2018/08/21
デビューアルバム『陸の孤島』について。
Aya Gloomyは東京で活動するシンガー/プロデューサーである。Aya Gloomyはモデルとしてファッション誌でも活躍し、また自身の古着屋pompom shopの運営など、自身のセンスで音楽とファッションをシームレスに活動している。高校生の頃からGloomyとして活動してきた彼女は原宿のレコードショップ/レーベルBIG LOVEに見出され、昨年にEP『ENNUI GROUND』をリリース、そして今年4月デビューアルバム『陸の孤島』をリリースした。EP『ENNUI GROUND』は特にリズム面においてクラブミュージック的要素が強くなっていたが、全体的にはこれまでの延長線上にある音楽であった。しかし、アルバム『陸の孤島』に関して言えば、明らかに今までとは違う切り口でセンスを推し進めた作品になっている。それまで英語詞のみだったのが、日本語詞の曲が増え、適材適所に整理された音の素材によりクリアに洗練された印象が残る。その為か、1〜8曲目までとEPの収録曲である9、10曲目が若干分断されているようにも聴こえるが、それほど意識的に考えて制作し、自分を更新したのだろう。雑談を交え、かなり脱線しながら、アルバム『陸の孤島』について話を聞いた。
– i-Dのインタビューってもう1年以上前だよね。あの時はPrincess Nokia、ABRA、Tommy Genesisを聴いてるって言ってたけど…
Aya Gloomy(以下、Aya) – (急に咳き込む)すみません、私喉が細いのか、めちゃくちゃむせちゃうんですよ。なんか変なとこに入っちゃって。ほんと1日に5回は訪れる。
– 窒息しちゃうね。
Aya – ですよね。私、お婆さんになったら…
– 今は何を聴いてるの?
Aya – 私、名前覚えられない病なんですよ。
– その病気けっこうあるよね。
Aya – (笑)ありますよね。最近、参考にする音楽しか聴いてなかったんですよ。
– Princess Nokiaとかは参考にしてたの?
Aya – いや、全くしてないです。リスニングとしてですね。できないからこそ好きって感じでもありました。今はこういう音いいなと思ったら、それずっと聴いちゃうみたいな。好きなジャンルとか無くなってきて、参考になる音楽しか聴いてないですね。
– じゃあ今回のアルバム『陸の孤島』の事だけど…
Aya – (笑)
– なんで笑ってんの(笑)
Aya – 『陸の孤島』って言ってくれると嬉しいんですよ。 流行らせたいんですよ。JKとかが、「マジ陸の孤島」って言ってほしくて。
– あんまり言う機会がなさそうな言葉だよね。
Aya – そう、だから選んだんですよ。都会なのに何もないみたいな。周りにコンビニとかも無くて、私の今住んでるとこがそうなんですよ。それをイメージして付けて。あれ、また話ズレましたね。
– 『陸の孤島』で言うと、どの曲が何を参考にしてるとかって言える?
Aya – 私、感覚的なので何をどの曲の参考にみたいなことが全然なくて。
– こんな感じかな〜みたいなイメージをAyaちゃんのフィルター通して作ってるんだね。
Aya – そうなんですよ。例えば、細野晴臣さんのプロデュースした真鍋ちえみとか参考にしてます。あと戸川純とか、昔のアイドルみたいな人とか。なんていうか、全体的に細野さんの作るテンション。(笑)私の中ではすごい参考と思ってるけど、実際はそこまで参考されて出来上がってないかもしれないです。私、日本の音楽を全然知らなかったんです。なんか忘れたんですけどきっかけがあって、次のアルバム作るときに何か変えなくちゃいけないって気持ちだったんです。また同じになっちゃうなって思って。
– 個人的に一番好きなのは『DAIKAKU』かな。Borderのインタビューで、久石譲を参考にしてるって言ってたよね。
Aya – イメージで全て動いちゃってて、こういう感じ”ぽいな〜”みたいなものの連続なんですよね。でも『DAIKAKU』はけっこうそういう感じにしたと思います。曲によって、誰っぽいなって考えたり多少しているんですけどね。
– 『DAIKAKU』ってどういう意味?
Aya – 『AKIRA』に出てくる大覚様です。タイトルと歌詞の内容違うんですけど、abletonで曲を作るときにはじめに曲名をつけないといけないじゃないですか。それで最初につけちゃったんですけど、それをそのままにしちゃって。ダイカクって響きもいいと思ったので。
– 分かってはいたけど、めっちゃ感覚の人だね。
Aya – そうですね、超考えて音を配置してなくて、これかなこれかなって選んで。せっかちだから早く作りたくって。作り始めたら早いです、1日とかで全部できます。全部作り終えないと気が済まなくて。
– Sky Ferreiraの『Everything Is Embarrassing』ってあるよね。
Aya – カラオケでめっちゃ歌います。それが何ですか?
