山下憶良がEP『液晶』をリリース

わたしを守り、残酷なまでに反射するディスプレイの光

 

 

昨年9月にスタートし、Experimental、avant-gardeな作品からポップに振り切った歌モノまで、幅広い作風の作品をリリースしているレーベル〈KAOMOZI〉から、音楽制作以外にも絵画、ファッションショーモデルをこなす山下憶良のEP『液晶』がリリース。

 

M4「χ想」を中心にA面/B面として構成されている本作。各トラックは作風や物語こそ個々でかなり雰囲気を変えたものになっているが、共通して芯にあるものは「液晶越しにわたしを見て、聴いてほしい」という、傷ついた自己肯定感のもたらす他者承認の渇望であり、その煌めきが聴き手に共感と少しの落ち着きを与える。

 

山下憶良が本作で焦点を当てた「ディスプレイ」は、不安定な自分自身や、他者、社会といった避けられない概念に対して、最後に自分自身を守ってくれる壁であり、同時に、本来ならなかった、居心地の良さを生み出し続けてしまう壁。特に学生時代というコミュニティ内での協調を強く求められる時代をポストコロナの中で過ごした世代には、それはある種もう当たり前の存在であり、しかしながら元に収束していく社会の中では失われつつある砦であり、呪いである。個々の液晶は鏡であり、あるいは他者を知らされる深淵でもある。音楽を通してリスナーがこのディスプレイを覗き込む時、そこに人々はどんな人間を描き、どんな景色を夢想するのだろうか。山下憶良のキャラクター「ヤマシタちゃん」がこちらを覗いているようなアートワークは、レーベルオーナーの駒澤零が担当している。

 

 

山下憶良 – 液晶

Label : KAOMOZI

Release date : April 26 2023

Stream : https://big-up.style/kEv1FVjA92

Bandcamp : https://kaomozi.bandcamp.com/album/–8

 

Tracklist

01.BUILD

02.でこ

03.バーチャルママ

04.χ想

05.ハントウメイヘム

06.あとできめること

07.Whiiizz

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