UKからたどるダンスミュージックの自由な旅路|Overmono interview

FUJI ROCK FESTIVAL’23 出演決定

 

 

現代のUKダンスミュージック・シーンの最前線に立つ兄弟エレクトロニックデュオ・Overmonoが、待望のデビューアルバム『Good Lies』を2023年5月12日に名門レーベル〈XL Recordings〉よりリリースした。世界的なパンデミックに見舞われた20年代初頭のクラブシーンにおいてプレイされた彼らのヒットチューン「So U Kno」を、危機的状況の中でも足繁くフロアに通い詰めたパーティーフリークなら誰しもが一度は耳にしたことがあるはずだ。ベース、ブレイクビーツ、テクノといったレイヴサウンドを軸にアイコニックなボーカルカットを心地よく織り込ませた楽曲群で、パンデミック以降の空気感をアップデートするこの1stアルバムではOvermonoとしてのキャリアが包括されている。今夏にはFUJI ROCK FESTIVAL’23に出演予定でさらなる注目が集まるOvermonoにこれまでの歩みを訊いたところ、ラッセル兄弟ならではのユニークなエピソードが溢れ出た。

 

text: yukinoise

translation: 青木絵美

 

・初めて音楽を好きになったのはいつ頃でしたか?現在のスタイルに辿り着くまで、どんな音楽を聴いて育ちましたか?

 

Ed Russel(以下、ED):俺はジャングルとドラムンベースをよく聴いていたけど、若い頃は人気だったエイフェックス・ツインやオウテカなどのIDMも聴いていた。他にも色々なジャンルの音楽を聴いていたよ。ダサくてひどいポップミュージックとか…今でもダサくてひどいポップミュージックは結構好き(笑)若い頃は、LimeWireやKazaa(どちらもファイル共有サイト)から怪しい音源をダウンロードしまくっていた。iPodが最初に登場した時、俺は最初、高くて買えなかったんだけど、数年後に中古で手に入れることができた。それまで大量の音楽をダウンロードしてきていたから、iPodの機能にはぶったまげたよ。それまでは、CDを何枚もMDにコピーしていたから大量のMDのコレクションがあったけど、その後LimeWireとiPodが登場したんだ。俺はとにかく音楽をダウンロードしまくった。家のパソコンが壊れるまで。LimeWireには違法なファイルがたくさんあって、ウィルスだらけだったからね(笑)それで結局パソコンが動かなくなってしまった。とにかく、俺はそういうのに夢中で色々な音楽をダウンロードしていたね。主にジャングルとドラムンベース、それから初期のダブステップも。当時はそれがダブステップだという認識はなくて、ダークなガラージみたいなサウンドだと思っていた。そういうのを聴いていたよ。

 

・トムさんはいかがでしょう?

 

Tom Russel(以下、Tom):両親が聴いていた音楽を聴いていたのが、自分の記憶にある最初の音楽体験かな。デフ・レパードとか(ニヤリ)。

 

Ed:(笑)

 

Tom:ハードロックとかその辺りだね。

 

Ed:トムは今でもそういうのを聴いているよな。

 

Tom:ああ、今でも大好きなんだ。心の片隅に彼らの居場所があるのさ。そこから、アイアンメイデンなど、どんどんヘヴィーになっていってセパルトゥラなどを聴いていた。なるべく不快で気に障る音を求めて行ったんだ。そしてハードテクノを聴いた時、一瞬でハマってしまった。「ドンドンドンドンドンドンドンドン」とキックドラムが160BPMでノンストップでかかっていて、最高だと思ったよ。今までそんな音楽は聴いたことがなかった。そこからエレクトロニック音楽にハマっていって、他の音楽には興味が失せてしまった。ロック音楽などは聴かずに、ダンス・ミュージックに没頭していった。それでここまで来てしまった感じかな。今でもダンス・ミュージックにハマってるから(笑)

 

