2018/12/25
突如始まった対談シリーズ。初回は、蓮沼執太とTakaoの2人。
来年1月7日に恵比寿リキッドルームにてニューイヤーコンサートを控えている蓮沼執太フィル。そして今年EM Recordsからデビューアルバム『Stealth』をリリースし、ニューイヤーコンサートのオープニングアクトを務めることが決まったTakao。今回は公演直前に2人の対談が実現。また今回の公演ポスターを手がけたグラフィックデザイナーの石塚俊も同席して、新井薬師前の喫茶店で話をした。
– 世代的な話なんですが、蓮沼さん、おいくつですか?
蓮沼執太(以下、蓮沼) – 83年生まれで、今年の9月で35歳になりました。
– Takaoはいくつになった?
Takao – 僕は26歳になりました。
蓮沼 – じゃあ、9個下なんだ?
Takao – たぶん僕は佐久間さんと干支が一緒な気がします。
– そうなんです、同じ申年です。
石塚俊(以下、石塚) – 僕は蓮沼さんの1個上です。なんと、佐久間さんは僕より年上だったんですね。
– 僕の同じ世代って周りに多くて、食品まつりさん、Forestlimitのナパさん、K/A/T/O MASSACREとNOVO!のカトーさんとか。あとはWWWの海法さんは一個下だったかな。
Takao – なるほど~。
蓮沼 – みんな同じ世代なんですね。
石塚 – でも、下の世代とばっかり遊んでるから、実年齢のの気持ちになれなくて。
蓮沼 – ああ。じゃあもうそもそも26歳みたいな感覚で遊んでるってことかな?
– 僕も同じですよ。
石塚 – でも佐久間さん、ロングキャリアじゃないですか。
– ロングキャリア(笑)
蓮沼 – ロングキャリアじゃないの?
– 蓮沼さんのほうがロングキャリアじゃないですか?
蓮沼 – 10年とちょっとですね。22歳の時にはじめてアルバム作ってるから。何も考えずにただアルバムを作っただけっていう印象ですけど。
– 僕は29歳から曲を作り始めたので、遅いんです。ロングキャリアじゃないんです。
蓮沼 – 29歳から曲を作り始めたというのはすごいですよね。それまでは何されてたんですか?
– DJはやってました。話をお2人に戻しますが、蓮沼さんとTakaoはお互いを認識し始めたのはいつからですか?
蓮沼 – 今年です。『Stealth』を(石塚さんが)教えてくれて、聴きました。
Takao – 僕は、蓮沼さんのことはかなり前から知っていました、結構いろいろなところで名前を聞いたり見たりしたことがあったのですが、失礼ながら今年になって、蓮沼さんはこういう音楽をつくっている人なんだ!と知りました。
– 初めて会ったのはいつぐらいですか?
Takao – 『アントロポセン』の楽曲試聴会ですね。
– そのTakaoも参加した今回の『アントロポセン』の特典のリミックスCDの人選はかなり驚いたんですが。(食品まつり a.k.a foodman、荒井優作、SUGAI KEN、toiret status、BIOMANなど。)
蓮沼 – この人にお願いしたいっていう下書きリストがザーッとあって。
石塚 – それを見せてもらったときに足したり引いたり勝手に提案して。次に見せてもらったときには、さらにそれがもうちょっと変わってて。
– じゃあ石塚さんの意見も入ってるんですね?
石塚 – なので僕の趣味も入ってますね。面白い人選ですよね。もっと断られたり難航するかな?とか思ったけど。
蓮沼 – 僕自身、他の人にリミックスをお願いすることないんですよ。なので、断られるんじゃないかって思ってたら、みんな素早い返事をいただいて嬉しかったです。
Takao – メールがきたときはびっくりしました。
蓮沼 – 自分でメール送ったんですが「ぼく音楽やっていまして。その曲をリミックスしていただけませんでしょうか」といった感じで。そもそも人に手紙を書くの好きなんですよ。
Takao – 僕はリミックスをやったことがなかったので、ちょっと不安なところもありましたが、実際にやってみてすごく楽しかったです。おなじように今度の「ニューイヤーフィル」のオープニングアクトも不安はありますが、楽しみにしています。
– なぜTakaoをオープニングアクトに選んだんですか?
