
2026/03/16
祖先、海、身体、循環する時間

『Ocean Cage』は、Tianzhuo ChenとSiko Setyantoによる舞台作品《Moyang & Seaman》のライブ録音であり、《Moyang & Seaman》は、同名の没入型シアタープロジェクト《Ocean Cage》から派生した分岐的な舞台作品として発展したもの。
Tianzhuo Chen(別名義Asiandopeboys)が演出を手がけた没入型パフォーマンス《Ocean Cage》は、舞台美術、インスタレーション、振付、そしてライブ音楽を一体化させた総合的な作品。インドネシアの村ラマレラに残る複雑な捕鯨の伝統——儀礼化された捕鯨と祖先信仰が受け継がれている共同体——から着想を得たこの作品は、三つの相互に結びついた存在、すなわち**Moyang(祖先)/Lera Wulan(神)/Seaman(漁師)**という三位一体の関係を軸に展開する。これらすべてをSiko Setyantoが体現する。物語は、海の檻を解き放つことについての多孔質なストーリーを語る。祖先からの祝福を受け取る一方で、誤判断や誤解、エコロジカルな悲嘆、時間のずれといったものに絡め取られながら、やがて犠牲と生命の循環が均衡へと向かっていく。
この大きな物語から派生した《Moyang 先祖 & Seaman 漁師》では、祖先と漁師のあいだの正面からの瞑想的な対話へと焦点が移る。日本の能楽に着想を得つつ、ヌサンタラ(インドネシア諸島世界)の伝統に深く根ざしたこのパフォーマンスは、音楽、舞踊、舞台芸術を可変的で流動的なプロセスとして統合し、祖先的存在、循環する時間、そして精神的変容の探求を続けていく。
アルバムには、KADAPATとNova Ruthによる音楽が収録されており、そこにSiko Setyantoのナレーションやモノローグが織り込まれている。
KADAPATのエレクトロニック・ガムランの実践は、連動するリズムと循環的な時間構造を行き来しながら、バリの祖先的でありながら現代的でもある非対称的な音響をデジタル信号によって拡張する。竹と金属、フォークと聖性、水平と垂直の力が衝突し共存しながら、層状のパルスを形成し、それらは動きの中で変形し続ける。
ジャワで生まれ育ったNova Ruthの声は、すべての存在が相互依存し絡み合う「一体性」の生きられた宇宙観から立ち上がる。太陽光発電の帆船「Arka Kinari」で約7年を過ごした経験は、海の速度で生きる生活のなかで、変化や困難とともにあり続ける感覚を彼女の内面に深く刻んだ。歌うことは身体から発せられる振動となり、変動する潮流と力の流れのなかでエコロジカルな感覚を運んでいく。
Siko Setyantoは自身の実践を「身体的音楽性(bodily musicality)」と表現する。動きとモノローグが音楽とシームレスに織り合わされ、身体がその場で聴き、応答し、作曲していく振付である。アルバムにおいても彼の声はその即時性を保ち、身体的音楽性の痕跡が音として記録されている。
《Ocean Cage / Moyang & Seaman》における創造的な相乗効果を、Siko Setyantoは次のように美しく要約している。
「舞台に立つことは、未知の海へともに航海するようなもの。私たちの前に現れるあらゆる神秘を受け入れながら進んでいく。」
アルバム『Ocean Cage』はまた、Nova Ruth、Siko Setyanto、KADAPAT、そしてTianzhuo Chenのあいだに生まれた、相互的で共同体的、即興的でポリリズミックかつ関係的なコラボレーションを記録している。そこでは役割は固定されず、どの表現も元の文脈に閉じ込められない。そうした意味で、《Ocean Cage》は一つの組み上げられた生き物のような存在となる。
『Ocean Cage』は、SVBKVLTとKuboraum Editionsによる共同リリース。限定デラックス・ヴァイナル版には、ゲートフォールド仕様のスリーブに加え、Tianzhuo Chenによるシナリオスケッチ、Freda Fiala博士とMilia Xin Biによるテキスト、さらにNathaniel BrownとCamille Blakeによるパフォーマンス写真を収録した16ページのブックレットが縫い込まれている。

ASIANDOPEBOYS presents: KADAPAT & Nova Ruth ft. Siko Setyanto Ocean Cage
Label : Kuboraum Editions & SVBKVLT
Release date : May 15, 2026
https://kuboraum-editions.lnk.to/OceanCage
Tracklist
1. The Soil That Remembers
2. Hysteria of the Elders
3. The Ancestors’ Orison
4. Wrath from the Waves
5. Tedun
6. Luna
7. Give Me Your Blood
8. Anakku
9. Joana & Jepu
10. Tolak Bala
11. Liminality