・サウンド面においてルーツにレイヴカルチャーがあると思いますが、これまでどんなレイヴに行ったことがありますか?心に残っている思い出や、アンセム的な楽曲などがあれば教えてください。

 

Tom:俺たちが育った街にはクラブやレイヴがなかったから、自分たちでそういう遊びを企画するしかなかった。だから自分たちでやったレイヴが最初の体験だった。自分たちで好き勝手にやるという感じだったから自由があって最高だった。友達はみんな色々なエレクトロニックミュージックにハマっていて、ハードコアやジャングル、トランス、ファンキーハウス、ハードテクノなどなんでもアリだった。誰が何のジャンルにハマっていても、誰も否定しなかったから自分たちがやっていたパーティは色々なジャンルが混ざり合っていた。それがレイヴ初体験。その後ロンドンのクラブに行ってから、これらのジャンルはかなり別々に分かれているんだということを初めて知った。人々は各ジャンルに対してトライブ的な忠誠心があって、ジャンルをクロスオーバーしている人はあまりいないんだと気づいた。

 

Ed:俺たちにとっては異質な考え方だと思ったよ。1つのジャンルが好きだったら、他のジャンルは好きになってはいけない、みたいな考えは変だと思った。俺たちとしては、「オールジャンルでいいじゃん!」って感じだったから。学校でもトライブ感みたいなのはなかったよな?

 

Tom:なかったな。

 

Ed:2つのジャンルにハマっていても問題なかった。俺はニルヴァーナも好きだったけど、エイフェックス・ツインやオウテカも好きだった。ディリンジャー(ジャマイカのレゲエアーティスト)も好きだった。色々なジャンルが同時に好きでも受け入れられていたんだ。

 

・音楽を始めた最初のきっかけについてそれぞれ教えてください。音楽活動を続けてきて良かったことや、やめようと思った瞬間など今から振り返って何か思い出すことはありますか?

 

Tom:どんな形でも音楽で生計を立てていけたらいいなと二人とも思っていた。俺たちの父親はミュージシャンで、今は音楽を教える仕事をしているけれど、それ以前は何年もミュージシャンをやっていた。父親の影響もあって、音楽で生活していくことはできるということは分かっていた。俺たちは特にDJになりたいと思っていた訳ではないんだけど、何らかの形で音楽に携わる仕事がしたいと思っていた。そして音楽制作を続けていくに連れて、レコードを出すようになり、さまざまな機会が舞い込んでくるようになり、そういう機会を掴んでいった。二人ともモチベーションが高いから、いい機会が巡ってくるような環境作りをして、機会があればそれに乗るようにした。音楽活動をやめようと思ったことは俺もエドも一度もないと思うよ。やっていてアップダウンはあるけれど、音楽で生計を立てられるか立てられないかに関係なく、音楽は俺たちのやりたいことだから。

 

Ed:俺はマジで音楽以外のことがからっきしダメなんだ、何の見込みもない(笑)

 

Tom:(笑)

 

・お互いソロ活動を経て現在はデュオとして活動しておりますが、2人で活動するようになって変化したことやいい影響、難しい部分などがあれば教えてください。

 

Ed:いい影響はたくさんあるよ。二人で作曲をしていると、一人でやっているよりも、曲の完成がずっと早い。アイデアが否応なしに発展していくし、決断するスピードも早くなる。時には息詰まってなかなか決まらないこともあるけどね。でも多くの場合、二人いることでお互いのアイデアを投げ合って制作を進めることができるんだ。二人で音楽を作っていると、一人では絶対に作れないような音楽ができる。初期のセッションを二人でやっている時にそのことに気づいたんだ。お互いのソロでやっていることとは全く違うものができているなと思った。そこがすごくいいと思う。

 

・最近はどんな音楽を聴いてましたか?エレクトロニック・ミュージック以外でも構いません。

 

Tom:ここ数年はアメリカの音楽をよく聴いているね。ベイビー・キームの『Melodic Blue』はすごく好きだった。

 

