2018/08/13
レコードを売る生活『naminohana records』
大阪の梅田駅から少し歩いた浅田ビルという建物の3Fにあるレコード屋naminohana records。入口の扉は閉められており、特にお店であることを示す看板的なものはない。正直とても入りづらいが、扉の向こうには気さくに接してくれる笑顔が素敵な店主が待っている。テクノ/ハウス、エレクトロニックなクラブミュージックを軸に店主インベのセレクトはリスナー、DJ問わず広く利用されている。今回はnaminohana recordsのオーナーであるインベにメールでショートインタビューを行なった。
– naminohanaという名前の由来はなんでしょうか?
インベ – 字面で選びました。同じようなアルファベットが並ぶのが気に入ってます。後付けで適当に言うこともあるけど、深い意味はありません。
– どういう経緯でnaminohana recordsを始めたのでしょうか?
インベ – 元々、高校生の頃から地元のレコード屋でバイトしていました。そのまま社員になって10年くらい経った頃に、被災(水害)して所有していたレコードの大半を失うことに。意気消沈していたところ、大阪の某レコード屋から声をかけてもらって、誘われるがままに大阪移住。5年ほど経過したころ「レコード業界にいる限り幸せになれない」的な妄想に取り憑かれて退社&レコード売却。しかし、ほぼレコード屋しか経験していないので、まともに働けるわけもなく、グダグダした生活が続く。紆余曲折を経て、結局レコードを売るしか生活出来ないと気が付き、2011年の12月に無理やりnaminohanaをオープンしました。
– レコードなど商品を仕入れる基準はありますか?
インベ – 自分がレコードで聴いてみたいもの、売れ残っても嫌じゃないものが前提で、「これは今までの感じと違うな」と思ったもの、お客さんに教えてもらったもの(リアルもネット上も)、そこから広げたものです。昔はレコード屋の特権みたいなものがあって、リリース情報はギルド的な「秘密」だったけど、ネット社会となった現在は、そんなのほとんど無く、深く追っているお客さんの方が情報を持っています。で、その情報を踏まえて、あのお客さんはコレも好きじゃないかな~、とか考えながら仕入れてます。
– どんなお客さんが来ますか?
インベ – 色んな方達。
– 最近注目しているDJやアーティストやレーベルはありますか?
インベ – PRR! PRR!
– レコード屋をやっていて楽しいと感じるところはどんなところですか?
インベ – レコードが売れたとき。通販してくれているお客さんが店に来てくれたとき。
– 今後の目標や、実現させたい展開などはありますか?
インベ – 雨漏りしないところに引っ越したいです。
こちらはnaminohana recordsが入荷情報をお知らせする『言わなければよかったのにBlog』
https://naminohana.wordpress.com/
以下、現在naminohana recordsに入荷している商品です。気になるものをいくつかピックアップ。お店で購入していただくか、リンクから注文してください。
http://naminohana-records.com/?pid=133755214
http://naminohana-records.com/?pid=133385370
http://naminohana-records.com/?pid=131786523
http://naminohana-records.com/?pid=133835867
category:FEATURE
tags:naminohana records / Record Shop
2019/07/16
7月15日から7月31日の期間開催。 2019年3月1日よりフランス E&S 社製品の国内総輸入代理店業務を㈱カエルワークスが開始し、再び注目を集めている「DJR 200」「DJR400FX」の実機展示イベントが大阪のレコードショップ naminohana records で7月15日から7月31日の期間開催されている。期間中は実際に店舗にレコードを持ち込んで実機を触る事や、店舗取り扱いのレコードを実機で視聴する事も可能となっている。Master-Sounds、CondesaやMeza Studiosなど新世代のロータリーミキサー達に大きな影響を与えたとされるE&S社の製品を是非この機会に体感してほしい。 