2021/10/01
延期された北米ツアーの新日程発表
春ねむりが、ノルウェーのAURORAやイギリスのロック・トリオLondon Grammar等を手掛けるプロディーサー・デュオ「MyRiot」(Tim Bran and Roy Kerr) を共同プロデューサーとして迎えたニューシングル「Déconstruction」をリリース。
数日間に渡りオンライン上でのリアルタイムセッションを行い、春ねむりとMyRiotの持ち寄ったそれぞれのアイディアを落とし込み完成した楽曲は、進撃を予感させるイントロから壮大な音景が広がるアウトロまで、こだわりと高い完成度を持つ楽曲に仕上がった。リリックは、彼女のルーツとなるポスト・ハードコアを象徴とさせるバンド名を入れ込んだ言葉遊びや、ポエトリーラップという言葉に重きを置く手法ながらもリズムと音感のみのフロウで紡んだラインなど、アップデートを続け、脱構築を行っている。
そして、4度にも渡る延期を強いられている北米ツアーの新たな日程を発表。同ツアーは当初2020年3月から開始する予定だったが、新型コロナウイルスのパンデミックを受けて丸2年延期されていた。新たな日程では2022年3月4日に行われるニューヨーク州ブルックリン公演を皮切りに、7日にアメリカ・イリノイ州シカゴ、9日にアメリカ・カリフォルニア州サンフランシスコ、11日にアメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスにて、それぞれ予定されていた同会場にて開催される。新たなツアー日程は以下の通り。
HARU NEMURI「North America Tour 2022」延期公演日程
2022年3月4日(金) アメリカ・ニューヨーク州 ブルックリン「Knitting Factory」【SOLD OUT】
2022年3月7日(月) アメリカ・イリノイ州 シカゴ「Sleeping Village」
2022年3月9日(水) アメリカ・カリフォルニア州 サンフランシスコ「DNA Lounge」
2022年3月11日(金) アメリカ・カリフォルニア州 ロサンゼルス「The Echo」
and more dates TBA
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「資本主義はクソだ」と言うと「社会主義者なのか?」と言われ、「フェミニストだ」と言うと「男が嫌いなのか?」と言われることがある。それを言われるたび、わたしは教育の敗北をひしひしと感じている。何に敗北しているのか、と言われると一概には言えないが、それは例えば「既存のシステムによって富や権力を得ている階層に属する者たち」とざっくり述べることができるかもしれない。
教育は革命に至る力を持つ。だがしかし教育は複雑で、短期間で簡単に為され得るものでもなければ、明確なゴールもない。彼らは彼らの手にしている富をひとつも手放したくないし、そのために彼らの権力を担保している既存の腐りきったシステムを維持したいようだから、市民に革命という選択肢を与えないために、少しずつ搾取の構造を隠蔽し、子どもたちに正しい教育を与えない。歴史の教科書における従軍慰安婦の記述は縮小され、一部では侵略戦争を「アジア解放の歴史」として美化しているし、テレビの情報番組では科学者や専門家ではなくコメディアンが社会の状況や政治についてコメントし、登録者が200万人を超えるタレントYouTuberが「生活保護を受給している人間にお金を払うために税金を納めている訳じゃない」などと意気揚々と語っている。音楽を含め芸術もまた教育という側面を持つが、この国の音楽市場においてメインストリームで在るためには大抵、ミュージシャンは社会や政治について発言することを避けるよう求められることが多いし、エルビス・プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」を音楽の授業で歌わせるくせに、ロックンロールがどういった歴史の中で生まれ、それは人種差別とどのように関係があるのか、ということに触れる記述は教科書に見当たらない。それらはすべて市民に対して、権力の在り処から視線を逸らさせ、自らを搾取している者や構造の姿形を見えにくくし、生活の苦しさや立ち行かなさ、満たされなさといったものを個々人の責任として押し付けることに、とても役立っているように思われる。そしてそれはある市民が権力を持ち搾取する側に立ったときや、任意の社会におけるマジョリティとしての特権を持つとき、その自覚を薄めたり持たせなかったりすることにも寄与している。
哲学者ジャック・デリダが「脱構築」という思想を提唱してすでに半世紀以上が経過している。「脱構築」とは「我々自身の哲学の営みそのものが、つねに古い構造を破壊し、新たな構造を生成している」(Wikipedia)という動的な営為だ。それまでの西洋哲学で前提とされてきた、真理を発見するために真理ならざるものを排除していく、というような二項対立を疑い、その対立を成立させている基盤そのものにまなざしを向け、その解体を試みる、という方法そのもののことを指す。これは、二項対立によって身動きが取れなくなってどツボにはまっている、社会の状況や構造の問題について議論する際非常に有用であると思われるが、先述したような教育の過程でわたしたちはその方法をあまり与えられていない。子どもたちは教室で、正しいとされる物を一方的に与えられ、自分の頭で考える方法よりも正しいとされる思想に同化する方法を教えられ、そこからはみ出したり取りこぼされた者を否定し、存在を無視したり断罪したりする。社会は教室の延長線上にあって、いつまでもある問題を停滞させている二項対立の根幹にあるものはなにか、という議論を無視し続け、ある問題について対立するものの正誤や善悪、優位性と劣位性をマジョリティが判断することが民主主義だと思っている。端的に言ってクソだ。
