熊倉涼子と岡田舜による二人展「S(ch)ein」開催

イメージのありかたを「描く」「残す」の関係から再考

 

 

熊倉涼子と岡田舜による二人展「S(ch)ein」がTAV GALLERYにて 2月10日(金)~ 26日(日)の期間で開催。二人の画家の作品を通して、イメージというもののありかたを「描く」ことと「残す」ことの関係から再考することを試みる。

 

熊倉涼子は、天文学や占星術、錬金術などの科学史的なテーマや、宗教や神話に登場するモチーフを題材に、だまし絵や画中画の方法で絵画を制作しています。現存しない、あるいは架空の対象を描いた過去のイメージを、現代的な世界観と同列に並置したり、描かれた対象だけでなく、ドローイングやペインティングといった、対象を描く技法をも対象化したりすることで、人類の歴史において生み出されてきた様々な表象が相対化されます。それは、イメージというものが、うつろいやすく一時的なものにすぎない一方で、絵という物質のかたちで残るという前提に立っていると言えます。

 

岡田舜は、レトロゲームのバグ画面を再現した絵画を制作しています。ただし、単にバグが起きたときの画像を機械的に絵具に置き換えているのではなく、そのとき内面に生じる感覚や感情を含めた体験を表現し、保存しようとしているのです。その独特の筆触は、ファミコンを接続していたブラウン管テレビの放つ光の質感を想起させますが、技術の進歩とともに使われなくなる装置と結びついた身体感覚が失われつつあるということも、岡田の作品の根底にあります。 キャンバスに油絵具という素材は最も頑丈な形式のひとつであり、「絵に描く」ことで「残す」ことができる一方、現象としてのイメージは儚いものであり、残すことはできないとも考えられます。イメージのもつ「存在」(Sein)としての側面と「仮象」(Schein)としての側面との両方を、それぞれ異なるニュアンスで捉える熊倉涼子と岡田舜の作品は、私たちにとってイメージとは何か、そして絵画とは何かを考える契機になるでしょう。

 

飯盛希

 

 

熊倉涼子 KUMAKURA Ryoko

https://www.kumakuraryoko.com/

 

 

岡田舜 OKADA Shun

https://shunshon.tumblr.com/

 

 

開催概要

名称:熊倉涼子 x 岡田舜「S(ch)ein」

会期:2023年2月10日(金)- 2月26日(日)

会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]

時間:13:00 – 20:00

休廊:月、火

レセプションパーティ:2022年2月10日(金)18:00 – 20:00

web:http://tavgallery.com/schein/

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