Tom:USのアーティストの音楽に対するアプローチは面白いと思う。3分の曲の中に、3つの異なったフェーズがあったりして、いきなり全く違う雰囲気にスイッチしたりするんだけど、それを無理のない感じで、納得が行くような感じでやりのける。

 

Ed:うん。

 

Tom:俺もエドも彼らのそういった、制限のないクリエイティビティにすごく刺激を受けるんだ。

 

Ed:完全な自由が感じられるんだ。そういう音楽を聴くと、プロデューサーには沢山のアイデアがあって、数々のアイデアがはち切れんばかりに1つの曲に込められている。そんな感覚が大好きなんだ。

 

・ロンドン、イギリスで今注目しているアーティストやカルチャーシーンはありますか?

 

Ed:あるんだけど…(考えている)(笑)俺たちは18ヶ月間、隔離した状態で制作を続けていたんだ。意図的にそういうものから自分たちを遮断しようとしたんだ。アルバム制作が終わった今、ようやく隔離状態から復帰してきたところなんだ。色々なシーンと再び繋がることができて嬉しいけれど、アルバムの楽曲制作中は全てをシャットアウトして、周りのノイズを消す方が、自分たちのやりたいことが明確に見えると思ったんだ。それはつまり、俺たちが音楽を聴いていないたくさんの時間が失われてしまったから、残念なことでもあるんだけど、作曲活動が終わった時点で、俺たちは数ヶ月ぶりに再び色々なものを一気に吸収することになる。そういう2つのフェーズを行き来しているんだ。

 

Tom:(頷いている)

 

Ed:今の段階は、アルバム作曲フェーズを終えたばかりだから、最近のイギリスのアーティストやカルチャーシーンに関してはブランクがあるんだ。でも、制作中も聴いていたのは、先ほどトムが言っていたようなベイビー・キームや、トラヴィス・スコットのアルバム、シザ(SZA)などUSの幅広い音楽だったね。特にニッチなものではないんだけど、彼らは素晴らしい音楽をリリースしていると思う。

 

・ツアーやアルバム制作中はどのように過ごしていましたか?印象的な出来事があれば教えてください。

 

Ed:強烈だったよ!(笑)

 

Tom:ああ(笑)

 

Ed:奇妙だった、良い意味でね。ライブを終えて、夜中の12時か1時ごろにホテルに戻る。そこから朝4時くらいまでラップトップで一緒に音楽を作っているんだ。その数時間後には次のライブ会場に向かうための飛行機に乗り、次のライブ会場でライブをやる。その生活にすごくインスパイアされた。俺たちは常に音楽を作っているから、飛行機に乗っている時は毎回音楽を作っていた。制作を止めることがないんだ。中毒みたいなんだけど、いい意味での中毒。

 

Tom:ツアーで遠い国に行っても、自分たちの音楽を好きな人がいて、それを知ると嬉しいね。それがツアーの良いところ。去年は北米やヨーロッパの国でライブをしたけど、そこの人たちが俺たちの音楽を知っていてくれたことが嬉しかった。最近はインターネットがあるからそれは当たり前のことなのかもしれないけど(笑)

 

Ed:最近だからねぇ(笑)

 

 

・大ヒットした「So U Kno」のように、ここ近作は特にUKGへの接近が見受けられるように感じます。あの楽曲の大ヒットについて驚きはありましたか?また、UKGのレーベルでお気に入りがあればいくつか紹介してほしいです。

 

Ed:「So U Kno」がヒットしたのは俺たちも驚きだった。あの曲はFabric mixのために書いた曲なんだ。ミックスに欠けている音楽があると感じていたんだけど、俺たちがイメージしていたような楽曲で、ミックスにうまくフィットする曲を見つけられなかったから自分たちで作ったんだ。それが「So U Kno」で、大ヒットした。驚きだったよ。反応が良くて嬉しかった。ああいう曲は、二人で書いているとすぐにできるんだ。すごくいい感じだよ。しばらく作曲をしていて、時計をふと見たら、もう8時間も経っている、そんな感じだった。あっという間に時が過ぎてしまっていた。でもヒットしたのは驚きだった。UKGのレーベルに関しては最近、リーズ(の街)から色々と良いのが出てきているよ。名前は今思いつかないけれど、UKGのレーベルは新しくてなかなか良いのが結構たくさんあるね。

