11の音響的寓話|MIRA新伝統が1stアルバム『Mythoplaxy』を発表

映像作品「The Fall of Metatron」公開

 

 

『Mythoplaxy』において、MIRA新伝統は、ディストピア的なクラブ・アクセラレーションの定型や、ギャラリー文脈に縛られたパフォーマンスの慣習からの脱却を提示する。ステージとスタジオの両領域を横断しながら、 彼らは神道に由来する儀礼性と、民衆劇や神話的語りの遊行的・共同体的伝統を融合させた表現言語を育んできた。それは、古代ギリシャのサテュロス劇から中世の宗教劇サイクルにまで連なる形態を反響させながら、ポスト・テクノ資本の崩壊後に広がる幽幻の地形の上で展開される。

 

本作は、エレクトロニック・バラードから神話生成的な断片まで──11の音響的寓話(ソニック・テイル)によって構成されている。それぞれの楽曲は、象徴的建築の原基として構想され、私たちがこの世界から次の世界へと持ち運ぶべき神話と廃墟を想像するよう聴き手を誘う。その理念は、イタリアの哲学者フェデリコ・カンパーニャの提起と共鳴している。

 

リリースに合わせて公開される映像作品《The Fall of Metatron》では、二人によって考案された文字体系「Lambdochian(ラムドキアン)」が初めて登場する。このスクリプトは、ラムダ計算の図式とロジバン音韻から導き出された詩的な装置であり、日常的な筆記のための文字ではなく、エジプト象形文字のように神話・儀礼・伝達のための聖なる媒体として機能する。

 

 

The Fall of Metatron》は、「神の書記」と呼ばれる大天使メタトロンの堕落を描いている。彼はグノーシス派やユダヤ=イスラームの伝統に由来し、しばしばエノク本人と同一視される存在である。この映像では、メタトロンの堕落が神話そのものの断裂として演出され、大天使は文化が崩壊へと傾く過渡期において、詩を守るために刻まれた超実体的な書の中へと投げ落とされる。その姿は、神聖な言葉と世界の終焉のあいだに立つ存在として描かれている。

 

 

MIRA新伝統 – Mythoplaxy

Label : Infinite Machine

Album cover photo : Costumes by runurunu

Mixed and Mastered by Fausto Mercier

Release date : January 16, 2026

https://infinitemachine.bandcamp.com/album/mythoplaxy

 

Tracklist

1. Ignore The Signs

2. The Riddle of Pendeli

3. Cordyceps

4. The Fall of Metatron

5. Terraformers

6. Magic Variables

7. Thesmophoria

8. Circus In Town

9. Riding The Cycles

10. Luna

11. Ego Absconditus

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