2019/01/25
『Pain, Ritual & Life』という名のステイトメント。
本文中でも語られるが、Granuleは元BOMBORIのメンバーHIKARIを中心としたバンドである。スラッジと呼ばれるハードコアパンクから派生したジャンルから彼らはスタートしている。と、ジャンル名で説明しようとすればするほど、彼らの表現しているものからは外れていくような感覚がある。ひとまずは1/23にDaymare Recordingsからリリースされた1stアルバム『Pain, Ritual & Life』を聴いた方がGranuleへの理解が早そうだ。そのアルバムの最後に収録されているリミックスを手がけたのがLSTNGTと、Hegira Moyaである。Granule、LSTNGT、Hegira Moya、この3組は各々表現方法が全く異なる。Granuleは前述の通りスラッジから始まっていて、LSTNGTは悲しみに包まれたトランシーなシンセ/レイヴ、Hegira Moyaはメロデスからトラップを経由したアンビエントである。そこには新たなコミュニティが存在しているのは間違いなく、いま彼らを紹介する際に使用したジャンル名は溶けて崩れ去り、良く言えばキーワード、本当に薄い意味しか保っていない。彼らはなぜ引き寄せ合っているのか、そして共有している意識とは何なのか。今回はHIKARI (Granule)、LSTNGT、Hegira Moyaに加え、『Pain, Ritual & Life』にも参加しているMOONSCAPEのHATEも交え、鼎談を記録した。
– Granuleは発音でいくとグラヌル?グラニュール?
HIKARI – 一応、正しい発音はグラニュールらしいんですけど、自分はずっとグラヌルって読んでて。まあ、別にどっちでもいいかなっていう感じですよね。でも、ヌルのほうがNullみたいな感じがあるから、ただそれでグラヌルって言ってるだけなんですけど。みんなからグラニュールって言われてるんで、もういいかな、みたいな。
– では、Granuleがスタートした経緯を教えてもらってもいいですか?
HIKARI – 2011年の春から2016年の夏まで、Granuleの前にやってたバンドBOMBORIで活動していて、そのバンドを立ち上げたのが自分とギンガってやつで、ギンガがバンドを辞めるって言い出した時に色々あってガキの喧嘩みたいになってしまって。それが直接的な原因でBOMBORIが終わって、それで、すぐに次どういうことをやろうかなと考えていたんです。やっぱりバンドがやりたいっていうのと、活動終了直前のBOMBORIは6人いたメンバーが4人になってストレートなハードコアパンクをやっていたので、そのやり方を意識的に引き継ごうと思っていました。ただ、一緒に立ち上げたギンガがいないからBOMBORIっていう名前は使いたくなくて。Granuleで1番最初に作ったカセットはスラッジコア的なやり方でした。でもやってく中でそれだけのアプローチだと、自分の中の欲求みたいなのが全然満たされないから、6人の頃のBOMBORIみたいにいろんなやり方を試すようになって。メンバーに自分の好きなこととかやりたいことのイメージを何から何まで共有して、みんなで形にするようになっていって。ちなみにGranuleって名前が決まったのは都立大塚病院の公園でした。BOMBORI終わった直後、メンバーも決まって、よしスタジオ入るかみたいなときに、俺が顎を骨折して入院決まっちゃって。初めてGranuleとしてバンドミーティングをしたんです。
LSTNGT – そこじゃん。
HIKARI – あ、そっか。近いもんね。BOMBORIにGranuleっていう曲があったんですけど。すごく好きな言葉だったんで、その曲名からBOMBORIを続けるじゃないけど、違う形で続けるっていう意味で、みんなにBOMBORIの曲名からバンド名を付けたいんだけど、どうかなみたいなことを話して。みんな賛同してくれて。でも、みんなに怒られたっすね。俺が呼び掛けて、スタジオの日程も決めてたのに、普通に1ヶ月ぐらい入院しちゃったんですよ。でも、病院にいたおかげで、いろいろやりたいこととかを考える時間があったんで。Keigo Kurematsuって俺が何かするときはアートワークとか頼んでる友達がいて、そいつにやってもらおうとか、入院してるときに色々考えてました。ちゃんと考える時間がないと、極端に感情的に動いちゃうんで。
– コミネ(LSTNGT)とアベキくん(Hegira Moya)はBOMBORIは認識してた?
LSTNGT – そうですね、BOMBORIは知ってました。
Hegira Moya – BOMBORIはそうですね。でも、ライブとか見たことはなかったけど。何だっけ、フジロックのROOKIE A GO-GOで音止められたっていうのは知ってましたけど(笑)
HIKARI – 全然悪意あってやったわけじゃなくて、普通にすげえ楽しくてやってたら、45分ぐらい持ち時間超えちゃってたんすよ。気づいたら、照明全部消えてて、外音も全部出てない、みたいな。で、俺らPAを連れて来てたんですけど、PAの人もフジロックのスタッフの人に羽交い締めにされてたらしくて(笑)でも、その人すごくいい人で、そうなってもちゃんとやろうとしてくれてたらしくて。でも、電源切れてるから外音は既に出てないんですけど、絶対離れたら駄目だ、みたいな(笑)マジでステージの雰囲気がやばくなって、終わって裏に戻ったら、多分ステージのスタッフの人に、胸ぐら掴まれて「もう、おまえら絶対フジロック出させねえから」みたいなことを言われたっすね。
– それって、その後に出番控えてたバンドもいたの?
HIKARI – いや、俺ら最後だったんすよ。見てる人たちはすごく盛り上がってくれてて。DJが音止めないでやるみたいな、そういう気持ちが結構あったんすけど。まぁ当たり前なんですけど、ああいうのって、いろんな人たちがちゃんとタイムテーブル作って準備してるじゃないですか。だから、それですごい怒られたっすね。
-コミネ(LSTNGT)とアベキくん(Hegira Moya)がヒカリくんに出会ったのはいつ?3人はどこで接点があったの?