蓮沼 – すごく知ってる人に頼むよりも、未だ分からない存在、未知な音楽の方が楽しいと思ったんです。しかも、「タカオケ」するとか言うし。
– タカオケ?
蓮沼 – Takaoオーケストラの略です。
Takao – 16人は無理だけど、多分、2人か3人とかになると思います。
蓮沼 – フィルも最初の人数は10人だったんですよ。それがだんだんふくれ上がってきて。最初は代官山UNITでやったんです。OVALの来日のときに蓮沼楽団を作って対バンで出演してください、という話になって。
石塚 – 佐々木敦さんに言われたんでしたっけ?
蓮沼 – そうです。やろうって言われたというか、当時演奏していた「蓮沼執太チーム」という編成に管弦楽器を入れてみない?と提案していただいて。フィルのメンバーでもあるイトケンさん、Jimanica、石塚周太君と斉藤亮輔くんとの5人組(ツインギター、ツインドラム)バンド編成みたいな感じでライブをやってたんですよ。なんで、もしニューイヤーコンサートでTakaoくんがタカオケ作ったら徐々に人数が増えていくかもしれないしね。
Takao – そうですね、増えていったら面白いですね(笑)僕はライブでもPCを使うので動きが少なくなってしまって。なので、何人かで1つの曲を演奏するのは楽しみです。
蓮沼 – 昨日のTakaoくんのライブ聴いてても、音の動きが1人で演奏しているって感じがしなかったです。
Takao – 最近はなるべく動きがでるようにライブ中にいろんなことを試しているのですが、1人だとやることが多くて結構忙しいですね。ですが、ライブ感はできるだけ出したいなと思っています。
蓮沼 – でも、そういう感じがすごくありましたよ。昨日、4組出演されてて、4組それぞれの感じでしたけど、基本的な演奏形態としては、やっぱりコンピューターを使ってシーケンス組んで音を出し入れするみたいな感じでしたけど、その中でも特にTakaoくんは生演奏っぽかったですね。
Takao – ありがとうございます。昨日のライブというのは〈Slow Editions〉っていうレーベルから『Sound Journal』っていうコンピレーションをリリースしているMasahiro Takahashiさん主催のハウスパーティーでして。Masahiro Takahashiさん、H.Takahashiさん、Hegira Moyaさんも出演していました。そこに蓮沼さんに遊びに来ていただいたんです。演奏の話でいうと、蓮沼さんってバンドとかやっていたこととかあるんですか?
蓮沼 – バンドはないです。だから、フィルを組んだ時にはメンバーの方々からすごくお叱りをうけましたよ(笑)もちろん愛のあるお叱りだけど。
Takao – 何で怒られたんですか?
蓮沼 – 当時はリハーサルスタジオなども予約したことが無くて。本番までに練習が何回必要かなども分からなかったりして。
石塚 – 確かに。たまに「打ち合わせしたいからリハスタ来てください」って言われるんですけど、どのタイミングでスタジオの防音扉を開けていいかも、僕はミュージシャンじゃないから分からない。
– 実際、あと何回練習必要とかってやっていかないと分かんないですよね。この人数いたら、かなり前の段階から練習しないとですよね?
蓮沼 – それでも今では練習前にキチンとスコアを作って1、2回練習したら演奏できる!みたいなふうにはなりました(笑)最初は電子音中心の音作りで作ってきた曲を全部生演奏に置き換えていくみたいなことを作業ずっとしてたんですけど。
石塚 – 確かにフィルって、立ち上がりは蓮沼さんのそれまで出ていたソロ曲をコンバートしていくっていう時期がありましたよね。『CC OO』っていうアルバムとか、同じ曲でもいろんなバージョンがたくさんあって。
Takao – 下準備として、各楽器をPC上で組んだりするのですか?誰がこのパートで、みたいな。
蓮沼 – 実務としてスコアにしていくときはDAWで組んでいきます。でもフィル用の音楽を作っているときは、オーディオでレコーディングして作曲していくことが多いです。
Takao – 自分で弾いてですか?
蓮沼 – そうそう。そういったものを譜面化していくので、結果的に手作業で演奏できる指示をしていくので、それは骨の折れる作業でしたね。
– ほかのメンバーの方が、アレンジを入れることもあるんですか?
