箏を伝統から引き剥がす|ausが箏を全面的にフィーチャーしたアルバム『Eau』発表

箏を演奏したのは奥野楽

 

 

作曲家/プロデューサー、フクゾノヤスヒコのソロプロジェクト、aus(アウス)がニューアルバム『Eau(オー)』のリリースを発表。12月12日にエム・レコードよりリリースされる。奥野楽の演奏する「箏」を全面的にフィーチャーし創作した、ausの魅力的な方向転換といえる美しい作品。

 

思慮深く展開する繊細な技巧、展覧会や実験映画のための魅力的なサウンドデザインで、国内外から篤い支持を受けるアウスは、これまでキーボードやエレクトロニックサウンド作品を主に手がけてきた。本作『オー』は、依然としてエレクトロニックサウンドでありながらも、日本の楽器の中で最も特徴的な弦楽器のひとつである箏の音世界を軸に展開する、アウスの魅力的な方向転換といえるアルバム。繊細でありながら豊かな数々の箏のフレーズと音色は、非常に才能豊かな演奏家、奥野楽(おくの・えでん)が担当。アウスは作品解説の中で、このプロジェクトにおける奥野の演奏とその芸術の重要性を称賛している。

 

『オー』収録楽曲は、箏の微妙に変化するアタック、揺らめく響きの音色と、他の楽器の音色のバランスをとるようにデザインされている。箏の繊細な減衰と韻律の柔軟性は、持続的なシンセサイザーの音色と対位法的に構築されたピアノの旋律に包まれ、引き込まれるような底流と、物憂げで流動的な質感を伴う流れるようなアンビエンスを生み出している。

 

箏の現代史をみたとき、日本のコンテンポラリー音楽の愛好者は『オー』を聴いて、沢井忠夫がリアライズした吉村弘作曲作「アルマの雲」(1979年)、箏の演奏グループKoto Vortex(コト・ヴォルテックス)が同じく吉村弘の作品を取り上げたアルバム『Koto Vortex I: Works by Hiroshi Yoshimura』(1993年)を思い出すかもしれない。どちらも箏を伝統から引き剥がし、アンビエント~テクノの文脈に配置しようとした先駆的作品で、それらは『オー』にも影響を与えている。また、諸井誠の『和楽器による空間音楽』といった70年代日本の現代音楽作品も『オー』の影響源となっている。

 

フィジカル版にはアウスによる日本語・英語解説付き。ジャケットデザインは橋本麦、マスタリングは大城真が担当。CDLP/カセット/デジタルで発売し、CD・デジタル版とLP版はジャケット違いとなる。本作はレーベル《FLAU》とエム・レコードの初のコラボレーション・リリース。

 

 

 

aus – Eau

Label : エム・レコード

 

CD 版

●カタログ番号:EMC-027CD

●JAN コード:4560283215769

●定価:2700 円(税抜/税込2970 円)

●発売予定:12 月12 日(金)

 +通常ジュエルケース+帯

 +8 頁ブックレット/日本語英語併記

 +解説:アウス

 

VINYL 版

●カタログ番号:EMC-027LP

●JAN コード:4560283215776

●定価:3500 円(税抜/税込3850 円)

●発売予定:12 月12 日(金)

 + シュリンク封入、ステッカー

 +解説:アウス

 

Tracklist

1. Tsuyu(ツユ)

2. Uki(ウキ)

3. Variation I(ヴァリエーション I)

4. Orientation(オリエンテーション)

5. Variation II(ヴァリエーション II)

6. Tsuzure(ツヅレ)

7. Shite(シテ)

8. Minawa(ミナワ)

9. Soko(ソコ)

10. Strand(ストランド)

category:NEWS

tags:

RELATED

FEATURE