Hegira Moya – ってか、最近っすよね。
LSTNGT – ほんと、すごく最近ですね。
HIKARI – idealaって去年の5月だっけ?
LSTNGT – ああ、そうだね。で、僕とアベキさんはもうK/A/T/O MASSACREきっかけでかなり前から知り合いだったんですよ。僕が出た最初のマサカーに、アベキさん来てくれて。Hegira Moyaの『Sway』っていうカセットを買ったりしているうちに交流が生まれていきましたね。
Hegira Moya – 僕も、LSTNGTの『Moderate Nightmare 84-97』ってカセット持ってて。やべぇ人がいるなと思っていて。ちょうどその時期に、K/A/T/O MASSACRE行くようになってたんですよ。Dirty Dirt戸田さんとかemamouseさんとか出だした頃で。こんなイベントあるんだって見てたらLSTNGTって出てきたから、これは行かなあかんと思って、行ったらコミネさんから話し掛けてくれて。
LSTNGT – そうでしたね。
Hegira Moya – そっからでした。だから、もう、めっちゃ好きっすみたいな感じでしたね。
HATE – 超いい話じゃないですか。
LSTNGT – それはもう、だいぶ前ですもん。2015年?
Hegira Moya – 15、16年とか、そんな感じです。あの日もヤバかったですね。盛り上がりすぎて音、止まるし。
LSTNGT – モッシュが起きてて。たぶんジュアンさんが僕のパソコンに突っ込んで音が止まって。僕もそれがすげぇ楽しくて、何も問題にならなくてそのままボンッてすぐ始めるみたいな。佐久間さんいましたよね?やっぱ、電子系の音楽やってると安全な感じですけど。フォレストはステージないし、安全ではないところが良かったですね。ヒカリくんと直接会ったのはidealaです。idealaって、毎週木曜日にやってるフォレストの企画なんです。ディープリスニング。
HIKARI – AKIRAM ENさんが主催なんだっけ。俺はAIWABEATZさんからのオファーで出たんすけど。コミネくんは?
LSTNGT – AIWABEATZさんだった。
HIKARI – 俺はフクシー(Rafto)がBOMBORI辞めて、ソロで活動するようになってから、ForestlimitでUltrafogとMari SakuraiとかでIN HAってやり始めたじゃないですか。俺はIN HA遊びに行ってて、あとCONDOMINIMUMとかも始まり出したときで。そのあたりでLSTNGTって読み方も知らなかったんすけど、LSTNGTって文字は認識してました。LSTNGTって人がこの辺にいるんだなって。で、アベキくんはコミネくんと仲良くなってからの話なんですけど、BLOCK遊びに行ったときにコミネくんからの紹介だったっすよね。でも、俺、K/A/T/O MASSACREでHegira Moyaのライブ見てたんですよ。マジで何の前知識もなく、存在も一切知らない状態で。あれって誰、出てた?
Heigra Moya – コミネさんがDJで、あとセーラーかんな子さんやVAMPIRE†HUNTER™ですかね。
HIKARI – セーラーかんな子さんがソロライブとかやってたんだ。
LSTNGT – まだめっちゃ去年じゃん、それ。
HIKARI – そのときにHegira Moyaのライブ見て、もう一撃でめっちゃくちゃやばいってなってて。でも、そのとき、俺もそんなにいきなりしゃべりかけたりするほうじゃないんで、すげぇかっこいいなと思ってたら、6月のBLOCKだよね?俺も普通に一人で遊びに行ったりはしてたんすけど、そのとき初めてコミネくんとかと一緒に行こうみたいになって。ヘイトさんとかもいて。
LSTNGT – 池袋西口公園集合って。
HIKARI – そう。で、アベキくんも来てて。この前、フォレストのライブ超良かったっすみたいな。その流れで、U.F.O. CLUBから企画を頼まれてたんで、即行でHegira Moyaオファーして。それもほんと去年の7月。
HATE – じゃあ、なんだかんだ言って、一番古いの俺だね。2017年にHo99o9が来る話のとき。
HIKARI – 柿沼(BUSHBASH)さん伝いにオファーくれて。
HATE – そう、Ho99o9が来るみたいな話があって。じゃあ、それは是非やろうみたいなことで、俺がBUSHBASHでちょっと企画打ってみるねって。ちょうど自分の企画のCVLTIVATEを予定してて、その深夜にぶっ込んじゃおうかみたいな話をして。Ho99o9来る前提でいろいろ組んでみて。あのときはコミネくんも出てたよね。普通の夜の部で、DJで出てくれたんだよね。で、夜中の部のメンツを即効決めなきゃいけないっていうときに、柿沼くん経由だったかな?