 

・今回のアルバムのコンセプトを、改めて日本のオーディエンスに向けて語ってください。

 

Tom:このアルバムは、オーヴァーモノとしての今までの旅路を包括しているものだ。オーヴァーモノは長期的なプロジェクトとして考えてやってきた。(アルバムという)まとまった作品を発表する前に、オーヴァーモノのサウンドの基盤を作りたかった。だから先にEPなどをリリースして、俺たちの世界観というものを人々に理解してもらおうと思った。その後に、アルバムというもう少し長い尺の作品を出すことにした。俺たちは常に音楽を作っているから、アルバムにこれといったコンセプトはないんだ。でも作曲した数々の曲のうちの何曲かは「これはアルバムに収めるべきだ」と感じられるものがあったから、それを軸にしてアルバム用の曲作りを続けて行った。そういう意味では、自然なプロセスで、無理なく作ることができたアルバムだと思う。俺たちはいつでもそういう風に音楽を作っていたい。「今日はこれをやらなければならない!」と意気込むよりも、自然な流れで自由に音楽制作をやっていきたいと思っている。

 

Ed:俺たちはかなり長い間アルバムの作曲をしていたんだけど、そのうちの何曲かはシングルやEPとしてリリースしていたから、引き続きアルバムに向けての楽曲を作ることができた。そういうプロセスが良かったと思う。時間をかけられたし、楽しめたプロセスだった。そして去年くらいから俺たちの人気も高まってきて、すごく良い流れができた。音楽を常に作っている高揚感と、自分たちが自由に好きなことをやれているという最高な感覚。アルバムでは自分たちの領域をさらに広めることができたと思う。クラブ向けの12インチをいくつも作るのも嫌いじゃないけど、俺たちには表現したいことがたくさんあるから、アルバムという余裕のある空間でそれができたことがすごく楽しかった。もうすでに次のアルバムについて二人で話し合っているんだ。

 

・アルバムの制作秘話や思い出について教えてください。

 

T&E:(しばらく考えている)

 

Ed:俺はマジで記憶力が無いんだよな…(笑)

 

Tom:(笑)

 

Ed:色々あるはずなんだけど、今は全く思い浮かばない…。どこかのホテルに滞在している時に、トムに深夜、トラックを聴かせたんだ。ツアー中で、どこかに向かうフライトの中で作っていた曲だよ。俺たちはツイン・ベットにそれぞれ、もたれかっていて、トムに「さっき作ったのがあるからちょっと聴いてくれよ」と聴かせたんだ。そしたらトムがすごく気に入ってくれて、その楽曲を1時間くらいずっとリピートで聴いていたんだ(笑)

 

Tom:「もう一度聴かせて、もう一度聴かせて」と言っていたよな。

 

Ed:それくらいかな、ごめん、俺は何にも覚えていられないんだ。

 

・犬は好きですか?アートワークやMVに使用されているとても可愛い犬はお二人のペットでしょうか。

 

Ed:俺たちの犬じゃないよ。友人のだ。俺たちは犬が大好きで、ドーベルマンは長い間、間違ったイメージが植え付けられていると感じるんだ。耳が直立していて、攻撃的になるように躾けられている、凶暴な犬というイメージがあるけれど、本当は全くそんなことないんだ。普段は、人懐っこくて、すごく可愛い犬なんだよ。でも人間の介入によってめちゃくちゃにされてしまった。だからドーベルマンの汚名を返上しようとしているんだよ(笑)。

 

 

