街であがいてる人たちのためのアートフェスティバル『水平都市』が開催

2022年11月11日 – 13日 BUoY/元映画館

 

©︎Jun Yokoyama

 

領域横断アートフェスティバル『水平都市 (FLATLINE CITY)』が、東京・北千住のアートスペース『BUoY』と日暮里にある『元映画館』の2つの会場にて2022年11月11日(金) – 13日(日)の期間に開催される。

 

『水平都市 (FLATLINE CITY)』は、アーティスト/映画監督である石原海と、DJ/イベントオーガナイザーであるYiqing Yan、写真家のJun Yokoyamaによって2022年に発足した、「街であがいてる人たち」のための開かれたプラットフォーム。第一回目となる今回は、映画上映、ラウンドテーブル、パフォーマンス、展示を通じて複合的に都市/身体/文化/政治を思考することを試みる。

 

「自分がひとりぼっちで不安げに、東京の街を駆け抜けていた日々のことを鮮明に覚えている。映画館にも展覧会にもクラブにもライブハウスにも、ずっとひとりで通っていた。周りを見渡せば大人たちは顔見知りのように挨拶をしあっていて、アタシはいつも、観たいものが終わると誰とも目を合わせずに、居心地悪くひとりで家に帰った。(家も居心地が悪くて頭がおかしくなりそうだった) でも、家に帰っても熱狂だけはおさまらなかった。いま自分が目にしてきたものを語りたい、みんなの意見を聞きたい。自分ひとりだけの指針、というのはあるようでないに等しいことを知った。ー」

– ステートメントより

 

当日は一人で来場しても安心して楽しめるような参加者同士の交流を生むための仕掛けを用意しているとのこと。会場には歓談スペースを設け、おやつやドリンクを楽しみながら、出演者や他の来場者と交流できる。不定期で配信予定の『水平都市メーリングリスト』に受付にて登録でき、メーリングリストは希望者がコラボレーションできる相手を探したり、最近観た映画について話す相手を探したりと、オンラインの回覧板のような仕組みとなる。そして各日開催されるラウンドテーブルは、来場者の方々と卓を囲み、出演者と来場者がフラットに話すことができる場となっている。

 

11月11日(金)は、北千住の『BUoY』での開催、11月12日(土)および11月13日(日)の二日間は、北千住の『BUoY』と日暮里の『元映画館』の2会場での開催。北千住にある『BUoY』は、2階は元ボウリング場、地下は元銭湯という歴史を持つ廃墟を改装したアートセンター。日暮里にある『元映画館』は、約30年前に閉館して以来、取り残されていた廃映画館を改修したミュージアム、イベントスペース。両会場は、電車と徒歩で約20分の距離となっている。

 

 

 

1日目の11月11日(金)は、オープニングデーとして、18:00~21:30の間、北千住『BUoY』にてイベントが開催されます。オープニング上映には、日本初公開となるJessica Dunn Rovinelli(ジェシカ・ダン・ロヴィネッリ)監督の映画『So Pretty』は、80年代のベルリンに住む4人の恋人たちとコミュニズムをテーマにした小説をもとに、NYで共に暮らし生きのびようとするLGBTQ+の若者の姿を捉えた作品を上映します。上映後には、「変化する多様な愛について」をテーマに、同居する3人のパートナー、写真家金川晋吾、アーティスト百瀬文、映像作家斎藤玲児によるラウンドテーブルが、聞き手にトランス女性の妻を持ち、美術家で『SLICK』オーガナイザーでもあるもりたみどりを迎え、行われます。また、クィアな儀式とダンスの伝統を探求しているパフォーマンス・メーカーLuke Macaronasおよび、過去には土方巽アスベスト館に所属し、現在は劇団解体社所属でパフォーマーとして活躍する日野昼子によるパフォーマンス『本物 – “Real Thing”』も発表 。DJ POIPOIによるDJセットも。

 

2日目の11月12日(土)は、12:00~21:30の間、北千住『BUoY』レクチャー、パフォーマンス、ライブショーケース、ラウンドテーブルを予定。当フェスティバル主催の石原海、レーザーVJとしても知られるアーティストデュオMESのメンバーであるKANAE、代々木公園などにてzinepicnicpartyをオーガナイズしている代々木祭の3名によるレクチャー『美術とクラブの越境は可能か?』が開催されます。レクチャーでは、クラブカルチャーと密接に制作を続けてきた3人のアーティストが越境の参照点となる作家を紹介しながら、自身の作品について語ります。アクター、パフォーマーである筒 | tsu-tsu × #saveourtomorrow は、今年7月30日にヤンゴン(ミャンマー)で拘束された、彼らの友人でもあるドキュメンタリー作家・久保田徹と自分たちを取り巻く状況をドキュメンタリー・アクティングという手法で表現します。現代のクラブシーンにおいて欠かすことのできない存在であるPhew、Sapphire Slows、Aisho Nakajimaといったアーティスト達によるライブショーケースも予定されています。『ポリティカル・コレクトネスからどこへ』の著者の一人であるハントンヒョン、エトセトラブックス代表の松尾亜紀子、ライターの鈴木みのり、『me and you』の野村由芽によるラウンドテーブル、「ポリティカル・コレクトネスとカルチャー(仮題)」も行なわれます。

 

