2018/06/25
ジャパンツアーが目前に迫った、ハンガリーはブダペストを拠点にするレフトフィールド/テクノのプロデューサーS Olbrichtへインタビューを行なった。
ハンガリーの首都ブダペスト、街の名前は聞いたことはあってもどんな街なのか想像がつかない人は多いのではないだろうか。元々は、ドナウ川を挟んで、西側のブダとオーブダ、東側のペストが1873年に合併してブダペストになったのが始まりだ。グーグルで検索して画像を見てもらえればわかるが、多様な建築様式が合わさった街並みは本当に美しい。今回待望のジャパンツアーを行うブダペストを拠点にするDJ/プロデューサーのS OlbrichtことMartin Mikolaiの作る音楽はこの美しい街がスモークに包まれたような音楽だ。彼はヨーロッパを中心とした近年のテクノの最重要レーベルから次々と作品をリリースしている。Basic Houseが主宰するUKのOpal Tapes、イタリアのGang Of Ducks、Lee Gambleが主宰するUIQ、そして今回のショーケースのタイトルにもなっているTom HangことJimmy Asquithが主宰するLobster Thereminといった並びだ。はっきり言ってこれらのレーベル全てから作品をリリースしているのは世界で彼しかいない。来日ツアーを目前に控えたS Olbrichtにブダペストのことや、2012年から仲間と主宰するレーベルFarbwechselのことなどを中心にメールインタビューを行なった。
– ハンガリーのブダペストというと、日本からすると実体が見えにくいのですが、ブダペストのあなたたちのシーンはどんな感じですか。
S Olbricht – ブダペストでもそれを理解するのは難しいよ。(笑)この質問はよくされるんだけど、正直何て答えたらいいかよく分からないんだ。僕たちがレーベルFarbwechselを立ち上げてからエレクトロニックシーンはより活発になり続けてると思う。ブダペストには6~7年前と比べてずっと多くのレーベルがあるし、アーティストは意識を外に向けている。最近の彼らのアプローチはしっかりしてきているんだ。
– ブダペストという街があなたたちの音楽にもたらす影響はあるのでしょうか。
S Olbricht – それがどんな風にかは分からないけど、間違いなく僕たちの音楽に影響してるよ。
– 普段は何をしていますか?何か別の仕事をしているのですか?
S Olbricht – いわゆる”昼間の仕事”ってやつをしていない時期もあった。ギャラや印税なんかで十分なお金が稼げると確信していたからね。でも1年半たってみて、リスクが高すぎることに気づいてものすごく不安になったんだ。だからこの2年間はクリエィティブエージェンシーでサウンドエンジニアとして働いてる。吹き替えを録音したり、テレビCMのマスタリングをしたりもするんだ。仕事は気に入っていて、前よりもずっと気分がいいことは確かだよ。
– どのように音楽に触れてきて、音楽を始めたのですか?
S Olbricht – 僕が作曲を始めた一番最初の記憶は、2001年頃プレステの「Music2000」を数時間使ったことだよ。ちゃんとしてる音楽制作のソフトを見たのはそれが初めてだったんだ。それから15歳のときにReasonを使い始めて、1~2年後にスケートボードを売って初めてのターンテーブルを買った。18歳頃にNorwellとAlpárとSVRに出会って、Reaktorも使い始めた。2010年にはエレクトロニックミュージックと現代音楽、それにメディアアートを学びにペーチ大学に入学して、その後2012年にレーベルFarbwechsel Recordsをさっき言った人たちと立ち上げたって感じだよ。
– 何に影響を受けていますか?テクノ以外の音楽で好きなものは何ですか?
S Olbricht – う~ん、難しいな。何とも言えない。状況次第で変わるって感じかな。
– Lobster Thereminとあなたの周りのシーンは深い関係があるように見えますが、どうですか?
S Olbricht – いや、そうでもないよ。彼らはロンドンを拠点としていて、僕らはブダペストに住んでいるからね。まったく別のコミュニティだから。でもジミーには感謝してるよ。彼は初期の頃、僕たちのために色々と世話をしてくれたんだ。
– Farbwechselについて聞かせてください。どのような経緯で始まったのでしょうか?
S Olbricht – 正直に言うと、そんなに大した話はないんだ。2011年ごろに僕らはエレクトロニックミュージックのブログを Alpár、Norwell、SVRと一緒にFarbwechselの名前で始めてたんだ。で、当時僕らはすでにNorwellと作品をいくつかリリースしてた。でもレーベルのボスに色々と問題があって、そのことでちょっとイライラしてたんだ。それで、2012年にテープレーベルを立ち上げてみることを決めた。最初のリリース後、ファンやメディアからすごくいい反応があったから、それを維持させなきゃいけなくなったのさ。(笑)今は28作品目のリリースに取り組んでる。すごくハッピーだし、本当にみんなに感謝してるよ。
– 日本に来るのは初めてですか?日本の音楽やミュージシャンのことは知ってますか?
