2023/04/21
現行20sエレクトロニカと静かに合流
「 “ラング” はエレクトロニカがどれほど有意義でエキサイティングな音を表現することが出来るかを示した素晴らしい見本と言えるでしょう。ausは細かなディテールと、哀愁と楽観的な感情を同時に呼び起こす素晴らしいメロディーで感覚的に構築したアレンジを組み合わせている。」 – ウルリッヒ・シュナウス
2006年にリリースされた今作でエレクトロニカの世界に魅了され、同時期に盛り上がったポストロックやその後のポストクラシカルの世界にどっぷりと浸かった人も少なくない。メロディアスで耳に優しく残るグリッチサウンドと柔らかなドラムンベースのリズム、そこにフリージャズやアブストラクト・ヒップホップを彷彿とさせるドラムのサンプリング。水面にキラキラと輝く陽の光を想起させる透明感のあるエレクトロニカサウンドは当時大ヒットし、ausの名をこのシーンを牽引する存在へと引き上げた。今回リマスタリングはRothkoとしての活動でも知られるMark BeazleyがLP用に仕上げている。当時のCD盤と同じくアートワークをAkihiro Moritaが手がけ、写真はRyo Mitamuraによるもの。 一新したデザインで登場。現行20sエレクトロニカと静かに合流する。
aus – Lang
2023年5月26日リリース
フォーマット : 国内盤LP
価格 : 4,730円(税込)/4.300円(税抜)
レーベル : p*dis
■初回完全生産限定盤
■リマスタリング
http://www.inpartmaint.com/site/37382/
A-Side
01.Clocks
02.Halo
03.New Look
04.Beyond The Curve
B-side
01.Double Talk
02.Opaque
03.Aslope
04.Headphone Girl
05.Moraine
category:NEWS
tags:aus
2023/05/26
その時代のエレクトロニカとアルバム解説 photo by TAKCOM 15年振りの新作アルバム『Everis』を今年4月にリリースしたばかりの、東京のエレクトロニック・ミュージック・アーティスト/プロデューサーのaus。その久々のリリースとなった新作に続き、00年代のジャパニーズ・エレクトロニカの名作と言われる、2006年にリリースされたアルバム『Lang』が、17年の時を経て今月5月26日に初のLPとなって再びリリースされる。 水面にキラキラと輝く陽の光を想起させる透明感のあるエレクトロニカ・サウンドは当時大ヒットし、ausの名を日本のエレクトロニカ・シーンを牽引する存在へと引き上げた歴史的名作となる今作で、エレクトロニカに魅了され、それから同時期に盛り上がったポスト・ロックや、その後のポスト・クラシカルなどへとどっぷりとはまっていった方も少なくないはず。ブレイクビーツ〜メロディアスなプログラミングビートは現在盛り上がるシーンともリンクするので聴いたことのない人にこそ紹介したい作品。 そこで2006年に『Lang』のCDをリリースしたレーベルの主宰者でもあるLinus Recordsの松本氏とausが、当時のアルバムの制作・リリースの経緯や、収録曲について振り返ります。 Text : Teru Makabe (p*dis/Inpartmaint Inc.) アルバム・リリースの経緯 ■まず当時『Lang』をリリースするまでの流れを教えてください。 aus : 大学生の頃から当時高円寺にあったLinus Recordsさんにお客として通っていたんですが、一番好きなレコード・ショップだったので、そこのオーナーである松本さんに自分の音楽を聴いて欲しくて、勇気を出してデモを渡したのが始まりです。 松本 : 最初は海外の良いレーベルから出したほうが良いんじゃないかと思って、欧州のエレクトロニカ/IDMレーベルのNeo OuijaとU-Coverに連絡を取ることを薦めました。自分はまだレーベルを始めていなかったので。そのデモを聴いたときに、そのふたつのレーベルがリリースしていたアーティスト達に近い、ビートは複雑だけどクリアで綺麗なサウンドという印象をデモから受けてまして。だから合うんじゃないかなと。 ■その流れでU-Coverから『Kangaroo Note』(2004年)と『Crowding』(2005年)の2枚のアルバム、Music Relatedから『Sonorapid』(2006年)をリリースしたんですね。 aus : 『Sonorapid』が初めてのCDでのリリースでした。 松本 : でもそれらは日本での流通があまり芳しくなかったアルバムで、U-Coverからの最初の2作もほぼレーベル・サイト直売のみの限定のCD-Rリリースでした。