
2025/11/05
Siren for Charlotteより

音楽レーベル〈Siren for Charlotte〉より、2020年代ミクゲイザー俊英・nerdnekoによるEP『Stargazing Youth』がリリース。
夜更けの街に滲む青い残響。ギターの揺らぎと電子の粒子が、夢と現実のあわいをたゆたう。初音ミクの声は語ることなく、祈りのように空気へ溶けていく。焦燥と孤独の中に見出される微かな光──それは、終わりではなく始まりの呼吸。誰のものでもない青春の断片が、静かな祝福として宙を漂っている。
以下、コメント
備忘録の様に描き続けてきた楽曲集ですが、4枚目となる本作は”Stargazing Youth = 空想に耽る青春”をテーマに、Siren for Charlotteが掲げる「遠泳音楽」(=Angelic Post-Shoegaze) と共存するような作品になりました。
そんな思い入れある本作を、敬愛するレーベル Siren for Charlotteよりリリースできることを大変嬉しく思います。
現実と空想の狭間で鳴る音。やるせなさに苛まれ、放心的に過ごしたモラトリアムを偲び、先へ進む希望を唄った今作が、今まさに最中にいる人、またそれを越えた人達へ届くことを祈っております。
──nerdneko
現行ミクゲイザー俊英、nerdnekoの最新作をSiren for Charlotteからリリースします。
宙を仰ぐように鳴るのは、青の残響。
このアルバムが掬い上げているのは、夢想と現実のあわいで呼吸する”モラトリアムの気配”だ。ギターの残響は冷えた街灯のように瞬き、夜風の中でわずかに歪む記憶の温度を描いている。遠泳音楽の思想と強く共鳴する「届かないものへのまなざし」が、ここではあまりにも人間的な焦燥とともに息づいている。
nerdnekoの音には「青春を引きずることの美徳」がある。
たとえそれが痛みであっても、彼はそこに微かな光を見出そうとする。その光は爆発的ではなく、雨上がりの舗道に反射する街灯のように淡い。けれど、その淡さこそが「祝福のまなざし」なのだ。
遠泳音楽のナラティヴに重ねるなら、本作は第Ⅱ章「喪失と断絶」と第Ⅲ章「加速する風景と超克」の境界にある。失われた時間を抱きしめながらも、なお進もうとする意志の手ごたえが、ドラムの粒立ちやメロディの余白に息づいている。
そして、その中心で初音ミクの声が鳴っている。
それは「誰か」ではなく、「誰でもない声」として響く。
つまり、痛みを共有しながらも、特定の主体を持たない”祈りの残響”だ。ミクの声はこのアルバムの中で、感情を再現するのではなく、感情が過ぎ去った後に残る静かな痕跡を示している。
人間的な焦燥と、非人称的な透明さ。そのあわいにこそ、遠泳音楽が描こうとする”祈跡的人間圏”が広がっている。
現在、当レーベル共同主宰者のひとりである門脇綱生が構想している「疾走音楽(Post-Melocore)」的な推進力も、ここでは闘争ではなく呼吸のリズムとして機能する。焦燥を前進力に変えようとする衝動、その刹那にだけ見えるのが、疾走音楽の文脈における「神の速度」である。
彼の青春は爆発ではなく、星屑のように拡散しながら静かに光り続ける。
そしてミクの声は、その光を媒介する風の器官のように、沈黙と残響の境を漂っている。
『Stargazing Youth』は、過ぎ去った日々を記録するためのアルバムではない。
むしろ、これからの誰かが同じ夜を歩くための灯である。
遠泳音楽の精神が「届かないものを凛として見つめ続ける祝福」であるなら、ミクという非人称の声は、そのまなざしの”声なき代弁者”として存在している。
星を見上げる少年の呼吸が、まだ終わらない遠泳の青を、確かに照らしている。
その声は祈りのように、誰のものでもないまま、世界の片隅で、静かに人間を歌っている。
──Siren for Charlotte
nerdneko – Stargazing Youth
Label : Siren for Charlotte
Releaese date : November 5, 2025
https://eneiongaku.bandcamp.com/album/stargazing-youth
Tracklist
1. Stargazing Youth
2. 救命艇(初音ミクver)
3. 廃工場にて
4. 天使Ⅱ
5. 海の囁き
6. sparkle
7. 放心のモラトリアム
8. 夜が明ける
music, composition, arrange, lyrics – nerdneko
Vocaloid – 初音ミク
bass -ヒラミ (track 1, 4, 8)