・ジャケット・MV監督の写真家、映像作家のロロ・ジャクソンについて教えてください。

 

Ed:彼は最高だよ。もう3年くらい一緒に仕事をしている。

 

Tom:そうだな、でも連絡を取ったのはもっと前だった。もっと前から一緒に何かやろうという話をしていたんだ。

 

Ed:以前から一緒に何かをやろうとロロと話していて、一緒に飲みながら色々なアイデアについて話していたんだけど、結局何をやるのかというのがなかなか決まらなかった。そしてある時、犬のアイデアがまとまって彼が撮影してくれた。彼の撮る写真や映像は全て、俺たちの音楽にすごくよくフィットする感じがするんだ。だから彼とイギリスのさまざまなロケーションで撮影をしたけれど、毎回すごく楽しくて最高だった。

 

 ・MVは野外の映像が多いですが、クラブイベントなども屋内より野外の方が好きですか?

 

Ed:そうだな。

 

Tom:ああ

 

Ed:見晴らしがいいところがいいね。

 

Tom:俺たちの形成期となった体験はほとんど野外だったし、朝日が昇るのを見たりしていたから、野外の方が好きだね。

 

Ed:最近、オーストラリアでPitchという素晴らしいフェスティバルでプレイしたんだけど、ステージからの眺めがすごくて、あんなのは今までに見たことがなかった。背景に山が見えて、そこに太陽が沈んでいくんだよ。そういう所でライブができるのはすごく貴重な体験だね。

 

Tom:そうだな。

 

・また、屋内と野外でライブ・DJのプレイは変化をつけるでしょうか?

 

Ed:無意識レベルでは変えているかもしれないけど、変えようと意図はしていない。野外のビッグフェスティバルでのプレイと、屋内イベントのプレイを録音して、サウンドに違いがあるのか比較してみるのも面白そうだな。何かしらの違いはあると思うけれど、自分たちでそうするように計画してはいないよ。

 

Tom:(頷いている)

 

・ジョイ・オービソンとは精力的にコラボをしてると思います。

 

Ed:彼は驚愕的なプロデューサーだよ。ものすごい才能がある。彼とは仲良くなって、俺たちがサウスロンドンのブロムリーのスタジオを使っていた時、彼もスタジオに来て、一緒に曲についてのアイデアについて色々と話していた。お互い長い間、音楽活動や作曲について話し合っていたから、彼とのコラボレーションは自然にフィットした出来事だった。ジョイ・オービソンの音楽に対するアプローチは、俺たちのそれとは真逆なんだ。それがいい影響になっている。彼とコラボレーションすると、俺たちは彼からすごくたくさんのことを学ぶし、彼も俺たちから新たな気づきを得ているみたいだ。お互い、すごく良い仕事の仕方だと思う。今後も彼とたくさんコラボレーションしていきたいね。

 

・少し昔の曲ですが「Quadraluv」という名前を曲をリリースされていたかと思います。どんな意味が含まれていますか?

 

Ed:「Quadraluv」というリバーブがあるんだよ。

 

Tom:90年代のアイコニックなスタジオ機材で、「Quadraluv」というリバーブのマルチエフェクトユニットがあって、それに向けたオマージュなんだ。

 

Ed:3台くらい持っていて、前回、日本に行った時にそのうちの1つを持って行ったよ!音がすごく良くて最高なんだ。でも最近はあんまり使っていないよね?

 

Tom:そうだな、昔ほど使っていないな。

 

Ed:最近は放置されがちだけど、昔はよく使っていたから、そこから名前をとったんだ。

 

・コロナ以降、ダンスフロアを取り戻そうとする気持ちや波を感じます。一方で、covid以降、ライフサイクルが完全に変わってしまい、今の若年層の一部にそういったクラブライフを敬遠する正反対の波も日本には感じれますが、パーティー以外でも、そういった雰囲気を感じますか?

