日常の先で合流する、永遠と一瞬のダイナミクス|caroline interview

コミュニケーションから始まる楽曲制作

 

 

最新アルバム『caroline 2』を発表し、世界中からラブコールが飛び交うロンドン拠点の8人組バンド・caroline。圧倒的なアンサンブルから感じる、生活の足跡や時の流れの愛おしさ、命の鼓動。そんな、身近であって広大なイメージを冒険する鮮烈なステージとなった初来日公演の前日、メンバーであるMike O’ MalleyとMagdalena McLeanに普段のコミュニケーションやインスピレーションについて話を伺った。(撮影にはJasper Llewellynも参加)

 

interview : 奥冨直人(BOY)

Photo : 添田ゆかり

 

 

──『caroline 2』、このアートワークやレコーディングされた作品には、開けた景色のような広大なイメージと繊細で孤独なイメージ等、対比されるものをフラットにさせるような世界観があって、自分的にはそこに優しい作り方というか、歩み寄りを感じています。同じようにレコーディングは計画性も実験性も感じて、あくまで自然体で生まれている作品は、一体どういうコミュニケーションをメンバーでとって作っているのかなというのが一番気になったところです。バンド間で一緒に曲を作っているムード、普段の雰囲気というのを教えていただけたらな、と思います。

 

Mike O’ Malley (Mike):ありがとう。やっぱり、会話がすごく大事になっていくかな。いきなり曲がバンってできるわけではなく、誰か1人がコンセプト、たとえばこういう感情を考えてるんだよね、とか、こういう風に聴こえるとか、こういう環境でとか、そういうふわっとしたイメージを持ってきて、そこから大人数で、みんなでどんどん作り込んでいって、長い時間をかけてようやく曲になるという感じ。だいぶ高度なコミュニケーションが要求されてる(笑)。

 

──そうですよね。聴いていて、すごく映画や旅のような、長期的なものを感じさせる作品だと思いました。それってバンドをはじめたときからみんな、そういうイメージを伝えようみたいな考えを持っていたんですか? それとも、聴き手がそう思っているだけなんでしょうか。

 

Mike:昨日もバンドで話したんだけど、一応「こうしよう」という意図みたいなものはあっても、それを無理矢理選択していくというよりは、今となってはバンド内に暗黙の了解のようなルールみたいなものが出来上がっていくんだよね。どこを開拓してどこを開拓すべきじゃないか、というようなことがわかっていくというか。それはバンドじゃなくても、グループで一緒に過ごす時間が長ければ、その中でルールが自然と作られていくと思うんだけど、それがどんどん発展していったり、形になっていったりような感覚で、carolineもバンドとしてそういう状態になってきた。なので、そういう考えやイメージは無意識的(に形成される)というか。一応共通するそういったアイデアはあって、昔はもっといろいろと説明をしていたけれど、いまはそれが自然に共有されている状態で。シェアード・ブレインというか、脳が共有されているかのような感覚。

 

 

──普段の生活感というか、『caroline 2』の開けた光と影のイメージの中には、もっと日常の延長線上みたいな音楽のインスピレーションがあるかと思いまして、普段はどういう暮らしの中で、どういう風に身体を休めたりとか、どういう音楽のインスピレーションがあったりするのかな、ということも気になります。

 

Magdalena McLean (Magda):基本的に日常生活の中で音楽を聴くのは電車に乗っているときか散歩しているときぐらいかな。ただ、普段電車に乗っている時間は多いから、一日の中では結構音楽を聴いてると思う。

 

Mike:70年代ごろの昔の考えで、すべての音が音楽であるという概念があるよね。たとえばサウンド・アートとかミュージック・コンクレートとか。それがポップスの文脈にも流れていると思うし、今でも私たちの頭の片隅に常にあるかな。なので、フィールド・レコーディングとか、いろいろな音のレイヤーを重ねていって音を作り上げるみたいなアプローチにも興味があるし。実際、東京も同じだと思うけど、私たちは大都会に住んでいて、常にいろんな音に囲まれているわけだよね。そういったいろんな音が重なっている環境に住んでいること自体が、やっぱり自分たちの作曲に自然に浸透しているのではないかな、と思う。

 

──すごく納得します、僕も東京に住んでますし。僕は逆に移動するときは音楽を聴かず、家やお店が中心で音楽を聴いているから思うんだけど、たぶん東京の街中にも新しい音の出会いがあるんじゃないかなと思います。

 

Mike:代々木公園で、たぶん何かしらの生き物だと思うんだけど、聴いたことのない音でなにかが4回ぐらい鳴いてて。鳥ですか?って聞いたら違うみたいだったんだけど。リング・モジュレーターとかフィルターみたいな、ちょっと機械っぽい音がして。

 

──蛙ですかね(笑)。

 

Mike:木のところから聴こえるから、機械じゃなくなにかが生きてるんだと思うけど(笑)。(編注:蝉の鳴き声でしょうか?)

