
2025/11/26
4thアルバム『Reflect』リリース

有機的な音像をエレクトロポップへと昇華させるトラックメーカー、Inu。2020年よりSoundCloud にて楽曲を投稿し始め、2021年から各種ストリーミングサービス上で楽曲をリリースし本格的に活動をスタートさせた。作詞・作曲・編曲・録音・ミックスに加え、映像制作までも一貫して自身で手がけながら、2022年にリリースした1stアルバム「Reminder」で、lilbesh ramko、Asstoro、vqなどを迎え、突如シーンに存在感を示し、これまで4年間の活動の中でアルバム3作とEP3作を世に残してきた。
今回4作目のオリジナルアルバム「Reflect」のリリースに際して、自身もトラックメーカーとしての顔を持ち“POPの可能性を広げる”ライブイベント「VICTERA」をプロデュースする篠塚佑輝氏がベールに包まれたInuの素顔に迫った。
INTERVIEW : 篠塚佑輝
TEXT : 石橋肯己
──それではまずはじめに、Inuさんのお名前がユニークで気になったのですが、由来だったりとか命名の経緯を聞いても良いですか?
Inu:音楽を始めたての時は結構日本の人よりは海外の人の方で聴いてくれてる方が多くて、最初につけた名前は忘れたんですけど、ずっと変えたいと思っていて。日本の要素があって、覚えやすくて、かっこつけすぎずというのでそんなに深い意味もなく決めました。
──それこそ日本的な名前をローマ字にする方って、Mura Masaとかがイメージとしてパッと出たりするんですけど、特にそういったシーンからインスピレーションを受けたわけではないですか?
Inu:そういった影響は名前には特になくですね。
──名前を変えたのはいつ頃ですか?
Inu:2020年位ですね。
──昔から聴かせて頂いてるんですけど、僕が一番最初に聴いたのはSoundCloudで、それが2020年あたりだったんじゃないかなという記憶があって。
Inu:本当ですか!ありがとうございます!そうですね。Twitterのアカウントを作ったのも2020年とかで、1年経たないうちに名前を変えた気はするんですけど。5年前とかですね。
──音楽自体は2020年より前からやっていて、2020年ぐらいから本格的に活動しだしたということですかね?
Inu:はい。SoundCloudとかに投稿を始めたのが2020年ぐらいからです。
──それまではどういった活動をされていたんですか?
Inu:スマホのよくわからないアプリでたまに適当にサンプル貼って作ってたぐらいで、それでコロナになって学校行かなくなってパソコンを買ってって感じですね。
──ではコロナがきっかけで本格的にDTMを始めたということですね。
Inu:そうですね。
──よくわからないアプリってGarageBandとかでもないって感じですか?(笑)
Inu:GarageBandでもなく。高校生の時に遊びで作ってましたね。
──なかなか高校生の時にサンプル貼って音楽作ろうと思い立つ人は少ないんじゃないかなって思ってるんですけど、最初に音楽を作り始めようと思ったきっかけはありますか?
Inu:特にきっかけとかはなくて。やることもないし、元々音楽が好きで。当時聴いてたのはEDMでPOPSよりは作り始めやすかったのかなと思いますね。
──作り方はどうやって学んだんですか?YouTubeの動画とか?
Inu:スマホの時は特に調べたりはしてなくて。パソコンでFL Studioにしたときに動画とかを見て学びました。
──そうなんですね。今もSNSとかを拝見しているとFLを使ってるイメージがあるんですけど、パソコンを買ってからはずっとFLですか?
Inu:はい。ずっとFLですね。
──僕はずっとAbleton Liveなので、FLは難しそうだなとか思ったりするんですけど笑
Inu:逆にAbletonが難しそうなイメージしかないです笑 音作りうまい人、音綺麗な人は大抵Abletonな気がします。
──逆にそれこそEDM出身の方とか、FLが多いですよね。
Inu:確かにそうですね。
──そのあたりの方の制作も見てという感じですか?
Inu:Porter RobinsonとかFLなので、その影響もあるかもしれないです。
──そうなんですね。音楽的にはPorterあたりの影響は大きいですか?
