2018/06/04
Nine Inch Nailsの新作のアートワークを手がけるデザイナー、Ascetic House共同ファウンダー、s.M.i.L.e.レジデント、Destruction Unitのギタリスト、そしてソロとして。
2015年にSacred Bonesからリリースされた「Negative Feedback Resistor」以来の新作が待たれているインディとサイケとノイズが混ざり合ったバンドDestruction Unitは、メンバーそれぞれのソロ活動も近年活発になってきている。特にドラマーAndrew Floresのテクノ/ハウス名義Jock Clubのここ数年のリリースラッシュ、そして今回の主人公、ギタリストのJS Aureliusは数々のプロジェクトを同時にこなし、シーンの枠を縦軸にも横軸にも切り開いて進んでいっている。彼は同じくDestruction UnitのメンバーNick NappaとともにMarshstepperとしてUKミニマル/インダストリアルテクノ名門Downwardsからレコードをリリースしたり、自身も共同ファウンダーとして運営するレーベルAscetic HouseやHelmのAlterなどからソロ名義としてのリリースも重ねている。2017年には同年に発足したアンダーグラウンドにおいて今最も注目されているイベント/コレクティブs.M.i.L.e.のレジデントメンバーになり今までになかった横のシーンの繋がりを見せている。
さらに、ここ数年デザイナーとしてメインストリームから注目され始めており、グラミー賞もアカデミー賞も受賞経験のある大御所Trent ReznorことNine Inch Nailsの今年6月リリースの新作のアートワークをTravis Brothersと共に担当している。2年前にはJay Zが創設したストリートブランドRocawearが彼のデザインを盗用したのではないかというニュースが音楽メディアやSNS上で話題になったこともあったし、今も新たにメインストリームのデザインワークを行っているという噂もある。そんな多忙を極める中、6月にソロ名義としての初来日が決まったJS Aureliusにメールインタビューを行った。インタビューと共に彼のデザインも振り返っていきたい。
– あなたはミュージシャンとしてDestruction Unitのギタリスト、Nick NappaとのユニットMarshstepper、ソロ名義などでの活動、さらにレーベルAscetic Houseの共同ファウンダーとしての活動など、複数のプロジェクトを並行して行っています。それぞれどのようにスタートしたのでしょうか?
JS Aurelius (以下JSA)– 小さい時に音楽を始めたんだけど、すぐに幻滅してやめてしまった。18歳になって新たにPigeon Religionというバンドを友達何人かと始めた。アンチミュージックを目指していて、主にギターのフィードバックとドラムで構成されたノイズロックバンドだったんだ。当時はみんなに本当に嫌われていた。けど、今でも続いている友人関係のほとんどが、そのバンドの頃のものなんだ。Ascetic House、Marshstepper、それに自分のソロ。Pigeon Religionで築き上げた道を進んでいなければ、どれも存在してなかったはずだ。そうは言っても、子供の頃、アリゾナにはコアな音楽のコミュニティが存在していて、すごく盛り上がっていた。子供ながらに、ハードコアやグラインドコアのショーを見にいっていたよ。Graves At Seaや、Rotozaza、Warfair?と言った地元のバンドを見て、自分でも主にパンクやハードコアのバンドのショーをブッキングし始めた。その後すぐにノイズのシーンを発見して、次はノイズバンドとパンクバンドを一緒にブッキングしたんだ。当時同じようなことをしている人が数人いて、本当に素晴らしいショーや音楽につながる相互作用を生み出していたんだ。Destruction Unitは、僕がメンバーに加わるずっと前にRyanが始めていたんだけど、そう言った様々な音楽シーンが一緒になり始めた頃に僕たちは出会って、ジャムセッションするようになった。そして今、僕たちはこうして、基本的にはその頃とおんなじことをしているんだ。
– 音楽を制作するときは何を考えていますか?何かに影響されますか?
