで出して言いたいこと言ってやった結果、自分のグラウンドが確立されたんで、良かったなと思うすね。

 

 

– 新しいEP『碧 AOMIDORI』は、海外のトラップとかエモトラップシーンからすると、違和感はないのですが、ほぼ歌ものじゃないですか。かなり切り替えたなというか、振り切ったなという感じがありました。あと歌詞も変わった気がしたんですよね。前は”Death”とか”Sad”とか、基本的に”死にたい”みたいな感じだったんですけど、収録曲『Sacrifice』、タイトルからして犠牲ですけど、逆に向かった気がして。そういう想いの変化があったのでしょうか。

 

TYOSiN – 死にたいって思うことって、うまくいかないこととかいろいろ理由はあるんですけど、結局死ねないんすよ。だったらもう生きてくしかないっすよね。死にたいって思うことって生きてる中でいっぱいあるんで、それを消化したいなっていう。何に対しても全部やってると自分が苦しくなって窮屈になってくるんで。あれもこれもやりたいけど、自分にとって一番大事なのはこれだから、あれとこれは犠牲にしてかなきゃいけないっていうシンプルな話なんです。でも、それを犠牲にすることって自分の身を削るのと一緒で。例えば、それまで仲良かったやつが自分と合わないなって思った時に、嫌だなって思いながら一生付き合っていくのかなって思うことが嫌なんすよ。生きづらいなって思っちゃう。そいつらとかその周りのやつから悪く思われてても、自分は違うからっつって犠牲にしてかないと、歌詞のままっすけど、守りたいものとか、守りたい場所だったりとか、守りたい人とかを守っていくためには、自分の生きづらい部分は切っていかないと駄目だなって思って。それが詰まったのがあのEPなのかなって思います。恋愛に関してもそうっすけどね。女の子の話はあんまりインタビューしたくないんすけど(笑)。『碧 AOMIDORI』を全部歌ものにしようと思ったのも、もともと歌ものだけのEPを作りたくて、『黎 KUROI』も『碧 AOMIDORI』も大体制作期間は1カ月ぐらいなんすけど、マインドが変わるとリリックも変わるんです。リリックを聞いてエモいって思うことってけっこう難しいんすよ、曲を聴いてエモいって思うのはいっぱいあると思うんすけど。海外のエモトラップとか聴いてて、意味分かんないけどエモいなって思うじゃないすか。でも、日本人がそれをやるにあたって、曲がエモくても日本語なんでリリックが嫌でも入ってくるじゃないすか。それで俺は違和感を感じることが多くて。それこそ死にたいって言ってるだけの曲って、だから?ってなっちゃうんす。自分が何で死にたいと思ってるのか、苦悩を、情景を、すべての人が共感できるリリックじゃないと”エモい”って成立はしないんすよ。俺、アニメで一番好きなのジブリで、感覚的ですけどジブリって何観てもエモいんすよ。セリフも絵も音楽も。あれこそ究極のエモなんじゃないかなって思ってて。今のマインドに近づいたのはジブリのおかげっていうか。

 

NevalOne – ジブリのおかげなんだ(笑)

 

TYOSiN – マジでジブリのおかげっすよ。しかも日本のアニメなんで、だからこそ、すごいリスペクトしてるんすよ。日本語でああいうセリフとかキャラクターでエモいなって感じるのって他にないし。海外のエモトラップとかってアニメーションけっこう使うじゃないすか。やっぱジブリって多いんすよ。

 

NevalOne – ジブリは、海外の人がどう思うんだろうって感じだけどね。日本ならではみたいな話が多いじゃん。それを分かってるからこそエモいって感じる部分もあるじゃん。自分と重ね合わせられるからさ。

 

TYOSiN – 基本悲しいっすよね。『もののけ姫』もハッピーエンドなんすけど終始悲しくないすか。日本人はそもそものカルチャーがエモーショナルなんすよ。日本人のカルチャーにスーサイドみたいな感じのカルチャーってあんまりないじゃないすか。$UICIDEBOY$の歌詞を日本のメジャーなアーティストが歌ったらたぶん結果は見えてると思うんすけど、それの違いだと思うんすよ。だから『Sacrifice』のリリックとかが変わったのって、うまく説明すんの難しいですけど、生きる辛さを楽しむしかないなっていう感じのマインドっす。

 

 

– 日本の現状のシーンについて考えてることはありますか?

 