 

Ed :少しは感じるよ。まだ遊びに行っている人たちはいるけれど、その頻度が低くなって、大きなイベントに行く傾向があると思う。イギリスの街では、数年前までは、比較的小さなクラブのシーンが活発だった。そういうシーンは(コロナで)苦労したと思う。今はそういうシーンも復興の兆しが見えてきているけどね。でもここ数年で、人々は大きなイベントに行く傾向にシフトした。それにイギリスは物価が高騰して、生活が厳しくなったから、みんな数ヶ月に一度、イベントを選んで遊びに行くということをしているようだ。数年前までは毎週末、小さなイベントやクラブに行っていたんだけどね。でも最近はそれも変わって来ていて、小さなクラブでもいい感じに盛り上がっているのを見かける。そういうシーンには根強く頑張って復活してほしいと思っているよ。

 

・日本人プロデューサーでお気に入りのアーティストがいますか?

 

Tom:DJシャッフルマスターの作品は好きなものがたくさんある。俺たちのファブリックのミックスにトラックが入っているよ。昔のDJなんだけど、ループを使ったパーカッシブなテクノを作る人で、俺たちはすごく彼の音楽が好きだ。

 

Ed:そうだな。彼は日本人だっけ?

 

Tom:ああ。それから今でも活動しているか分からないが、IORIというディープなアトモスフェリック・テクノを作っている人がいた。それもカッコよかったな。

 

・また、その時期のジャケットも初期90年代ビートマニアのようなものがあった気がします。ゲームミュージックなどに興味はありますか?

 

Ed:いや、俺はあんまりチップチューンにはハマらなかったんだよね。

 

Tom:俺は、「ダブルドラゴン」のテーマソングなんかは結構好きだったよ。あれは良かった。

 

Ed:子供の時にゲームをたくさんやっていたら、ああいう音楽が今になって自分の一部に染み込んでないわけないよな。マリオの音楽とかは全部最高だった。でもそれを自分たちの音楽に取り込もうと思ったことはないんだ。

 

Tom:ノスタルジア的な意味で良いとは思うけどね。

 

・非常に多岐のジャンルをクロスオーバする作品をキャリア通年で制作されておりますが、ジャングル・ガラージ・ハウス・テクノ以外に挑戦したいジャンルなどはありますか?

 

Ed:俺たちは、(ジャンルという)ダイレクトな表現で、音楽にアプローチしてないと思う。

 

Tom:最近になって、俺たちの音楽がどんなジャンルに入るのかということを考えたりはするけどね。また、他の人が俺たちの音楽を特定のカテゴリーに区分けしても全く構わない。だが、二人で話しているときに、自分たちが作るものが何のジャンルかという話は一切しないんだ。

 

Ed:しないよね。アイデアについて話し合うときも、参考としてジャンルを引き合いに出すということはしないんだ。変だと思われるかもしれないけど。もっと奇妙でアブストラクトな表現を使って話し合っているんだ。でもそれが二人にとって一番分かりやすい。ジャンルについて考え始めたら、そのジャンルのルールに縛られてしまうかもしれないから。プロデューサーによっては、「今はこういう(ジャンルの)音楽を作っているから、ここにこうやってハイハットを入れるのはNGなんだ。それをやると、こういう(ジャンルの)曲になってしまうからね」と言うような人もいるよ。でも俺たちはそう言うやり方は自然だと思わないんだ。

 

・質問は以上です。今日はお時間をいただき、ありがとうございました!夏のフジロックでお待ちしています!

 

T&E:ありがとう!!

 

 

 

Overmono – Good Lies

Label : XL Recordings / Beat Records

Release date : May 12 2023

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=13234

 

Tracklist

01 Feelings Plain

02 Arla Fearn

03 Good Lies

04 Walk Thru Water

05 Cold Blooded

06 Skulled

07 Sugarushhh

08 Calon

09 Is U

10 Vermonly

11 So U Kno

12 Calling Out

13. Dampha *Bonus Track For Japan

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