蓮沼 – 基本はスコア通りにみんな弾いてくれますね。ただ自分が楽器のエキスパートじゃない部分もあるんで、例えばゴンドウさんだとしたら、ユーフォニウムはもう少しロングトーンのほうがいいんじゃないの?みたいなふうに話したりとか、セクションで音がぶつかってるとかだったら、音ぶつかってない?みたいになって、練習している場で直したりっていうことはありますけど、基本的にはすべて自分でやってます。
– 全員毎回集まって練習するんですか?
蓮沼 – 誰かは今日いないみたいなのはありますね。例えば、フルートの宮地夏海さんは仙台に引っ越しちゃったんで、細かい練習には参加出来ませんよね。でも、彼女の場合は安心感ある演奏なので大切な時の練習に参加してもらえれば大丈夫!という感じです。。
– では、『Stealth』の話ですが、蓮沼さん聴いてどうでした?
蓮沼 – どのぐらいの期間で作られたのかな?AVYSSのインタビューで話してるかもしれないですけど。
Takao – 1年半ぐらいかかってます。このアルバムに入ってるやつ全部の曲めちゃくちゃコネコネしてて。
石塚 – ずいぶん練ってたよね。はじめに話を聞いてから1年ぐらい、会うたびに「作ってるんっすけど、今」って。
蓮沼 – 超分かる!
Takao – もっと曲数あったんですけど、減らしたりしました。通して聴いたときに、あ、ちょっとここ退屈だなってところ、間延びするなみたいなのがあれば、構成変えるかなんかして繋ぎを良くしたりとか。これ全部通して1曲みたいな雰囲気で作りました。
蓮沼 – 音のひとつひとつがすごく微細にというか、細かく変化してるし細かく重なってるから、すごいコネコネしてるんだろうなと思って。制作時間の深さを感じました。
Takao – どこで完成とするかみたいなの、結構難しくないですか。蓮沼さんの場合どういうところで、この曲はこれで完成ってなるんですか?
蓮沼 – 実は曲は完成してても、マスタリングをしたときにまた音が変わっていきますよね。そうすると僕の手元を離れたとはいえ、音楽自体は変化していて完成していない状態が続くイメージがありますよね。またCDやレコードのようにフォーマットが違えば音も変わるしね。
– ミックスとかマスタリングまでご自身でされますか?
蓮沼 – マスタリングはやんないですけど、ミックスまでやります。
– 『Stealth』は?
Takao – ミックスは自分でやりました。マスタリングは江村さん(EM Records)から紹介していただいた、倉谷拓人さん(Ruv Bytes)にお願いしました。なので、フリー配信時にBandcampに上がってたのは自分でマスタリングしたものです。
蓮沼 – そっか、じゃあ音が違うんだ。
Takao – そうですね。やっぱり蓮沼さんが言っていたように、CDにすると音が変わっていたので驚きました。プレイヤーで聴いたときの印象が全然違っていて。LPができあがるのもすごく楽しみにしてます。
蓮沼 – うんうん、びっくりするよね。そういう発見は作り手として嬉しいですよね。宅録ボーイとしては。
Takao – 宅録ボーイ(笑)
蓮沼 – 宅録ボーイは、制作中にずっと自分で音聴いてるわけじゃないですか。自分が1番その音楽のことを良く分かってるわけですよね。先ほどの話に通じますけど、ミックスが終わった段階で自分の手元を離れた音楽が他人の手で音が変わって自分の前に現れた時、変化があって面白いですよね。
Takao – ミックスが終わった段階で、安いイヤフォンと高いイヤフォンで聴いて。あとスピーカーも色々試したりしました。
蓮沼 – 僕も全く同じことをします。昔、クラブの昼の時間帯を借りてサウンドチェックさしてもらったことありますよ。
Takao – へぇ、面白いですね。
蓮沼 – おすすめですよ。普段、音楽を爆音で聴くことが少ないので。
Takao – 僕の音楽は爆音で聴くものじゃないかもしれませんが、「ニューイヤーフィル」はリキッドルームなのでぜひ爆音でやってみたいですね!(笑)
– アルバムの曲をやるっていう感じになるの?
