
2025/10/30
映像作品「The Fall of Metatron」公開

『Mythoplaxy』において、MIRA新伝統は、ディストピア的なクラブ・アクセラレーションの定型や、ギャラリー文脈に縛られたパフォーマンスの慣習からの脱却を提示する。ステージとスタジオの両領域を横断しながら、 彼らは神道に由来する儀礼性と、民衆劇や神話的語りの遊行的・共同体的伝統を融合させた表現言語を育んできた。それは、古代ギリシャのサテュロス劇から中世の宗教劇サイクルにまで連なる形態を反響させながら、ポスト・テクノ資本の崩壊後に広がる幽幻の地形の上で展開される。
本作は、エレクトロニック・バラードから神話生成的な断片まで──11の音響的寓話(ソニック・テイル)によって構成されている。それぞれの楽曲は、象徴的建築の原基として構想され、私たちがこの世界から次の世界へと持ち運ぶべき神話と廃墟を想像するよう聴き手を誘う。その理念は、イタリアの哲学者フェデリコ・カンパーニャの提起と共鳴している。
リリースに合わせて公開される映像作品《The Fall of Metatron》では、二人によって考案された文字体系「Lambdochian(ラムドキアン)」が初めて登場する。このスクリプトは、ラムダ計算の図式とロジバン音韻から導き出された詩的な装置であり、日常的な筆記のための文字ではなく、エジプト象形文字のように神話・儀礼・伝達のための聖なる媒体として機能する。
《The Fall of Metatron》は、「神の書記」と呼ばれる大天使メタトロンの堕落を描いている。彼はグノーシス派やユダヤ=イスラームの伝統に由来し、しばしばエノク本人と同一視される存在である。この映像では、メタトロンの堕落が神話そのものの断裂として演出され、大天使は文化が崩壊へと傾く過渡期において、詩を守るために刻まれた超実体的な書の中へと投げ落とされる。その姿は、神聖な言葉と世界の終焉のあいだに立つ存在として描かれている。