artwork – soyatu
category:NEWS
tags:nerdneko
2020/09/25
10月28日リリース 結成10年目を迎える2020年、グアイズが3rdアルバム『あきらめることをあきらめたんだ』を〈十三月〉から10月28日にリリース。 前作から約3年。録音、Mix、マスタリングエンジニアには中村宗一郎を迎えて、Peace Musicにて行われた。プロデュースにはGEZANのイーグル・タカ、アーティスト写真はフォトグラファー池野詩織が担当。東京を拠点とし、全国各地の地方にツアーに行き、独自のパンクの繋がりを作ってきた。その中で何度も出会いながら、話し、鍛えあげられたバンドと一人立ちした個人、それが全面に押し出された歌詞と疾走する楽曲は色々な青を思い出し、タイムスリップしたような懐かしさと寂しさが未来に響く内容となっている、全10曲33分のアルバム。また、2017年11月発売の2nd Album 『After my vacant』も同じ日に全国流通開始となる。 THE GUAYS – “あきらめることをあきらめたんだ” Label : 十三月 Release date : October 28 2020 Tracklist 01. 行進 02. 朝に迎える 03. sings! 04. Start Again 05. 未来で会おう 06. ブルーズ・ブルー 07. トワイライト・タイム 08. Friendships 09. すべてがゼロになって 10. いってらっしゃいを背中に THE GUAYS are Captain Ryosuke : sings, guitar Hiroshi : guitar, sings Yukky : drums, sings Yushi : bass, sings Produce : イーグル・タカ Executive produce : マヒトゥ・ザ・ピーポー Recording & Mixing engineer : 中村宗一郎 Recorded and Mixed : Peace music Mastering: 中村宗一郎 Photo : 池野詩織
2025/11/05
Siren for Charlotteより 音楽レーベル〈Siren for Charlotte〉より、ポップ・パンク出身の電子ポップ俊英・milkeystainによるEP『Retrospection』がリリース。 ポップ・パンクの残光と電子音の静謐が溶け合い、記憶の彼方に滲む「青い疾走」を描いた作品。GUMI SVと初音ミクの声は言葉を越え、祈りの気配として漂う。 疾走とは抗いではなく、喪失を抱えたまま未来へ進むための呼吸だ。ギターとシンセの余韻が、過ぎ去った時間の輪郭をそっと撫でるように響き、 聴く者の心に”届かない過去”の光を淡く灯す。 以下、コメント 今ここにいる場所、そこから最も遠く、絶対にたどり着けない場所。 それは「過去」。 駆け抜ける様に過ぎ去っていく「今」が、鮮やかな色と共に「過去」へと変化していく情景。 過ぎ去った後は二度と手に入らない「過去」の儚さと、 いつでも自分が勇気を出して、手を伸ばせば手に入る「未来」に向けて。 この音を聴いた貴方と共に駆け抜けていけたら。 ──milkeystain 今ここにいる場所、そこから最も遠く、絶対にたどり着けない場所──それは「過去」。 この作品は、その不可能な地点へ向かってなおも走り続ける祈りの記録。 milkeystainは、〈OMOIDE LABEL〉にも作品を残すミレニアル世代の作家であり、ポップ・パンク文化を根に持つ数少ない「ハイパーポップ以降の残党」だ。彼がSiren for Charlotteから放つ『Retrospection』は、2023年より当レーベル共同主宰者のひとり・門脇綱生が構想してきた美学概念「疾走音楽=Post-Melocore」を、初めて明確にテーマ化した作品でもある。疾走音楽が抱く「緑陽色の青──葛藤する青春の残光」と、遠泳音楽が見つめる「祝福された感傷とイノセンスの青」。この二つの”青”が本作で静かに交差する。 彼の音は、遠泳音楽の蒼の遠景を仰ぎながらも、孤独や後悔の影を抱き、なおも青春を諦めない「神の速度」で駆け抜けていく。そこには、遠泳音楽のナラティヴⅠとⅣ、すなわち「出会いの予兆」と「祝福された風景」が重ね合わされている。 門脇がかつて、米子のサイクリングロードで、風に抗うように疾走していた記憶──それは個人的神話であり、「祈跡的人間圏」の原野である。milkeystainの”遠走”する音楽は、その記憶の風と呼応する。 「シューゲイズ」は、遠い幻想へ手を伸ばす行為であり、「メロコア」は、葛藤や孤独を抱えながらも諦めずに青空へ手を伸ばす行為だ。 