Takao – 数曲ですね。
蓮沼 – 昨日のライブでもうれしかったですよ。アルバムで聴いてたフレーズが出てくると。
Takao – 昨日は1曲丸々手で弾いたりしてみました。今回は「ニューイヤーフィル」のために準備したものをやってみたいなと思ってます。
石塚 – 例えば友だちのライブに行って「アルバムのあの曲が聴きたい」とリクエストをしてもなかなかやってくれない。ライブだと音源と異なる即興性の高いセットだったり、発表時からモードがシフトしていたり、再現の方向に振れる人って実はあまりいないかもしれない。そのことでより現在への意識が強調されてるとも言えるんですが、Takaoの言う曲をなぞるみたいな話って、意外と僕らのまわりのクラブアクトや実験音楽の現場では聞かないから面白い。
Takao – ライブに行ったときに、知ってるフレーズが聞こえるとテンション上がりますよね。
蓮沼 – だけど、曲をなぞってライブでやるってことでも機械では無いので、ある程度の即興の感じもあるわけだよね。つまり譜面に演奏するといっても人間が演奏するんで、ズレが生まれますよね。そうすると演奏家としては、即興的な要素もいくら譜面通りに弾いてるからとはいえ、息継ぎとかリズムの取り方とかも変わるから、再現っていう感じでも無いんですよね。あと『Stealth』に関して言うと、音色と音の重なりもすごく好きですね。
Takao – ありがとうございます。曲をつくりはじめる最初の段階で、シンセの豊富なプリセットの中から好きな音を探すところから始めたりします。好きな音をぶつけて、この音だったらこういう曲が良さそうみたいな感じですね。蓮沼さんはフィルでは使用する楽器というのは決まっていますよね。そうなるとシンセのこの音で作ろう!みたいなことは難しそうですか?
蓮沼 – 僕はフィルだけじゃなくて、いくつかのプロジェクトがあるのでその都度音楽の作曲方法が異なったりしますが、ユザーンが演奏するタブラとやるときは、タブラだったらほかにシンセの音も使えるからシンセ使うとかありますけど。フィルに関しては決まってますね。曲は、譜面から考えるのもありますし、構造から考えていくときもあるかも。
Takao – 構造から考えるの面白そうですね。
蓮沼 – せっかくならば新しいことにチャレンジしたい、と思うタイプなので、課題が出たらそれに対して何か違うことをして試していくような。その時々の積み重ねで変化していく感じです。
Takao – 僕、蓮沼さんに1番初めに作った音楽が、どんな感じだったのかってのいうのを聞いてみたかったんです。
蓮沼 – Max/MSPやSuperColliderっていうのアプリケーションがあって、それでパソコン内で音をずっと作ってたんですよ。学生の時にワークショップに行ってたりしていて。ダンスの音楽をパソコンで作るみたいなのでSuperColliderなどを使っていて。それに環境音を足した感じですね。
Takao – へえ、ダンスっていうのは即興のダンスですか?
– てか、いきなりそんな感じから始まったんですか。
蓮沼 – そうですね。そこまで音楽を演奏することに興味がなかったんですよ。
石塚 – 確かに初期は電子音楽らしい電子音楽じゃないですか。それがだんだん楽器が増えていって、自分で歌うようになってきて。初期が一番抽象的ですよね。今の方が輪郭がはっきりしてきてる。
– なんか逆ですね。
石塚 – ですよね。
蓮沼 – だけど、根本的には変わってなくて、エラーが好きなんです。今もそうだけど。
Takao – エラーってどういう意味です?
蓮沼 – ミスです。失敗が好きってことです。自分が気が付きもしない点をエラーは教えてくれるんですよね。やっぱり人間なんで成功したいじゃないですか。だから失敗は必要ない存在になってしまいがちですけど、時には失敗もいいじゃん、という感じです。機材を触れていたらエラーして面白い音が出てくるし、たくさんの演奏家と音を出している時だって奏法の失敗から新しいアイデアが生まれたりするし。
– 歌が入っていくようなきっかけはあったんですか?
蓮沼 – やったことなかったからですね。でも音楽を作るものとして、自分の声を使って音楽を作ることがとても大切な気がしています。あとはライブでコンピューターを使っていたのですが、それが嫌になっていたこともあります。
Takao – コンピューターでやるのが嫌だったっていうのはどういうところがですか。やっぱシーケンス組んだりとか?
蓮沼 – そうですね。僕が当時やってたときはみんなコンピューター使ったこともあるけど。要はコンピューターで作るような音楽自体に更新が見られなくて。自分自身もなんか、音楽の可能性はそれだけじゃない、みたいな感覚もあったんですね。
Takao – 蓮沼さんって、さっきの失敗のお話もそうですけど、結構人と違うほうが好きです?
