2019/03/14
コレクティブの成長と連携のためのツール。
ロンドンでイベントとしてスタートしたコレクティブC.A.N.V.A.S.は、クラブミュージック/エレクトロニックシーンで活躍する様々なアーティストを招聘していたが、2018年にレーベルラインもスタートさせる。先日リリースされたコンピレーション『Cipher』はレーベルとしては第3弾のリリースとなり、主宰のOlan MonkとLughをはじめ、PANのFlora Yin-Wong、Where To Now?やRyo Murakami主宰のDepth Of Decayからリリースを重ねるBen Vince、さらにTobago TracksからEPをリリースするなど今最も注目のプロデューサーの1人であるobject blueなどの楽曲を収録。C.A.N.V.A.S.について、ファウンダーの1人Lughにメールでインタビューを行った。
– C.A.N.V.A.S.の意味とはなんでしょうか。
Lugh – 組織としてのC.A.N.V.A.S.の目的は、あちこちに散らばっていくアーティストたちの中心となって彼らをまとめること。C.A.N.V.A.S.のスタートはたまたま同じ時に同じ場所にいた共通の興味や経験を持つ人々の中心となる「場」なんだ。C.A.N.V.A.S.のネットワークは、メンバーや仲間があちこちに分散して地理的つながりを失っていくにつれてどんどん遠くへどんどん広く拡大していったんだ。
– C.A.N.V.A.S.はどのように始まったのですか?歴史を詳しく教えてください。
Lugh – C.A.N.V.A.S.の始まりは2014年。僕とOlan Monkが当時周りにいた人たち、つながりをもっていた人たちに仕事の場を与え、僕たち自身の仕事の場にもなるようなイベントを運営したのが始まりなんだ。イベントはロンドンを拠点として3、4年続いた。いろいろなイベントをやったけれど、例えばOlan Monkは2016年、2017年にロンドン南部のCoroners Courtでイベント「COURT」を主催した。Olanと僕がそれぞれポルトとベルリンに引っ越した時に、C.A.N.V.A.S.は場所を持たない存在となり、つながりを持ちながらも地理的には散らばっているアーティストのネットワーク的なものになったんだ。以来僕たちはポルトガル、ベルリンその他いろいろな所でイベントを開いてきたけれど、この組織をレーベルに変えることにした。そしてレーベルC.A.N.V.A.S.とともにより広く深く活動していくことにしたんだ。
– なぜレーベルを始めたのですか?
Lugh – レーベルとしてのC.A.N.V.A.S.は、そのコアメンバーと仲間たちがそうであるようにスタイル、芸術性ともに多様なんだ。だけどC.A.N.V.A.S.スタート以来、現在まで僕たちのプロジェクトをまとめてきたのは共通の興味と経験だったと思うし、これからも引き続きそれがレーベルにクオリティを与えていくと思うよ。
– あなたが思い描く理想のC.A.N.V.A.S.はどういうものでしょうか?
Lugh – 理想を言えばC.A.N.V.A.S.は集団としての成長と連携のためのツールであるべきだと思う。
– あなたは普段何をして生活していますか?
Lugh – C.A.N.V.A.S.以外にも僕は音楽、ソニック・アート、新しいメディアアートの分野で自分の仕事をしている。普段はいろいろなスタジオでミキシングの仕事をして生計を立てているんだ。
– 今回リリースしたコンピレーション『Cipher』について教えてください。
Lugh – 『Cipher』は10人のアーティストの作品を集めたアルバムで、それにまとまりを与えているファクターは各アーティストの作品の背景にあるコンセプト。リアルな世界の出来事を再体験、記録したり、伝えたり、広めたりする手段としてデジタル化、コード化がどんどん進んでいっているけれど、『Cipher』では音楽素材の多彩な抽象化、コード化の方法が採用されているんだ。このプロジェクトでは楽曲コード化の方法としてグラフィック・スコアや他の手段が再考されている。集められた10人のアーティストは、自身の基本コンセプトをそれぞれの実践に沿ってそれぞれのやり方でアルバムに反映させることを求められた。その結果、多様なスタイルが維持されながらもとてもまとまりのあるものができたと思うよ。
– あなたはロンドンのエレクトロニックシーンはどのように見ていますか?また、どのようなシーンになるのが理想だと思いますか?
Lugh – ここ数年ロンドンには住んでいないので遠くから見ていただけなんだ。C.A.N.V.A.S.がDalstonのCafe Otoでアルバム発売イベントをするから今週キャッチアップするつもりだよ。ロンドンに住んでいないから、シーンがどうあるべきか、どうなっていくかも決める立場にはないと思う。
– 今後のプランはどんな感じですか?
Lugh – このところC.A.N.V.A.S.にはいろいろエキサイティングなことが起こっているんだ。基本的にはこの展開がこのまま続いていってくれればいいと思う。今後数か月で3つのリリースを控えているから取り組むべきこと、ワクワクすることはたくさんあるよ。
<Original>
– What’s the meaning of C.A.N.V.A.S.?
Lugh – As an organisation it has the aim to collectivise an increasingly dispersed group of artists – having started as a location specific thing, centred around a group people who shared interests and experiences and happened to be in the same place at the same time. As we dispersed and lost our geographical connection, C.A.N.V.A.S. became an expanding network, spreading as far and wide as its members and affiliates.
– How did C.A.N.V.A.S. get its start? I’d like to hear the history in detail.