JSA – サウンドというのは、エネルギーが存在しているという表れの1つにすぎないんだ。そして音楽というのは、僕たちが音の配列を自覚しているというだけ。僕たちの心と体は共鳴する分子から成り立っていて、だから単に、目に見える形での音が表れているにすぎない。このことを念頭において、サウンドを積極的に追求することを決めたんだ。捉えにくい微細なものから分かりやすいものまで、サウンドが変化をもたらす可能性を僕は理解している。僕たちのDNAそのものが、チューニングしたり、拡張できるんだ。このことを自覚していると、音楽を爆発させることができる。
– あなたが参加している新しいコレクティブs.M.i.L.e.について詳しく聞かせてください。どのような経緯で参加することになったのですか?とても興味深いメンバーが揃っているように見えます。新しいシーンが作られているのでしょうか?
JSA – s.M.i.L.e. は、x/o、Baby Blue、Jade Statues、Sebastian Ruslanが2017年5月に結成した。この4人は長年にわたって、最高のショーをブッキングし、演奏してきた。 s.M.i.L.e. を始めてすぐに、彼らは私にメンバーに加わりたいか尋ねてきたんだ。バンクーバーで彼らがやってきたことに対してすごくリスペクトしていたから、イエスというしかなかった。魔法のような出来事だったよ。s.M.i.L.e.や NuZi、Sacred Sound Clubがバンクーバーで育もうとしているコミュニティは生き生きとしてるし力強い。これからが本当に楽しみだよ。
– あなたのアートワークはシーンに良い影響を与えていると思います。どうやってインスピレーション得ていますか?
JSA – ビジュアルアートの無限の限界を探ることだね。
– Nine Inch Nailsの新作「Bad Witch」のアートワークを担当していますが、なぜその仕事をすることになったのですか?
JSA – そんなに立派な裏話はないんだ。友人の1人で、優れたアーティストでクリエイティブディレクターのHassan RahimがプロジェクトでTrentと働いていたんだ。そして僕とTravisに協力したいか聞いてきた。もちろん断れないプロジェクトだよ。Nine Inch NailsやHassan Rahim、Travis Brothersのような偉大な人たちとコラボレーションなんて滅多にできるものじゃないからね。
– 初来日が目前ですが、何か楽しみにしていることはありますか?
JSA – その質問にどこから答えていいかわからないよ。色々見たり、体験したりしたいと思っているよ。日本のアート、音楽、文化が僕のアーティストとしての成長にどれだけ影響を与えたかは伝えきれない。DiscloseのKawakamiの墓にお参りするのを楽しみにしている。10年以上もずっとしたいと思っていたんだ。あとToshiji Mikawaとの共演も楽しみにしている。彼の仕事には畏敬の念を抱き続けているんだ。同じように、日本でともに演奏するすべての人についてワクワクしている。同じステージに立てることを光栄に思うし、謙虚な気持ちも持っているよ。大阪の Punk And Destroyのお店についに行けるのも楽しみだ。本当にキリがないよ。
<原文>
– How did you start some project (solo, Destruction Unit, Marshstepper and more) and Ascetic House?
JS Aurelius – I started playing music at a young age, but quickly got disillusioned and gave it up until I was 18 and started the band Pigeon Religion with a few friends. Our goal was to make anti-music, it was a noise rock band consisting mostly of guitar feedback and drums. At the time, people really hated us. But that band is responsible for most of the friendships I still have today. Ascetic House, Marshstepper, my solo work… none of it would exist had I not gone down the path that Pigeon Religion forged. That being said, there was a very vibrant and active community of freak music in Arizona when I was growing up. As a kid, I went to hardcore and grindcore shows. Seeing locals bands like Graves At Sea, Rotozaza, Warfair?, etc. Then I started booking shows myself, mostly punk and hardcore bands. Quickly I discovered the noise scene and started booking shows with noise bands and punk bands together. There were a few other people doing the same thing around then, and it caused a lot of cross-pollination that led to some really amazing shows and music. Destruction Unit was started by Ryan long before I was a member, but when all of these scenes started coming together, we met and started jamming. And now, here we are today, basically doing the same thing.
– What do you make music under the influence of?
JS Aurelius – Sound is just one manifestation of the presence of energy, and music is really just us being aware of the arrangement of sound. Our mind and bodies are made up of resonant molecules, and as such are just visible manifestations of sound. It is with this in mind that I chose to actively pursue sound. It’s potential for very real change, both subtle and explicit, are not lost on me. Our very DNA is vibration that can be tuned and expanded. When you are aware of this, music can explode.