3日目の11月13日(日)は、12:00~21:30の間、北千住『BUoY』にて、ラウンドテーブル、パフォーマンス、ライブショーケースが行われます。3つのラウンドテーブルを予定しており、1つめの「パーソナルな経験の場所としてのクラブ」を議論するラウンドテーブルには、映画監督の石原海、アーティストのKANAE(MES)、DJ/オーガナイザーのYiqing、セックスポジティヴレイブの『SLICK』、そしてキッチュでキャンプでヒップでモンドな人たちのためのサロン・パーティーとして知られる『デパートメントH』が参加。2つめのテーブルでは「セルフケアを編み直すー身体/管理/抵抗」というテーマで篠田ミルをモデレーターに、MIRA新伝統、シャラ ラジマ、三好彼流、吾懋ばー子が語ります。また3つめのテーブルでは「都市空間における身体表現とメディアの抵抗実践」について 脱衣所、IWAKAN、Yiqingがトーク。また『IWAKANメンバーでもある Andromeda、アーティスト西原尚によるパフォーマンスや、人新世、他者性、ポストヒューマニティの問題点をめぐる物語と儀式を編みだすアーティスト、MIRA新伝統によるパフォーマンスも予定しています。ライブショーケースにはIppaida storage × Rench Keeを迎えます。

 

また北千住BUoYの展示スペースでは、3日間にわたり『loneliness books』、 『deepbluesea』、『EvilSpa』、『違和感 – IWAKAN』、『Yuka Hirac』、そして主催のJun Yokoyamaによる展示が行われます。古着ポップアップも予定されており、ファッションを基点としたスペース/プロジェクト、『見た目!』を運営している渡辺未来が、最近区民農園で自分の育てた藍とリサイクル布を使って作った服を展示販売します。11月13日にはペインターのゆかがイマジナリーフレンドのクローゼットをテーマにしたオンライン古着屋である『oh, iconic dogs』がポップアップを行います。

 

11月12日(土)および11月13日(日) 11:00~21:00の間、元映画館では「裂け目からの視点」というテーマに合わせて、石原海、増渕愛子、やないももこによってプログラムされた、ほとんどが日本初上映となる、長編2本、短編4本の多様な手法を使った合計6本のドキュメンタリー映画が上映されます。

 

「裂け目からの視点」ドキュメンタリー選集

「裂け目の奥底からしか見えない世界がこの世にはある。中心にいたら見ることもないだろう、この世界の捉え方。まだ見ぬ世界に注意を向けること、裂け目からの視線を辿ること。それはあなたと他者とを繋ぐものとなる」

 

長編プログラム 1『So pretty』

ジェシカ・ダン・ロヴィネッリ監督による長編作品『So Pretty』は、80年代のベルリンに住む4人の恋人たちのコミュニズムをテーマにした小説をもとに、NYで共に暮らし生きのびようとする若者たちのクイア・ポリアモリーコミュニティの姿を捉えた作品です。ダンスミュージックの身体感覚が織り込まれた映画であると監督が語っているように、若者たちがクラブに繰り出すシーンは、身体に渦巻く感情を、暗闇の中で、時々光に照らされる姿で表現しているようでもあります

 

長編プログラム 2『 I Love You I Miss You I Hope I See You Before I Die』

エヴァ・マリー・ロドブロ監督による『 I Love You I Miss You I Hope I See You Before I Die』は、アメリカのコロラド・スプリング郊外で貧困にあえぐ二児の若い母、ベティを通して、 アメリカ社会の周縁における生活を描きだします。郊外で他の10人とひとつの家で暮らす、社会から取り残された少し特殊な生活において、至福とは程遠いけれど、同時にそこにある親密な家族の営み、そして痛みとつかの間の喜びを優しく見守った作品です。

 

短編プログラム

『Ein Aus Weg』は実際に刑務所に収容されていた囚人が、日々の生活を語る詩的なアニメーションです。『シグナル8』は香港の情勢を抽象的に描いた匿名の都市の記録になります。『私たちの家族』は性別移行したエリンと、ラウンドテーブルにも出演するもりたみどりを含む家族が日本で直面した出来事を捉えています。『Not Just A Bowl of Fruit』は、ヌードデッサンのモデルをする84歳の女性が語る、身体の可能性についての映像です。

 

長編映画

『So Pretty』 監督: ジェシカ・ダン・ロヴィネッリ (82分 / 2019)

『I Love You I Miss You I Hope I See You Before I Die』 監督: エヴァ・マリー・ロドブロ(76分 / 2019)

 

短編映像

『Not Just A Bowl of Fruit』 監督: グレタ・グリニュート(3分 / 2022)

『私たちの家族』 監督: 雨夜 (30分 / 2021)

『シグナル8』監督: サイモン・リュー(13分 / 2019)

『Ein Aus Weg』 監督: サイモン・スタインホースト&ハナ・ロッテ・ストラグホルズ(19分 / 2017)

 

日時

11月11日 (金) 18:00~21:30 北千住BUoY

11月11日 (土) 12:00~21:30 北千住BUoY / 11:00~21:00 元映画館

11月13日 (日) 12:00~21:30 北千住BUoY / 11:00~21:00 元映画館

 

場所

北千住BUoY

https://buoy.or.jp/

〒120-0036 東京都足立区千住仲町49-11

 

元映画館

https://www.moto-eigakan.com/

〒116-0014 東京都荒川区東日暮里3丁目31−18 旭ビル

 

サイト

https://flatline.city/

 

チケット

北千住BUoY 各日 一般 2,000円 学生&ユース 1,000円

元映画館上映チケット 各日 一般 2,500円 学生&ユース 1,500円

https://flatlinecity.zaiko.io/

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