ビットクラッシュの海で泳ぐ|Fax Gangがデビューアルバム『Aethernet』をリリース

新興ジャンル”HexD”とは

 

 

PK Shellboy、Blacklight、maknaeslayer、NAIOKI、GLACIERbabyの5名によるグループ Fax Gang が、2曲のシングルを含む9曲入りのデビューアルバム『Aethernet』をインターネットアートコレクティブ〈No Agreements〉より2021年1月1日にリリースした。

 

主にボーカル、リリック、ミックス、マスタリングを担当しているPK Shellboyに加えて4名のプロデューサーで構成されるFax Gangは、5つの国に各メンバーが分散しているが、その創造性はDiscordで繋がり、ヴィジョンを共有し、強靭な美学が形成されている。

 

Fax Gangの音楽スタイルの軸になっているのは2010年代後半にSoundcloudの深淵から登場したビットクラッシャーサウンドが特徴的な新たな音楽スタイル「HexD」(またはHex)である。トラップやクラウドラップなどを下地にして、ナイトコアやトランスも取り込むサウンドの中心には、シューゲイズのように楽曲全編を覆い尽くすビットクラッシュの広大な海が象徴的に存在している。また、本人達はHexDから派生した「Surge」とも掛け合わせて、自身のサウンドを「HexD crushed surge」とも称している。アルバム『Aethernet』はカセットとCDでも購入可能。リリースに合わせてヴィジュアライザーも公開された。

 

 

「HexD」や、その後の「Surge」が一つのカテゴリーやシーンとして広がるきっかけとなったのは、Hexcastcrewのメンバーであるtomoe_✧theundying (cargoboym)が、Reptilian Club Boyzのトラックを使用して制作した『Rare RCB hexD.mp3』というミックス作品であるとのこと。この作品をきっかけにナイトコア、EDM、Florida Fast Musicなどの要素も取り入れた独特なスタイルが派生し、時にピッチアップされたボーカルや、歪んだプロダクションなどの特徴を持つスタイルはインターネット上で広がっていった。

 

 

シーンは黎明期の為、まだまだ情報は少ないが『Rare RCB hexD.mp3』をきっかけに一つの指標となるであろうコンピレーション作品が2020年4月にリリースされている。それは、このシーンのハブになっているレーベル/YouTubeチャンネル〈Dismiss Yourself〉のコンピレーション『Surge Compilation Vol. 1』である。Fax Gangはもちろん、tomoe_✧theundying、YABUJINなどが参加し、82曲収録されたこのコンピには「HexD」シーンのアーティストが多く参加しているため、今回のFax Gangのアルバムと合わせてチェックしてみてはどうだろうか。

 

 

Fax Gang – Aethernet

Label : No Agreements

Release date 1 January 2021

Cassette / CD : https://noagreements.bandcamp.com/album/aethernet

Stream : https://distrokid.com/hyperfollow/faxgang/aethernet-2

 

Tracklist

1. Anything to Gain/Nothing to Lose

2. Reality/Dreams (feat. ALIEN DAYS)

3. Itsumo

4. Mirror

5. Fallen

6. Extant (feat. AOL)

7. Shotgun

8. Implosion

9. Goodbye

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