もう次はいよいよ自分がやるかなぁと(笑) 4作目になりましたからね。 Antwarps aus ■その時期にそれだけリリースする楽曲があったんですね。 aus: 当時大学を卒業した頃で、そこから資格を取るために1年間バイト生活をしていたんですね。『Sonorapid』と『Lang』の後に出ることになる『Curveland』(Moteer:2007年)が先にできていた段階で、U-COVERの限定リリースの曲も含めた形で一つの作品として出さないかって松本さんからお誘いを受けたんです。でもせっかく出すなら全て新曲のインスト・アルバムとして出したいと思って、作ったのが『Lang』ですね。 https://vimeo.com/3221647 松本 : その頃『Lang』の楽曲もほとんどできていて、他のアルバムと同じタイミングでマルっと全部まとめて聴かせてもらっていたと思う。 『Lang』LP収録曲の全曲解説 ■ではLPの音源を聴きながら1曲ずつ思い出や作曲について教えてください。最初に松本さんから曲に対するリクエストはありましたか? 松本 : ポリシーとして曲を大幅に作り変えさせるといったような口出しはしないんですが、でもちょっと足したほうが良いかなと言うことはあります。すでにできている、すでにある音を削って欲しいと言うことは無いんだけど。 aus :エレクトロニカを知らない人、それこそ松本さんのご両親にも気に入ってもらえるような大衆性というか間口の広さがある、と自分の音楽について言われたのは、今も意識しているポイントですね。そしてリリースに至る根っこにあるものとして言われたのが、「その音を必要としている人には(例えそれが世界で5人くらいでも)かけがえのないものになるであろう作品」という言葉。印象に残っています。 ■A1 (tr1). Clocks aus :即興的に弾いたシンセサイザーと、ストリングスのカット・アップで作った曲です。鉄琴を叩いたり、身の回りにあるものの音をマイクで拾ってビートに入れ込んでいます。基本のビートはキック・ドラムと本を擦ったり叩いた音から作っています。 松本 : 当時あんまり無かったようなタイプの曲が1曲目で面白いなと思ったのを覚えています。イントロとアウトロがある感じというか、エレクトロニカなんだけど何かバンドで作ったいるみたいで、当時の欧米のエレクトロニカのアーティスト達とはまたちょっと違う雰囲気もあり、それもあって1曲目が良いと思った。 aus: 曲の冒頭に時計の音を入れたんですが、鉄琴のバチの転がる音とか、その場の音をシンセサイザーと混ぜて鳴らしたのが曲の入りと後ろにうまくはまりました。 ■2 (A2). Halo aus : この曲は松本さんが良いって言ってくれたんですよね。僕は正直あんまり良いと思っていなかったんですけど、ギターが良いって言ってもらえて。 松本 : 当時は外資系の大型店では特に試聴機で聴いて買ってくれる人が多かったかと思いますので、1曲目と2曲目は大事ですよね。これが2曲目って位置は良かったと思います。今となってはクラシックじゃないですか(笑)この年代のエレクトロニカの。でも本人はデモを聴かせる段階で恥ずかしがっていたの覚えています。やり過ぎですかねぇって。ちょっと甘すぎるみたいな感じで。アルバムからのシングル・カットになれるような曲なのに。 aus : このコード感の良さが良くわからないんです。 松本 : いわゆるクリアなエレクトロニカのコード感だと思うんだけど、引っ張ってるのがギターっていうのが面白いよね。エレクトロニックな音が控えめで、ギターのアルペジオのほうが全編通して前に出てるっていう。ある種のポストロックみたいな作りになってて、ずっとギターがリードしていくみたいな。本人の手応えがなかったのが結構不思議。というかこのLPの音良いね。 aus: 確か松本さんには事前に2回音源を渡していて。「Headphone Girl」と「Double Talk」は良いな、と思っていて、それと一緒に渡したのを覚えていますが、「Halo」はアルバムに入れようとも思っていなかったぐらいでした。 松本 : むしろこの「Halo」がアルバムの中心になる曲じゃないの?って。 aus :自分で弾いたギターが下手すぎて、この曲をUlrich Schnaussにリミックスしてもらうときに、データをパラ音源で渡すことに震えました(笑) 松本 : CDと今回のLPもアート・ワークを担当してくれたデザイナーの森田くんから聞いたんだけど、当時あった心斎橋だったっけな?大阪のタワー・レコードさんが店頭で「Halo」をヘヴィー・ローテーションしてくれていたらしい。 ■A3 (tr4).
