人生を山に捧げる人間の生き様|Kazuki Kogaが新作『The Summit Of The Gods』を発表

GORGEを脱構築する

 

 

福岡県出身の電子音楽家Kazuki Kogaが新作アルバム『The Summit Of The Gods』のリリースを発表

 

Kazuki Kogaは2015年から2018年までモントリオールを拠点に活動し、現在は北九州市を拠点に活動している。ロッククライミング/登山の電子音楽的解釈として知られているGORGE。インド/ネパールの山岳地帯で生まれ日本で発展したと伝えられているが、その実体は独自の暗号と伝説によって曖昧に定義されている。その目的はロッククライミングの美的・精神的・身体的昇華を伝え、神々の山嶺へと続くルートを開拓することである。

 

The Summit Of The Gods』Kazuki Koga2015年から実践している”GORGEを脱構築するという個人的なプロジェクトの集大成であり、その精神とアイデアは従来のGORGEに対して明らかにポスト構造主義的である。タムを用いた呪術的なグルーヴというGORGEの伝統を脱構築し、前衛音楽の技法を積極的に取り入れることで岩や山の険しさ・極限行の厳しさ、クライマー(とりわけソロ・クライマー) の精神・生き様を体験に近いかたちで音楽に昇華する。絶え間なく起こり続ける過剰な変化と無調和はまさに彼独自の極限登攀である。 

 

 

作者ステイトメント:

 

神々の山嶺に想いを馳せる “The Summit Of The Gods”によせて なぜ人は山を登るのか、なぜ依存症に陥った者の如くより多くの危険を、 より恐怖を感じるこ とを求め続けているのか。

 

ただ高いところによじ登って、そんなことに何の意味があるのだろうか。

 

命を賭してまで臨むその山嶺(いただき)には一体何があるのだろうか。

 

世界に冠たる有名な登山家ラインホルト・メスナーはインタビューでこう述べている。

 

「わたしは、また登る。登り続けずにはいられないのだ。̶̶̶死と隣り合わせにいるとき、奇妙な音、現象、そして幻覚を感じ始める。すると新たな側面がそっとわたしの前に姿を現 し、死の予感がまったく新しい生のヴィジョンへと化していくのである。」

 

彼らは何よりも生を愛している。彼らは生の欠如に過ぎない見かけの安らかさを愛することはできない。存在するだけでは満足できない。彼らは生きたいのだ。だから、登る。登り続けずにはいられない。

 

彼らの心理や生き様を音楽に昇華するべく2015年に”Alleingehen2.0””The Salathé Wall” という2枚のアルバムを作った。今作“The Summit Of The Gods”はその2枚のアルバムと地続きにあり、約6年間ひたすら取り組んできたこのテーマの集大成とも言えるかもしれない。

 

タイトルは夢枕獏の小説「神々の山嶺」の英題をそのまま拝借した。メスナーのことばと並ん でクライマーの精神を読み解く上でとても大きな影響を受けた作品だからだ。

 

絶え間なく起こり続ける過剰な変化と無調和の向こうに神々の山嶺を、人生を山に捧げる人間 の生き様を感じてほしい。 

 

 

Kazuki Koga – The Summit Of The Gods

Label : Virgin Babylon Records

Release date : 29 January 2022

Artwork : Ryohei Sasaki

 

Tracklist

01 S.L.A.B.

02 Absolute Strength Of Will Demands Sacrifice

03 Hallucinations.wav

04 An Inevitable Dedication

05 Formidable Boulder.wav

06 The Summit Of The Gods

07 Matterhorn

08 Cry In Vain

09 Crack Climbing

10 Touching The Void

11 K2

12 Rise And Grind

13 Lhotse – ल्होत्से –

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