– Please tell me about s.M.i.L.e. in details. How did you start s.M.i.L.e.? It is a very attractive member. Is the new scene formed?
JS Aurelius – s.M.i.L.e. was founded in May of 2017 by x/o, Baby Blue, Jade Statues and Sebastian Ruslan. These four have been responsible for booking and playing some of the best shows in town for a long time now. Soon after they started s.M.i.L.e., they asked me if I wanted to join as a member of the collective, and my huge respect for what they’ve been doing in Vancouver left no option but to agree. I must say, it has been quite magical. The community that s.M.i.L.e., and a few other nights like NuZi and Sacred Sound Club, are working to foster in Vancouver is both vital and vibrant. I am very excited for the future here.
– I love your artworks. What is that inspiration?
JS Aurelius – To explore the limitless boundaries of visual art.
– How would NIN’ artwork be decided?
JS Aurelius – There isn’t a huge backstory to this one. A friend of mine, the brilliant artist and creative director Hassan Rahim, was working on the project with Trent, and asked me and Travis (Brothers) if we’d like to help. Of course this is a project you can’t turn down. It’s not every day that you get to collaborate on a project with legends like NIN, HR and TB.
– Finally, your Japan live will start soon. What are you looking forward to the most in Japan?
JS Aurelius – I don’t even know where to begin answering this question. I really look forward to just exploring. The extent to which Japanese art, music and culture has informed my own growth as an artist is impossible to convey. I look forward to paying respects at Kawakami’s grave, a pilgrimage I’ve been intent on making for over a decade. I look forward to playing with Toshiji Mikawa, an artist whose body of work I remain in awe of. Similarly, I am excited for all of the people I am playing with in Japan… I feel both honored and humbled to share a stage. I look forward to finally getting to visit the Punk And Destroy shop in Osaka. The list could really go on forever.
category:FEATURE
tags:Alter / Ascetic House / Destruction Unit / JS Aurelius / Marshstepper / s.M.i.L.e. / Travis Brothers
2018/07/04
耳に聴こえている美しさを視覚的なものに変換する Gloxhid Christmix 10th Anniversary Edition, TechMas 2017CD-R, 100 copiesCollab with James Roemer Collin Fletcherはアリゾナ州のテンピを拠点にしているグラフィックデザイナー。エレクトロニックミュージックが好きな人なら、彼の名前を知らなくても彼の手がけてきた作品を一度は見たことがある or 持っているのではないだろうか。Ascetic Houseの初期からデザイン面を支えつつも、Tri Angle、Halcyon Veilといったレーベルのアートワークも多く手がけている。2018年、彼の名前はエレクトロニックのシーンを超えて一気に世界的な広がりを見せている。Drakeがリリースした今年の大ヒットシングル『God’s Plan』が収録された『Scary Hours』のジャケットはCollinが2015年に手がけたRabitのツアーポスターのデザインを流用したものではないかという騒動が起こった。