Inu:EDM聴き始めがZeddだったので、最初は多分Zeddだった気がします。Porterはもう少し後かもしれないですね。「Nurture」くらい。
──最初からがっつりダンスミュージックを聴かれていたんですね。
Inu:そうですね。最初は128(BPM)の四つ打ちのみたいなのばっかり作っていて。
──四つ打ちで言うと、一番最初に僕がInuさんを知ったのが「transient.」で。記憶が間違っていたら申し訳ないんですけど、それがなんか映画に影響を受けて制作されたとか?SNSで見た様な気がしていて、合ってますか?
Inu:そうですね。結構前ですが(笑)
──そうですよね。映画のワンシーンをそのままSNS動画で引用されてらっしゃったのが、すごく印象的だったんですけど。普段、映画などの作品がきっかけで曲作ることは多いですか?
Inu:映画からはたぶんあれくらいですかね?たぶんあの曲くらい。
もう一個だけ本から制作したものがあるんですけど、それ以外はないですね。
──なるほど、では映画や本から、というよりも、普段は最初からDAWに向かって制作するというスタイルなんですかね?
Inu:そうですね。インスト先行で後から歌を入れて制作しますね。
──インストの中でもどこから作るとかは決まっているんですか?
Inu:ピアノですかね?自分は特に音楽経験とかなくて、楽器も弾けないんですけど。
──ええ?!そうなんですね。
Inu:そうなんです。コード理論とかもちゃんとわかってなくて。でもMIDIでピアノのコードを書いて、そこから始めるのがほとんどですね。
──全然正直、そんなイメージが全くなく、めちゃめちゃアカデミックにやられてたのかなとか思っていたんですけど。ではもう、自分の感覚でコードを組んで制作しているということですね?
Inu:そうですね。これの上にこれを重ねて、いいなと思ってまた重ねて、というのをずっとやっていって作っていますね。
──それはもう本当にすごいっていうか、凄まじいですね。コード感はInuさんのセンスが一番よく光っているところだと思うので。
Inu:本当ですか?良いのか悪いのかわかっていないんですけど、ありがとうございます。
──これからもぜひ大切にしていただけたら、リスナーとしてもすごい嬉しいです。ギターなども別にやられていないんですか?
Inu:はい。やってないですね。持ってはいるんですけど、特段曲作りに使うほど弾けるわけでもなく。
──それこそAssToroさんとの「エンドロール(feat. AssToro)」はかなりロックサウンドだと思うんですけど、そのギターも全部打ち込みですかね?
Inu:そうですね。基本打ち込みしたものをメインにして、空間を埋めるためにギターのサンプルを切り刻んで入れたりして、結構音的にはそれっぽくできてるかなって感じです。
──それこそギターも弾かれる方なのかなと思っていたので…。すごいですね。ロックは普段聴くんですか?
Inu:最近は聴いてないんですけど、高校生の頃とかは海外のポップパンクとかを結構聴いてました。Simple Planとかblink-182とか。もうめっちゃ好きで聴いてましたね。
──実は僕もポップパンク通ってきているので、すごくテンション上がります笑。EDM、ポップパンク以外に通ってきたものはあるんですか?
Inu:EDMも多分、高校生ぐらいまでそこまで聴いてなくて。それまでは海外で流行っていたPOPSのMaroon5とかを聞いてました。邦楽はスピッツくらいですかね。
──では洋楽がずっと基本ではあるんですね。
Inu:そうですね。
──ありがとうございます。もう少しコアな話題になってしまいますが、個人的にInuさんの音のテクスチャー的にいわゆるBotanicaの要素を感じる部分もあって。それこそPorter Robinsonのようなネイチャーっぽさだったり。そのあたりの音を使うようになったのって割と初期からなんでしょうか。自分の中のスタンダードとしてあったみたいな感じですかね?