会場: naminohana records 大阪市中央区東心斎橋1-13-32 宝ビル3F 会期: 7月15日 (月)〜7月31日(水) 営業時間 17:00~21:00 日曜定休 ※私物レコードの持参可能 展示期間中の7月26日(金)はclub Stompにて実際にE&S DJR400FXを使用したイベントが開催され、DJはAspara、Keita Kawakamiが出演。この日のPAはyoriが担当。E&S製品の音質やポテンシャルを体感出来るスペシャルなイベントとなっている。 「道中 with E&S DJR400」 2019.7.26 fri OEPN 22:00- VENUE Club Stomp DOOR ¥1000(+1D) DJ: Keita Kawakami, Aspara PA: yori Flyer: isoroku
2018/10/09
GrimesやTOPSなど輩出したArbutusファウンダーのSebastian Cowanインタビュー。 Grimes、TOPS(前身のSilly Kissers時代から)、Sean Nicholas Savage、Blue Hawaii、Tonstartssbandht、Braidsなど錚々たるアーテイストを輩出したカナダはモントリオールを拠点に置くインディレーベルArbutus Records。1年、数ヶ月単位でトレンドが入れ替わり、浮き沈みの激しい音楽業界でクローズするレーベルも多い中、なぜArbutusは10年もレーベルを続けてこられたのか。今回のインタビューを読むと、ArbutusのファウンダーがSebastian Cowanだったからこそ、ここまで続いているのではという印象を受ける。まずはアーティストとレーベルの信頼関係を重要視している点は、日本も見習うべきかもしれない。今回のインタビュアーはSebastianと以前から交流があるTeen Runnings/Sauna Coolの金子が担当している。 – モントリオールのレーベルとしてやりづらさを感じることはある? Sebastian Cowan(以下、Sebastian) – モントリオールが好きだよ。ロンドンにも数年住んでいたことがあって、あそこは音楽業界と密接に関わるにはいいところだと思う。ただ、アーティストやミュージシャンとより近く深い関係を築くことができるという点ではモントリオールの方がいいかな。音楽業界で働いてる身とはいえ、仕事の関係者よりもアーティストとより一緒に時間を過ごしたいのが本音かな。 – モントリオールとロンドンの大きな違いは? Sebastian – ロンドンは、同じ業界にいて、どのバンドも業界関係者も高いレベルにあって、とても刺激を受けた。逆にモントリオールは庶民的でDIYな感じが強いかな。 – レーベルのアーティストはどうやって探している? Sebastian – ほとんど友達からの紹介で。 – 誰かアジアのアーティストは知ってる?アジアの音楽シーンやアーティストに興味をもったり調べたりしたこととかは? Sebastian – アジアのアーティストにはすごく興味があるんだけど、なにしろ行ったことがないから情報を仕入れることができなくて・・・。いつかArbutusのバンドとツアーでアジアを回りたいな。 – これまでArbutusのバンドは日本によく来ているのにセバスチャンはどうして来ないの?忙しすぎて来れない? Sebastian – 飛行機代が高いから!バンドはライブで飛行機代をまかなうことができるけど、僕には一銭も入ってこないから僕は全額支払わないといけないし・・・。 – 日本では一切なかったんだけど、僕がモントリオールに住んでいた頃、Arbutusが主催するイベントが、ジェンダーやジェントリフィケーションの問題があると地元の人にFacebook上で言われて、中止になったことがあったよね。レーベルオーナー、イベントのオーガナイザーとしてどうやってそういった問題に対処すべきか聞きたい。 Sebastian – そういう問題はいつも気をつけて意識を向けるようにしている。「人は常に学んでいる」と知ることが大事だと思う。 https://www.instagram.com/p/BoFSCn8H2iw/?taken-by=arbutusrecords レーベル10周年の記念パーティーは所属アーティストなどに加え、Marie Davidsonも出演。 – 日本のメジャーレーベルがアーティストに月に何十曲も作らせてる(※諸説あります)とは前から言われていて、でもそれってアーティストに対する敬意が全くなくておかしいと思うし、業界やレーベルはアーティストの創造性を尊重すべきだと本当に思う。