2025/04/06
Kumo Communicationより
これまでにbrutshits、i75xsc3e、KAOMOZI、Maltine Recordsなど様々なレーベルから作品を発表してきた川卜紗が、新作EP 『へこみ区分、の流れ全体の』をseaketa主宰のレーベルKumo Communicationからリリース。アートワークは倉篠ばななが手掛けている。
—
『へこみ区分、の流れ全体の』について -text by 川ト紗&上野森爾
–
Hello Bee(現 AVA)で開催された《Parallax / Notions》に出展した『四隅に倒れた』の断片を再構成した川卜紗によるEP。
「オリジナル」のようなものに対し「別のもの」を制作する意識は、同一あるいは複数のレイヤーを束ねることに繋がった
《Parallax / Notions》での『四隅に倒れた』と意図は同じ方向だが、以下のことがらを思考しながら制作した。
–
Ⅰ 球体上の直線は、球体を表さない
地球儀の上に直線を「できるだけ/ある程度」引いてみよう。どれだけ引いてもいいし、あまり引かなくてもいいが、「できるだけ/ある程度」引いてみよう。すると地球儀と同様のような、球が浮かび上がってくる。
そこで、地球儀から「球体(=球A)」という要素を取り出してみる。
球Aと私たちが引いた直線から浮かび上がってきた球(=球a)は、同一の「球体」であると呼べるだろうか?
–
Ⅱ では、球Aと球aは、まったく異なるものなのか?
まるで同様の性質をもつような、球Aと球aは、まったく違うものだろうか。
地球儀の純粋な形の球Aと、その上に「できるだけ/ある程度」直線を引くと浮かび上がってくる球a。私たちは球Aから、「できるだけ/ある程度」の引いた直線から球aを確認した。
地球儀の上に、三角形や四角形、五角形、はたまた二角形を見ても、構わなかった。だが「できるだけ/ある程度」引いてみた為に、球aは浮かび上がってきたのだ。
「できるだけ/ある程度」とは、どのくらいだろうか?
–
Ⅱ.ⅱ 〈触れられないもの〉のバスルームと聴取倫理
会場では、音とその姿を〈触れられないもの〉としてバスルームに提示した。来場者は、バスルームの前に佇んで聴取していた。
その場から離れてもいいし、聴き続けてもよかったが、「できるだけ/ある程度」の聴取倫理を元に、一定の時間、来場者たちはバスルームの前にいた。
–
Ⅲ 「なぜ君はそこで泣いているの?」
開かない扉の向こうから、すすり泣く声……のような呻きが聞こえてくる。私たちは怖くないから、声をかける。扉がひらく。何も無かった。いや、私たちの背中があったのだ。それがまるで〈何も無かった〉ように感じただけだ。
今もそう感じる。
–
Ⅲ.ⅱ 「私は音(楽)を聴いている」
聴取。
私たちはスマートフォンやスピーカー、外出先など様々な場所で音を聞く。その中で私たちの「私は音(楽)を聴いている」と自覚するプロセス。
生活の場で頻繁に聞こえるものが言語、発話を変えていく。また、聞こえているものが、「聴くもの」となることがある。
–
Ⅳ 「へこみ区分」「の流れ」「全体」「の」について
作品に触れることによって生まれる、体験の断絶。
本作の題にある「へこみ区分」とは、私たちの意識の軌跡であり、単純な出来事でもある。
排中律による流れ(switching)、という出来事の断絶。
螺旋状にへこみへと向う斜めの接地面(ground)は、「の流れ」のなかで漸次変化していく。出来事からの体験をもって「全体」を意味している。
さらに次の本来的な姿(figure)をもって、進んで行くための「の」。
–
Ⅳ.ⅱ 主体
主体の、『聴き続けてもいいし、今すぐやめてもいい』という倫理。音の本来的な姿(figure)は、この倫理内にあるのか、その音(-球)それ自体にあるのか、他の音との絡み合いにあるのか。また「その音楽」として見えてくるのか。
—
Ⅴ 『へこみ区分、の流れ全体の』の
“Älskar Hääl Radio”
/ 知っている球-音
Pan SEct
/ へこみ
gloria sunny
/ 知っている昨日のことから今日のことだってぜんぶ
(but)look, lick – xises!