Inu:はい。それこそ「Nurture」がリリースされた辺りですかね。聴いてすぐにってわけではないと思うんですけど。その時期あたりにそのような音を作った時期があって、だんだん今の感じになってきたという感じです。
──なるほど。
Inu:まあなんて言うんでしょうね。
──いや、その辺りのサウンド感って、まだ言語化があんまりされてないような気がするので文章でひとまとめにするのも嫌だなあって思ってたりするんですけど笑、個人的にはそれこそ「Nurture」以降のサウンドのネイチャー感や特有の自然観みたいなところが、僕の解釈としてはあって。それこそInuさんジャケットとかでも自然の風景をよく使われたりしてるじゃないですか。そこらへんがある種のカルチャーとしてあるのかもなとかは思ったりしてたんですよね。
Inu:ジャケットとしてはただ単に自然というか、都会的なイメージというよりかは、花とか草とかの方がただ単に好きっていうのもあるんですけど(笑)
──都会のコンクリートとかよりは緑の方がということですよね。もともとイメージとして勝手ながら「自然」のイメージがすごくあって、今日経歴も含めていろいろお聞きしたんですけど、それが合致する部分があるなあと思いました。もちろん、記事見る方もどういうアーティストなんだ?と気になって見る方が多いと思うのですが、イメージと一致する方が多いんじゃないかなと思います。
Inu:本当ですか?よかったです。
──先ほどもAssToroさんの話とかをしたと思うんですけど、ハイパーポップといいますか、ハイパーポップという括り自体が苦手なアーティストさんもいるのであまり使いたくはないですが、いわゆるハイパーポップだったりとか、オルタナティブ・ヒップホップに近いところのアーティストとコラボで曲を出されているイメージがあって、普段音楽的な交流があるのはその周辺の方々が多いですか?
Inu:はい、どちらかというと、そもそも表に顔を出さないのもあり、属してないというのもあるのですが。Uztamaさんとかa r u k a .さんとかは結構仲良くさせていただいてます。
──なんか確かにそのあたりの方々もどこかに明確に属してるとは言わないような気がしますね(笑)
Inu:そうですね。くくりっていうくくりがない気がします。
──コラボとしてボーカルで誰かに参加してもらうこともあるかと思いますが、ご自身の声も結構特徴的にミックスされているなと思っていて、あれはフォルマントを変えてるんですかね?
Inu:はい。最初の方はよくわかんないぐらいあげたりとかして、なんならピッチもあげたりとか。そもそも自分が歌から入ったわけじゃないんで、特段歌がうまいとか思ってるわけでもなく、実際そうでもなくって感じで。
──いや、めっちゃうまく聴こえますけどね(笑)
Inu:あ、本当ですか?(笑)それなら良かったです。最初はSpliceとかのボーカルを使っていて次第にオリジナリティ出したいとなってきて、誰かに依頼するのもお金ないし、どうせなら自分で入れようかと思ったのが始まりなんです。自信がないのもあってフォルマントを上げてたりとか最初はしてました。最近はそこまでではないんですけど。
──最初の時期ももちろん印象的だったんですけど、最近の曲も声の特徴が良く出ているな、良い声してらっしゃるなと思って。個人的にはどっちも好きだなと思ってました。
Inu:ありがとうございます。嬉しいです。
── 1、2曲かと思うんですけど、ボーカロイドの可不ちゃんとかも使われているじゃないですか?
Inu:あれはただ可不ちゃんの声を入れたいなと思って入れましたね。
──「q (feat. 可不)」めちゃめちゃ好きで、二番が可不ちゃんが歌っていると思うんですけど、シューゲイザーとかでも男性と女性が一緒に歌うスタイルがよくあるかと思うのですが、飽和した音像にすごく合ってますよね。
Inu:ありがとうございます。
──今後は昔のフォルマントを変えるボーカルよりかは、自分の声をそのまま使っていこうという方針ですか?
Inu:そうですね、もうそれで行こうかなって感じではあります。
──今後も楽しみです。ありがとうございます。ここまではそもそもアーティストとしてのInuさんがどういう方なのかっていうのを知ってもらうために、色々質問させていただいてたんですけど、次の作品のことも何個か聞いてみたいなと思ってまして、それも聞いちゃっても大丈夫ですかね?
Inu:はい。お願いします。
──ありがとうございます。では、まとまった形でアルバムをリリースされるとは思うんですけど、一番最初に先行配信する「ii」という楽曲について聞きたいと思います。まず曲名がすごく印象的だったんですけど、どういった理由でつけられたのですか?