蓮沼 – そうかもね(笑)
Takao – 昨日もAIRJAMの話してて。
蓮沼 – そう、行ったんですよ。BRAHMANとかも見たんです。
– え、意外。
蓮沼 – そうですか?
– なんで行ったんですか。
蓮沼 – 高校の友達が行くというので一緒に行ったんですよ。でも音楽の趣味は違っていて、学生の時はUKロックはあまり聴いてなくて、僕の周りの友達はみんなすごい好きでしたね。なので、Radioheadのような音楽も通ってないんです。その時はアメリカの音楽が格好いいと思ってたタイプなんで。恥ずかしい話です(笑)
– アメリカは、例えばどういうバンドですか。
蓮沼 – Dischord周辺が好きで聴いてました。渋谷には海外のインディーズ音楽を紹介するレコード屋さんがまだあったりして、毎日のようにCD屋さんとかレコード屋さんに行ってました。
Takao – 蓮沼さんがよく聴いていたアメリカのインディーロックみたいなのって、友達から教えてもらったりとかですか。自分で見つけて?
蓮沼 – 自分で探すんですよね(笑)なんかここには知らない世界があるぞ?!という感じで。
– 店頭のコメントとか、ジャケット見てなんとなく買ったり?
蓮沼 – そうそう。当時から音楽ガイド本とか見たくないタイプでした。
– それも込みで楽しむって感じですよね。
Takao – 僕はほぼインターネットで見つけてくる感じですね。YouTubeとかの関連動画とかに面白そうなのがたくさん出てくるので、そういったきっかけでとりあえず聴いてみて、ということが多いです。
蓮沼 – 僕も今はそうですよ。あれだけ通ってたレコード屋さんに全く行かなくなった。その分、毎日新しい音楽はネットで調べて聴いているけれど。環境が変わるって面白いですね。
Takao – 僕、昔は着うたフルとかで聴いてました。ダウンロードして。CDで聴くというのはあまりなかったですね、ツタヤでレンタルしてきたCDもすぐパソコンに入れてiPodで聞いてました。でも、最近はよくCDを買ってます。
石塚 – 僕はフィジカルに関してはデザインありきですね。収集癖がそもそもあるから、アートワークが欲しいんです。レコードも、プレーヤーは持ってないですが、アートワークや仕様が特別良いものだけを見つけて少しずつ買い集めています。
– そろそろまとめパート入るんですが、(1/7のポスターを見ながら)TakaoのTはいつから大文字になったんですか?
Takao – 江村さんが、Tは大文字のほうがいいよってアドバイスしてくれました。海外だと名前で最初小文字なのは、なんかちょっと陰気で斜に構えているみたいな印象があるらしいんです……。要は、小文字にすると名前にちょっと変なイメージがついちゃうからです。表記としてTは大文字にしたほうがいいかなと。僕は小文字にすごくこだわりがあったわけじゃなくて、パッと見たときにバランスがいいかなと思って小文字にしてたんです。
蓮沼 – イトケンさんの英語表記は全部小文字だと思っていたんです。英語で「itoken」と。お名前なのでポリシーがあるんだろうな、と思っていて。ある時、イトケンさんに「頭文字って大文字でもいいんですか?」と尋ねたら、「うん、全然いいよ」って言ってて。結構自由なんだなって思いました。
Takao – 意外とそうなんですよね。
– リキッドの意気込みとか言っちゃいますか。
蓮沼 – タカオケの演奏はとても楽しみです。僕らのフィルも良い演奏が出来るように準備していきます。よい一年になるような音楽になりますように。
Takao – 僕もフィルの演奏とても楽しみです。タカオケにご期待ください!(笑)
<公演概要>
Act
蓮沼執太フィル
Opening Act
Takao
日時
2019年1月7日(月)
開場 18:30 開演 19:30
来場者全員に、オリジナルお年玉ステッカーをプレゼント!