HIKARI – 柿沼さんと、あとMs.MachineのSAIちゃんの紹介とかもあったのかな。
HATE – SAIちゃんの紹介か、そうだね。すごく気になる存在だったんですよ、ヒカリくんが。インスタとかはたぶんフォローされていて。めっちゃ顎骨折した人いるな、みたいな(笑)
HIKARI – 俺は逆にヘイトさんの文章を超チェックしてる奴みたいな感じだったんです。すげえ怖い人だと思ってました。ハードコアパンクは本当に好きなんですけど、でもその言葉を掲げてやってる人たちの価値観が合わないな、って思うことが多くて。ヘイトさんはそういう俺が抱えてる違和感みたいなものをブログとか、SNS上とか、人の目に付くところでちゃんと言語化してくれてる人だったんですよ。最初にBUSHBASHで挨拶したときは、ブログめっちゃ読んでますってダサい挨拶したんです(笑)
HATE – 話戻すと、Ho99o9が来る前提で組んでたイベントのときに、BUSHBASHの店長の柿沼くんの周りにも、もうたぶんヒカリくんは存在していて。「ヒカリくんとかどうですか」って示し合わせたかのように言われて、「ああ、気になってるんですよ」みたいな感じで。それで決まった経緯があって、そこで初めて出会ったかな、ヒカリくんはね。
HIKARI – ヘイトさんとは、BUSHBASHの柿沼さんが間に入ってくれてみたいな感じだったっすね。
HATE – 結果的に大人の不可抗力でHo99o9はキャンセル取られちゃったんですけど、イベント自体はすごい良くて、あのときデイタイムのイベントでコミネくんとかもいて、夜中にヒカリくんとかが出て、Chiroちゃんにフライヤー作ってもらったりとかした感じだったかな。
LSTNGT – あの夜はツバサくんのBBYLNのセカンドショーで、その後のシムラくん(Evian Volvik)のDJ。あれがめちゃ良かったですよね。
HATE – フロアで、若い子たちが、めちゃくちゃナチュラルなレイヴパーティーみたいなこと巻き起こっちゃって。ラウンジで、ヒカリくんとかアイワくんとかが、すげえ緩いのかけてるみたいな、両極端な空間になってて。
HIKARI – ハードコアとかヒップホップのイベントでメロウな曲をDJがかけるみたいな、あの空間って最高じゃないですか。だから俺は普通にBobby CaldwelのCarry Onとかかけてたっすね。
HATE – あと台風も来てたんだよね。結果、Ho99o9は来なくて台風が来たみたいな感じになっちゃって。でも、そこにいた人たちとは結構いいバイブスを共有できたのかな。で、なんだかんだ今ここにいる人達と重なってたりしたのかな、みたいな。
LSTNGT – アベキさん、あのときいましたよね?
Hegira Moya – いつですか?
LSTNGT – 夜中のBUSH BASHでBBYLNとEvianの永遠に続くDJみたいなやつ。ストロボを永遠にたいてたってやつです。
Hegira Moya – あーあれかー。
HATE – じゃ、アベキくんもいたんですね。
LSTNGT – みんないたんですよ。
Hegira Moya – あーそうだそうだ。すごい分かったっす。あれね、めっちゃ良かったっす(笑)めちゃくちゃドゥンドゥン、ズカズカいってて、ラウンジに出たらめっちゃスクリューで、ムーディーな曲がかかってて。あの時、BBYLNは2回目だったんですか?
HATE – 2回目。だから、Solvent Cobaltも2回目くらいだったかな。
HIKARI – KLONNSのシュウと俺が主催でやってるDisciplineっていうBUSHBASHでやってるパーティーは、始まるきっかけがヘイトさんのCVLTIVATEなんですよね。こういうことやって大丈夫なんだ、みたいな気持ちで背中押されて、ああいうイベントを始めたみたいな経緯もあって。色々繋がってくるんすね。
Hegira Moya – ほんとっすね。同じとこにいたって知らなかった。
HATE – 2017年の9月10日ですね。
LSTNGT – その日俺、まだヒカリくんとしゃべってないんだよね。一緒に出てたのにしゃべってないんだよ。
HIKARI – そうだ、何だっけ、『マネーの虎』の曲。テンテントゥトゥン、テントゥトゥンって、ああいう。
LSTNGT – Robert Milesの『Children』かな。
HIKARI – そうそう。そのあとに久石譲の『キッズ・リターン』の曲かけたりしてる、めっちゃくちゃやばいやついると思って。俺、『マネーの虎』とかすげえ好きだったんで。
LSTNGT – 『マネーの虎』トランスみたいな、あったね。あれは僕が頑張ってMega-Mixから買ったRobert Milesの7インチですね。
HATE – あの夜に、ツバサくんとかフィーチャリングしてやったんだよね。アンダーワールドだっけ。
LSTNGT – そうです。『Born Slippy』ですね。あの日はK/A/T/O MASSACREのカトーさん、S-LEEくんとかも来てくれて、すごく面白い感じでした。しかも、来なかったっていうやけくそ感みたいのもあって。ふざけんなよみたいな。直前で元々決まってたメンツを入れ替えて、自分たちの周りの人たちでブッキングし直すみたいな感じだったじゃないですか。だから、もう。
HIKARI – そうやって整理していくと、あのCVLTIVATEの日に集結してるんですね。
HATE – デイタイムでKLONNSも出てたからね。
HIKARI – あとMOONSCAPE with Evian Volvik。MOONSCAPEは、脈々と続く日本のハードコアパンクを受け継いでいきながら、現在進行形の強い言葉を発してる人たちというイメージがあったんで、そういう人達がEvian Volvikをフィーチャリングしてやるみたいなのが、すげえ希望だなと思って。もっといろんな世界が開けていくみたいな感じがしましたね。俺もこういうことやりてーって。
HATE – たいしたことじゃないです(笑)自分らの中で当たり前になってるんだけど、かっこいい、仲良くなりたい、仲良くなった、じゃ、やろうみたいな、ほんとに軽い気持ちじゃない?Evian Volvikとの知り合ったのも、あれは2015年か2016年くらいのときにライブで一人だけ様子のおかしいやつがモッシュしてるなって、ライブやってるときに認識して。ライブ終わってから、話しかけてくれて。あとセキハラくん(Shattered Form)の元々やってたポストパンクバンドDEVIATIØNとか出てたりして。それを企画してたのがコサカくんのBlack Holeとかだったりしたんですよね。示し合わせたわけではなく、繋がってきた感じです。
