2018/08/09
突如リリースされたアルバム『STEALTH』について。
今年6月にいきなりtakaoから届けられたアルバム『STEALTH』は全編を通して真摯で丁寧なレイヤーに包まれている。付かず離れず一定の距離感を保ちつつも優しく見守ってくれるような守護天使のように生活と耳に寄り添ってくるこのアルバムは、自主リリースかつSNSでオフィシャルのプロモーションが無かったにも関わらず確実に濃い広がりを見せた近年では稀有な作品である。takaoにアルバムのことを中心にメールインタビューを行なった。
– 音楽に目覚めたのはいつですか?
takao – 小さい頃からテレビゲームが好きだったので、ゲームの音楽には親しみがありました。92年生まれなので、ニンテンドー64やプレステ1、2らへんのゲームをよくやってました。自分から弾いたり、聴きたいと思ったのはゲームの曲が最初かなと思います。ピアノを習ってたんですが、先生がゲームの楽譜(ゼルダやドラクエ)をよく買ってきてくれたりして、弾いたりしてました。いまでも当時つかってたゼルダの楽譜とかを見ながらときどき弾いてます。あとはなんか目覚めたっていうなら、中学生のとき、友達にSOUL’d OUTを教えてもらってハマったっていうのがありました。ファッションやノリは全然趣味ではなかったんですが、いつのまにかよく聴くようになってました。曲自体になんか聴きたくなる魔力みたいなのがあったかもしれないです。僕が中三のときにちょうど3ヶ月連続シングルリリースみたいなのがあって、月ごとに更新される先行情報とかどんな曲がでるかみたいなのを友達と予想したりとか、なにか最新なものを追うみたいな感じも当時楽しかったです。はじめて見たライブも大磯ロングビーチで行われたSOUL’d OUTでした。
– 制作環境どんな感じですか?
takao – 主にパソコンで作ってます。Mac miniでableton live(9のスタンダード)を使ってます。ソフトだとXpand2っていうシンセをよく使います。『STEALTH』はほぼXpand2で作りました。ハードの機材は少なくて、SP404とmicro korg xlくらいしか使ってないです。
– 今回のアルバム『STEALTH』にはテーマやコンセプトはありましたか?
takao – 漠然としていますが、出自がわからなくてもいいなと思えるアルバムを作りたかったです。『STEALTH』を発表するにあたってとくに話題性などはなく、聴いてくれる人も結構限られるかなと思っていました。けど全然知らない人がなんかの拍子で見つけたときでもいいなと思ってくれるものを目指しました。なのでとっつきやすいものになればなと思っていました。そのため、明確なコンセプトやテーマは考えずに単純にこういうの聴いてみたいなっていうアルバムをつくりました。僕のなかでこういうの聴いてみたいってものは、いままで聴いたことありそうだけど聴いたことないってものでした。聴いたことないものってなると肩に力が入ってしまいますが、肩の力抜いて気楽に聴けるものがよかったです。参考になったのは僕が好きな音楽やゲームでした。それらはときどき聴き返したり思い出したりするようなもので、楽しい気分にさせてくれますが共通して強靭で不動な感じがありました。また、どれも作りこまれていて、力作って感じのものが多かったです。なので『STEALTH』も力作を目指しました。また、力作のようなものであれば息長く聴いてもらえるかなと思っていたからです。あと聴いたことありそうだけどないってものにするなら、アルバムを通して聴いた時に作った年や作者、ジャンルがわかりづらいようになれば面白いかなと思いました。アルバムの曲名は雰囲気やイメージに近い名前になっていて、影響はわかりやすいのかもしれませんが、全体としてはなんでこれが作られたのか不明な感じにしたかったです。古代遺跡でもなんでこんなところにこんなものがあったんだろうってなるもののほうが面白いので、『STEALTH』も何十年か経って発掘されてそうになったら面白いかなと思いました。『STEALTH』には明確なテーマやコンセプトはありませんが、こうしたいっていうことはたくさんありました。なので、自然と他と干渉しないような独立した雰囲気を持つアルバムを作ろうと思いました。
– アルバムはどのようなプロセスを辿りましたか?
