2023/08/04
ポスト・ディストピア百合SF
ゴキロウチことLily FuryによるEP『Hinemosphere』がリリース。
ミュージック・マガジンやレコード・コレクターズなどで執筆する音楽ライターで、『ニューエイジ・ミュージック・ディスクガイド』(DU BOOKS)の監修、編集も務める門脇綱生が提唱する新時代に向けた審美眼/コレクティヴである「遠泳音楽」(Angelic Post-Shoegaze)をテーマとしたレーベル〈Siren for Charlotte〉より。
『Hinemosphere』は ”宇宙で行方不明になった有人宇宙飛行線に取り残された、少女とアンドロイドの二者関係についてのSFであり、美しい愛と滅びの物語” というコンセプトを持った、ポスト・シューゲイズ、近未来都市遠景(レーベル共同主宰の門脇綱生が提唱する、近未来の都市性、審美性、 人間の生などの要素を持つ新しい音楽概念)、ポスト・メロディック・ハードコア、ポスト・ロック、 ポスト・インターネット・ミュージックなどの要素をひとつに縫い合わせる新しい音楽で、ポスト・ シューゲイズとThe Spellbound、The Novembers、toeが統合されたような音楽とも言える、とのこと。
─Lily Furyとレーベルによるコメント─
ポスト・シューゲイズの俊英、ゴキロウチことLily Furyの最新作である『Hinemosphere』を公開いたしました。宇宙で行方不明になった有人宇宙船に取り残されたふたり、人間の少女とアンドロイドが、滅びまでの時間を”あなた”の横顔を愛しながら、静かに消えてゆくまでの物語を抱える、ポスト・シューゲイズとして、近未来都市遠景の音楽としての美しい結晶であり、現代の音楽シーンにおける、もしくは百合を主題として掲げる音楽における、現時点でも類を見ない達成です。ポスト・シューゲイズとThe Novembers、The Spellbound、toeがひとつの音楽の石として交錯し、強い叙情性を持って高密度に展開する音楽。周回軌道から離れた、虚空の果に向かうふたりの物語は、ひとしく彼の音楽の、シーンから見た特異性と比喩的に重なる。美しい、だが滅びの物語としての百合、つまりひとが営むなかでも最も崇高な関係性である二者関係の物語がポスト・ディストピアSFとして響き、ポスト・メロディック・ハードコアとしての熱情、ポスト・ロックへの更新、ポスト・インターネット・ミュージックの最新形、前述したポスト・シューゲイズの幻景を青年の叙情が縫い止め、ひとつの愛の物語として、新しく美しい音楽として響かせる瞬間を是非ご体験下さい。
──Siren for Charlotte
文学ジャンルとしての「百合」という言葉を聞いた時、ほとんどの人は恐らくGL(ガールズ・ラブ)のことを考えるでしょう。しかし、GL は百合という概念の単なる一側面に過ぎません。親密な関係がそこに見出せるのであれば、その繋がりが友情であれ、血縁であれ、因縁であれ、一様に「百合である」と定義することが可能なのです。つまり百合という言葉/概念は女性同士の多様な関係性の中から、共通に見られる強い感情を発見する営みであると考えることができます。もしこれと同じことが音楽にも言えるとしたらどうでしょう。例えばオルタナティヴメタルやメロディックハードコアやなどの動的な音楽と、ポストロックやアンビエントなどの静的な音楽が完全に平行線であるということは無く、それらを共通の価値観でもって再定義することは可能です。遠泳音楽や近未来都市遠景の概念は、それらから「手が届かないもの」や「存在しない景色/記憶」への憧憬といったイメージを抽出し、見事体系化するに至ったのだと認識しています。本作はそうした音楽と百合の共通部分を意識して制作しました。アンドロイドの少女によるモノローグと、それに追随するかたちで展開される楽曲を通して、彼女たちの歩みを追体験し、自身にとって「存在しない記憶」としての感情の揺らぎなどを想起していただければ幸いです。最後に、本作を形にする上で私自身がイメージとして最も参考にした偉大な詩の冒頭を引用して終えたいと思います。
“愛するものが死んだ時には、自殺しなけあなりません。
愛するものが死んだ時には、それより他に、方法がない。
けれどもそれでも、業(?)が深くて、なほもながらふことともなつたら、
奉仕の気持に、なることなんです。
奉仕の気持に、なることなんです。”
──中原中也『春日狂想』より
──Lily Fury
Lily Fury – Hinemosphere
Label : Siren for Charlotte
Release date : August 4th 2023
Bandcamp : https://eneiongaku.bandcamp.com/album/hinemosphere
Stream : https://linkco.re/NgruP0HZ
Tracklist
1. Introduction for Hinemosphere
2. Hinemosphere
3. Stealth-Raider
4. Lilium Aquarium
5. Down by the Salley Gardens
category:NEWS
tags:Lily Fury
2023/04/27
架空OVA、メロコア、百合漫画、etc ゴキロウチのソロプロジェクトLily Furyが、今年2月にBandcampとSoundCloud上でリリースした1stアルバム『ANTHOLOGY』をサブスクでも配信を開始。アートワーク含め全てをDIYで制作した自主制作盤。 架空のOVAをイメージして制作した24分の組曲的な「International Lily White」や、メロコアの概念を拡張して制作した「High-Pass Filter Kills My Summer」など収録。サブスクでは、ボーナストラックとして「Dandelion Girl」が収録されている。 「本作『ANTHOLOGY』のテーマは、端的に言えば”とにかく好きなもの全部詰め込んだDJ mixみたいなアルバムを作りたい”といったようなものでした。シューゲイズもブレイクビーツもエレクトロニカもエモもメロコアも百合漫画もひまわり畑に佇む白ワンピースの少女も全部詰め込んでやる、そんな意識で制作をしました。