/忘れた。覚えてない
–
川卜紗 – へこみ区分、の流れ全体の
Label : Kumo Communication
Release date : 6 April 2025
Stream : https://linkco.re/4hPBcZnu
Bandcamp : https://kumocommunication.bandcamp.com/album/–10
Tracklist
1. Älskar Hääl Radio
2. Pan SEct
3. gloria sunny
4. (but)look, lick-xises!
category:NEWS
tags:川卜紗
2022/12/02
KAOMOZI第三弾 レーベル〈KAOMOZI〉リリース第三弾は、〈brutshits〉、~離擁する〈i75xsc3e〉など様々なレーベルから作品を発表してきた川卜紗による4曲入りEP『はじめの窓』。 一人一人がレコードやCDなどのフィジカルを手にするフェーズ、CDレンタルでようやく沢山の音楽に触れるフェーズを過ぎて、大サブスク時代となった現在は音楽に全てなにかしらのアートワークが付随する。それが無料で聴けるSoundCloud、TikTokなどのSNSであったとしても、音楽はまず最初にビジュアルを通過するようになってきた。川卜はそれを「はじめの窓」と呼ぶ。不安定に歌い上げる合成音声、pureでジャジーな旋律。コンパクトながら複雑な構成と奇抜すぎるメロディをグッとまとめ上げる簡素なビート。その独特の歌モノは合唱や民族音楽をルーツに持ちながら、一方でラブライブをはじめとしたオタク的コンテンツ、キュートな萌え声の音声ライブラリを収集する単純な声への興味、感性が上手くミックスされたゆえに生まれたもの。歌は言葉の体を成してみたり、ただそこにある状態になってみたり、揺らいでは聴く者の進行方向を攪乱し、ユニークな世界観を構築した。アートワーク、映像はレーベルオーナーの駒澤零が担当。映像はリリース日の夜20時に公開予定。 川卜紗 – はじめの窓 Label : KAOMOZI Release date : 2nd December 2022 Stream : https://big-up.style/0bdSpyPvaj Tracklist 01.川卜三水随筆集 02.秋歩 03.星空行浮遊歩行 04.輻湊理論
2022/08/06
カバーアートはNOSTALGiAGEのKONO RENが手掛けた Vellar skinが2nd EP『The Innocent Cloud is Mine』をリリース。iTunesのエレクトロニックアルバム・日本TOP5にチャートインした1st EP『Floating ribs』から約1年ぶりのEPリリースとなる。 純粋な雲の色やその下で響く自然が動く音、大気の唸り声。時という存在はその流れと共に、幼き頃に出会った美しいものを風化させてしまう。本作『The Innocent Cloud is Mine』は、大人が思い出すべき当時の感覚や感情を蘇らせる。 トラックメーカーのKazuki Kimuraを客演に迎えたオープニングトラック「After Dark, I’ll See My Friend」をはじめ、全曲のマスタリングをSalt Field MasteringのHiroshi Shiotaが担当。カバーアートは由衛の「Whiplash」を手掛けたNOSTALGiAGEのKONO RENが担当。「Chionarctia」のMVが公開予定。 Text by kozukario – Vellar skin – The Innocent Cloud is Mine Release date:6 August 2022 Stream:https://linkco.re/55VvhaGV Tracklist: 1. After Dark, I’ll See My Friend 2. Sablier 3. Chionarctia 4. Ubu 5. Formalin
2021/08/24
私たちは花を殺して、愛する人にあげる LAを拠点に活動するオルタナティブ・ポップのシンガーphemが、EP『How u stop hating urself pt.1.5』のデラックスバージョンのリリースに続き、ニューシングル「flowers」をリリース。自身がディレクションを手掛けたMVも公開。 今作についてphemは次のように語っている。「人間には空虚さがあり、空虚さを埋めるものが必要です。だから私たちは花を殺して、愛する人にあげるのです。」 phem – flowers Release date : 20 August 2021 Stream : https://phem.lnk.to/flowers
AVYSSからRojuuへ13の質問 more
5月24日 MORI.MICHI.DISCO.STAGE (遊園地エリア) more
JAPANESE OTAKU ROOM (FULL SET)
more