LSTNGT – 結構話戻りますけど、AIWABEATZさんみたいに割とハードコア的な流れと、ヒップホップとかクラブミュージックを繋いでくれる人たちがいるじゃないですか。僕がアイワさんに、さっき言ったideala誘われたのも、アラマスカフェでやってたブートダウンのときで。Boot Down The Doorっていう、ヘイトさんとか、Chiroとか、みんながやってるイベント。そこでアイワさんが来てて、僕が45回転の話とかをして誘ってくれて、みたいな。アイワさんも意図があって、ヒカリくんと僕をidealaのゲストにした、みたいなこと言ってて。僕もそれまでスクリューのDJとかやったことなくて。1回、自分のイベントでやったんですけど、一生懸命やろうとは思ってなかったです。でも、「呼んだら頑張るでしょ」みたいなことをアキラさんに言われて。たぶん覚えてないと思いますけど。アキラさんと「それがいいんだよ」みたいなこと言ってて。そういう引っ張ってくれる人、混ぜようとするみたいな人がいて、フォレストとか、BUSHBASHとか面白いから混ぜようみたいな、そういう感覚のある人たちがたくさん僕の周りの人だったり、上の人たちにいたおかげで出会えてる気はしますね。自分の力でこうっていうよりは、ほんとにそういう人たちがいたおかげで、ボーダレスの気持ちになれたっていう。そこはでかいと思います。でも、idealaの日も「あ、どうも」みたいな感じで終わったよね。
HIKARI – そう。とりあえず、あなたのこと知ってますよ、みたいな。でも、そのときに、あの話をしたんだよな。DARK JINJAのコンピの話。俺がDemon seto、Cold Roseとかみたいな完全にネクストいってるラッパーをすごい掘ってるときで、LSTNGTがDARK JINJAのコンピに入ってたんで聴きましたよって。で、コミネくんがそのときに、BLOCKとか遊びに行ってますよ、って話して。あ、これ、もしかしたらまた話したりできるかも、みたいな意識があったよね。
LSTNGT – で、その直後か夏ぐらいに、みんなで樹海に行くっていう。
HATE – あの集大成が樹海みたいな。
– それはどんなメンバーで?
LSTNGT – KLONNSオオシマくん、Granuleヒカリくん、Moonscapeヘイトさん、僕、スピリチュアルリーダー。謎の民宿に泊まったりして、夜、徘徊したりとか。翌日もいろいろ探検したんです。秘密のほこらみたいなのがあって。そういう場所にみんなで行って、一晩を共にしてからヒカリくんとは、より仲良くなった。
HIKARI – 移動時の車内って昔聞いてた音楽とか、そういう感じのを聴く流れあると思うんですけど。そのときにコミネくんが、普通にそれまでは結構シュッとした感じの選曲してたんですよ、助手席で。で、いきなり、GACKTの何だっけ、あの曲。
LSTNGT – 『君のためにできること』
HIKARI – それが俺はすごいシンパシーだったんすよ。そういうのを聴いてる感じとか、すげえ分かるな、みたいな。今こういうスタイルでやってるけど、やっぱ元々の生きてきた中の鬱屈した部分みたいな。
HATE – そのとき、モイスチャーコアっていう名前が生まれたよね。
LSTNGT – ギターのソロにコーラスがかかったアルペジオがあるヴィジュアル系のことっすね。
HATE – 潤いモイスチャーね。
LSTNGT – そう。潤いがあるヴィジュアル系。オオシマくんもROUAGEとかをかけてて。それがあってのBLOCKみたいな。で、そもそも僕がBLOCK行き始めたのって、きっかけは今はspeedy lee genesisっていう名前で活動しているS-LEEくんのおかげなんです。彼が何年か前にやってたRIDDIM NOIRっていうイベントがあったんですよ。K/A/T/O MASSACREのライブ直後にS-LEEくんが誘ってくれて、新宿のGaramって箱でライブやったんです。そのRIDDIM NOIRで、Cold Roseさんも彼は呼んでたんですよね。それで、S-LEEくんから新しいトラップだったり、そういう音楽周りのことを教えてもらったおかげで、僕は池袋のBEDに行くようになったんです。それまで全然知らなくて。自分の近くにいる人とか、かっこいいDJとかの人がそうやって紹介してくれると、自分も面白くなれるんじゃないか、これ聴けるんじゃないかみたいな、突破できる感じがして行ってみたっていう。で、たまたまKID NATHANの『TrillChillTrap』のビデオが公開されたんです。あの団長のやつ。それ見たときに、ブチ上がってしまって。BEDのパーティーに全く一人で行って。ピークタイムとかライブのタイムとか全く知らなかったんで、普通にオープンから行っちゃって、誰もいないフロアで聴いてましたけど。ライブ始まった瞬間にHiphopのイベントってこういう感じなんだって衝撃受けて、『TrillChillTrap』も聴けて、これはもう毎回行かなきゃと思って、BLOCKにも行けるだけ行くみたいな感じですね。
Hegira Moya – 僕もKiD NATHAN知ったのはLSTNGTのブログで『TrillChillTrap』が上がってて、それを聴いて、めちゃくちゃ喰らって。何この人みたいな。やばい人がいるなと思って。その後コミネさんに誘ってもらって、渋谷のeggmanってとこでやってたTRAP祭ってイベントに行きました。
LSTNGT – あれ、今考えるとすごい豪華なイベントで。まず、大前提として僕らが行くようなイベントではなかったってことが、行ってから気付いたんですけど(笑)でもすごく良くて、CURSE BOYZ全員集合で。Jin Dogg、Cold Rose、Kazumaさんとか。でもそのとき、ガーデンさんとかはいなかったですよね。ChuBEIさんのDJも見れて。SOJADOJAもあって、KID NATHANもあり、BCC№、ASIEN、ACE COOLもやったんすよ。『Only』がほとんど全員いたからほぼフルでできるんすよ。僕はそれ見たとき、マジ感動しましたよね。そんで、SOJADOJAのLil Blue Steel最高や、みたいな感じになるっていう。僕とアベキさん的には、あれフルコースでしたよね。
Hegira Moya – そうっす。
HIKARI – あとアベキくんとBLOCKに行く前にめちゃくちゃ仲良くなったのが、俺、アベキくんのイメージって完全にHegira Moyaのライブを見て超かっこいいなって思ったんですけど、さらにパーソナルで仲良くなれたのが、あれ、何でIn Flamesの話したんでしたっけ?