会場
恵比寿LIQUIDROOM
料金
前売 4,500円+1ドリンク別
当日 5,000円+1ドリンク別
公演詳細はこちら。
category:FEATURE
2018/09/04
アスパラの歴史と蘭丸。 記憶が曖昧だが、彼と初めて会ったのはForestlimitだったような気がする。違うかもしれない。とても人当たりの良い印象だったという記憶だけが鮮明だ。交友関係も幅広く、大阪を拠点にしているが、全国様々なイベントでDJを行なっている彼をオフィシャルのプロフィールをコピペして紹介しよう。<Aspara(アスパラ)、石川県出身大阪府在住のDJ。日本各地で精力的に活動中。Licaxxx、Madeggと共にTimeOut Cafeにて不定期で開催されるハウスパーティー『MAL』を主催。音楽が好き。>とのことだ。そんなAsparaが今年5月にリリースしたMixCD『蘭丸』は再生した瞬間から高いテンションで始まる。ジャケットのデザインも込みで伝わってくる”衝動”のようなものをそのまま受け入れて、シンプルな感情で聴きたい作品だ。今回は、メールで数日キャッチボールしながらインタビューを構築していった。 – 小さい時はどんな子供でしたか? Aspara – 友達と鬼ごっこしたり家にあったライターと新聞紙持って浜辺で焚き火したり、釣りに行ったり、外で遊ぶことが好きなはずだったんですが、小学校高学年くらいから家に引きこもってビーマニに熱中してました。ゲーセンにあるものにより近いDX専用コントローラーを持ってる友達の家に遊びに行ったり、僕が持っていないアペンドディスクを持っている友達の家に遊びに行ったりしていました。 – 学校ではどういう存在でした?生徒会長?ヤンキー? Aspara – どうなんでしょうね。思ったことはっきり言うのはその頃から変わってないので嫌われてたかも。学校の行事には割と積極的に参加してたほうだと思います。勉強は全然出来なかったけど、授業は好きでした。 – 最初に買った音楽覚えてますか? Aspara – どのチームか忘れましたけど、Jリーグの応援歌が入ったCDだったと思います。何であれ買ったんだろ。今も昔もサッカーは全然興味ないっす。 – 生まれも育ちも大阪ですか? Aspara – 出身は石川県です。大阪には6年くらい前に越してきました。今は実家に帰ったときのほうがそわそわするし、大阪のほうが落ち着きます。 – 石川県出身はなんとなく意外でした。大阪で一番好きなところはどこですか? Aspara – 良いレコード屋があるところ!と、酒場がいっぱいあるところ。おかげで飲めなかったお酒が飲めるようになって、沢山友達ができました。 – 普段よく遊ぶ人って音楽界隈の人ですか?それ以外の人? Aspara – 音楽がきっかけで知り合った人がほとんどですね。楽しいです。 – 意識的に音楽を聴くようになったのはいつ頃ですか?その時は何を聴いていましたか? Aspara – 中3の部活引退後くらいから友達とスケートボードをするようになってたんですが、僕はすぐに飽きちゃって。そのかわりにスケートブランドが作ったビデオを見るのが好きになって最終的にそのビデオで流れているヒップホップが好きになりました。 Gang StarrとかDITCから始まって、高校に入ってからはMo’Wax、Anticon、MUSH、BIG DADAなどから出てた、当時アブストラクトヒップホップと呼ばれていたインストのブレイクビーツをよく聴いていました。その流れでノイズとかドローンも。テクノやハウスを買い集めるようになったのはここ5年くらいです。 – なんかかっこいい音楽遍歴ですね。テクノやハウスを買い集めるきっかけは何だったんですか? Aspara – 高校からは友達いませんでしたど…金沢にいた頃はテクノのパーティーによく遊びに行ってたし、聴くのは好きだったんですけど何故かその時は集めるまではいかなかったんです。きっかけははっきり覚えてないんですけど、Ben UFOの登場以降に意識して買い始めた気がします。Hessle AudioはじめUKのベースミュージックのレーベルがテクノ化していったタイミングでもあったし、良いリリースが多かったんですよね。 – 金沢のクラブはどうですか?テクノのパーティーは多いですか? Aspara – 今は全然わかんないですけど2008年くらいまでは結構やってたと思います。よく行ってたのはミニマルテクノが一晩中かかるパーティー。Motor City Drum EnsembleやA Made Up Sound、Theo Parrishとか海外アーティストやDJは県外に行かなくても金沢で見れたので地方都市にしては多かったんでしょうね。 – Asparaという名前の由来を教えてください。 