S Olbricht – 初めてだし、とても楽しみにしてるよ!もちろん日本のミュージシャンを何人も知ってるよ。Masayoshi Fujita、灰野敬二、Incapacitants、C.C.C.C.、Kouhei Matsunaga(NHK yx Koyxen)、Merzbow、Boris、Nisennenmondaiが大好きだし、Masonnaもいいと思うことがあるし、KK Null、それにChihei Hatakeyamaの前回のアルバムは大好きだ。
あ、あとCVNという人も知ってる。彼を知ってるかい?彼は本当にクレイジーだね。(マジであなたの音楽が大好きだ。)
– 今回はありがとうございました。ジャパンツアーが成功することを祈ってます。
<原文>
– Please tell me the real your scene of Budapest.
S Olbrcht – It’s even hard to see from Budapest as well lol. I got this question a lot of time and I really do not know what to say. As I see our electronic music seen is getting stronger and stronger after we launched the label Farbwechsel, we have much more labels in Budapest then 6-7 years ago and the artist stopped being shy and their approach is much more stable nowadays.
– Does the Budapest affect your music?
S Olbricht – I’m not sure how, but I’m sure it does. 🙂
– Do you have job except the music? Usually what do you do?
S Olbricht – There’ve been a term while I had no “dayjob” because I was sure I could earn enough money by fees and royalties and stuff, but after 1.5 year I realised it’s too risky and that’s why I felt terribly uncomfortable.
So yeah, in the past 2 years I’ve worked for a creative agency as a sound engineer. I record voice overs, do the mastering of TVC-s etc… And I have to admit I like my job and I feel much better since then.
– How did you start DJ/make tracks?
S Olbricht – My very first memory of making music is the first couple of hours I spent with Music2000 for Playstation around 2001. That was the first time I saw an almost proper timeline based music maker software ever. Then I was 15 when I started to use Reason and after a 1-2 years I sold my skateboard and bought my first turntable.
Around the age of 18 I met with Norwell and Alpár and SVR, and I started to use Reaktor as well. In 2010 I went to the University of Pécs to study electronic and contemporary music and media art. And in 2012 we established the label Farbwechsel Records with the guys I mentioned before.
– What do you make music under the influence of?
S Olbricht – Hmm.. I cant really tell that because I’m not sure. It depends.
– You released from Lobster Theremin. Is Lobster Theremin good and deep relations?
S Olbricht – Not really. It’s because they’re based in London and we live in Budapest. It’s a totally different community. But I’m thankful for Jimmy, he did many things for us at the beginning.
– Let me know Farbwechsel How did you start your label?
S Olbricht – To be honest it wasn’t a big deal. Around 2011 we started an electronic music blog under the name Farbwechsel with Alpár, Norwell and SVR. Back in those days we already have a few releases with Norwell but we had many problems with label bosses and we were a little bit pissed off about that.
So.. in 2012 we decided to give a try of establishing a tape label and after the first release people and the press started to give really nice feedbacks so we had to keep it alive haha.
At the moment we are working on the 28th release and I’m really happy with it. Honestly I’m really grateful for the guys.
– Is it your first time coming to Japan? Do you know Japanese DJ or Producer or Band?
S Olbricht – Yes, and I really looking forward! Sure I know a few ones. I’m really into Masayoshi Fujita, Keiji Haino, The Incapacitants, CCCC, Kouhei Matsunaga, Merzbow, Boris, Nisenenmondai, sometimes Masonna as well, K.K. Null, I loved the last Chihei Hatakeyama album, and I know a guy called CVN.. have you heard about him? He’s craaaazy 😀 (I mean seriously, I love your music)
ツアーの詳細は以下。
解体新書 feat. Imre Kiss & S Olbricht -Lobster Theremin Showcase-
2018/6/30 Sat at WWWβ
Open / Start 23:59
ADV ¥1500 / Door ¥2000 / U23 ¥1000
DJ:
[Main]
Imre Kiss (Lobster Theremin | Farbwechsel | from Budapest)
S Olbricht (Lobster Theremin | Opal Tapes | Farbwechsel | from Budapest)
Cemetery -live
Romy Mats (解体新書 | N.O.S.)
VJ: Camel (解体新書)
[Lounge]
Bruna (VETA)
Tomii Meme (Sanctuary)
Junya Yamamura
Risako Kuroe (解体新書)
※20 and Over only. Photo ID Required.