Hegira Moya – 僕、めちゃくちゃ人見知りなんすよ。だから、人に「良かったです!」と言ってもらえても「ありがとうございます!」で終わってしまうし、一緒に何か見に行くことがあっても、それなりにこう失礼のないように意識しつつ、結局その場限りってパターンが多いんです。ヒカリくんは、マジで初対面で話して一発で仲良くなれたきっかけがIn Flamesの『Come Clarity』なんです。西口公園で立ち話してたときに、僕が元々メロデスのバンドやってた話をみんなにしてて、メロデスってどんなんでしたっけ?ってなったときに、KLONNSのオオシマくんが「In Flamesとか…」って言った瞬間、僕とヒカリくんが同時に「それ!」ってなって。『Come Clarity』ヤバいっすよねってめちゃテンション上がったんですよ。
HIKARI – あの『Come Clarity』の、要はメタルのアルバムの中にエモい曲みたいなのが1曲あるみたいな。ああいう曲の感じって、トラップのエモい部分と俺はリンクしてて。エモいとかとは違うけどGhostemaneとか、俺はSlipknotみたいな感じで聴いてるんすよ。だから、アベキくんが『Come Clarity』の話したとき、あのHegira Moyaのアンビエントってそれじゃん、みたいになったっす。メタルのアルバムの中にある、叙情的な曲をめちゃくちゃフォーカスしまくった結果の形なんだなと思ったんです。これ、すげえ勝手に解釈したんすけど。
Hegira Moya – 実際その通りなんですよ。ただ、僕があのときにメロデスって言ったのも理由があって。何となく言ったんじゃなくて、Original Godのライブを観てたからなんすよ。それもコミネさんに誘われてBLOCK観に行ったときに、Original Godの名前も曲も全然知らなくて、ほんとにTYOSiN観に行ってたんで。あぁOriginal Godって人出るんだと思って見てたら、最初のイントロが、マジでメロデスだったんですよ。ぼわぁー!って、もうこてこてのメロディックデスの、メタルコアの、イントロみたいなの鳴ってきて。僕はそれでもまだ半信半疑で、どういうことなんだろうと思って(笑)ん?ん?って見てたら、Original Godがメロイックサイン掲げて出てきたんですよ。その瞬間に、これアリなんだと思って。もう僕はブチ上がり過ぎて、最後知らない人と肩組んでました。
HIKARI – 最高っすね。だからHegira Moyaに対しての、俺のいいなって思ってる部分って、ちょっと個人的過ぎるかもしんないんすけど、メタルの誇大妄想的で叙情的な部分をフォーカスしまくった結果、あの形になっちゃったんだと思ったら、めちゃくちゃグッと来ちゃって。
Hegira Moya – そうなんですね。僕も結局やってることは実際アンビエントなので、ライブのブッキングとか、レーベルとかにしてもアンビエントっていうイメージがあって。ただ、僕は元々やっぱそっち(メロデス)でやってたから微妙にフィットしないんですよ。音的には近いけど、元が違うのって、そんな事を人に言っても分かんないじゃないですか。アンビエントやん。ビートないやん、みたいな感じで(笑)だから、もうそれはしょうがないかなと思ってたんですけど、ヒカリくんと話してると、いや、やっぱこっちだよな、みたいな(笑)だから、ちょっと解放された感はあるっすよね。これでいいんだ、やりたいことやっていいんだ、みたいな感覚はデカイですね。
HIKARI – コミネくんやアベキくんと結構話すんですけど、表層上の分かりやすく外に見えてる形の部分でリンクして、固まって、何かを一つになってやるみたいな見せ方っていうのもあると思うんすけど、自分の性格上、そういうとこがリンクしても、根源的に抱えてるコンプレックスとか、プロセスみたいなものが一致してないと一緒に何かやろうとか思えなくて。個人個人で話したときに人間ってカオスじゃないですか。コミネくんとかも、アベキくんとかも。もちろんヘイトさんも、そういう部分があるから一致できてるんですけど。今、吐き出してるものに至った経緯っていうか、カオスで当たり前というか、いろんな要素があって当たり前じゃないですか。そういう部分でのリンクがここにいる人達との関係は大きいんじゃないかなと思ったっすね。だから、それぞれやってることとかは全然違うんすけど…。すいません、核心に触れること言っとこうみたいな。パンチライン残したくなっちゃった。(笑)アプローチが同じだから一緒にやろうみたいになっていくことのほうが多分自然ですよね。そういうことできる人たちって、俺からしたらすげぇなと思うんすけど、割り切れてて。やっぱ俺は割り切れなくて。根本的に抱えてることとかが一致しないと絶対一緒にできないから、ジャンルとか、何をアプローチしてるかっていうよりも、どういうふうに生きてきて、どういうことを試してきたかみたいなほうがフォーカスしたくなる。
HATE – 俺はそれ、すぐ美学って言葉で片付けちゃうんですけど。経験してきたものとかが美学として表現されてるか、されてないか、みたいなのはめっちゃ感じていて。これを紹介する俺を見てみたいなやつが多過ぎて。当たり障りないものばかりを集めて、これ知ってる俺を見て、みたいな。そうじゃねえんだよ、みたいなのは、めっちゃあるんですね。だから、もっと美学的なとこで繋がったかなって感じは、すごくする。簡単な言葉でひも解くと、すごくダークな部分をみんな共有しているなっていう気はするね。
