2023/09/15
画素の迷彩に隠された現代の風景を描く
山縣瑠衣は、ある種の虚構である「地図」──すなわち、俯瞰的な視点から平面上に表現された世界──に着目し、デジタル時代の「風景」にアプローチする作家である。現代における視覚体験の「遠隔性」や「表層性」をテーマとした昨年5月のグループ展「Vantage Point」に続く今回の個展では、とくに航空写真や衛星画像によるマッピング技術の「地上解像度」に着想を得た作品を発表する。
デジタル画像の「地図」は、上空から見た世界の写し絵というよりは、パースペクティブによる歪みを解消するため、いくつもの写真を接合した「モザイク画」である。そこでは地形が本来もっている丸みや凹凸が捨象されるだけでなく、その場所に立っている私たちの存在までもが消去されている。というのも、空撮画像の精度は、GSD(ground sample distance)という、となり合うピクセル間の地上における距離によって表されるが、画素とは、それ以上、分解ないし分析できない単位であるため、およそ真上から見た人体が収まる0.5m四方よりも大きい場合、そこから個人情報を読み取ることはできない。私たちは常に、はるか頭上に浮かぶ人工衛星の監視に晒されている一方で、むしろ画素という「屋根」によってカムフラージュされているとすれば、現代における「風景画」とは、ピクセルに埋没した光景を再構築することなのかもしれない。
山縣瑠衣の作品に見られる地形を表現したような凸凹は、まっ白なメディウムで形成されたものであり、絵具の厚みではない。その上にエアブラシとアクリル絵具を使って描かれる表層的なイメージは「奥行き」──すなわちイリュージョン──を拒否する。油絵具は、その地で実際に見た、自然光に照らされた景色を、それこそリアルに再現することには適しているかもしれないが、遠く離れた、デジタル画像でしか見ることのない地の風景を描くことについては別の方法が適しているとも考えられる。この国で「美術」という概念が成立する過程で一般的になった「絵画」に対し、今では小学校の科目名に残るくらいで、ほとんど使われなくなった「図画」という言葉は、真の意味で平面の──あるいは図的な──表現の途絶を物語っているようにも思われる。文字よりも古くからあると言われる「地図」から現代の「風景画」を構想する山縣瑠衣の制作は、いわゆる「絵画史」とは別の、ありえたかもしれないイメージの系譜に接続する可能性を秘めている。
飯盛 希
名称:山縣瑠衣 個展「Measure your pixel 」
会期:2023年9月15日(金)- 10月1日(日)
会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]
時間:13:00 – 20:00
休廊:月、火
レセプションパーティ:2023年9月15日(金)19:00 – 21:00
category:NEWS
tags:山縣瑠衣
2022/07/12
A.N.D.gallery 7.22 – 7.31 A.N.D.の地下室にあるA.N.D.galleryにて、東京を拠点に活動する山越真衣による個展「MERRY GO ROUND」が開催される。 山越真衣は、日常からの脱却・漂流を目的とした体験やものごとを、切り抜き・誇張し、グラフィックを基軸とする作品を制作していている。本展では、高架下に自生する植物が壁を這う姿から着想を得て、光合成、血の巡りなどそれら生命活動と、他者との意思疎通の上で生まれる迷走や葛藤などの個人的な体験を重ね合わせ、”こころにうごめくもの、終わらぬ漂流”をテーマとした作品が展示されている。また、展示に際してA.N.D.からTシャツも発売されるとのこと。 MAI YAMAKOSHI SOLO EXHIBITION “MERRY GO ROUND” 2022 7.22 fri – 7.31 sun https://www.a-n-d-now.tokyo/mai-yamakoshi
2021/09/29
11月20日 – 12月5日 ペインター・櫻井万里明の個展「FAM」が、WISH LESS galleryにて11月20日(土)〜12月5日(日)の期間、開催される。 独特の色彩を用いて人物や動物を描く櫻井万里明。ギザギザしたジャギーを強調したアウトラインが印象的な作風で知られ、 映画、アニメーション、漫画などの要素を巧みに取り入れた中毒性の高い作品を日々生み出している。 ————– 作家の言葉 家族という解釈が広く、寛容になってきた。 関係性、性別、国、距離感、年齢。 一緒にいて気持ちよかったら良い。 なんか距離感があっている。 ずっとくっついていたい。 どこかで無意識に思い出しちゃうんよね。 家族という言葉に縛られるのは違うけど、 でも気づいたら一緒にいる関係っていいよね。 そういう存在がいるということだけでとても尊いことだ。 展示会名 | 櫻井万里明 個展「FAM」 会期 | 2021 年11 月20 日(土)~ 12 月5 日(日) 開廊時間 | 木金 15:00~20:00・土日 12:00~19:00 ※最終日18 時終了 休廊日 | 月~水曜日 会場 | WISH LESS gallery (東京都北区田端5-12-10) ※ オープニングレセプションは行いません。 ※ 緊急事態宣言などに応じ、日程や営業時間が変更になる場合もございます。
2019/02/21
オープニングパーティーにはCVN、abentis、ツチヤチカら (6EYES)など出演。 OGRE YOU ASSHOLEの元ベーシストであり、現在はフォトグラファーのNorihito Hiraideと、映像、デザインまでマルチな表現を行うMayumi Takasakiの2人による展示が、LIVERARY Extraにて開催される。 今回の展示はLIVERARYによる企画主催。2作家コラボレーションシリーズ「合体」第一弾として、<Norihito Hiraide×Mayumi Takasaki>が、3月3日(日)〜3月17日(日)まで開催される。会場は、名古屋・新栄のLIVERARY Extraにて。 展示初日の3月3日(日)には、オープニングパーティーも開催。CVN、abentis、ツチヤチカら(6EYES)、MCデンジャラスハーブといった 2人と親交が深い、または作品との親和性を感じさせる音楽家/選曲家たちによる客演のほか、Fiji on the curryによるカレー出店もあり。さらに今回の展示のために作成された関連グッズも販売予定。
第1弾としてANORAK!とillequalによる「Re:Re:」がリリース
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2024年記憶に残っている5つの何か
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