Aspara – 嫌です。 – そんな事言わずに。 Aspara – 正直僕もよくわかってないんですよ。石川県にいた頃にいつの間にかこう呼ばれてました。本名がややこしいのでこれは楽だな、と思って仕事以外で会った人にはそう名乗るようになりました。 – 初めて行ったクラブはどこですか? Aspara – 今はもうありませんが金沢のAFTER HOURSというクラブです。当時は寺町という繁華街から少し外れたエリアにありました。初DJと初オーガナイズもここでした。 – DJはどのようにして始めたのですか?何かきっかけがあったのですか? Aspara – 金沢のごく一部の高校では毎年卒業式のあとに卒業パーティーと称してクラブで遊ぶ風潮がなぜかあって(主催も出演者もお客も高校生)。僕の高校は無かったんですけど他校の友達に、「レコード集めてるならやってみない?」と声をかけてもらったのがきっかけでした。その後はもう人前でDJすることなんて無いだろうと思っていたのですが、先輩や友人に誘われてなんとなくDJする状況が数年続きました。 自我が芽生えたというか、意識して続けるきっかけになったのはPPTVというDJに出会ってからです。PPと出会ってなかったらもう少し違う感じになってたかもしれません。かける曲も考え方もこの頃から少しずつ変化し始めたと思います。2007年頃でしょうか。 – 初DJの1曲目を覚えてますか? Aspara –
2018/08/09
突如リリースされたアルバム『STEALTH』について。 今年6月にいきなりtakaoから届けられたアルバム『STEALTH』は全編を通して真摯で丁寧なレイヤーに包まれている。付かず離れず一定の距離感を保ちつつも優しく見守ってくれるような守護天使のように生活と耳に寄り添ってくるこのアルバムは、自主リリースかつSNSでオフィシャルのプロモーションが無かったにも関わらず確実に濃い広がりを見せた近年では稀有な作品である。takaoにアルバムのことを中心にメールインタビューを行なった。 – 音楽に目覚めたのはいつですか? takao – 小さい頃からテレビゲームが好きだったので、ゲームの音楽には親しみがありました。92年生まれなので、ニンテンドー64やプレステ1、2らへんのゲームをよくやってました。自分から弾いたり、聴きたいと思ったのはゲームの曲が最初かなと思います。ピアノを習ってたんですが、先生がゲームの楽譜(ゼルダやドラクエ)をよく買ってきてくれたりして、弾いたりしてました。いまでも当時つかってたゼルダの楽譜とかを見ながらときどき弾いてます。あとはなんか目覚めたっていうなら、中学生のとき、友達にSOUL’d OUTを教えてもらってハマったっていうのがありました。ファッションやノリは全然趣味ではなかったんですが、いつのまにかよく聴くようになってました。曲自体になんか聴きたくなる魔力みたいなのがあったかもしれないです。僕が中三のときにちょうど3ヶ月連続シングルリリースみたいなのがあって、月ごとに更新される先行情報とかどんな曲がでるかみたいなのを友達と予想したりとか、なにか最新なものを追うみたいな感じも当時楽しかったです。はじめて見たライブも大磯ロングビーチで行われたSOUL’d OUTでした。 – 制作環境どんな感じですか? takao – 主にパソコンで作ってます。Mac miniでableton live(9のスタンダード)を使ってます。ソフトだとXpand2っていうシンセをよく使います。『STEALTH』はほぼXpand2で作りました。ハードの機材は少なくて、SP404とmicro korg xlくらいしか使ってないです。 – 今回のアルバム『STEALTH』にはテーマやコンセプトはありましたか? takao – 漠然としていますが、出自がわからなくてもいいなと思えるアルバムを作りたかったです。『STEALTH』を発表するにあたってとくに話題性などはなく、聴いてくれる人も結構限られるかなと思っていました。けど全然知らない人がなんかの拍子で見つけたときでもいいなと思ってくれるものを目指しました。なのでとっつきやすいものになればなと思っていました。そのため、明確なコンセプトやテーマは考えずに単純にこういうの聴いてみたいなっていうアルバムをつくりました。僕のなかでこういうの聴いてみたいってものは、いままで聴いたことありそうだけど聴いたことないってものでした。聴いたことないものってなると肩に力が入ってしまいますが、肩の力抜いて気楽に聴けるものがよかったです。参考になったのは僕が好きな音楽やゲームでした。それらはときどき聴き返したり思い出したりするようなもので、楽しい気分にさせてくれますが共通して強靭で不動な感じがありました。