takao – いままでサンプリングをして曲をつくることが大半でしたが、2年くらい前からほぼ打ち込みでつくるようになりました。多分打ち込みの方がはっきりしたメロディやリズムをつくるのに適してたからだと思います。最初にできた曲は去年の春とかでした。そこから1~2ヶ月に1個くらい作っていって、今年に入ってから調整したりして完成しました。アルバム全体としては、飽きないようにすることに一番気を遣いました。アンビエントっぽい曲の次の曲ははっきりとした旋律がある曲にしたり、同じような雰囲気の曲を続けて置かないようにしました。なので、ある程度完成してからは、自分のiPhoneに曲を入れて通して聴くのをやりました。通勤の電車とかで聴いてみて、飽きたり間延びしそうなところは、順番を入れ替えたり、曲の構成自体を変えたりしました。
– アルバムで気に入ってる曲はありますか?
takao – 特別これみたいなのはなくてどれも同じくらいと思っています。
– 最近どんな音楽を聴いてますか?
takao – 作ってるときにもいろんなの聴いてましたが、Deep Magicの『Reflections of Most Forgotten Love』をよく聴いてました。あとはこないだフジロックのライブ配信でeastern youthを見てかっこいいなと思って、最近聴きはじめました。ときどきiPhoneに入ってる曲を全部シャッフルして聴くのも面白くて好きです。
– 趣味はありますか?
takao – 『Fortnite』っていうゲームにハマっててほぼ毎日やってます。最後の一人になるまで島で戦うっていうオンラインのゲームで、すごいおもしろいです。あとはYoutubeでライブカメラを見るのにハマってます。空港や街の定点カメラの映像をずっと流しっぱにしてるだけなんですが、見ながら音楽聴くのとかも楽しいしコメント欄で人が会話してるのを見るのも面白いです。
– 最近ブチ上がったことありますか?
takao – ライブや生演奏を見るとテンション上がりますね。半年くらい前にN響演奏のストラヴィンスキーの火の鳥を見にいったときは感動しました。あとこないだのカトーマサカーでのdie reiheのDJがすごい良くてテンションあがりました。
– 今後挑戦したいことありますか?
takao – 合唱できるような歌の作曲とかしてみたいです。
『STEALTH』のダウンロードはこちら。
https://soundcloud.com/takaoo/stealth-view_download
category:FEATURE
tags:EM Records / STEALTH / Takao
2019/01/21
傑作『Stealth』のリリパが京都の外で開催決定。共演は7FO、CVN、EM Recordsの江村幸紀。 年末に公開したAvyss Encountersでもこの作品を挙げる方がいたが、アーティストや音楽に携わる人間からも評価が高い。そのTakaoのデビューアルバム『Stealth』の発売を記念したイベントが京都の外で開催決定。 共演は『Stealth』をリリースしたEM Recordsのファウンダー江村幸紀、同じくEM Recordsからアルバム『竜のぬけがら』をリリースした7FO、そしてCVNというラインナップになっている。 《Takao『Stealth』CD&LP発売記念ライブ》 Takao 7FO CVN DJ 江村幸紀(エム・レコード) 2019年2月16日(土) 開場/開演 18:00 予約 2,500円 当日 3,000円 *学生証提示で予約・当日ともに2,000円 イベント詳細と予約はこちらから。 https://soundcloud.com/takaoo/stealth-view_download また、Grey Matter Archivesで公開されたTakaoのMixはこちら。 https://soundcloud.com/greymatterarchives/gma77-takao
2021/11/25
NTsKiとのコラボ曲が7インチリリースへ Takaoがデビューアルバム『Stealth』 を丸ごと作り直し、別作品として提示する希有な試みの新作アルバム『Stealth〔Gold Edition〕』をクリスマスイヴにリリースする。 「美しい水彩画のような」「空想的パソコン室内楽」と称され、ゲーム音楽の感覚とクラシカル・コンポジションが並列したかのごときネオ・クラシカル電子音楽アルバム『Stealth』 。その収録曲を再録音し、新作として提示する挑戦的な実験作『Gold Edition』には「Moon」「Seven Sands」という新曲2曲を追加。自らの音楽を育てようとするTakaoの探究心が『Gold Edition』で切り開いたのは、「音色」は楽曲に隷属しただ奉仕するだけの存在であるのか否か、楽曲の階層と順位の関係性、わたし達は果たして音楽に何を求め聴いているのかという意味性の再発見。装丁デザインは今回も木村銀次が担当。