夢想都市の残響|Malibuがデビューアルバム『Vanities』を発表

YEAR0001より

 

 

フランス出身のアンビエント作家、Malibuのデビューアルバム『Vanities』が〈YEAR0001〉よりリリースされることが発表。合わせてシングル「So Sweet & Willing」をリリース。

 

最近では、Oklouのツアーに帯同し、Merelyとのコラボ作品『Essential Mixtape』を2024年にリリース、NTS RadioでのMalibuの番組「United in Flames」は人気番組に成長している。そんな中『Vanities』は主にストックホルムで2年間にわたって制作されたとのこと。

 

以下、『Vanities』についてMalibuの言葉

 

海は小さな宝物を浜辺に戻してくれる。それを少女は毎日探し歩く。濡れた砂に埋もれた小さなものを見つけてはポケットに詰め込み、家へ帰る。家に戻ると、その小さな宝物を部屋のあちこちに並べる。

 

彼女は部屋から部屋へと歩き回る。ひとつの部屋は暗くて冷たい。エアコンは動いているのに、スイッチを押しても灯りは点かない。電動ブラインドに当たる太陽光は部屋の奥まで届かず、壁の上で光が踊る。それは予測できるのに、決して同じではない。少女は廊下が好きだ。そこは細長く、ヒールが木の床を打つ音が心地よい。二つの扉のあいだに小さな絵がかかっている。ゆるい額に収められたそれには、波がかすかに見え、水平線には太陽の誕生か死か分からぬ光がある。まあ、どちらでもいい。

 

夜になると彼女はシボレーに乗り、街をさまよう。クリーム色の革張りのシートは温かく、曲がりくねった道で彼女は目眩を覚える。車を停め、夕暮れにゆっくりと灯り始める谷を見下ろす。―沈黙の観察者のように。

 

私は、その中に紛れた目に見えない一人だ。窓を少し開けているかもしれない。行き交う車の定まらぬ交響曲の一部。ティーンエイジャーたちが大きな音を響かせ、速く走り去る。そして私たちは皆、同じ空を見上げ、同じ飛行機の離着陸を眺め、ダウンタウンの高層ビルの灯りの点滅を見つめ、テールランプの走廊を追い、視界を遮る同じ木々を見ている。夜の甘美な轟音の中で、私たちは幾千もの人生を夢想する。

 

彼女はため息をつき、家へ帰る。そしてまた翌日も、その次の日も戻ってくるだろう。

 

 

Malibu – Vanities

Label : YEAR0001

Release date : October 3, 2025

Photo : Igor Pjörrt

Pre-save / Pre-order : https://t.co/eq0JL0gYOC

 

Tracklist

01 Nu

02 A World Beyond Lashes

03 So Sweet & Willing

04 Plums (Interlude)

05 L’empire Du Vide

06 The Hills (Interlude)

07 Spicy City

08 Lactonic Crush

09 What Is It That Breaks

10 Contact

11 Jaded

12 Vanities

13 Watching People Die

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