TYOSiN – まず始めに俺らの音楽は俺らのもので、他の誰のものでもないと言う事です。大手のメディアが、たかがイベント告知で俺の名前を入れないのは今から話すような俺の考えに恐れをなしているからかなと。自分が知る限りですが、ほとんどの子はメディアに出てなんぼ、売れてなんぼ、って思って音楽を始めていると思ってて。別にそれが悪いとは思いませんし、そうゆうアーティストの形もあって良いと思うんすけど。でも、そう思って始めるならこっちの土俵に来ないで始めっからHYPEを掲げてアイドルや商業音楽をやればいいと思うんです。俺たちの音楽の本来の姿はストリートに存在してるもので、その本質を履き違えないでほしい。あと、メディアに露出しなきゃ売れない現状がダメなんじゃなくて、メディアに出なきゃ売れないという思考が間違ってるかな。いくらカッコいいモノを作ってもHYPEに走るアーティストに俺はこれっぽっちも惹かれないし、リスナーも拡大広告を鵜呑みにせず音楽の本質を理解するべきですね。知識がないからと悲観する必要はなくて、音楽は知るものじゃなくて感じるものなので。ここまで言っても分からなければ、俺のライブに来ればいいと思うし、言葉で説明しなくても分かる事があるはずなので。あと、AVYSSの記事とかそうなんすけど、日本でいながら活動してるけど海外に発信してるようなアーティスト取り上げるじゃないですか?でも、日本の人たちって海外でやれてる人に対してのリスペクトとか反応が薄いですよね。自分はトラッシュ(TRASH新ドラゴン)で『DENSETSU』ってビデオ上がったんですけど、それを日本の人で分かってる人少ないと思うんですよ。それって日本の人たちが日本のヒップホップを好きで聴いてる曲自体と全くの別物で。日本語ラップを聴いてるだけで、ほんとにアーティストが目指してるところをあまり聴いてないっていうか。

 

NevalOne – 誰も紹介もしてないからね。

 

TYOSiN – そうっすね。そこがやってて違和感でしかないんすよね。ここまでいけたのに、なんでこんなに反応薄いんだろうって。何やったら反応すんだよってなったら、日本語ラップの有名なやつらと曲やった時のが反応したりとかで。若い人が日本でやってくと、有名になりたいとかばっかで、そういうのに属してないのが「BLOCK」に出てるやつだと、TrillLenShowy釈迦坊主は、自分でファンベースを作れてるんで、そこは素晴らしいと思うし、「TOKIO SHAMAN」に出てる子たちもネットラップの子たちが多いっすけど、ネットラップこそ質の高いリスナーがそろってるんすよ。でも、そういう子たちが履き違えちゃいけないのは、アンダーグラウンドでやるっていうことの大事さというか、アンダーグラウンドのドープさ、ラッパーって名乗ってやるんだったら本当の意味でラッパーになんなきゃ駄目だよって思う。自分は売れたいし、この人とやったからすごいっしょ、みたいな感覚とかあると思うし。この人とやったからすごいじゃなくて、自分のこの曲やばいっしょ、みたいな感じのマインドがいいんすよね。AVYSSはそういう記事とかもそうっすけど、音楽すごい知ってるじゃないすか。

 

Sakuma – 知ってること(理解してから)しか載せれないってのもあります。

 

TYOSiN – その知ってる質も俺は見ててすごい高いと思うんすよ。例えば、知名度が上がってる若い子たちがそこを軽視しないでちゃんと重要視して音楽やることによって、その下の世代の音楽のやり方も変わってくると思うんすよ。自分らはそう願ってやってるじゃないすか。そうあってほしいなとか、そうなってほしいなって思ってやってることを、もっと若い子たちに知ってもらいたいなってあるんすよ。そういうことを伝えてく活動をこれからも頑張っていきましょう(笑)

 

NevalOne – 結局、そんなに音楽好きじゃないんじゃないかなって気がしてくる。例えば、Instagramとかで新しい曲が出るぜっていうものよりも、いい感じのかっこいい写真とかのほうがみんな反応良かったりとか。かっこよくて好きになるのは別に全然いいんすけど、そういう寂しさはちょっとあるっす。それと同じレベルの発信をしてるようなメディアが多いような感じがしますけど。

 

 

– 最後にどうしても聴きたいことがありまして…。『東京喰種トーキョーグール』好きですよね?私の最初のイメージですが、「KID NATHANが団長」、「CURSE BOYZが旅団」で。あと『東京喰種トーキョーグール』は話が進むにつれて途中からいろんな派閥とか地区(ブロック)って出てくるじゃないですか。で、最初の舞台で喫茶店があるのは池袋なんですよね。梟討伐の場所はマルイの前で、ほぼBEDの裏なんです。そして物語が進むにつれ、全部ひっくるめた総合チームみたいになってくるじゃないですか。あれがまた今のTYOSiNのクルー感っていうのを表しているのかなと。それこそ「月光GEKKO」とかを見ていると、完全に違う地区の人たちが一緒にチームとしてやってるようなイメージとして、重なってきます。

 

TYOSiN – マジその通りっすね。あんだけ自分大好きな人間が集まると、まとめるのって難しいし、まとめようとすること自体がナンセンスなんですよ。でも、ああいうでかいことやるってなった時にリスペクトし合ったりとか音楽的に分かり合えてるやつらは一緒にできるんで、それが最後の『東京喰種トーキョーグール』の龍を倒すところに繋がれたらいいかなっていう。

 

– それはめちゃくちゃエモいですね…。今後の展望はありますか?

 

TYOSiN – 個人的な展望としては、今後は海外でライブをどんどん入れていきたいなって思ってて。3月は韓国でStarexと一緒にライブでTohjiも連れてくんです(既に開催済)Tohjiは誰が見てもかっこいいと思う。今後はそういう事もしていきたくて。例えば、自分が海外でライブするにも誰かしら連れてったりとか、海外の人たちから見た時に日本人のやばいやつらがいるっていうのを知ってもらいたいし、それが広がれば逆に日本に呼んだ時にも海外のやつらも面白いと思うんすよね。そういうシェアをしていきたい。やっぱり日本人をもっと上げていきたいっすね。

 

 

Photo by Norihito Hiraide

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