Inu:なんていうんでしょう。「i」で「自分」という意味とか、まぁ形としても「人」みたいなのもあるし、それを思って一人だけの目線というか、誰かがいて成り立つ、みたいな。「2人」というイメージで。そんな特に深い意味に思ってつけたりはしてないんですけど(笑)あとは、今までの作品に比べて歌詞の内容が明るくなって、いわゆる数字の2みたいな、区切りというほど区切りではないんですけど、「次」みたいなのもあってつけました。
──なるほど。人を表す「i」が2つあるという要素と、あとは数字の2という番号的な意味が二つ掛け合わさってるということですかね。
Inu:うん。そうですね。曲名に意味があるみたいなのはこの曲ぐらいな気はしてます。
──そうなんですね。普段って曲名はどういう感じでつけられるんですか?
Inu:全然完全にフィーリングというか。これがいいなみたいなので。あとは歌詞の内容とかを見て考えてって感じではありますね。
──それこそ「ii」については歌詞を見ていて、「別れ」というのが一つテーマなのかなと個人的に思ってまして。ワードとして歌詞にも入ってますし。これは誰との別れをイメージしてるのかなっていうのがすごく気になっていて。例えば恋人なのか?友人なのか?それとも全く別の人との別れなのか。ご自身の中でもしイメージとしてあれば教えていただきたいなと思ったんですけど、逆に、完全に聞き手に委ねますということなのであればそれも教えていただければ。
Inu:はい。基本的に自分の歌詞は余白を持ちたいので、聴き手の人にそれぞれ当てはめてもらいたいっていうのがありますね。だから別に昔の自分でもいいし、友達でもいいし、恋人でもいいし。それぞれ当てはめてもらえたらと思いますね。
──なるほど。歌詞に余白を持たせたいっていうのがすごくいいなって思って。それこそ聞く人によってはラブソングになるし、聞く人によっては人生の別れの歌になるし、聴き手によって全然感じ方が変わってもいいっていうことですよね。
Inu:そうですね。映画を観た後にエンドロールで流れる曲を聴いたらその映画の内容が反映されたりするような感じで、聴いてくれてた人のそれぞれが当てはめられたらいいなって感じでいつも書いてます。
──映画の表現、めちゃくちゃ素敵ですね。人それぞれの人生という映画があって、その中で流れる音楽は、人によって全然感じ方が違っていいっていう話ですよね。
Inu:そうですね。
──そう言われてみると他のアルバムの楽曲でも、余白を感じる歌詞が多いなと思って、ご自身の制作の中では一貫して持っている考えなんでしょうか?
Inu:はい。そうですね。曲自体は完成されてなくても、聴いて、初めて100%になるぐらいのものが作れたらいいなとは思ってますね。
──それを聞いて他のアルバムの歌詞についても納得がいきました。アルバム全体についてもお聞きしたいです。「Intro」が入っていたり、「diary」で、インタールード的な要素を感じたりして、一貫性というか、アルバム全体としての流れをすごく感じまして。今までシングルで出した曲をまとめてアルバムにするという考え方のアーティストがすごく多い時代で、アルバムとして一つの流れを作ろうとしているように感じて。今回アルバム全体のコンセプトとかはあったりするんですか?
Inu:音先行で大抵作るので、コンセプトは特になくて。今年の3月に出したEPはコンセプトがあるんですけど、多分それぐらいです。今後コンセプトがあるアルバム作ってみたい気持ちありますね。
──じゃあもう今作は完全に音として気持ちのいい流れを意識されているということですね。これは絶対シャッフルせず聴いてほしいですね(笑)
Inu:はい、そうですね。音の流れとしてあるので。
──今作の制作自体はいつ頃から取り掛かられたんですか?