– えっと、Look…
Aya – 『Look,Know』ですか?
– そう!
Aya – ワラ。
– ドラムの入り一緒?
Aya – ドゥッタドゥドゥッタ♪あ、そうですね!全然考えてなった!ドラムマシンのメトロノーム入っちゃったままになっちゃったんですよね。なんか取れなかったから。
– 何のドラムマシンを使ってるの?
Aya – あれは、YAMAHAのです。おもちゃみたいなやつで、借り物です。
– ライブはBanjoをサポートに入れてるよね。
Aya – 頼れる人がBanjoしかいなかったんですよ。Banjoもなんかやんなくちゃねって思ってたし、一番の友達だから。
– 今、周りでかっこいいなと思う人はいる?
Aya – テンテンコさんすごい好きです。この前、テンテンコさん主催のイベントに呼んでもらって。pompomにも来てくれるんです。私のやりたいことにすごく近くて。あの人は考えてやってる人に感じて、日本の音楽を教えてもらったりしました。ライブもカッコ良かったです。声がめちゃくちゃ綺麗なんです。
– Borderを読んでて思ったけど、負の感情を自分のパワーに変えてる?
Aya – なんか自分がどうなりたいか明確じゃないんで、すごく考えるんです。今で言うと、きゃりーぱみゅぱみゅみたいな、世界から見たときに日本人といったらこの人というアーティストになりたいんです。でも、どう動けばいいのかがわからなくて。それって上手くやらないとダサくなっちゃうし。メジャーに行きたいわけじゃないんですよ、それがかっこいいと思ってないから。それは進まなくちゃ行けない道かもしれないけど、そうじゃなくどうやって行くかっていうのを考えてるんですけど、まだ上手く繋がってない。アルバム出して、せっかくいい時期なのに、もどかしくて焦っちゃってます。pompomとかは定期的に出来てるけど、音楽のことはあまり進んでないからどうしたらいいのかなって。すみません、相談みたいになっちゃった。(笑)
– 今作で3曲ぐらい日本語の歌詞の曲があるよね。それはなんでかな?最初の方で日本の曲を参考にしたって話と繋がってくるとは思うけど。
Aya – 次の段階に行くときに今日本ブームがすごいですよね。あと日本の80年代のレコードの再発がブームだって気づいて。次はオリエンタルな感じでやれたらな、と。
– 最初は中国のアーティストが、自国の文化の色をビジュアルや音に色濃く出してきたのが始まりな気がするね。で、日本語の歌詞はAyaちゃんに合ってる気がする。
Aya – それすごい言われるんですよ。英語は喋れないので、けっこう適当だったんですけど。外人さんからも何言ってるの?よく聞かれてたんですよ。
– そういえば、最初にAyaちゃんのライブ観たのって渋谷のエコーってとこだったと思うんだけど、たぶん。
Aya – エコーってどこでしたっけ?
– 道玄坂を上がっていったとこかな?、スさん(Rhyming Slang)とまさとおさん(drwng)がやってたイベント。
Aya – あー!あれエコーって名前でしたっけ。あそこすごい可愛かったですよね〜。もうないんですかね。
– あれは最初の方のライブ?
Aya – めっちゃ最初ですよ。1人になって、初めてだったかも。
– Ykiki Beat(DYGL、Cairophenomenonsのドラムのミズキ、野末からなるバンド。活動休止中。)とか、みんな居たよね。
Aya – ほんとですよね。私、高校三年生とかでした。一昨日で24歳になったんですよ。
– おめでとう。
Aya – 知り合って7年ですね。7年も!7年ってやばくないですか?あれ、17歳?あれ、18歳でしたっけ?高三って18歳ですか?