HIKARI – ほんとにそうですね。デザインし過ぎな印象があるんすよ。それが悪いとかではないですけど、何かやるときに自分の本来持ってる気質っていうよりかは、こういうふうに見せたらこういうリアクションがあるな、みたいなシミュレーションがやりやすいじゃないですか、ネットもあるし。自分のパーソナルな部分を隠して活動できたりするから。でも、それだと自分の感覚ではリンクできない部分があったりするんです。ふと話してみたときに、自分が表現してるものと関係ないようなもっと複雑な部分を抱えてる人が好きで。今関わってる人たちは、みんなそういうのがあるんすよね。
LSTNGT – ヒカリくんとアベキさん、もちろんヘイトさんもそうなんだけど、仲良くなれるきっかけっていうのが、今自分たちが目の前に掲げてるものとは別のものだったりしたんですよね。例えば、僕だったら分かりやすく言うとトランスとか、それに付随するものを掲げてやってるけど、実際ヒカリくんとめっちゃ仲良くなれたのはTHE BACK HORNだったりする。
HIKARI – そうだね。樹海に行ったときにコミネくんから、初めて好きになった音楽の話されて。俺は一番最初に夢中になったバンドがTHE BACK HORNで。その話をしたときに、コミネくんがそれをちゃんと拾ってくれて。
LSTNGT – 拾ったというか、僕も大好きだったから、それはしょうがない。(笑)
HIKARI – 何かあるじゃないっすか。本当に自分が過去に好きだったけど、ちょっと今言いづらいな、みたいな感覚とかって溢れてると思うんすよ。こういうアーティスト好きって言ったほうが、自分の方向性的に正しいんじゃないかな、みたいな。でも、そういうのとは別に絶対にあるじゃないですか。みんな言わないだけで。
HATE – 俺とコミネくんが仲良くなったのも、黒夢とか。
LSTNGT – そうですね、DEATHROさんのライブに僕が呼ばれてるのも黒夢とかな気がするし。やっぱ黒夢じゃないっすかね?DEATHROさんのライブ出たときに、DJのアタケさん(Coffins)が『for dear』かけたときに泣きそうになりました。あれ、最高でした。そう、それで僕、ヒカリくんにTHE BACK HORNの『未来』のTシャツをあげました。
HIKARI – 『未来』のTシャツをもらったと同時に超わがまま言ったんすけど、『Moderate Nightmare 84-97』のコーチジャケットあったじゃないですか。あれデザインでTシャツ欲しくて、普通に作ってもらって。そのTシャツを唯一持ってるのが、俺とヘイトさんっていう。
HATE – そうだね。今日のライブでも俺、着ようと思ってますけど。
HIKARI – そうか、この後あれだ。東金B¥PASSとBUSHBASHとWDsoundsの共同企画。めっちゃやばいイベントにこの後行くんすね。
LSTNGT – SHEER MAGのときも着てくれてましたよね。
HIKARI – 去年の12月K/A/T/O MASSACREにGranuleで出たときに佐久間さんが写真撮ってくれたやつ、ちょうど俺の背中のあれが見えるようになってて、すげえありがたかったっすね。ちゃんとあれを見せたかったんで。
LSTNGT – 僕が元々Sisters of Mercyが好きだったから、あれ、パクって作ったけど、他にも反応してくれた人がたくさんいて。シスターズ様々ですよね、ほんとに。だから、THE BACK HORNとかあったおかげで、下北沢THREEの店長のスガナミさんとも話できたりして。
HIKARI – THREEの店長のスガナミさんはTHE BACK HORNのギターの菅波栄純の兄弟なんです。
LSTNGT – そのときだよね、俺がTHREEでヒビキちゃん(Zooey Loomer 1979)のBlueってイベントに呼ばれて、ヒカリくんに『未来』のTシャツ持ってくねって言って、行ったら店長のスガナミさんが実はスガナミ家の人だった、みたいな。で、めっちゃ盛り上がるみたいな会があったもんね。そういう偶然が結構ある。後から聞いたらそのスガナミさんと、BUSHBASHの柿沼さんと、Forestlimitのナパさんは同い年で。その3人でこないだGrassrootsでDJイベントがあったんだよね。あと、ヒカリくんはGrassrootsでも働いてたんだよね?
HIKARI – そうっすね。一番最初に話した顎骨折して退院した後の12月ぐらいから2018年の3月まで。
LSTNGT – でも、その辺でDJ Soybeansさんと出会ってたりするんじゃない?
HIKARI – ちゃんと認識されたのはGrassrootsにいたときだね。
– 最後の最後ですが、Granuleのアルバムのことを話しますか。
HIKARI – そうっすね。リリースが1月23日で。Chiroさんにジャケットの写真撮ってもらって、コミネくんとアベキくんにリミックス頼んで、樹海でフィールドレコーディングした音に、ヘイトさんにそのときの日記的な詩の朗読をのっけてもらったりしてますね。
– アルバムで最初に公開されたっていう曲が『Invisible War』って曲ですが、最初がああいう所謂ハードコアではない曲ってのも意図があって?