2023/09/27
リミックスアルバム『Revise』より ロンドンを拠点に活動する中国出身のサウンド・アーティストLi Yileiによるausのリミックス「Steps (Li Yilei Remix)」がリリース。このシングルは今春リリースされたausのアルバム『Everis』のリミックスアルバム『Revise』からの先行シングルとなり、 Li Yileiのリミックスを含む全10曲を収録。 ファイン・アートとサウンド・アートのバックグラウンドを持つ李は、リスニングのオルタナティブ・モードを探求し、実存的な出来事の暗黙性とはかなさについて考察する。イギリスのMétron Recordsからアルバムをリリースした他、最近ではBarbican Centre, Tai Kwun Contemporaryなどでもパフォーマンスを行っている。 「このトラックは、オープンリール・レコーダーを使って録音した。最初は、曲全体を聴かずにこのリミックスを開始した。代わりに、各ステムを個別の音響アーカイブとアーティファクトとして扱い、新しい現実、音の空間、対話を描き出そうとした。数日間、没頭して聴く実践をした後、ステムは過去の思い出の一部のようなフィールド・レコーディングのように聞こえ始めた – 何か懐かしい、親しみやすい、温かみのあるもの。最終的に、この感触が私をテープにサンプルをすべて録音するアイデアへと導いた。テープは過去の響き、その繊細さ、粒子状の質感、軽やかさを伴う媒体だ。リールに収められたやや断片的な長い録音を一度にすべて聴いた後、それはコラージュされたサンプルを持つ実験的な音響のスクラッチ・ブックのように聞こえ始めた。私はテープ・ループを切り出し、それからソフトウェアを使用して録音し、再配置した。この全体の経験は、アナログの響きとデジタル領域の手術的な精密さとの間に永遠のリエゾンを築いているように感じられる。」 – Li Yilei aus – Revise Label : Lo Recordings x FLAU Release date : October 27 2023 Pre-order : https://aus.lnk.to/Revise
2024/01/31
2月19日 SPREAD SPREADが拠点のイベント、”uncircle”のvol.4が2024年2月19日(月)に開催。エレクトロニカの器の広さを音楽の持つ温かみとしてとらえ、リアルイベントならではの居心地の良さを目標としている。 -主催より- 音楽の魅力の一つとして、享受しようとする者を拒まないという性質があると思います。何人も差別せず平等であるという魅力は当イベントでも特に重要視しており、今回はそこに焦点を当てた企画となっております。特にエレクトロニカでは、そういった許しの姿勢が積極的に採用されているように感じます。電子音楽という根を持ちながら、その周辺を包括した概念で、あらゆる挑戦の帰属する場所であると認識しております。そのため今回は、姿勢としてのエレクトロニカを実現したいと考えております。音楽を空間として感じることができるイベントだからこそ実現できるテーマだと思いますので、ぜひ現場に来て体感してください! – 【uncircle vol.4】 2024年2月19日(月) at 下北沢SPREAD -dj- NordOst uku kasai 駒澤零 aosushi -live- 皆川溺“春”集合体 Henry D. Pool 辻井くぬえ OPEN/START 19:00 door ¥2,500+1D(¥600) student ¥1,300+1D(¥600) Flyer:mary
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