DIRTY DIRT TAPES

カセットコレクターDirty Dirtの棚からなんとなくセレクトされたカセットを紹介。

 

 

Dirty Dirtこと戸田氏はエクスペリメンタル、エレクトロニック、テクノなどのアンダーグラウンドの電子音楽を中心に現行のアーティストのリリースを追いかけるヘビーリスナーであり、膨大な量のカセットを所有するコレクターである。今回は戸田氏のカセット棚から、特に選考基準なく、なんとなく選んでもらった数本のカセットを紹介してもらった。戸田氏の紹介コメントも含めて、何か引っかかるものがあれば、是非聴いてみてほしい。

 

 

 

LA Warman – 『Elizabeth』 (Looking at your mint)

Tiny Mix TapesでCOOKCOOK名義でライターとして活動しているNatalia Panzerと、2017年末にAngoisseのショーケースで来日していたTheodore Cale Schaferが運営するレーベルから、LA Warmanによるインターネットをテーマにした朗読劇。LA WarmanはChloé Elizabeth Maratta(Odwalla1221)の作品などをリリースしているUSBレーベルGlass PressをNatalaとともに運営している。ケースはなくウォレットチェーンがカセット自体につけられている(もちろん取り外してきくことができる)

 

 

 

catriel – 『zzzz xxxx』(self release)

アルゼンチンのcatrielのファーストカセット。前からカセットテープをつくったら送っていいかとInstagram経由で連絡がきていた(結局買った)。カセットケースごと、そして真っ黒な悪魔のような手のフィギュア(お守りらしい)をいっしょに真空パック。もったいなくて開封できないので、データできいています。Jカードの無機質な公衆電話写真もよい。音は同郷NGLYにも通じるインダストリアルなテクノ。

 

 

 

Deflector – 『Juice』(Clan Destine Records)

これまでにDream Disc RecordsやSummer IsleなどからリリースしていたDeflectorの2018年作品はグラスゴーのClan Destine Recordsから。終始暴走しっぱなしなノイズまじりのテクノ。10年近くになるレーベルの活動のなかで、DARK ACIDシリーズなど何度か見せ場をつくってきたClan Destine。2016年からは毎月4本ペースでミックステープをリリースしており、内容もウイッチハウスからトラップまでとCarl Clandestineの趣味全開。Jカードもすべて本人が制作。おおよそレーベルとしてのリリース数は2017、2018年は世界一ではないだろうか。

 

 

 

bod [包家巷] – 『Limpid Fear [清澈恐惧]』(Knives)

様々なレーベルのアートワークやパーティーのフライヤーなどのデザインでも活躍するLA出身ベルリン在住のNicholas  Zhuによるソロプロジェクトbod [包家巷]の新作がPlanet MuのサブレーベルKnivesから。クラシカルな音、ルーツであるアジアな雰囲気のメロディや、変調声、切り刻まれるかのような打撃音などがアンビエント室な音とともに配置された各面1曲ずつのミックステープ仕様。Tea StražičićによるJカードのアートワークもすばらしく、それが銀色の袋に封入されている。銀色のジップロックや袋にはいってるカセットは外れがない。

 

 

 

James Ferraro – 『Four Pieces For Mirai』(self release)

2000年代半ばから常に先を走り続けているJames Ferraro新作。もはやOPNとならんで大御所の域んいるけれども、いまでも自主でカセットテープを作ってだすという活動はすばらしい。ディストピア4部作の1本目。前作のカセットテープを日本から注文した人にはまったくといっていいほど送ってこなかったのに新作タイトルでMiraiと日本語を使っていて、遠い未来、そのうち送ってくるっていうメッセージだととらえました。

 

 

 

NGLY – 『Untitled Tape』(Nostievo)

アルゼンチン出身、L.I.E.S.からの作品がすばらしかったNGLYの新作は、ノイズ、インダストリアルのカセットレーベル代表格であるNostilevoから。レーベルの色とぴったりだとおもったら、アンビエント集っていうひねくれたかんじもおもしろい。2017、2018と連続で来日、運営するファッションブランドFantasy ViolenceのTシャツのデザインがアニメーションなどのゆがんだコラージュでかっこいい。

 

 

 

Hegira Moya – 『Slow Vein』(moloton)

東京在住のHegira Moyaによる2018年作品はストックホルムのレーベルmolotonから。Grey Matter ArchivesにちょうどあがっているK/A/T/O MASSACREでのライブの様子をSNSでみたレーベルオーナーが気に入りそこからリリースにつながるという経緯が現代っぽい。ノンビートアンビエントトラップという新しい形容がうまれる。倦怠感、叙情的なシンセとギターのメロディとアンビエントな音色でいながら、トラップやブラックメタルを感じる。

 

 

 

J M S Khosah / JR Chaparro – 『NCA SUR』(NCA)

どの名義が彼であるのかオープンにしていいものとダメなものがあるときいたのでどれもかかないけれども、数多くのの名義でのライブやDJ、レーベル運営、パーティーの主催と幅広く活躍するJR Chapparro。NCAを運営しているJ M Khosahとsplit。フォノカードのパッケージそのままなJカードが渋い。 そしてそれぞれが先鋭的な音をしっかりと深いハウスに落とし込んでて、音も渋い。

 

 

 

woopheadclrms – 『vs o.t.O.g.I』 (Genot Centre)

Wasabi Tapesからのリリース、そして自身のレーベルUkiuki Atamaからもリリースを重ね、岡崎ひかりのラウンジを中心に活動する愛知県安城のwoopheadclrmsがチェコのGenot Centreから新作。HAlcyon Veilあたりにつながる鋭利なサンプリングやコラージュ感覚と、ときには日本的だったり牧歌的だったりする音のバランスがおもしろく、これからもいろいろなところからリリースされてほしい。Angoisseの日本でのショーケースコンピレーションに収録されていたものもはいっていたり。Genot Centreはローカルなアーティストと世界各国の先鋭的なアーティストのリリースのバランスがすばらしく、Jカードのデザインも毎回すばらしく、現行のカセットレーベルの理想形。

 

 

 

V.A. – 『Embrace』(Petrola 80)

コペンハーゲンの新興レーベルによるコンピレーション。Posh Isolation世代が名実ともに大きくなったいま、今年の冬に来日して日本ツアーを行ったAstrid SonneとXenia Xamanekや、Opal TapesからリリースされたばかりのLyra Vaienzaなど、コペンハーゲン新世代。絵画に文字を配したJカードもよく、Tシャツも出ていて、そちらも欲しかった。

 

 

 

TEXT by Dirty Dirt

 

 

そして明日11/7はDirty Dirtと舘脇悠介がホストを務めるトークイベント『Buy Nowers Club vol.13』が開催。AVYSSの佐久間も出演します。

 

 

『Buy Nowers Club vol.13』

11/7(水)

at dues新宿

OPEN 19:45 / START 20:00

CHARGE 1200yen+1d

 

TALK: Dirty Dirt、舘脇悠介、Nobuyuki Sakuma(CVN)

category:FEATURE

tags: /

RELATED

FEATURE