Lugh – C.A.N.V.A.S. started off in 2014 when Olan Monk and I began to run events to give a platform to the work of various people who we were around at the time, who have remained affiliated, and to our own work. These events continued throughout three to four years with a London base, with Olan Monk leading the COURT events in 2016/17, at the Coroners Court in South London, amongst other events. When Olan Monk and I relocated to Porto and Berlin, the placelessness of C.A.N.V.A.S. became entrenched and it more clearly became a network of dispersed interconnected artists. We have since organised events in Portugal and Berlin and elsewhere and have decided to transform the organisation into a label, going further and deeper with C.A.N.V.A.S..
– What sort of label have you started?
Lugh – The label is as stylistically and artistically diverse as C.A.N.V.A.S.’ core members and affiliates. I suppose what brought us together so far, shared interest and experience, has been the adhesive element of the project since the beginning and will continue to be what gives the label its quality.
– What is the ideal for C.A.N.V.A.S. that you have in mind?
Lugh – C.A.N.V.A.S. should ideally serve as a tool for collective growth and interconnectivity.
– What do you normally do for a living?
Lugh – Aside from C.A.N.V.A.S., i have my own work in music, sonic arts and new media arts. I usually make my living from a mixture of project based work with/for different studios.
– Please tell me about the compilation “Cipher” that you’ve released.
Lugh – “Cipher” is an album that brings the work of ten artists together with the unifying factor being the concept behind the work that they contribute. In the context of increasing digitisation and codification as a means to recreate, record, communicate and propagate events from the real world, “Cipher” plays with different processes by which musical material is abstracted and codified. The project reconsiders the graphic score and other means by which music has been codified. Each of ten artists were invited to respond to the fundamental concept in their own way following their own practice. This, I believe, led to the creation of a very cohesive result, while remaining stylistically varied.
– How do you view the electronic scene in London? What sort of scene would you like to see it ideally become?
Lugh – I haven’t lived in London for the past few years so I’ve mostly experience it from a distance. I will catch up this week, as C.A.N.V.A.S. are doing an album launch at Cafe Oto, in Dalston. I’m not there much anymore, so It wouldn’t be up to me to determine what scene it should or will become, I’m afraid.
– What sort of plans do you have from here on out?
Lugh – Things have been pretty exciting for C.A.N.V.A.S. recently. I mostly want to keep that ball rolling. We have quite a bit to work on and to be excited about, with another three releases planned over the next few months.
category:FEATURE
tags:C.A.N.V.A.S. / Lugh
2019/01/17
Flora Yin-Wong、Ben Vince、object blueなど収録。 C.A.N.V.A.S.は2014年にロンドンでイベントとしてスタートした。クラブミュージック/エレクトロニックシーンで活躍する様々なアーティストを招聘していたが、2018年にレーベルラインもスタートさせる。今回のコンピレーション『Cipher』はレーベルとしては第3弾のリリースとなる。 収録アーティストは主宰のOlan MonkとLughをはじめ、Flora Yin-Wong、Ben Vince、object blueなどの楽曲も収録。先行でFlora Yin-Wongの『Murmures』が公開されている。 『Cipher』はLPとデジタルで2/22にリリースされる予定。プレオーダーはこちらから。 また、以下はFlora Yin-WongのGrey Matter Archivesで公開されたMix。 https://soundcloud.com/greymatterarchives/gma47-flora-yin-wong
2022/11/03
音源は後日ストリーミングサービスで配信 Tarah Kikuchiが、2021年11月3日に初の自主企画として開催した「S/c/i/e/n/c/e MASSACRE」のライブ映像を公開。バンドメンバーには、ヒップホップユニットPICNIC YOUの田嶋修造と下田開登、宅録SSWわがつま、ラブオールやCHIBASTATIONのドラマー関海が参加している。この企画は同年8月発表のEP『Science』のリリースを記念した「K/A/T/O MASSACRE」とのコラボパーティー。ライブ音源は後日ストリーミングサービスで配信予定とのこと。 「挫折した権力欲に縛られて底なし沼に沈んでゆくことを受け入れてはいけない。手遅れになる前に、頭までドップリと浸かってしまう前に、悪あがきをしようと思った。身動きが取れなくなるまで続けるのだ。この縄を解いて手足バタつかせて、叫びまくる。新しい価値を…。運良く硬い地面を見つけられるかもしれないし、誰かが声を聞いて森の中から助けに来てくれるかもしれない。もしくはこの馬鹿げた方法によってさらに深く沈んでしまうかもしれないが、その時僕は僕を笑うことができるはずだ。」 ■演奏楽曲 メルキアデスのラボ 電撃娘 ヴェロニカ チャイナドレス 夜の吐息 メンソール フロントマン グルーヴマシーン ■協力 撮影:葛城康平 Gt.Vo:Tarah Kikuchi Bass:田嶋修造 Key:わがつま Bongo:下田開登 Drums:関海
2020/06/04
6月26日リリース photo by Renata Mottironi 以前インタビューを掲載し、2019年にはFlora Yin-Wong、object blueを含むコンピレーションをリリースした国境を超える分散型コミュニティ / レーベル〈C.A.N.V.A.S.〉からレーベルメンバーOlan Monkの2ndアルバム『Love/Dead』が発表。 Maria SomervilleとJames Kが参加した本作は重だるいベースを引きずりながらも、冷たすぎず甘すぎず、人類の長きに渡る隔離生活で生まれる愛のリアルな様子を描いた。友人が親になる喜びを受けて制作された先行シングル「New Life」のMVが公開。 Olan Monk – Love/Dead Label : C.A.N.V.A.S. Release date : June 26 2020 Pre-Order : https://canvas-index.bandcamp.com/album/love-dead Tracklist 1. Narcissus 2. New Life 3. Real Love 4. Lust 5. Brother 6. Dead (w/ Maria Somerville) 7. Fate 8. Morticia (w/ James K) 9. Gold 10. Tomb
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