映画「ファイト・クラブ」において、タイラー・ダーデンは「お前自身は職業ではない。銀行の貯金がいくらかなんて関係無い。お前が乗ってる車でも、財布の中身でもない。ましてやクソッタレな軍服なんかでもない。お前らは歌って踊るだけのこの世のクズだ」と語り、「俺たちは皆テレビにこうそそのかされて育ってきた、いつか自分は大金持ちかスーパースターかロックスターだって。だがそうじゃない。少しずつその現実がわかってきた。そしてとうとう頭がキレたんだ」と言う。そうして彼は、「自己改善は、マスターベーションだ。必要なのは自己破壊だ」と戦わない人間の筋トレを一蹴し、他人との殴り合いに身を投じるし、「俺たちは消費者だ。ライフスタイルへの強迫観念の副産物さ」という認知の元、その副産物としての自己を含めた資本主義社会の破壊をも試みる。過激なミニマリストの積極行動主義者による、脱構築的営為であると言えよう。
彼が作中で行ったテロルに至る衝動と類似のものが、わたしの中にも存在する。同時に、すべての人間があるがままの自分で共生できるような世界になってほしい、という祈りもまた、存在している。引き裂かれた自我でわたしは、音楽をつくることを自分にとってのその闘いのフィールドとしてきた。この曲は、その闘いのうただ。
お前を日々の生活で精一杯にさせて、少しずつ考える気力を奪っている奴は誰なんだ?顔すら見えないくそったれに、お前を人間たらしめるはずのそれを奪われて、また違う顔の見えない誰かの人間としての尊厳と時間を奪って作った「丁寧な暮らし」に、お前はほんとうに満足しているのか?え?お前にできることなんてなにもないって?それは、お前と同じいずれ死ぬだけの有機物による戯言だ。同時に、お前は特別で価値がある人間だなんていうのも戯言だ。人間はすべからく同等に死という結果だけを予期しながら存在するだけの存在で、そこにはやるかやらないかしかない。思い込んで同じところに止まるな。それはすなわち腐敗を意味するからだ。止まるくらいならいますぐ死ね。そうして新しく生まれてこい。お前も、わたしもだ。
――思うに『完璧』なんかよくない。『完璧』を目指すのはよせ。それよりも進化しよう。どんな結果になろうとも。(タイラー・ダーデン)
春ねむり
春ねむり- Déconstruction
Release date : 1st October 2021
category:NEWS
tags:春ねむり
2021/09/03
シアトルの「Live on KEXP」でのライブパフォーマンス映像が公開 春ねむりが、新曲「Déconstruction」を10月1日にリリースする。それに伴いアートワークや新たなビジュアルも公開。 元ジャグリング世界チャンピオンという異色の経歴を持つフォトグラファー江藤智による撮り下ろしで、水の中で撮影が行われた。楽曲のイメージに沿った“脱構築”を感じるアートワークになっているとのこと。そして、1年半以上の延期を強いられていた北米ツアーをついに開催する。初日となる11月1日に行われるニューヨーク州ブルックリン公演は、フルキャパシティにもかかわらず既にソールド・アウトしており、他の会場もチケットは残りわずか。1stアルバム『春と修羅』から増え続ける北米でのリスナー数は国内のおよそ十倍にも膨れ上がっている。 また、米シアトルのラジオ局 KEXP「Live on KEXP」に出演した際のライブパフォーマンス映像が、KEXPのオフィシャルYouTubeチャンネルにて公開。 新曲「Déconstruction」を初披露したほか、Pussy Riotのカバー曲「Police State」や今年リリースされた「祈りだけがある」のピアノ弾き語りバージョン等、全5曲を演奏した。 春ねむり- Déconstruction Release date : 1st October 2021 Stream : https://orcd.co/harunemuri_deconstruction HARU NEMURI「North America Tour 2021」公演日程 2021年11月1日(月) アメリカ・ニューヨーク州 ブルックリン「Knitting Factory」【ソールド・アウト】 2021年11月2日(火) アメリカ・イリノイ州 シカゴ「Sleeping Village」 2021年11月4日(木) アメリカ・カリフォルニア州 サンフランシスコ「DNA Lounge」 2021年11月7日(日) アメリカ・カリフォルニア州 ロサンゼルス「The Echo」 https://www.bandsintown.com/a/15465086-haru-nemuri
2025/05/09
大量のカメラを壊す 春ねむりが、新曲「panopticon」をリリース。エドソウタが監督を務めたMVも公開。本作は、自主レーベル〈エコラプトメノス〉からの第2弾作品であり、3月に発表された「anointment」に続き、8月にリリースされるニューアルバム『ekkolaptómenos』に収録予定の楽曲。監視と規律、支配と抵抗の構造に切り込みながら、春ねむりならではの鋭利な言葉とサウンドで聴く者に問いを投げかける。ゲストコーラスには諭吉佳作/menを迎え、ジャンルを超えた共鳴が鮮烈なインパクトを放つ。 以下、春ねむりからのコメント 「ジェレミー・ベンサムが考案し、ミシェル・フーコーが近代の監視・管理システムの象徴とした「パノプティコン」は、「すべてを」(pan-)「見る」(-opticon)装置である。