HIKARI – 意図的にやりました。佐久間さんがAVYSSの記事で的確に書いてくれてたんで、俺が言うまでもないんですけど、別に何か一つアプローチのやり方を選んだからって、それをずっとやり続けないといけないみたいな意識は一切なくて。それって自分の感覚っていうよりかは、文脈とか周囲の目とか、そういう感覚で選択することじゃないですか。それだったら、やっぱり人間ってカオスなものだから、音楽やるときにもジャンルとして吐き出すんじゃなくて、自分のカオスな部分の中の一つを見せる、みたいな感じ。意図的って言ったのは、何か自分の表現を周囲からジャンルとかそういう分かりやすい言葉で説明されるようになっても、それと全然違うアプローチしたっていいっていう自由さみたいなのを、ちゃんと提示したかったからです。それはHATEさんがやってたCVLTIVATEにも勝手に感じてました。もしかしたら、人によってはあんまりいい気持ちで見られないやり方だったりもするんですけど。でも、絶対やったほうが良いと思っています。これは音楽だけに限らず普通に生活している中でも。今そういうこととかで悩む必要がないのに悩んでる人たちに、いけるところ見せたかったというか。偉そうな話じゃないし、それが全てじゃないっすけど、それをやることで、自分も周囲ももっと色んなことやりやすくなるんじゃないかなとか考えちゃったっすね。自分を表現することに何も制約はないとか。俺の周りの人達はみんなIn The Invisible Warなんで。
HATE – 選択肢が、俺は少な過ぎると思ってて。この人が勧めるこれをしとけば間違いない、みたいのがちょっと多過ぎて。日本においては、もっともっといろんなものが溢れ出てほしいんですよ。多様性を認めるっていう、そんな崇高な言葉じゃないんですけど。でも、そうじゃないと思うよって人は、もうやっちゃっていいと思うしっていうことなんだよね。シンプルに。だから、ここで話したことムカついた人が、また新しいこと考えてやるとか、そういうのをもっともっと巻き起こってほしいなとは、普通に思ってますね。
HIKARI – そうっすよね。共感を得ようと思ってやってることではないんすよ。自分がありのままの自分で生きてたら、プラスな面でもマイナスな面でも絶対何かしらの摩擦が起きるっていうことを感じるためのホームっていうか。
HATE – ディスられても別にやるし、みたいな。俺は今こうしたいんだってものは誰に非難浴びてもやるし、みたいなとこが美学かな。
Heigra Moya – 僕もGranuleの好きなとこを言っていいっすか。
全員 – (笑)
HIKARI – ありがとうございます。マジで嬉しいんすけど、それ。超聞きたい。
Hegira Moya – これ前、コミネさんとヒカリくんと平日に鳥貴族行ったときにも言ったんですけど。
LSTNGT – 高田馬場のときだ。やばい時だ。
Hegira Moya – そう。Granuleの何がめちゃくちゃいいって、ライブ中にライブの流れを止めてまで、プエルさん(BLACKOUT)がギターとサックスを持ち替えてっていうのが、ほんとに良くて。それはもう、完全にステイトメントで。筋で言ったら論理的じゃないんですよ、ライブの流れ止めるってのは。でも、わざわざ音止めて持ち替えて、ファーッてやる、あの感じが。それはもう、TYOSiNが『菊一文字』で煽った後に、マイクスタンドで『NAIMONOMEDARI』をやることと完全に一緒なんすよ。だから、それがやっぱり好き…
<チャイムが鳴る>
HIKARI – Keigoかな。あの、話まとめてるときに申し訳ないんですけど、Granuleのアートワークとか、Disciplineのフライヤー全部作ってくれてるKeigo Kurematsuです。
Keigo – フォレストの時に一瞬会いました。
– あ、どうも。座ってください。
HIKARI – あのアルバム自体、ゲストで招いた人達とか、曲自体にしても、こういう音楽がやりたいんだよっていうよりかは、さっきアベキくんも使ってくれてた言葉っすけど、ステイトメントとしてこのアルバムを1回出しときたいっていう気持ちがあって、ああいう形になってますね。コミネくんにも言われたんすけど「かなりめちゃくちゃだよね」みたいな。いろんな要素があり過ぎて、めちゃくちゃにとっ散らかってる。でも、すごいポジティブに受け止めてて。人間として生きてたらカオスにならざる得ないから、それの分かりやすい形というか、それでむしろ良くない?みたいな感じだったっすね。
– 今日の話を聞いたら、それもしっくりくるね。ヒカリくんはアルバムに収録される2人のリミックス聴いてどう思いました?