大のクラシックCD好きであるTakaoのリクエストでジュエルケース仕様でのリリース。 「一度完成した『Stealth』。その楽曲のプロジェクトファイルがそれぞれ静かに植物のように成長し続けていたら、というのを妄想せずにはいられない。それはアップデートやリミックスとも違って成長と表現するのがしっくり来る感覚。先見性のある作品は後になって言葉がついてくる。『Stealth』がそうだったように、次に訪れるまだ名前のついていない予兆を感じさせる形へと〔Gold Edition〕でまた変貌を遂げた。」― 川辺素 (ミツメ) —– Takao – Stealth [Gold Edition] Label : EM Records Format : CD / Digital Release date : 24 December 2021 https://emrecords.shop-pro.jp/?pid=165059347 https://emrecords.bandcamp.com/album/stealth-gold-edition Tracklist 1. Stealth ステルス 2. Water Music ウォーター・ミュージック 3. Boat ボート 4. Matsura マツラ 5. Ama Nita アマ・ニタ 6. Trode トロデ 7. Crystal Tunnel クリスタル・トンネル 8. Moon ムーン 9. Bird Ensemble バード・アンサンブル 10. Ce La セ・ラ 11. Seven Sands セブン・サンズ 12. Wet
2018/12/25
突如始まった対談シリーズ。初回は、蓮沼執太とTakaoの2人。 Photo by 石塚俊 来年1月7日に恵比寿リキッドルームにてニューイヤーコンサートを控えている蓮沼執太フィル。そして今年EM Recordsからデビューアルバム『Stealth』をリリースし、ニューイヤーコンサートのオープニングアクトを務めることが決まったTakao。今回は公演直前に2人の対談が実現。また今回の公演ポスターを手がけたグラフィックデザイナーの石塚俊も同席して、新井薬師前の喫茶店で話をした。 – 世代的な話なんですが、蓮沼さん、おいくつですか? 蓮沼執太(以下、蓮沼) – 83年生まれで、今年の9月で35歳になりました。 – Takaoはいくつになった? Takao – 僕は26歳になりました。 蓮沼 – じゃあ、9個下なんだ? Takao – たぶん僕は佐久間さんと干支が一緒な気がします。 – そうなんです、同じ申年です。 石塚俊(以下、石塚) – 僕は蓮沼さんの1個上です。なんと、佐久間さんは僕より年上だったんですね。 – 僕の同じ世代って周りに多くて、食品まつりさん、Forestlimitのナパさん、K/A/T/O MASSACREとNOVO!のカトーさんとか。あとはWWWの海法さんは一個下だったかな。 Takao – なるほど~。 蓮沼 – みんな同じ世代なんですね。 石塚 – でも、下の世代とばっかり遊んでるから、実年齢のの気持ちになれなくて。 蓮沼 – ああ。じゃあもうそもそも26歳みたいな感覚で遊んでるってことかな? – 僕も同じですよ。 石塚 – でも佐久間さん、ロングキャリアじゃないですか。 – ロングキャリア(笑) 蓮沼 – ロングキャリアじゃないの? – 蓮沼さんのほうがロングキャリアじゃないですか? 蓮沼 – 10年とちょっとですね。22歳の時にはじめてアルバム作ってるから。何も考えずにただアルバムを作っただけっていう印象ですけど。 – 僕は29歳から曲を作り始めたので、遅いんです。ロングキャリアじゃないんです。 蓮沼 – 29歳から曲を作り始めたというのはすごいですよね。それまでは何されてたんですか? – DJはやってました。話をお2人に戻しますが、蓮沼さんとTakaoはお互いを認識し始めたのはいつからですか? 蓮沼 – 今年です。『Stealth』を(石塚さんが)教えてくれて、聴きました。 Takao – 僕は、蓮沼さんのことはかなり前から知っていました、結構いろいろなところで名前を聞いたり見たりしたことがあったのですが、失礼ながら今年になって、蓮沼さんはこういう音楽をつくっている人なんだ!と知りました。 – 初めて会ったのはいつぐらいですか? Takao – 『アントロポセン』の楽曲試聴会ですね。 – そのTakaoも参加した今回の『アントロポセン』の特典のリミックスCDの人選はかなり驚いたんですが。(食品まつり a.k.a foodman、荒井優作、SUGAI KEN、toiret status、BIOMANなど。) 蓮沼 – この人にお願いしたいっていう下書きリストがザーッとあって。 石塚 – それを見せてもらったときに足したり引いたり勝手に提案して。次に見せてもらったときには、さらにそれがもうちょっと変わってて。 –
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