ベンサムは最小のコストで囚人を管理できる理想の監獄を構想し、監視のまなざしが更生を促すと考えた。しかし、フーコーは、それは身体へ押し付けられる規律を手がかりに精神や存在ごとをも丸ごと統治するという権力の技術であり、学校や軍隊などの近代社会全体に浸透していると指摘する。自らの身体に刻まれた規律を、自分自身の選択であるかのように錯覚させられていることがある。それは権力の技術による隠蔽であり、従わないという選択肢を持つことは抵抗の第一歩となる。だから、権力の磁場における受益者たちは恐れている。あなたが「あるがまま」になり、抗う術を持つことを。閉ざされた独房の深淵、自らの魂の暗がりこそ、塔の中心を見つめ返す唯一の抜け穴である。規律によって切り刻まれた身体の亀裂を開き、未知の<わたし>や<あなた>の破片に出会うとき、そこから抵抗ははじまる。」 春ねむり – panopticon Release date : May 9th 2025 Stream : https://friendship.lnk.to/panopticon_harunemuri – 春ねむり – ekkolaptómenos Release date : August 1st 2025 Tracklist m1. anointment m2. haven m3. panopticon m4. supernova m5. terrain vague m6. excivitas m7. cosmic egg m8. indulgentia m9. symposium m10. angelus novus m11. iconoclasm – 春ねむり 国内スケジュール 2025年5月11日(日) 東京・下北沢Flowers LOFT 春ねむり、österreich Ticket: https://t.livepocket.jp/e/tkcfa 2025年5月24日(土) 東京・下北沢複数会場 Shimokitazawa SOUND CRUISING 2025 Ticket: http://soundcruising.jp/ 2025年6月5日(木) 東京・新宿LOFT 春ねむり、RAY Ticket: https://eplus.jp/sf/detail/4315080001-P0030001P021001?P1=0175 2025年6月8日(日) 東京・吉祥寺SHUFFLE 春ねむり、黒木渚 Ticket: https://tiget.net/events/383901 2025年6月19日(木) 東京・TOKIO TOKYO (渋谷) 春ねむり、CIVILIAN Ticket : https://t.livepocket.jp/e/civilian_harunemuri 2025年7月5日(土) <DAYTIME> 東京・新宿ANTIKNOCK 春ねむり、heaven in her arms Ticket: https://t.livepocket.jp/e/cream3 – HARU NEMURI “ekkolaptómenos” NORTH AMERICAN TOUR 2025 2025年9月12日
2025/08/01
ツアーファイナルは渋谷WWWでワンマン開催 春ねむりが3rdフルアルバム『ekkolaptómenos』をリリース。本作は、春ねむりが全編セルフプロデュースで手がけ、音楽・言語・ビジュアルをひとつのコンセプトのもとに有機的に結晶させた、彼女のキャリアにおける重要な作品となっている。 そして、本作を携えて開催される全国ツアーのファイナル公演として、東京・渋谷WWWにてワンマンライブの開催が決定。12月10日 (水) に開催される “孵化過程(Incubation Process)”と題された本公演は、アルバム『ekkolaptómenos』のテーマと深くリンクする内容となる。チケットはオンライン販売に加え、特別仕様の紙チケットも用意。本日より春ねむりのPatreonにて先行販売がスタートし、一般発売は8月8日 (金) に開催されるリリースパーティより開始される。 春ねむり “ekkolaptómenos” TOUR FINAL 単独公演『孵化過程』 2025年12月10日(水) 東京・渋谷 WWW 開場 18:30 / 開演 19:30 出演:春ねむり(HARU NEMURI) チケット ・前売:¥4,000(+1ドリンク) ・学割/U22:¥2,500(+1ドリンク) ・U18:無料(+1ドリンク) ・Patreon 先行チケット / Pre-sale 受付日時: 2025/8/1(金) 12:00 ~ 2025/8/7(木) 23:59 Patreon : https://patreon.com/harunemuri ・ 前売り / General Admission 受付日時: 2025/8/8(金) 22:00 ~ Event : https://t.livepocket.jp/e/harunemuri_ekko-tour_final 春ねむり NEW ALBUM『ekkolaptómenos』 2025年8月1日 (金) リリース ※ 店頭販売開始日: 7月29日 (火) 仕様: 12cm CD / 全11曲収録 EKKO-005 / ¥3,300(税込) 予約: https://tower.jp/item/6851396 m1. anointment m2. haven m3. panopticon m4. supernova m5. terrain vague m6. excivitas m7. cosmic egg m8. indulgentia m9.
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