MIRA新伝統 – Mythoplaxy
Label : Infinite Machine
Album cover photo : Costumes by runurunu
Mixed and Mastered by Fausto Mercier
Release date : January 16, 2026
https://infinitemachine.bandcamp.com/album/mythoplaxy
Tracklist
1. Ignore The Signs
2. The Riddle of Pendeli
3. Cordyceps
4. The Fall of Metatron
5. Terraformers
6. Magic Variables
7. Thesmophoria
8. Circus In Town
9. Riding The Cycles
10. Luna
11. Ego Absconditus
category:NEWS
tags:MIRA新伝統
2022/08/26
FACTのYouTubeチャンネルにて公開 MIRA新伝統が〈Subtext Recordings〉よりリリースしたEP『Noumenal Eggs』より、タイトル曲の映像作品がFACT MAGAZINEのYouTubeチャンネルにて公開。3D/プロット/コンセプトをMIRA新伝統自身が手掛けている本映像には、Sharar Lazimaが出演し、カメラをReiが担当している。 “Noumenal Eggs”とは何なのか? “Noumenal Eggs”は短編の理論的フィクション作品である。渋谷のクラブ街の汚れた路地裏、浮遊する黒い卵。すると突然、未来の可能性が孵化する。これが“Noumenal Eggs” の正体だ。~私たちの知覚の外に眠る未開発の可能性~ しかし稀に、破裂し、それが抱えていた別の現実が偶然にも現象界に拡散され、目撃されることがある。それらは余白に生きる人々や、意識の変容を起こしやすい人々に目撃されることが多い。卵から明かされるのは、灼熱とエントロピーの世界。つまりプラスティグロメレートと粘液の世界のように見える。もしこの未来が本当の未来ではなく、別の場所と時間に私たちを移そうとしているとしたら?新自由主義社会が何十年もかけて温めた卵が、今ようやく孵化し始めたとしたら?私たちの潜在的な未来をすべてキャンセルして、ここにふさわしくない未来とすり替えるになんて、まるでカッコウの卵のよう?私たちが何世代にもわたって暮らしてきたシステムは、巨大なハイパーパラサイトが人類の無意識的な辺獄に働く欲望駆動回路をハッキングし、世界に物理的な場を提供するために、持続不可能で自己利益に反する生産を私たちに押し付けていたのだろうか。入れ替わった卵を探す旅に出よう。今こそ心の奥底に差し込まれた寄生虫の樹状突起から自身を解放し、アップグレードする時ではないだろうか? MIRA新伝統 – Noumenal Eggs Label : Subtext Recordings Release date : 17 June 2022 https://mirashindento.bandcamp.com/album/noumenal-eggs Tracklist 1. Hosting of an Inorganic Demon 2. Disembodiment 3. Noumenal Eggs 4. Chronosis 5. Howling Machines 6. Disembodiment (Ziúr Remix)
2023/04/07
無条件の壮大さと狂喜の賛歌 “Symchtchonia”(シンンクトニア) は、古代ギリシャ語の συμ-シン(共に)とχθών- クトニア(大地・土)から派生した言葉。哲学者のDonna J. Harawayによる造語で「地上のものが一緒になること」を意味する。 またポストアントロポセンに関する芸術的実践、想像力、理論的言説の交差に興味を持つ人々の集いの場として作ったDiscordサーバーの名前でもある:https://discord.com/invite/yfM3b3YJ4p MIRA新伝統が〈Subtext Recordings〉から昨年リリースされたEP『Noumenal Eggs』は、資本主義やエントロピックのカタストロフィーの概念をめぐる音と映像の理論フィクションを探求した。その後の「Symchthonia」は独立したシングルリリースであり、Donna J. Harawayが「Camille Stories」で述べた、未来の地球上の生命体による共生コミュニティに対する無条件の壮大さと狂喜の賛歌。 「Camille Stories」でDonna J. Harawayが描いた、あらゆる性別や民族の人間のグループが、絶滅に直面している種と直接的、共生的、人工的に強化された共依存関係を築くことによって、来るべき世界を生き残るというもの。 この短い賛美歌は、恍惚とした逃避行や奢ったディストピアではなく、私たちの現実に根ざしたものにしたかったので、作曲は都市のフィールドレコーディングと合成サウンドデザインの間でバランスをとっている。指数関数的なリズム、吠えるような声、牧歌的なインストゥルメンタルが、溢れかえる下水道の中で戦い、やがて大空に花を咲かせる。 「Symchtchonia」のカバー画像にある錆びたプレートは、2023年2月に開催されたアートフェア「EastEast_Tokyo」で発表したパフォーマンス/インスタレーションから由来したもので、金属製のプレートには、John B.Calhounによる図式が刻まれており、混沌と絶滅に至ったネズミのユートピア実験 “Universe 25” から差し引いた社会構造におけるニーズ、条件、適応の緊張と因果関係を示している。“Universe 25”は、集団主義や平等主義のアプローチに対する反動的な議論として使われることがあまりにも多い。しかし、ここでは、錆びたプレートに植物が刺さっており、ネズミの社会を根絶やしにしたのは、豊富な資源や直接アクセスではなく、生態系の予測不可能性やその多様性から人為的に強制的に隔離されたことかもしれないと示唆している。 MIRA新伝統 – Symchthonia Release date : April 7 2023 Bandcamp : https://mirashindento.bandcamp.com/track/symchthonia
2022/06/02
Ziúrリミックス収録 photo by さようならアーティスト ポスト・ヒューマン的リアリティは、必ずしも煌々と輝くディストピアやサイバーパンクな夢物語ではない。それは、人知れずネオンが宣伝を続ける静まり返った渋谷の路地裏や、燃やされたプラスチックが溶け固まりできた小石が海岸を覆う神奈川のエコ・トランスレイヴかもしれない。東京を拠点に活躍する MIRA新伝統の二人が最新EP『Noumenal Eggs』のインスピレーションを得たのはそんな情景の数々からだ。この作品は、倒錯した不協和音と進化し続けるテクスチャーから成り立つ、探索的で歪曲した音響的複合物の発掘作業である。 Honami HiguchiとRaphael Lerayの最新作は、性的虐待やトラウマの身体的および心理的な影響を題材とした『TORQUE』(2019) に続くリリースとなる。約20分間の短編映画とサウンドトラックからなる『TORQUE』は、 舞踊家のHonamiが演じる性暴力やセックスワークの経験との対峙と、フランス出身の音楽家であるRaphaelによるアンビエント楽曲からなる1時間のパフォーマンスを再構成したものである。Honamiが自身の人間性と相反する業界の動因と折り合いをつけながらも、暴力やそれによってもたらされたアイデンティティの喪失に耐えてきた姿を描いている。 『TORQUE』がHonamiの過去の傷や現在に及ぶ重い鬱症状を癒す手助けとなったのに対し、『Noumenal Eggs』は他者性と消費経済における単なる資源としての身体という痛ましいテーマを、ポスト・キャピタロセン(資本新世)という広義の文脈へ導いている。”Howling Machines” では、ドゥルーズとガタリの「欲望する機械」が、Raphaelが作り上げた蛇のように蠢く破壊音を通じて鳴り響く。また”Hosting of Inorganic Demon” では、Honamiの絶叫がパンデミック時代に廃墟と化した商業ビルを訪れたときのような非現実感を伴って反響する。このトラックは、イラン出身の哲学者レザ・ネガレスタニが描く、生物のような地域や悪魔のような天然資源が独自の統治機関として存在するセオリー・フィクションの奇妙で不気味な世界から着想を得て制作された。 FMとウェーブテーブル合成を主に使用し作られた”Chronosis “のひび割れるような雑音は、MIRA新伝統が「逆行するくぐもった空間感覚」と呼ぶリバーブのように、時時間が圧縮される感覚を模倣している。対をなすトラックとしてZiúrが手掛けた”Disembodiment” のリミックスも収録。SOPHIEの触覚的なテクスチャーとジェンダー規範的なボーカルの影響を感じさせるこの曲では、Raphaelが高音を歌い上げ、Honamiが低音の唸り声を響かせる。Coil、Psychic TV、Markus Popp、そしてノーウェイブのアイコンであるイクエ・モリらの影響も微かに感じられる。 カバーイメージは、スイス出身のアーティストMaya Hottarekが手掛け、Joelle Neuenschwanderが撮影した。つややかな釉薬に覆われたエイリアングリーンの彫刻は、人間の知覚では捉えることができない物体を彷彿させる。未知の形状は、文化理論家であり、k-punkの名でも知られる故マーク・フィッシャーが定義したようにオルタナティブな未来と想像を超えた新しい自然を示唆している。フィッシャーは述べている。「私たちは、まだ存在せず、どのように、どんなものになるのか分からないものを生み出さなければならない」、と。 MIRA新伝統 – Noumenal Eggs Label : Subtext Recordings Release date : 17 June 2022 Pre-order : https://mirashindento.bandcamp.com/album/noumenal-eggs Tracklist 1. Hosting of an Inorganic Demon 2. Disembodiment 3. Noumenal Eggs 4. Chronosis 5. Howling Machines 6. Disembodiment (Ziúr Remix)
 
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