Arbutusには色があると思うけど、色が違うからと言って、上がってきた曲を修正させたり却下したこととかってある? Sebastian – それはおかしいね。僕には全く想像できない。Arbutusでは自分はアーティストのためにいることを心がけている。彼らがやりたいことなら、それが何であっても手助けするのがレーベルかな。 – ということは、バンドの新曲に「ノー」といったことはない?時々?(笑) Sebastian – アーティストを信じているのなら、サポートに徹するべきかと。 – 日本では大きなレーベルと契約することがいまだに最終地点だけど、他の国ではMac DeMarcoのように世界的に有名になっても当初のレーベルにとどまるアーティストがいるよね。それはプロモーション費用がなくても大きなレーベルと競合できるある程度の環境があるのかなと思う。つまり、ArbutusのBraidsがJunoアワードで賞をとったように、音だけがしっかり評価されているということ? Sebastian – 確かに大きいレーベルにはより予算があるけど、レーベルのディストリビューションとプロモーションに基本的な水準があれば、バンドのキャリアは(レーベルではなく)作品の出来次第で決まる。作ったレコードがどれだけ良いか、そして今世の中に求められてるものかどうかってこと。 – 印税はどうしてる? Sebastian – レーベルとアーティストで純利益を折半している。ビジネスにおいて道徳的にもっとも正しいとされている割合だね。 – 日本では、音楽はアートというよりエンタメとしてみられているけど、カナダやアメリカではみんな音楽をアートとしてみていると個人的に思う。業界の人間としてそれはどう感じる? Sebastian – 北米では音楽は確かにアートとしてみられているね。アートとエンタメの違いは、後者は商業的、ということだと思う。音楽ももちろん売買されて金銭のやりとりがあるから商業的と言えるんだけど。アートと商業の交わる部分というのはいつもやっかいで、多くの西洋人アーティストが日々取り組み続けている難問でもあるんだよ。 – 日本ではインターネットやSNSが力を持っていて、リスナーやオーガナイザーはYouTubeの再生回数やツイッターのフォロワーなどの数字を気にして、それをアーティストの良し悪しの判断基準にしている。カナダも似たような感じ? Sebastian – カナダでも同じだと思う。僕自身は音楽面だけを見てやっているつもり。好きか嫌いか。でも多くの人にとっては音楽が多すぎて聴けないから、曲を聴く代わりに数字で判断するのがラクなことが多いんじゃないかな。 – 音楽のトレンドは常に変化しているけど、モントリオールは独特の雰囲気があって、Arbutusはトレンドなんて気にしていないように見えるんだけど、流行りの曲とかって聴く? Sebastian – 流行りの音楽も沢山好きなのはあるけど、Top 40 Radioのほとんどの曲は好きじゃない。大体いつも1、2曲は本当にいいのがあるけど、ほとんどはうっとおしいと感じるな。 – トレンドは気にする?それともArbutusがいつかトレンドを作ってやると思ってる? Sebastian
2018/09/04
アスパラの歴史と蘭丸。 記憶が曖昧だが、彼と初めて会ったのはForestlimitだったような気がする。違うかもしれない。とても人当たりの良い印象だったという記憶だけが鮮明だ。交友関係も幅広く、大阪を拠点にしているが、全国様々なイベントでDJを行なっている彼をオフィシャルのプロフィールをコピペして紹介しよう。<Aspara(アスパラ)、石川県出身大阪府在住のDJ。日本各地で精力的に活動中。Licaxxx、Madeggと共にTimeOut Cafeにて不定期で開催されるハウスパーティー『MAL』を主催。音楽が好き。>とのことだ。そんなAsparaが今年5月にリリースしたMixCD『蘭丸』は再生した瞬間から高いテンションで始まる。ジャケットのデザインも込みで伝わってくる”衝動”のようなものをそのまま受け入れて、シンプルな感情で聴きたい作品だ。今回は、メールで数日キャッチボールしながらインタビューを構築していった。 – 小さい時はどんな子供でしたか? Aspara – 友達と鬼ごっこしたり家にあったライターと新聞紙持って浜辺で焚き火したり、釣りに行ったり、外で遊ぶことが好きなはずだったんですが、小学校高学年くらいから家に引きこもってビーマニに熱中してました。ゲーセンにあるものにより近いDX専用コントローラーを持ってる友達の家に遊びに行ったり、僕が持っていないアペンドディスクを持っている友達の家に遊びに行ったりしていました。 – 学校ではどういう存在でした?生徒会長?ヤンキー? Aspara – どうなんでしょうね。思ったことはっきり言うのはその頃から変わってないので嫌われてたかも。学校の行事には割と積極的に参加してたほうだと思います。勉強は全然出来なかったけど、授業は好きでした。 – 最初に買った音楽覚えてますか? Aspara – どのチームか忘れましたけど、Jリーグの応援歌が入ったCDだったと思います。何であれ買ったんだろ。今も昔もサッカーは全然興味ないっす。 – 生まれも育ちも大阪ですか? Aspara – 出身は石川県です。大阪には6年くらい前に越してきました。今は実家に帰ったときのほうがそわそわするし、大阪のほうが落ち着きます。 – 石川県出身はなんとなく意外でした。大阪で一番好きなところはどこですか? Aspara – 良いレコード屋があるところ!と、酒場がいっぱいあるところ。おかげで飲めなかったお酒が飲めるようになって、沢山友達ができました。 – 普段よく遊ぶ人って音楽界隈の人ですか?それ以外の人? Aspara – 音楽がきっかけで知り合った人がほとんどですね。楽しいです。 – 意識的に音楽を聴くようになったのはいつ頃ですか?その時は何を聴いていましたか? Aspara – 中3の部活引退後くらいから友達とスケートボードをするようになってたんですが、僕はすぐに飽きちゃって。そのかわりにスケートブランドが作ったビデオを見るのが好きになって最終的にそのビデオで流れているヒップホップが好きになりました。 Gang StarrとかDITCから始まって、高校に入ってからはMo’Wax、Anticon、MUSH、BIG DADAなどから出てた、当時アブストラクトヒップホップと呼ばれていたインストのブレイクビーツをよく聴いていました。その流れでノイズとかドローンも。テクノやハウスを買い集めるようになったのはここ5年くらいです。 – なんかかっこいい音楽遍歴ですね。テクノやハウスを買い集めるきっかけは何だったんですか? Aspara – 高校からは友達いませんでしたど…金沢にいた頃はテクノのパーティーによく遊びに行ってたし、聴くのは好きだったんですけど何故かその時は集めるまではいかなかったんです。きっかけははっきり覚えてないんですけど、Ben UFOの登場以降に意識して買い始めた気がします。Hessle AudioはじめUKのベースミュージックのレーベルがテクノ化していったタイミングでもあったし、良いリリースが多かったんですよね。 – 金沢のクラブはどうですか?テクノのパーティーは多いですか? Aspara – 今は全然わかんないですけど2008年くらいまでは結構やってたと思います。よく行ってたのはミニマルテクノが一晩中かかるパーティー。Motor City Drum EnsembleやA Made Up Sound、Theo Parrishとか海外アーティストやDJは県外に行かなくても金沢で見れたので地方都市にしては多かったんでしょうね。 – Asparaという名前の由来を教えてください。 Aspara – 嫌です。 – そんな事言わずに。 Aspara – 正直僕もよくわかってないんですよ。石川県にいた頃にいつの間にかこう呼ばれてました。本名がややこしいのでこれは楽だな、と思って仕事以外で会った人にはそう名乗るようになりました。 – 初めて行ったクラブはどこですか? Aspara – 今はもうありませんが金沢のAFTER HOURSというクラブです。当時は寺町という繁華街から少し外れたエリアにありました。初DJと初オーガナイズもここでした。 – DJはどのようにして始めたのですか?何かきっかけがあったのですか? Aspara – 金沢のごく一部の高校では毎年卒業式のあとに卒業パーティーと称してクラブで遊ぶ風潮がなぜかあって(主催も出演者もお客も高校生)。僕の高校は無かったんですけど他校の友達に、「レコード集めてるならやってみない?」と声をかけてもらったのがきっかけでした。その後はもう人前でDJすることなんて無いだろうと思っていたのですが、先輩や友人に誘われてなんとなくDJする状況が数年続きました。 自我が芽生えたというか、意識して続けるきっかけになったのはPPTVというDJに出会ってからです。PPと出会ってなかったらもう少し違う感じになってたかもしれません。かける曲も考え方もこの頃から少しずつ変化し始めたと思います。2007年頃でしょうか。 – 初DJの1曲目を覚えてますか? Aspara –
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