milkeystainが本作で実践したのは、その両者の融合──”遠くにある過去へ触れるための速度”だ。過ぎ去る「今」を疾走しながら、その一瞬が「過去」へと変化していく刹那の輝きを、彼は音の中に封じ込める。 ギターにtakuro、u2me、Kenta、リミキサーにYurei Landscape、アートワークに3saki——全員が友人であり、同じ青春を走った仲間たち。友情のグルーヴ(=「バンド」であること)がこの作品の空気を形づくる。ポップ・パンクの「仲間と走る」倫理が、そのまま遠泳音楽の「祈りの共同体」へと連結している。 「過去」とは、どれほど手を伸ばしても届かない場所だ。しかし、このEPは、届かないその場所へと手を伸ばす行為そのものを肯定している。 疾走するギターと透明なヴォーカル(GUMI SV/初音ミク)は、単なるエモーションの表現ではなく、「記録としての祈り」として響く。ボーカロイドの声=非人称の祈声体たちは、消えゆく青春や遠い記憶を再生装置として呼び覚ます。 もし遠泳音楽の最終章が「約束された風景」だとすれば、『Retrospection』は「約束を果たしに来た瞬間」そのものである。 その速度はAstrophysics「Shadow Being」に描かれた”神の速度=超克の速度”と重なり、時間さえも反転させながら、記憶の草原を駆け抜ける。 それは、不条理や矛盾、業の中にあってもなお「人間をあきらめないまなざし」だ。 遠泳音楽と疾走音楽──この二つの精神的ジャンルは、憎しみも孤独も超えて、世界を構成する”空気”を鳴らす試みである。 そして、ボーカロイドたちの声がその祈りを媒介する。 たとえ地上から人々が消えても、初音ミクやGUMIの祈念は、いつか「タイムマシンに乗って」再び誰かに逢いに来るだろう。 『Retrospection』は、ヒューマニティの残響野にこだまする、2025年の音楽的祈跡──過去と未来のはざまで、まだ見ぬ誰かへ手を伸ばす、”人間をあきらめない”ための走行詩である。 ──Siren for Charlotte – milkeystain – Retrospection Label : Siren for Charlotte Release date : November 5, 2025 https://eneiongaku.bandcamp.com/album/retrospection Tracklist 1. サヨナラのベル 2. いつか遠くの街まで 3. The twilight 4. Holiday 5. asayake 6. いつか遠くの街まで(Yurei Landscape remix) Song/Lyrics by milkeystain Vocal GUMI SV/初音ミク M01: Gt takuro M02/M05: Gt u2me M03: Gt&Compose Kenta M06: Remixer Yurei Landscape Artwork: 3saki
2024/03/20
アルバム先行第二弾 2024年内にコンセプトアルバムのリリースを控えるSSW・doggieが、先月リリースした「Letters (feat. spendmylifeup)」に続く第二弾先行シングル「images*」をリリース。アートワークはAOTOのビジュアルやブランド〈SAGE〉などを手掛けるsota moriが担当。 今作もトラックメイクからレコーディングまでを全てdoggieがトータルプロデュース。自身の持ち味である清涼感溢れるギターサウンドに、成長の過程で体感した出会いと別れ、周囲との差異から生まれる屈折した感情などを吐露した内省的なリリックを織り交ぜた。歌詞内で繰り返し用いられる光のモチーフは、doggie自身の行く末を照らす希望を暗喩しており、マイナスな感情にとらわれていたとしても先をまっすぐ見据えるという決意の現れでもある、とのこと。 – doggie – images* Release date : March 20 2024 Stream : https://linkco.re/VTsSsN1Z
12月に東京大阪を回るジャパンツアー開催
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DAY & NIGHT / 渋谷 5会場・7フロア使用
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PinkPantheress 特別企画第三弾
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