まだ名づけられていない青の場所|世界電力がアルバム『贈り物をさがして』発表

Siren for Charlotteより

 

 

〈Siren for Charlotte〉 より、ボカロP/シンガーソングライターの世界電力によるアルバム『贈り物をさがし て』がリリースされる。ゼロ年代の音の残響が、都市のざわめきの奥で静かに芽吹く、触れられなかった記憶となる。 歪んだギターの余韻は、無垢な青と交わりながら、追想という名の明日をやさしく照らして いる。

 

 

アーティストによるコメント

 

本作『贈り物をさがして』は、Siren for Charlotteの思想的な系譜を意識しながら、世界電 力の実質的な1st Album となることを踏まえて、自選短篇集のように編纂されました。 本作品集を改めて俯瞰してみると、リードトラックである『ポストずんだロックなのだ』を 円心に、2021 年に発表された初期衝動的な2 作品『ネバーエンドすべて』『どこかのかれ ら』から、本作品集への収録を前提に制作した新曲群である『煙の湊』『或』『the world is not mine』まで、描く情景や眼差すものに、手ざわりの似た情念が内包されているように感じま す。この作品集が、皆さまにとっての素敵な贈り物となれば幸いです。 ──世界電力

 

レーベルによるリリースコメント

 

遠くゼロ年代のエモやメロコア、ポスト・ロック、そして下北沢のギターロックが遺した音 の残像。それはもはや経験としてすら不確かなまま、都市の喧騒を駆ける誰かの、内部に沈 積した未遂の記憶として、遠い未来の空白にほのかに発芽する。記憶とはしばしば、実在の 追認ではなく、未来の予兆に過去の衣を纏わせる装置である。無垢の青に揺れる足取り、過 剰に晴れやかな空、機械音声が奏でる非人称的な感傷。それらは、現実と非現実の接続点と して、感情の深層を撹拌していく。 遠泳音楽のナラティヴ第1 章にあたる、「光がすべてを照らしていたころ」とも共鳴するこ の音楽は、経験の有無を超えて、人間という存在の深層に潜む「あったかもしれない過去」 を静かに呼び起こす。照れ隠しのように歪みを帯びて、加速するギターの音色は、まるで記 憶の不確かさそのものを音響化したかのように、陽光の下で透明な空気と融解してゆく。そ こにあるのは懐古ではなく、追想という名の創造だ。凛然たるまなざしの先、音は誰かを未 来へと駆動させる。かつて記憶したことのない明日を、いま確かに刻みながら。

 

 

世界電力 – 贈り物をさがして

Label : Siren for Charlotte

Release date : May 16 2025

https://eneiongaku.bandcamp.com/album/–11

 

Tracklist

1. ネバーエンドすべて / never end, departed

2. どこかのかれら / far away, farewell

3. 透き通るように / clear you, clearly

4. ことばに花束を / words and wounds

5. かせきセーター / empty empathy

6. ポストずんだロックなのだ / post-zunda-rock nanoda

7. 或 / or there

8. 煙の湊 / seaside sanatorium

9. the world is not mine

10. 宇宙のみなしご / -30-

 

Music, Lyrics by 世界電力

Artwork by まつざけ

歌唱: ナクモ, めろう, 重音テトSV, 重音テトUT, SeeU, 玄野武宏, ずんだもん (VOICEVOX), 波音リツ(VOICEVOX)

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