また、どれも作りこまれていて、力作って感じのものが多かったです。なので『STEALTH』も力作を目指しました。また、力作のようなものであれば息長く聴いてもらえるかなと思っていたからです。あと聴いたことありそうだけどないってものにするなら、アルバムを通して聴いた時に作った年や作者、ジャンルがわかりづらいようになれば面白いかなと思いました。アルバムの曲名は雰囲気やイメージに近い名前になっていて、影響はわかりやすいのかもしれませんが、全体としてはなんでこれが作られたのか不明な感じにしたかったです。古代遺跡でもなんでこんなところにこんなものがあったんだろうってなるもののほうが面白いので、『STEALTH』も何十年か経って発掘されてそうになったら面白いかなと思いました。『STEALTH』には明確なテーマやコンセプトはありませんが、こうしたいっていうことはたくさんありました。なので、自然と他と干渉しないような独立した雰囲気を持つアルバムを作ろうと思いました。 – アルバムはどのようなプロセスを辿りましたか? takao – いままでサンプリングをして曲をつくることが大半でしたが、2年くらい前からほぼ打ち込みでつくるようになりました。多分打ち込みの方がはっきりしたメロディやリズムをつくるのに適してたからだと思います。最初にできた曲は去年の春とかでした。そこから1~2ヶ月に1個くらい作っていって、今年に入ってから調整したりして完成しました。アルバム全体としては、飽きないようにすることに一番気を遣いました。アンビエントっぽい曲の次の曲ははっきりとした旋律がある曲にしたり、同じような雰囲気の曲を続けて置かないようにしました。なので、ある程度完成してからは、自分のiPhoneに曲を入れて通して聴くのをやりました。通勤の電車とかで聴いてみて、飽きたり間延びしそうなところは、順番を入れ替えたり、曲の構成自体を変えたりしました。 – アルバムで気に入ってる曲はありますか? takao – 特別これみたいなのはなくてどれも同じくらいと思っています。 – 最近どんな音楽を聴いてますか? takao – 作ってるときにもいろんなの聴いてましたが、Deep Magicの『Reflections of Most Forgotten Love』をよく聴いてました。あとはこないだフジロックのライブ配信でeastern youthを見てかっこいいなと思って、最近聴きはじめました。ときどきiPhoneに入ってる曲を全部シャッフルして聴くのも面白くて好きです。 – 趣味はありますか? takao – 『Fortnite』っていうゲームにハマっててほぼ毎日やってます。最後の一人になるまで島で戦うっていうオンラインのゲームで、すごいおもしろいです。あとはYoutubeでライブカメラを見るのにハマってます。空港や街の定点カメラの映像をずっと流しっぱにしてるだけなんですが、見ながら音楽聴くのとかも楽しいしコメント欄で人が会話してるのを見るのも面白いです。 – 最近ブチ上がったことありますか? takao – ライブや生演奏を見るとテンション上がりますね。半年くらい前にN響演奏のストラヴィンスキーの火の鳥を見にいったときは感動しました。あとこないだのカトーマサカーでのdie reiheのDJがすごい良くてテンションあがりました。 – 今後挑戦したいことありますか? takao – 合唱できるような歌の作曲とかしてみたいです。 『STEALTH』のダウンロードはこちら。
2019/01/21
傑作『Stealth』のリリパが京都の外で開催決定。共演は7FO、CVN、EM Recordsの江村幸紀。 年末に公開したAvyss Encountersでもこの作品を挙げる方がいたが、アーティストや音楽に携わる人間からも評価が高い。そのTakaoのデビューアルバム『Stealth』の発売を記念したイベントが京都の外で開催決定。 共演は『Stealth』をリリースしたEM Recordsのファウンダー江村幸紀、同じくEM Recordsからアルバム『竜のぬけがら』をリリースした7FO、そしてCVNというラインナップになっている。 《Takao『Stealth』CD&LP発売記念ライブ》 Takao 7FO CVN DJ 江村幸紀(エム・レコード) 2019年2月16日(土) 開場/開演 18:00 予約 2,500円 当日 3,000円 *学生証提示で予約・当日ともに2,000円 イベント詳細と予約はこちらから。 また、Grey Matter Archivesで公開されたTakaoのMixはこちら。
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