inuhaがEP『陽のかけら』をリリース

不確かな日々に差し込む陽の光とその暖かさ

 

 

ボカロPであるinuhaのEP『陽のかけら』が〈Siren for Charlotte〉よりリリース。

 

『陽のかけら』は”過去になってしまったもの、叶うはずのない未来のもの、近くにあるけど遠いもの、 遠くに行ってしまった身近なもの”を遠泳音楽(Angelic Post-Shoegaze)というコンセプトと編み合わせ、緻密に創り上げられた音楽という形の結晶。奏でられた冷たく澄んだ土地の人々の会話、生の営み、凛とした眼差しを想わせる様な、過去も未来も超えてしまうシューゲイズ。

 

─作品コンセプト─

 

「決して届かないけれど、それでもそこに想いを馳せる、そこを見つめる」ことをテーマに制作しました。過去になってしまったもの、叶うはずのない未来のもの、近くにあるけど遠いもの、遠くに行ってしまった身近なもの、それらを遠泳音楽という概念に寄せて、ひとつひとつ作品にしていきました。冬の凍てついた空気、地平線を一望する広大な風景の中で日々を送る人たちの会話や生活、凛とした眼差しのかけらを感じながら聴いていただけたら嬉しいです。確かなものなんてどこにもないと嘆くその想いは確かだと思います。

 

─inuhaとレーベルによるコメント─

 

Siren for Charlotteからinuha『陽のかけら』をリリースします。ユーフォリアの系譜としてのシューゲイザーの歴史、分解系レコーズを初めとする国産エレクトロニカの系譜、その他美しい様々な水脈がinuhaというひとつの運動に結晶する様に、この『陽のかけら』という作品が在る。

 

美しく愛しい全てのもの、悲しく澄んだあらゆるもの、童心と淡い感傷、純粋な記憶、既に古びたものが新しいものとして浮かぶ瞬間、視界を染めてしまうような強い感情、懐かしい君の姿、喪ったものも持っているものも覚えているものも自分の中で生きていること。それらが世界で一番綺麗な宝石のように、緻密に縫い合わされた物語として、音楽として提示されること。これがSiren for Charlotteによる『陽のかけら』についての形容だ。

 

徹底して優しい感情が、傷や軋轢、軋んだものを癒やしてしまうこと。この轟音の中に暴力はなく、ユーフォリアとリリシズム、美しさと淡い感情の結晶が鳴り響いている。inuhaさんによる高い達成を是非ご体験下さい。

 

──Siren for Charlotte

 

今作が生まれたきっかけは、もともと遠泳音楽という概念を知る前に制作し、動画サイトに投稿していた『病気の子どもたち』という楽曲です。この作品が門脇さんに「遠泳ミクゲイザー」と評していただけているのを見かけて、それから徐々にこの概念に惹かれるようになりました。あまり深くは知らないけれど、何かを感じる。自分の音楽に対する価値観を深める上でいい機会だと思ったため、今回のお話をいただいたとき、すぐに了承しました。そして『病気の子どもたち』のリメイクを収録することを決め、そこを中心として当時作ったときに考えていた物語や風景を思い出し、拡張し、形にしました。

 

僕の中では、シューゲイザーの美しさや魅力を内包した、シューゲイザーに囚われない音楽、と認識しています。エッセンスは感じつつも、必ずしもそこに囚われない、生き生きとしたアレンジ、歌詞、ミックスを心がけました。現時点で、僕は作品を鑑賞する上でも制作する上でも、没入できるかどうかということを重要視しています。轟音、フレーズの繰り返し、浮遊感のある音色…などのような要素は没入感を得る上で大切なものであると思います。そして遠泳音楽は、必ずしもそこに囚われなくていいということも感じさせてくれます。結局何も持っていないかもしれないし、それでも日々は過ぎていくけれど、そこで見つけたり、貰ったりした美しいものをこれからも大切にしたいと思います。

 

──Inuha

 

 

inuha – 陽のかけら

Label : Siren for Charlotte

Release date : January 10 2024

https://eneiongaku.bandcamp.com/album/-

 

Tracklist

1. 出発の朝

2. 行きたいところがある

3. 病気の子どもたち

4. 鳥はきれい好き

5. 知恵比べ

6. 想えば想うほど

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