Inu:前作が終わってからなので、今年の4月から始めました。
──制作スピードとして結構速いイメージがあるんですけど、アルバムももう4作目ですもんね。
Inu:周りの作ってる人からも速いってよく言われます。
──個人的に制作のタイプとして2種類あるかなと思ってて。流れを大枠で一気に作っちゃって、それを詰めていくタイプか、それともセクションごとに作って、とりあえずフック完成させたら次バースみたいに作っていくタイプか…。
Inu:それで言ったら後者かもしれないですね。
──ひとまずワンセクション作ってみてという感じですか?
Inu:はい。コードが良い具合に書けて、ドロップの原型ができたら自ずとできるという感じです。それを元にイントロ作ったり、ビルドアップ作ったり。
──なるほど、その制作方法もすごいEDM的だなっていうのを感じたので、ルーツが感じられますね。
Inu確かにそうかもしれないです。曲の構成も大抵EDMのものを引っ張ってきているみたいな感じです。イントロあってAメロあってビルドアップあってドロップあってみたいなとかがほとんどなので。
──個人的にはあんまり自分ではビルドアップのセクションを作らないというか、作れないタイプなので、セクションごとに作るんだと思って、すごく納得がいきました。そんなInuさんのルーツも感じられるアルバムですが、どんな人に今回の作品を聴いていただきたいですか?基本的にはやはり聴き手に委ねるというか、限定せずにいろんな人にいろんなものを感じてほしいっていうような感じですかね?
Inu:そうですね、こういう状況の時に聴いてほしいみたいなのは特になく。思い出か、現在進行形のものかなどはこだわらず聴いてほしいなと思っています。
──ありがとうございます。アルバムの全体像や、普段どのように曲を作ってらっしゃるかも含めていろいろ知れました。余談ですが、私はVICTERAというライブイベントを企画しているので、いつか出演してほしいなとも思ったり(笑)今後ライブをする予定とかはあったりするんですか?
Inu:まあゼロではないとは思うんですけど、そんなに期待していただかない方がいいかもしれません。そんな言い切りはできないですが。まあゼロではないと思います、はい(笑)
──ひとまずファンの方には作った楽曲をみんなのスマホとか、手元で聴いてもらってという感じですかね?
Inu:そうですね。自分がノイズになっちゃう気がする感覚がまだあるので。ライブはまだしたくないかなっていう感じではあります。
──なるほど。ライブも素敵だろうなと思うんですが、おっしゃっていることも納得いきます。僕もライブをプロデュースしておいて言うのもあれなんですけど、めちゃめちゃ音源派なんですよ。
Inu:あ、そうなんですか?
──ライブで音源とのギャップがあって良いイメージがつくっていう場合もあったりすると思うんですけど、音源だからこそ感じられる雰囲気というか、それこそInuさん顔出しもされてないと思うんですけど、ビジュアルとかもジャケット写真だからこそ感じられることだったりとか、アーティスト写真からしか感じられない雰囲気みたいなのが、やっぱりあるなと思っているので。聴かれ方も含めて音楽を大切にされている方なのだなっていうのがすごく伝わりました。これから出るアルバムも、リスナーの方に大切に聴いていただきたいですね。本日はありがとうございました。
Inu:ありがとうございました。

Inu – Reflect
Release date : November 26, 2025
Stream : https://inu.lnk.to/Reflect
Tracklist
1. Intro
2. ii
3. mirror
4. diary
5. mono
6. blue+
7. Outro
Music & Lyrics : Inu
Arrangement : Inu
Recorded and Mixed by Inu
Mastered by KOTARO Kojima (FLAIR)
Cover Art Design : Klimova Polina
category:FEATURE
tags:Inu
2025/07/28