More info: http://www-shibuya.jp/schedule/009136.php
死海文書 feat. Imre Kiss & S Olbricht -Lobster Theremin Showcase-
2018/7/1 Sun at Compufunk
Open / Start 16:00
ADV ¥2000 / Door ¥2500
DJ:
Imre Kiss (Lobster Theremin | Farbwechsel | from Budapest)
S Olbricht (Lobster Theremin | Opal Tapes | Farbwechsel | from Budapest)
Romy Mats (解体新書 | N.O.S.)
DJ No Guarantee
Eciv Takizumi
Sound: Yori
More info: http://www.compufunk.com/?mode=f3
category:FEATURE
tags:Farbwechsel / Lobster Theremin / Opal Tapes / S Olbricht / UIQ
2020/08/12
収益はDV被害者を支援する団体へ寄付 Tom HangやChicago Flotation Deviceといった複数の名義で活動するプロデューサーJimmy Asquithが主宰するロンドンのレーベル兼ディストリビューター〈Lobster Theremin〉からチャリティーコンピレーション『LOBSTER PLUR Volume 4』がリリース。 8月のBandcamp Fridaysにリリースされた今作は、今年3月に3作同時にリリースされた『LOBSTER PLUR』シリーズの最新作となる。ハウス、テクノ、エレクトロ、ジャングル、アンビエント、ブレイクビーツ、ガラージなど多様なトラックが35曲収録。 前作はメンタルヘルスやホームレス支援の為のチャリティーが目的であったが今作は、アフリカやカリブ海地域の出身のDV被害女性をサポートする団体〈Sistah Space〉に収益の100%が寄付される。 VA – “LOBSTER PLUR Volume 4” Label : Lobster Theremin Release date : August 7 2020 Bandcamp : https://lobstertheremin.bandcamp.com/album/lobster-plur-volume-4 Tracklist 1. Angel D’lite – Rise Up 2. Beaman & Winston – Sinbi 3. Bolam – Who Knows 4. Boxia – Shores Of Europa 5. Campbell Pirret – 992 Piano Jam 6. Choice City –
2018/10/31
不完全なリズムのイメージ、ルーツがもたらす未来のパターン。 自身のルーツを音に落とし込むことや、アフリカを想起させるサウンド、など最近増えてきているのは確か。Lee GambleのレーベルUIQからデビューアルバム『7 Directions』をリリースするNkisiもその手法で独自に実験していると言っていい。 コンゴから現在はロンドンに拠点を移しているNkisiは、Chino Amobi、Angel-Hoらが所属するコレクティブNONのキュレーションやマネージメントに携わっている。これまでにもWarpのサブレーベルArcolaなどからリリースしていたが、満を持してデビューLPがリリース。アートワークも自身がディレクションした。 プレオーダーはUIQのサイトからプレオーダーボタンをクリック、するとそこはやっぱりBoomkat。来年1/18にリリース。 先行で『VII』が公開されている。 Tracklist a1 — I a2 — II a3 — III a4 — IV b1 — V b2 — VI b3 — VII
2018/08/02
UKのレーベルOpal TapesがTシャツをリリース。デザインはJesse Osborne-Lanthierが手がけている。 Stephen BishopことBasic Houseが主宰するUKのレーベルOpal Tapesはヨーロッパを代表するアンダーグラウンドのテクノレーベルである。そのOpal TapesがTシャツをリリースすることをアナウンスした。デザインは今年ジャパンツアーを行なったJesse Osborne-Lanthierが手がけている。 明日金曜からレーベルのオフィシャルサイトでプレオーダーが開始予定。 AVYSSではJesse Osborne-Lanthierのアートワークをフィーチャーした記事も掲載中である。合わせてチェックしてほしい。 View this post on Instagram This brand-spanking nu culture mag from Japan asked about my graphic design practice and is featuring some never 2 b seen work! 👩🎤 http://avyss-magazine.com/2018/06/04/82/ Jesse Osborne-Lanthier|シーンを形成するアートワーク 5月に待望のジャパンツアーを果たしたJesse Osborne-Lanthier、強靭かつ説得力のある楽曲もさることながらシーンへ多大な影響を与えているアートワークに注目。 カナダはモントリオールを拠点にするJesse Osborne-Lanthierはミュージシャンとして、これまでにRabit主宰のHalcyon Veilや、UKのWhere To Now?をはじめ、MIND Records、Raster-Noton、Hobo Cult、等数々のエレクトロニック/エクスペリメンタルの重要レーベルから作品をリリースしている。ソロプロジェクトの他にもBernardino FemminielliとFemminielli Noirとしての活動も広く知られており、去年スタートしたBunni GroupeなるプロジェクトはBernardino
出会いからEP『Soul Kiss』に至るまで
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