もしかすると、中学/高校の頃の私自身が一番聴きたかったアルバムを具現化したものなのかもしれません。青春時代への感傷から抜け出せずにいる同士にぜひ聴いてほしいです。」 – Lily Fury Lily Fury – ANTHOLOGY Release date : Feb 5 2023 Stream : https://linkco.re/zzD7n2tP Bandcamp : https://lilyfury.bandcamp.com/album/anthology Tracklist 1. Choral “Weiße Lilien für meine Liebste” 2. International Lily White (Part A) 3. International Lily White (Part B) 4. Brocade 5. High-Pass Filter Kills My Summer 6. The Beyond (Parallel ver.) 7. Girls Take Polaroids 8. D-11
2025/03/07
無政府状態ポスト・シューゲイズ 多数の文学賞の受賞歴を持つ歌人/詩人であり、ネオンネウロン、放電加工少女など複数の名義で旺盛な活動を続ける木田昨年と、ゴシック、耽美的人形作家であるeerie-eeryの別名義、ljÅ∮によるポスト・シューゲイズ・ユニット。零度poolが自主レーベルである〈Lade Pool Records〉から2nd EP『春の欄干、愛しい悪魔』をリリース。 今作は無政府状態ポスト・シューゲイズという零度poolのコンセプトに沿った、悪魔、比喩であるかもしれず、実体があるかもしれない悪魔とレイドちゃんの関係性の物語を中核に据えたコンセプチュアル文学作品。 ─作品コンセプト─ 今作も1stアルバム『絶対零度の夏の骨』に引き続き、レイドちゃんの物語を中核に据えた音楽になります。レイドちゃんは美しく、音楽や文学が好きで、すこし厭世的な、生き辛さを抱えた女の子で、そんな彼女は羊ではなく、狼で、狼のように、悪魔に魂を預けてしまう。その悪魔はさいあくで、悪魔であり、生きることへの罪悪感の比喩かもしれず、最悪の比喩かもしれない。それでもレイドちゃんは彼に惹かれてしまいます。この関係は、レイドちゃんと悪魔の関係は何なんだろう。悪魔はレイドちゃんのことが好きじゃない、でもレイドちゃんは彼に惹かれている、愛してしまった。この関係性には名前がない、恋愛ではない、では何なのだろう。この悪魔は、春の、生と死がうらおもてにあるような、眠りの、祈りの季節特有の錯乱が見せたものだろうか。この作品を、レイドちゃんと悪魔の物語を、是非お聴き下さい。 ─レーベルによるコメント─ 悪魔、比喩の、錯乱が見せたかもしれない悪魔。厭世的な、文学と音楽を愛する少女。彼女、彼らの近しさは、私たち音楽であり文学である人間と、腿骨を響かせる群衆との距離の、反語のような、比喩のようだ。悪魔は少女を愛さない。少女は悪魔を愛してしまう。少女の眼には映るもの、悪魔の眼には映っているのだろうか? 映っているものは黒だろう、白ではなく愛憐の、介入されることを拒む、美しい二者の黒、黒い愛。少女は悪魔に魂を預け、悪魔は春の錯乱かもしれず、春の死に魂を預ける少女の希死念慮の速度であるのか、愛するものに魂を預ける凭れ掛かるような、縫い目であるのか。名前の付いていない関係の、実体はここであり、縫い目は音楽として表明される。悪魔と少女を繋いでいるものは名前の付かないものであるが、狼の、孤児を主義とする、春の錯乱と愛による倫理の否定と、悪魔と少女の距離の縫い目はここにある。この音楽を、無政府状態的な、新しい音楽を是非お聴き下さい。 零度pool – 春の欄干、愛しい悪魔 Label : Lade Pool Records Release date : March 7th 2025 https://ladepool0.bandcamp.com/album/–2 https://linkco.re/HGvY4t7c Tracklist 1. 鮮明な寝言 2. ディアベッリのピアノ、ディアボロの喉。 3. まっしろな指と春服とけむり 4. 潔癖症ではいられない music, lyric / 木田昨年 vocal / ljÅ,∮木田昨年 artwork / ljÅ
2025/02/21
レーベル〈Lade Pool Records〉も発足 歌人/詩人/音楽家でありネオンネウロンや放電加工少女など複数の名義で活動を続ける木田昨年と、ゴシック~耽美的人形作家であるeerie-eeryの別名義・lj Å∮が2025年1月26日に結成したポスト・シューゲイズユニット・零度 poolが、自主レーベル〈Lade Pool Records〉より1stアルバム『絶対零度の夏の骨』を2月22日にリリース。 『絶対零度の夏の骨』はリスナーを包む柔らかい布のようなポスト・シューゲイズであり、電子音楽の先鋭的な実験であると同時に、「レイドちゃん」という音楽や文学を愛する翳のある厭世的な少女を作中の主体とする作品であるとのこと。 〈Lade Pool Records〉は、主に木田昨年、lj Å∮による作品のリリースを主な目的として発足。創作における自発性、楽しさ、美しさ、自由を前提として設立された。同レーベルは『絶対零度の夏の骨』のフィジカルリリースも年内に予定している。 零度pool – 絶対零度の夏の骨 Release Date : February 22, 2025 Label : Lade Pool Records Stream : https://linkco.re/4sxzuSde Tracklist : 1. 冷徹になれたら 2. 完璧な学級崩壊 3. 微風、快晴、はしる、噴水 4. プラチナ製の眼球 5. 或る水兵 6. 窓からプールの授業が見える 7. lade 8. がっこういかなくていいよ 9. 通学路 Credits music, lyric / 木田昨年 vocal / lj Å∮, 木田昨年 artwork / lj Å∮ teaser / サクラフ・キコ
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