 

 

──なるほど。ちなみに日本に来るのはプライベートでも初めてですか?来日公演は初めてだそうですが。

 

Mike:日本は初めて。素晴らしいね。

 

──日本に来て楽しみにしていたことはありましたか?

 

Magda:とにかく歩き回って、美味しいものをたくさん食べたいなと思ってた(笑)。(海外公演時は)街を歩いたり、景色を見たりして、建物や家の感じを見るのも大好きで。やっぱり全然違うから。私たちは旅先で何をしたいかって感覚も似てるんだよね。

 

──日本に対してのイメージってそれまではどういう感じでしたか?

 

Magda:うーん。

 

Mike:たとえば渋谷のスクランブル交差点とか。東京に限っていえば、とにかく大都会で、人混みでいっぱいで。その象徴。

 

Magda:渋谷の近くに滞在してるから、やっぱりそういう感じの印象はあるかも。

 

Mike:実際に日本に来ちゃったから今までのイメージを忘れちゃった(笑)。実際来てみたら、音楽を聴く環境が至るところで整っているなと感じた。たとえばDJバーとか。別に音楽をメインにした場じゃなくても誰かがレコードをかけていたりとか、そういう環境がすごく素敵だなと思った。あと自然が結構豊かで木々がきれいだな、とか景色もいいな、と。来る前にあまりイメージを膨らませず日本に来ようと思ってて。やっぱり日本って一番不思議というか、謎の多い場所だったからすごく楽しみにしてたんだよね(笑)。

 

 

──なるほど。ポジティブなイメージで良かったです(笑)。アルバムとバンドの話に戻りますが、『caroline 2』のリリースから4ヶ月ほど経って、いろいろなリアクションがあったと思うんですが、それを受けてバンド内になにか変化は生じましたか?

 

Mike:バンド内ではとくに無いかも(笑)。でも、ライブへの反響は変わってきてる。

 

Magda:このアルバムが出てから初めてライブをやったとき、今までと違うなという感覚があって。私も別にバンド自体の変化はあまりないと思うけれど、やっぱりライブをやったときの反応は明らかに変わったと思う。それは単純に、アルバムが今までよりたくさん売れて、会場が広くなって、お客さんがたくさん来てくれるようになったからで。ソールドアウトのショーができたという感動もあるし、そこはすごく分かりやすい違いだったかな。

 

Mike:ああ、そうだね。あとは、最近のほうがバンドらしく感じるというか。1stアルバムの頃は、まだバンドとしてはもう少し曖昧な感じだったから。もちろんバンド形態ではあったけど、活動も演奏もちょっとぼやけている感覚やイメージが僕らの中にあったんだけど、今は本当に「carolineというバンド」でギグをやる、みたいな確かな手応えがあって。もちろん新作を出したからというのもあるけど、やっぱりお客さんたちからのリアクションが大きくて、みんなが聴いてくれていることが伝わってきて、carolineをバンドとして確立できたな、という実感が湧いてきた。すごく楽しいし、新鮮な感覚でもある。

 

 

──制作期間も長かったからこそ、バンドのグルーヴもすごく高まった状態でのリリースだったのかなというのが、また前作からのムードなのかなと思いました。今年はそういうリアクションもあった大きな年になりましたが、来年以降はバンドとしてどういう風になっていくかのイメージはありますか?共有しているイメージでも、個人的な考えでも。

 