真相は明らかになっていないが、アメリカのメインストリームはアンダーグラウンドに常に注目しているということは言えるかもしれない。さらにアルバム『beerbongs & bentleys』のヒットが世界的な大ブレイクになったアメリカのラッパーPost MaloneのマーチャンダイズもBryan Rivera、Travis Brothers、Dario Alvaらと共に手がけている。メインストリームの仕事をどれだけこなそうとも、常にアンダーグラウンドを自分のホームとするスタンスは多くの人が見習うべきところであろう。今回はCollin Fletcherのインタビューと共に彼の手がけてきた作品の一部を振り返っていく。 – デザインの仕事をどのように始めたんですか? Collin Fletcher(以下、Collin) – 僕は子供の頃からずっとデザインに興味を持っていたんだ、だから大学ではグラフィックデザインを専攻することにした。大学2年生になってから、色んなライブのフライヤーをデザインしたり、地元でライブするような友人たちのためにデザインやアートワークを提供するようになったんだ。ほとんどがAscetic Houseの関連しているものだったね。僕は自分の作った作品を全部Tumblrに投稿してたんだ。そしたら割とすぐにパンクのアーティスト、エレクトロニックのアーティスト、あとはレーベルにも注目されるようになったんだよ。 Jock Club – Untitled MixtapeHand stamped, 20copies Kali Malone – “Organ Dirges 2016-2017”AH2018 – インスピレーションになるものはなんでしょう? Collin – インスピレーションになるものは仕事によって、それぞれ異なるね。僕はほとんどの場合、ミュージシャンたちと一緒に仕事をしているから、彼らの音楽観を通した高度な共同作業になるんだ。彼らの耳に聴こえている美しさを自分なりに解釈し、視覚的なものに置き換えていくことが、僕にとっての挑戦なんだよ。そのショーが多様なラインナップだったとしてもね。1つのまとまりとしただけではなく、こういったアーティストたちの個性を、どうすれば視覚的に表現できるだろうか? 見かけはクールかもしれないけど、ショーで演奏しているアーティスト達のファンの心には訴えかけられるだろうか?デザインやアートに生じた問題を解決しようとして、素晴らしいインスピレーションが生まれることも少なくはないんだ。それに僕は、デザインにおいて、バウハウスやニューウェイヴ・スイス・ポストモダニズムみいなプロセスベースのムーブメントに、強い影響を受けてきたんだよ。Wolfgang Weingart、Josef Müller-Brockmannとかのね。こういった初期のモダニスト、ポストモダニストのムーブメントは機能的、かつ有益なデザインにとって、美しく抽象的な解決策となることが、わかったからね。それらには関連性こそないけれど、熟考した上での視覚的実験や、その結果があるからね。 5/25 – Official Movement Opening Party with
2018/10/01
SophieやJam Cityが参加したGAIKAのデビュー作がフィジカルでリリース。アートワークはJS Aureliusが担当している。 ゴシックなエレクトロニックとダンスホールがフュージョンしたGAIKAの正式な?デビューアルバム『Basic Volume』がWarpよりフィジカルリリースされた。 すでにMVもいくつか公開されており、アルバム『Oil Of Every Pearl’s Un-Insides』が素晴らしかったSophieや、Jam Cityが参加したことも話題になっている。 さらにアートワークを担当したのはDestruction Unitのギタリストで、Ascetic Houseの共同ファウンダーのJS Aureliusである。ザラついた表面など、彼らしさもフロントから垣間見えるインパクトの強いジャケだ。同じくWarpから先日リリースされたYves Tumorのアルバムを担当したのもCollin Fletcherであり、このままWarpはAscetic Houseの過去作をリイシューしないかなと妄想している。
2019/03/27
5月末からスタートするGBCのEUツアー。 Lil Peepが生前所属していたコレクティブGOTHBOICLIQUEは現在も、Misery Club、Boyfriendz(lil aaron、smrtdeath、Lil Lotus)など共にシーンをコミュニティを形成している。 アメリカの大型フェスの一つ「Lollapalooza」の出演も決定しているGOTHBOICLIQUEのヨーロッパツアーが決定。5/29から6/10の間で合計10日間の公演を行う。ツアーのメンバーはCold Hart、fish narc、Horse Head、Mackned、YAWNS、Wicca Phase Springs Eternalである。 今回のツアーポスターのデザインを担当したのは以前インタビューを行ったJS Aureliusである。彼はSacred Bonesからアルバムをリリースするインディ/ノイズバンドDestruction Unitのギタリスト、DownwardsからリリースするMarshstepperのメンバー、レーベルAscetic Houseの共同ファウンダー、ヴァンクーヴァーのイベント/コレクティブs.M.i.L.e. をx/o、Baby Blueなどと共に運営するなど、いくつものプロジェクトで活動している。昨年は来日して幡ヶ谷Forestlimitでソロライブも行った。今回のようなジャンルやコミュニティを超えたコラボレーションは今はいくつも存在する。 本日からオフィシャルサイトでチケットも販売開始。合わせて公開されたアパレル類の予約は4/7までとなっている。
受け手の自由に寄り添う作品
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