HIKARI – Keigoと一緒に聴いたんです。コミネくんとアベキくんからリミックス送られてきたから一緒に聴こうぜって。GranuleのリミックスってよりHegira Moyaの新曲、LSTNGTの新曲って印象がありました。素材はGranuleだけど、完全に俺らのことフルシカトでやりたいことやってる、そういう印象が俺はあったっすね。もともとの自分のやりたいことそのままやってくれてるなって。ってか爆笑したっすね、普通に。
Hegira Moya – 僕、そんなリミックスとかやるような音楽やってないですし、もし仮にHegira Moyaでリミックスって頼まれたら、何となく期待されてることって分かるじゃないですか。静かな、倦怠感みたいな。でも、ヒカリくんに頼まれたときは、自分自身でいいんだっていうのを求められてるのが、別に言われなくても分かってたから、好きにできた。それはすごく貴重な経験でしたね。たぶんこれからもそういう頼まれ方することはあんまないかなっていうのを思いました。
LSTNGT – アベキさんがよく言われてるノンビートトラップ的なことをそのままやってますよね。
Heigra Moya – うん、そうなんすよね。Granuleは割と遅い曲のイメージがあるから、自分も遅いんで、一緒にしたらあんまり新鮮じゃないかなって思ったんすけど。でも、遅くしたほうが気持ち良かったから。そこがコミネさんのリミックスと両極端になって良かったかなと。
LSTNGT – でも、偶然ですよね。僕もスクリューする可能性があったんですけど。最終的に速くするっていう感じになって。
HIKARI – コミネくんのリミックスとか、ブチ上げてるようでめっちゃ悲しみの感じじゃない?クラブで、どう立ち振る舞っていいか分かんないやつが、間が持たないから無駄に酒飲みまくっちゃった、みたいな。
LSTNGT – やばい。めっちゃ的確。恥ずかしいんだけど。
HIKARI – でも、これ言っておきたかったんですよ。LSTNGTの曲を聞いたときのシンパシーは、そこなんすよ。『I’ll Catch U』とか。全然クラブとか行かない人が、ちょっと背伸びして今日はやってやる、みたいな。はっちゃけってやるぞ、みたいな。でも、やっぱり空回っちゃう。そのエモっつうか、悲しみみたいな。結局、悪酔いしちゃって、もう全部忘れちゃってて、気付いたら朝になってて。昨日、自分が思ってたことと違うことしちゃってたな、みたいな。LSTNGTはそういう感じでいつも聴いてる。だから、すごいエモくなっちゃうんだよね。リミックスきいたときもやっぱ同じような感覚があったっすね。アベキくんのリミックスはもっと諦観的な悲しみがあるんすよね。全部しょうがなくない?みたいな(笑)アベキくんは高い所から諦めてる、みたいな。コミネくんは這い蹲って悲しんでる、みたいな感じ。
LSTNGT – 分かりやすいかもしれない(笑)
Hegira Moya – うん、そんな感じ。
HIKARI – あの、俺AVYSSの2018年の3曲を選ぶやつあったじゃない。それで1曲、まだ公開されてない音源挙げたんすけど、gah the reってKeigoとInqapoolってやつのユニットで、それが1月27日にSaloonで初ライブするんすよ。俺は制作中の曲を聴かしてもらってたりしてたんで、それがすごい良かったんで挙げてたんですけど、それが3曲に選んだ中の一つってことなんですよ。ここで答え合わせしときたくて。
Keigo – ヒカリの良いとこってこういうとこなんですよ。
<Granule 1stアルバム『Pain, Ritual & Life』収録のLSTNGTとHegira Moyaのリミックス2曲を初公開>
category:FEATURE
tags:Granule / Hegira Moya / Interview / LSTNGT
2018/09/17
LSTNGTとHegira Moyaがコラボした楽曲『Nagi』を公開。 東京を拠点にするサッドレイブトランスシンセシストことLSTNGTと、同じく東京のノンビートアンビエントトラップことHegira Moyaがコラボレーション曲『Nagi』のOfficial Visualを公開した。 LSTNGTの自宅にて、2人で共作したという『Nagi』は、お互いの使用機材の違い、手癖などが逆に上手く作用したシンセティックなアンビエントとなっている。もちろん共通した意識や、世界観の共有がしっかりと出来ている関係性であるのだろう。個人的にはこういった界隈でも今回のようなコラボレーションが、もっと増えると面白いと思っている。 LSTNGTは昨年バルセロナのレーベルCønjuntø VacíøからEP『Holy Machine』をリリース後、Dark JinjaやEco Futurism Corporationなど、レーベルのコンピに続けて参加している。一方、Hegira Moyaは今年ストックホルムのレーベルMolotonからEP『Slow Vein』をリリースしている。以下のSoundcloudのリンクを是非チェックして欲しい。
2019/02/13
多数のアーティストが参加した20分に及ぶ楽曲をリリース。 Nozomu Matsumotoは東京を拠点にするサウンドアーティスト/キュレーターである。昨年はThe Death Of Raveより自身初のレコード『Climatotherapy』をリリースしている。以前、SIM RADIOでもその断片が流れていた新曲『Phonocentrism』が本日リリースとなった。 ジャスト20分に及ぶ『Phonocentrism』には多数アーティストが参加している。CEMETERY、DJ Obake、Emamouse、H.Takahashi、Hegira Moya、Hideki Umezawa、Kazumichi Komatsu、Kenji Exilevevo、LSTNGT、メトロノリ(Metoronori)、Rina Cho、toilet status、Y.Ohashi、Yoshitaka Hikawaの素材がぐにゃっと混ざった楽曲はDJミックスでは無く、ラップもメタルのシャウトも重なり一つの物語として展開する。このアイデアは最高じゃないでしょうか。 購入はこちらから。シドニーのレーベルLongform Editionsからのリリース。 以下は、Grey Matter Archivesで公開されたNozomu MatsumotoのMix。
2019/08/21
本日から配信も開始。 シドニーのレーベル〈Longform Editions〉は独自のフォーマットにこだわり作品の発表を続けている。これまでにCakedogとしても活動するAhnnu、Sun ArawとMitchell Brownの共作、〈Where To Now?〉などからリリースし、来日も果たしたNicola Ratti、そして日本のサウンドデザイナー で、〈EBM(T)〉主宰のNozomu Matsumotoなど。全ての作品が長尺の一曲のみ。 今回、〈Longform Editions〉の新作は東京を拠点にするShota AbekiのソロプロジェクトHegira Moyaの新作『Palace』。こちらも20分超えの組曲。最近では〈Bedouin Records〉からLPリリースが決定しているハードコアバンドGranuleのリミックスを手がけており、単独作としては昨年〈Moloton〉からリリースされたEP『Slow Vein』以来の新作となる。 デジタルの購入はこちら。
50組づつ、3回に分けて掲載 more
暗闇と悪夢の美しさ
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