Mike:実際、アルバムをリリースしてからまだ6公演ほどしかライブをしてないんだよね。まだまだ演奏し足りないから、今はもっとたくさんライブをやっていきたいって感じかな。来年以降どうするかというよりは、今はまだまだこのアルバムをどんどんいろいろな場所で演奏していきたいと思ってる。1stアルバムのときも、あれが出てから2年ぐらいはツアーをやってたしね。ライブでの演奏を通して、やっぱり収録曲の演奏の仕方はどんどん変わっていくし、それに応じてバンドの感じも変わっていくから。まるで生き物のように成長していくような感覚があって、事実1stアルバムが出てすぐの頃と2年後にツアーが終わったときの僕らは全然違う状態になってたし。今回も『caroline 2』がリリースされて、ツアースケジュールが来年の終わりくらいまではずっと続くから、その間バンドがどのように成長して変化していくのか、僕たちもすごく楽しみにしてる。やってみないと分からないからね。

 

Magda:本当にまだ始まったばかりだと思うし、これからバンドとしてもどんどん変わっていく気がする。たとえば1stアルバムの曲を今ライブで演奏しても、当時の感じとは違うアレンジになるし。別に意図的にそうしてるわけでもなく、ただ自分たちがその曲に慣れ親しんできて、改めて自分のものにすることができたから自然に変わっていってるというか。(アレンジを)自由に変えてもお互い大丈夫、みたいな安心感があるし、自信がついてきたんじゃないかと思ってる。悩みもあったけど、とにかくバンドの一体感が強まっているような感覚があるので、今後の歩みもすごく楽しみ。

 

──音楽を好きにいろいろ聴いているんですが、特になぜバンドが好きなのかと言うと、人が生んだものを一緒に育つ過程を見てるみたいな感覚があるからで。いろんなバンドを観に行っているんですが、1年後、2年後にもっといい景色を僕たちに体感させてくれるような感覚がいつもあって。(carolineは)空気や距離、時間のようなものを感じさせてくれるバンドなので、すごく嬉しい言葉でした。

 

Mike:最初のライブに友人が来たとき、「とてもprecarious(不安定、おぼつかない状態)だね」と言われて。まだ危うさがあって、コントロールしきれていない不完全さがあったみたいなんだけど、それは実は良いことだと思っていて。ここから伸びしろもあるし、変わっていけるという意味でポジティブに捉えたんだよね。その危うさや変化を感じさせる意味での不安定さは、自分たちに当てはめられても嬉しいし、他のバンドを観に行ってそういった要素を感じるのも楽しみではあるし。そこにはバンドらしさが出るし、可能性も感じられるからエキサイティングだと思う。

 

 

 

caroline – caroline 2

Label : Rough Trade Records / Beat Records

Release date : May 30, 2025

https://caroline.ffm.to/caroline2

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14915

 

Tracklist :

1 Total Euphoria

2 Song Two

3 Tell Me I Never Knew That (ft. Caroline Polachek)

4 When I Get Home

5 U R UR ONLY ACHING

6 Coldplay Cover

7 Two Riders Down

8 Beautiful Ending

category:FEATURE

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──『caroline 2』、このアートワークやレコーディングされた作品には、開けた景色のような広大なイメージと繊細で孤独なイメージ等、対比されるものをフラットにさせるような世界観があって、自分的にはそこに優しい作り方というか、歩み寄りを感じています。同じようにレコーディングは計画性も実験性も感じて、あくまで自然体で生まれている作品は、一体どういうコミュニケーションをメンバーでとって作っているのかなというのが一番気になったところです。バンド間で一緒に曲を作っているムード、普段の雰囲気というのを教えていただけたらな、と思います。

 

Mike O’ Malley (Mike):ありがとう。やっぱり、会話がすごく大事になっていくかな。いきなり曲がバンってできるわけではなく、誰か1人がコンセプト、たとえばこういう感情を考えてるんだよね、とか、こういう風に聴こえるとか、こういう環境でとか、そういうふわっとしたイメージを持ってきて、そこから大人数で、みんなでどんどん作り込んでいって、長い時間をかけてようやく曲になるという感じ。だいぶ高度なコミュニケーションが要求されてる(笑)。

 

──そうですよね。聴いていて、すごく映画や旅のような、長期的なものを感じさせる作品だと思いました。それってバンドをはじめたときからみんな、そういうイメージを伝えようみたいな考えを持っていたんですか? それとも、聴き手がそう思っているだけなんでしょうか。

 