12. Martin Ortiz – Leluhur Bersama [Digital Bonus Track]
13. Selah Mangsa [Digital Bonus Track]
category:NEWS
tags:Asian Dope Boys
2020/03/17
本日リリース Rabit主宰〈Halcyon Veil〉、JS Aureliusらの〈Ascetic House〉、NYの〈PTP〉などから作品を発表するWill BallantyneのプロジェクトCityが2曲入りの作品『Trance Cult Metal』を急遽リリース。 本作は圧倒的なヴィジュアルと狂気に満ちた表現で、これまでにAïsha DeviのMVとヴィジュアル、Berghainで〈Janus〉とのパーティー、Yousuke Yukimatsu主催パーティー「TRANS-」などとコラボレーションも行ってきた現代中国アート界の先鋭Tianzhuo Chenが主宰するアートコレクティブ〈Asian Dope Boys〉のパフォーマンス作品「TRANCE」のサウンドトラックの一つ。印象的なギターはWill Ballantyne自身によるもの。アートワークはCollin Fletcherが担当。 現在、『Trance Cult Metal』から「Disorginaztion」を使用した「TRANCE」のトレイラーがTianzhuo ChenのVIMEOにて公開中。また今後、Dis Figバージョン、Gabber Modus Operandiバージョンのトレイラーもそれぞれ公開される予定。 City – “Trance Cult Metal” bandcamp : https://citymusic33.bandcamp.com/album/trance-cult-metal Tracklist 1. Piloted 2. Disorginzation Production, recording, guitar—Will Ballantyne Sigil—Julian Butterfield Artwork—Collin Fletcher Mastering—Aaron Wharton
2019/07/19
8月16日リリース。 上海ALLを中心に広がりを見せる〈SVBKVLT〉からインドネシアのレイヴデュオGabber Modus Operandiのニューアルバム『HOXXXYA』が発表。 〈SVBKVLT〉が今年4月にリリースしたコンピレーション『Cache 01』には、前作となるアルバム『Puxxximaxxx』に収録の「Sangkakala」のバージョン違いを収録。今回、満を持して〈SVBKVLT〉から新作の発表となった。インドネシアのデンパサールのレイヴクルーやメタル/ノイズシーンに多くの恩恵を受けているとされるGabber Modus Operandiはハッピーハードコア、ガムラン、そしてDangdut Koplo(インドネシアのダンス歌謡曲みたいなイメージ)を融合させた音楽である。アートワークはAsian Dope BoysのChen Tianzhuo、マスタリングはNahash名義でも活動するLaura Ingallsが担当。 『HOXXXYA』は〈SVBKVLT〉のbandcampで8月16日リリース。先行で「Padang Galaxxx」が公開中。
2020/03/10
トレイラー公開 その圧倒的なヴィジュアルと狂気に満ちた表現で、これまでにAïsha DeviのMVとヴィジュアル、Berghainで〈Janus〉とのパーティー、Yousuke Yukimatsu主催パーティー「TRANS-」などとコラボレーションも行ってきた現代中国アート界の先鋭Tianzhuo Chenが主宰するアートコレクティブ〈Asian Dope Boys〉がパフォーマンス作品「TRANCE」を発表。 死と儀式の実験パフォーマンスと言える「TRANCE」には〈Halcyon Veil〉や〈Ascetic House〉などから作品を発表するWill Ballantyneのプロジェクト”City”、NYの〈PTP〉からリリースされたアルバム『PURGE』も話題になり、昨年は来日公演を「K/A/T/O MASSACRE」で敢行した”Dis Fig”、同じく昨年に上海の〈SVBKVLT〉からリリースされたデビューアルバム『HOXXXYA』が話題になり、WWWのニューイヤーパーティー「INTO THE 2020」で初来日を果たしたインドネシアの”Gabber Modus Operandi”の3組が「TRANCE」の為にサウンドトラックを提供。 先行でCityの新曲「Disorginaztion (Trance Cult Metal)」を使用した予告がTianzhuo ChenのVIMEOにて公開。また今後、Dis Figバージョン、Gabber Modus Operandiバージョンの予告もそれぞれ公開される予定。さらに来月には「TRANCE」のワールドツアーの日程も発表される。 詳細:http://tianzhuochen.com/archives/1661
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