– 高三は18歳だね。
Aya – あ、じゃあ6年ですね。早いなー。エコーの後に関山さんのACCOMMOとか出ましたよね。
– ACCOMMOは渋谷HOMEでやってたね。あのときから印象も変わってきたね。言葉が音になっても理解できるからってのもあるけど。リズムも前より硬くなってきた。
Aya – 本当ですか、意識はしてないんですけど。(笑)Contactとかクラブでもっとライブやりたいんですよね。あと日本語は早口で言わずに、言葉を一つ一つ言うことを心掛けてます。中谷美紀の歌い方がすごい好きなんです。『クロニック・ラヴ』名曲ですよね?実家に帰ったときにCSでちょうど『ケイゾク』がやっていて、あの曲聴いて超感動しちゃって。日本語素晴らしいって思っちゃって。ああいう淡々とした歌い方がすごく好きで、こういう風に歌えばJ-Popみたいにならないんだって思ったんですよ。中谷美紀めちゃめちゃ可愛くないですか?顔もやばい。かわいいですよね。『MIND CIRCUS』わかります?
– 『MIND CIRCUS』わかります。あの頃の中谷美紀良いね。
Aya – 大好きあれ。ほんと最高ですね。まじ名曲ですよね。
– 『陸の孤島』の中で、気に入ってる曲ある?
Aya – やっぱ1曲目の『静かに消える』ですね。最近のアーティストのアルバムは1曲目に印象に残る曲を持ってくるイメージがあるのでそうしました。前は2、3曲目にリード曲を持ってきてましたけど、今は最初に印象を掴む感じですね。『クロニック・ラヴ』を聴いて、「あーもう中谷美紀!」ってなってから1日で出来た曲なんです。歌詞もあの曲みたいに”雰囲気で伝わる日本語”を選んだんです。そのあとに日本語詞の残りの曲ができたっていう流れです。
– うん、なるほど。その方向性の曲もっと聴いてみたいですね。
category:FEATURE
tags:Aya Gloomy / Big Love Records
2019/12/25
春にはデビューアルバムも 2017年に〈Domino〉からデビュー以降、UKインディ / オルタナの新世代として注目されるロンドンのSorry が、原宿の〈BIG LOVE〉から2曲入りの7インチシングル「Starstruck / Jealous Guy」をクリスマスイヴにリリース。 2018年11月のシングル「Starstruck」と今年3月リリースした「Jealous Guy」の2曲を収録した本作。グランジからローファイまで、90年代のUSオルタナティヴの影響を感じさせるSorryのこれまでの楽曲の中でも印象的なリフを持つ「Starstruck」は特にキラー。Pitchfork、Dazed、BBC Radio1など、海外メディアからも注目され、すでにシングルをリリースする度に話題になるSorry、待望のデビューアルバム『925』は2020年春に〈Domino〉からリリース予定。 発売日:12月24日 アーティスト:Sorry / ソーリー タイトル: Starstruck / スターに夢中,Jealous Guy / ジェラス・ガイ 品番:BIGLOVE095 販売価格:¥1890(税抜) 収録内容:全2曲 フォーマット:帯付き。歌詞対訳収録インナーシート封入。限定250枚7インチ。ブラック・ヴァイナル http://www.bigloverecords.jp/201912/sorry-3.html
2019/08/27
8月30日リリース。 オリエンタルなサウンドとフューチャリスティックな世界観でシーンを揺るがせたファーストアルバム『陸の孤島』から1年を経て、Aya Gloomyが2nd EP『KANJIRU』を発表。 金沢21世紀美術館でのワンマン、Yves Tumorとの共演など数々のライブを経てパワーアップしたAya Gloomy、全5曲入りの待望の新作。セルフプロデュースされたアンダーグラウンドでありつつもどこか親しみを感じるエレクトリックなサウンド、更に今作は自身のパーソナルな思いを綴った全編にわたる日本語詞が新境地を切り開いている。透き通るボーカル、どこか違う星の言語のように聞こえる不思議な日本語イントネーションは健在。今作について本人は「夢みたいに、常に起こる日常のループのような作品になったとおもいます。」と語る。近日、新曲のミュージックビデオが公開予定。 『KANJIRU』は8月30日にデジタルリリース。Spotify、Apple Music等で配信開始。
2020/12/16
監督はTsubasa Matsumoto Aya Gloomy.が、2019年9月リリースの2nd EP『KANJIRU』から、約一年振りとなるニューシングル「Micro Creature」をリリース。 リリースに合わせて、制服を着た高校生 or 宇宙人のような存在が日本の田舎で生活しているという内容のミュージックビデオも公開。撮影、監督はTsubasa Matsumotoが担当。エンジニアとしては米津裕二郎が担当している。 ”私たちの目には見えない小さな小さな生物たち。コンピューターの中で時に崩れていく。いつか私の目に移るあなたと会える時がくるかもしれない” – Aya Gloomy Aya Gloomy – Micro Creature Release date : 16 December 2020 Stream : https://friendship.lnk.to/MicroCreature
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