Mike:昨日もバンドで話したんだけど、一応「こうしよう」という意図みたいなものはあっても、それを無理矢理選択していくというよりは、今となってはバンド内に暗黙の了解のようなルールみたいなものが出来上がっていくんだよね。どこを開拓してどこを開拓すべきじゃないか、というようなことがわかっていくというか。それはバンドじゃなくても、グループで一緒に過ごす時間が長ければ、その中でルールが自然と作られていくと思うんだけど、それがどんどん発展していったり、形になっていったりような感覚で、carolineもバンドとしてそういう状態になってきた。なので、そういう考えやイメージは無意識的(に形成される)というか。一応共通するそういったアイデアはあって、昔はもっといろいろと説明をしていたけれど、いまはそれが自然に共有されている状態で。シェアード・ブレインというか、脳が共有されているかのような感覚。

 

 

──普段の生活感というか、『caroline 2』の開けた光と影のイメージの中には、もっと日常の延長線上みたいな音楽のインスピレーションがあるかと思いまして、普段はどういう暮らしの中で、どういう風に身体を休めたりとか、どういう音楽のインスピレーションがあったりするのかな、ということも気になります。

 

Magdalena McLean (Magda):基本的に日常生活の中で音楽を聴くのは電車に乗っているときか散歩しているときぐらいかな。ただ、普段電車に乗っている時間は多いから、一日の中では結構音楽を聴いてると思う。

 

Mike:70年代ごろの昔の考えで、すべての音が音楽であるという概念があるよね。たとえばサウンド・アートとかミュージック・コンクレートとか。それがポップスの文脈にも流れていると思うし、今でも私たちの頭の片隅に常にあるかな。なので、フィールド・レコーディングとか、いろいろな音のレイヤーを重ねていって音を作り上げるみたいなアプローチにも興味があるし。実際、東京も同じだと思うけど、私たちは大都会に住んでいて、常にいろんな音に囲まれているわけだよね。そういったいろんな音が重なっている環境に住んでいること自体が、やっぱり自分たちの作曲に自然に浸透しているのではないかな、と思う。

 

──すごく納得します、僕も東京に住んでますし。僕は逆に移動するときは音楽を聴かず、家やお店が中心で音楽を聴いているから思うんだけど、たぶん東京の街中にも新しい音の出会いがあるんじゃないかなと思います。

 

Mike:代々木公園で、たぶん何かしらの生き物だと思うんだけど、聴いたことのない音でなにかが4回ぐらい鳴いてて。鳥ですか?って聞いたら違うみたいだったんだけど。リング・モジュレーターとかフィルターみたいな、ちょっと機械っぽい音がして。

 

──蛙ですかね(笑)。

 

Mike:木のところから聴こえるから、機械じゃなくなにかが生きてるんだと思うけど(笑)。(編注:蝉の鳴き声でしょうか?)

 

 

──なるほど。ちなみに日本に来るのはプライベートでも初めてですか?来日公演は初めてだそうですが。

 

Mike:日本は初めて。素晴らしいね。

 

──日本に来て楽しみにしていたことはありましたか?

 

Magda:とにかく歩き回って、美味しいものをたくさん食べたいなと思ってた(笑)。(海外公演時は)街を歩いたり、景色を見たりして、建物や家の感じを見るのも大好きで。やっぱり全然違うから。私たちは旅先で何をしたいかって感覚も似てるんだよね。

 

──日本に対してのイメージってそれまではどういう感じでしたか?

 

Magda:うーん。

 

Mike:たとえば渋谷のスクランブル交差点とか。東京に限っていえば、とにかく大都会で、人混みでいっぱいで。その象徴。

 

Magda:渋谷の近くに滞在してるから、やっぱりそういう感じの印象はあるかも。

 

Mike:実際に日本に来ちゃったから今までのイメージを忘れちゃった(笑)。実際来てみたら、音楽を聴く環境が至るところで整っているなと感じた。たとえばDJバーとか。別に音楽をメインにした場じゃなくても誰かがレコードをかけていたりとか、そういう環境がすごく素敵だなと思った。あと自然が結構豊かで木々がきれいだな、とか景色もいいな、と。来る前にあまりイメージを膨らませず日本に来ようと思ってて。やっぱり日本って一番不思議というか、謎の多い場所だったからすごく楽しみにしてたんだよね(笑)。

 

 

──なるほど。ポジティブなイメージで良かったです(笑)。アルバムとバンドの話に戻りますが、『caroline 2』のリリースから4ヶ月ほど経って、いろいろなリアクションがあったと思うんですが、それを受けてバンド内になにか変化は生じましたか?

