絶え間ない実験の繰り返しの果てに|Kamixloがアルバム『Deathwork』を発表

Isabella Lovestory, Puzzle, Bladee, Mechatok参加

 

 

焦げたシンセとリズム、跡形もないサンプルの合金、カミソリのようなスタブ、挑発的なヴォーカルを盛り込んだ『Deathwork』は、ブリクストンを拠点に活動するKamixloの新たなステートメント。デビューアルバム『Cicatriz』以来4年ぶりとなる本作は絶え間ない実験の繰り返しの果てに表出した何か。前作が喪失感に苛まれた時期のカタルシスを表現していたとすれば、『Deathwork』は感情の重荷を軽くし、クラブミュージックの最もエキセントリックでジャンルにとらわれない辺境を横断することによって、より強固なものにする。

 

2010年代初頭にBala Clubという象徴的なパーティーとレーベルを立ち上げ、その時代の貪欲な時代精神を的確に捉えた一連のEPを発表してきた。ニューメタルやエモの古典へのリファレンスを、神経質なデンボーやベース脱構築、SoundCloudのラップを解離させたサウンドに混ぜ合わせたKamixloは、アンダーグラウンドやメインストリームとらわれない、新しいタイプの包括的なアーティストを特徴付けた。『Deathwork』はこの遺産を基に、視野を広げ、リスナーがどのように音楽と関わっていても、ダンスフロアに足を踏み入れるよう促している。今回Kamixloは、ネオぺレオイノベーターIsabella Lovestory、アヴァンポップアウトサイダーPuzzle、Drain GangのBladeeのパフォーマンスを取り入れ、錯乱するようなベース・ヘヴィなアトモスフィアとキネティック・ビートをヴォーカルとシームレスにさせた。ベルリンのMechatokも参加し、アルバムのシロップのようなエンディング・トラック「Insect」でプロデュースアシストをしている。

 

「Ketamine Fields」の恍惚としたオープニングからKamixloが新鮮な気持ちでいることは明らか。挑発的なメタリックプラックとスローモーションのデンボーパルスに乗せて官能的な韻を踏みながら、Isabella Lovestoryが「Pitch Black」で汗だくの身体に向かって駆け出す。 「Combe」では、カーニバルのようなパーカッションと鼓膜を破裂させるような甲高い鳴き声が、叩きつけるようなガバキックに重なり、ピーク時のエネルギーが伝わってくる。Puzzleは「Chaos」で自由な連想をして、マシン音と錯乱した笑いの霧に軽快なカウンターを提供し、アルバムを地上に引き戻す。

 

「One More Night At The Line」ではハウスの青写真をヘリウムボイスとスラムの神経症的なおしゃべりに彫り込んでいく。Kamixloの最も探求的な筋肉を発揮し、ミュートされた、ブラックメタルの声と童謡のチャイムが不規則に絡み合う中に、Bladeeの不機嫌そうな声を入れる。『Deathwork』は、期待を裏切り続け、勢いを失うことなく自らの論理に疑問を投げかける作品に仕上がっている。

 

 

Kamixlo – Deathwork

Label : PAN

Release date : July 26 2024

https://pan.lnk.to/DEATHWORK

 

Tracklist

1. Ketamine Fields

2. Pitch Black (feat. Isabella Lovestory)

3. Combe

4. Chaos (feat. Puzzle)

5. One more night at the line

6. Godless

7. EGO FRAGILE / SPIRIT WEAK

8. Death Forever (feat. Bladee)

9. Insect (feat. Mechatok)

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