 

Mike:バンド内ではとくに無いかも(笑)。でも、ライブへの反響は変わってきてる。

 

Magda:このアルバムが出てから初めてライブをやったとき、今までと違うなという感覚があって。私も別にバンド自体の変化はあまりないと思うけれど、やっぱりライブをやったときの反応は明らかに変わったと思う。それは単純に、アルバムが今までよりたくさん売れて、会場が広くなって、お客さんがたくさん来てくれるようになったからで。ソールドアウトのショーができたという感動もあるし、そこはすごく分かりやすい違いだったかな。

 

Mike:ああ、そうだね。あとは、最近のほうがバンドらしく感じるというか。1stアルバムの頃は、まだバンドとしてはもう少し曖昧な感じだったから。もちろんバンド形態ではあったけど、活動も演奏もちょっとぼやけている感覚やイメージが僕らの中にあったんだけど、今は本当に「carolineというバンド」でギグをやる、みたいな確かな手応えがあって。もちろん新作を出したからというのもあるけど、やっぱりお客さんたちからのリアクションが大きくて、みんなが聴いてくれていることが伝わってきて、carolineをバンドとして確立できたな、という実感が湧いてきた。すごく楽しいし、新鮮な感覚でもある。

 

 

──制作期間も長かったからこそ、バンドのグルーヴもすごく高まった状態でのリリースだったのかなというのが、また前作からのムードなのかなと思いました。今年はそういうリアクションもあった大きな年になりましたが、来年以降はバンドとしてどういう風になっていくかのイメージはありますか?共有しているイメージでも、個人的な考えでも。

 

Mike:実際、アルバムをリリースしてからまだ6公演ほどしかライブをしてないんだよね。まだまだ演奏し足りないから、今はもっとたくさんライブをやっていきたいって感じかな。来年以降どうするかというよりは、今はまだまだこのアルバムをどんどんいろいろな場所で演奏していきたいと思ってる。1stアルバムのときも、あれが出てから2年ぐらいはツアーをやってたしね。ライブでの演奏を通して、やっぱり収録曲の演奏の仕方はどんどん変わっていくし、それに応じてバンドの感じも変わっていくから。まるで生き物のように成長していくような感覚があって、事実1stアルバムが出てすぐの頃と2年後にツアーが終わったときの僕らは全然違う状態になってたし。今回も『caroline 2』がリリースされて、ツアースケジュールが来年の終わりくらいまではずっと続くから、その間バンドがどのように成長して変化していくのか、僕たちもすごく楽しみにしてる。やってみないと分からないからね。

 

Magda:本当にまだ始まったばかりだと思うし、これからバンドとしてもどんどん変わっていく気がする。たとえば1stアルバムの曲を今ライブで演奏しても、当時の感じとは違うアレンジになるし。別に意図的にそうしてるわけでもなく、ただ自分たちがその曲に慣れ親しんできて、改めて自分のものにすることができたから自然に変わっていってるというか。(アレンジを)自由に変えてもお互い大丈夫、みたいな安心感があるし、自信がついてきたんじゃないかと思ってる。悩みもあったけど、とにかくバンドの一体感が強まっているような感覚があるので、今後の歩みもすごく楽しみ。

 

──音楽を好きにいろいろ聴いているんですが、特になぜバンドが好きなのかと言うと、人が生んだものを一緒に育つ過程を見てるみたいな感覚があるからで。いろんなバンドを観に行っているんですが、1年後、2年後にもっといい景色を僕たちに体感させてくれるような感覚がいつもあって。(carolineは)空気や距離、時間のようなものを感じさせてくれるバンドなので、すごく嬉しい言葉でした。

 

Mike:最初のライブに友人が来たとき、「とてもprecarious(不安定、おぼつかない状態)だね」と言われて。まだ危うさがあって、コントロールしきれていない不完全さがあったみたいなんだけど、それは実は良いことだと思っていて。ここから伸びしろもあるし、変わっていけるという意味でポジティブに捉えたんだよね。その危うさや変化を感じさせる意味での不安定さは、自分たちに当てはめられても嬉しいし、他のバンドを観に行ってそういった要素を感じるのも楽しみではあるし。そこにはバンドらしさが出るし、可能性も感じられるからエキサイティングだと思う。

 

 

 

caroline – caroline 2

Label : Rough Trade Records / Beat Records

Release date : May 30, 2025

https://caroline.ffm.to/caroline2

https://www.beatink.com/products/detail.php?product_id=14915

 

Tracklist :

1 Total Euphoria

2 Song Two

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