8/9 幡ヶ谷FORESTLIMIT cnomiとonu共催による〈放散虫〉が8月9日に幡ヶ谷FORESTLIMITにて開催。エレクトロニカ、アンビエント、ポエトリーを基軸とし、表現の深部に内在する記憶や情景を掬い上げることを目的とする。 放散虫は原生生物の一種。 これを時間による諸現象の解体と再構築、その過程に息づく有機性を含意する言葉として独自に解釈し、イベントの名とした。 ライブアクトに、〈分解系レコーズ〉主宰のひとりで、インターネット音楽に多大な影響を与え続けている存在であるGo-qualia、北九州を拠点に『君が消えていく』『Sans Toi』などをリリースし、精力的にイベント出演を行う電子音楽作家のRyota Ibi、〈Virgin Babylon Records〉からの数々のリリースや、レーベルメイトなどへの客演で歌声を響かせるSSWのSmany、アルバム『Wind Comes to Me』を発表し、近頃は東京を拠点に活動を展開する川が出演。 DJには、主催のcnomiとonuに加え、北海道にてエレクトロニカ、アンビエント、IDMに焦点を当てた《irori》のオーガナイズなどで活躍するcvel、関西より〈i75xsc3e〉からの『imaginary line』のリリースも記憶に新しいil、闇のアニソンクラブイベント こと《DARK ANIMA》の主宰など主に首都圏で活躍するディガーのカルトが参加。 映像は《Reminiscenece》を主催し、奇怪電波倶楽部とのユニット、「光毒」でも活動しているNiが担当。フライヤーは出演者全員によって一枚ずつ提出された画像群にNiが編集を加えたもの。 以下、コメント 加水分解、忘却、分裂、死、があれど日常は続きます。 存在の残滓はどこかを幽かに漂い続けるはずですし、いつかその感触をおぼえることがあるやもしれません。 たとえば、温室の写真、マドレーヌ、精霊馬、あるいは堆積物にふれたとき。 この日もまた、追憶を促すよりしろのひとつになりうると考えます。 (cnomi) ふとした風景や音の揺らぎが、記憶の片隅に触れることがあります。 忘れていたはずの面影が、微かなものから徐々に形を帯び、滲/nd_e9く。 時間によってほどかれ、また編み直されていく現象たち―― その過程に息づく気配に、ゆっくり手を伸ばしてみたいと思っています。 (onu) – 〈放散虫〉 2025年8月9日(土) 会場:FORESTLIMIT OPEN 16:50 / START 17:00 / CLOSE 22:30 料金:予約/当日 ¥2800/¥3300(all+1D) 予約フォーム: https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSdlwxF1Xtr7Tv4ZtsiMT3roreCSSxjKpANjregqbq5EwI1DnQ/viewform 出演: LIVE Go-qualia Ryota Ibi Smany 川 DJ cnomi cvel(video) il onu カルト 映像 Ni FLYER everyone(edited by Ni)
2024/01/26
1/28 Arai Associates 写真映像を中心に東京で活動するアーティスト黒田零と北海道知床在住で狩猟をしながらアーティスト活動している川村喜一の2人による現在開催中の展示「心臓に毛皮を纏い」” Lest our hearts grow cold ” の展示最終日にクロージングイベント「Quiet prayer noise」が開催。 国内外のimprovisation界で活動し、Keith Roweや大友良英らともコラボしている杉本拓や、ソロとして初ライブを行うHomie Homisideのギターnoëlle、さらにアーティストとして活動している渡邉庸平、高橋臨太郎、映像作家の斎藤玲児の3人で結成されたインダストリアルな音楽集団Big Dragons、実験的なメンバーが揃う。 会場はライブハウスやクラブでは無く、元工場でコンクリート、鉄骨や金属面が露出した壁面が残る建物だ。静寂さや展示空間ともコミュニケーションをとりながら各演者達による普段と少し違う音が展開され、祈りとしてのノイズがその場にあるものたち、存在と絡み合いながら響く現象を起こす༄ 会場は寒いので温かいホットワイン等をbar p control の2人が用意する。 また、会場には募金箱を設け、売り上げが出たらパレスチナ、石川への募金に当てる。 – closing event 1/28 18:30-22:00 ¥2000 / Under25 ¥1500 Arai Associates 5-6-11 Kotobashi,Sumida-ku,Tokyo https://araiassociates.com/ Act Jan Urila Sas Big Dragons Prius Missile noëlle Theo Francesco 0:brei Rench Kee Taku Sugimoto Photographer FUJI Drinks BAR P CONTROL Flyer Kan igo “Quiet prayer noise” 今回の展示のクロージングイベントを行います✧✧✧ どうしようもない事ばかりが起こる世界のなかだからこそ熱をもっている人たちにお願いしました。 ✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧✧ ・展示は18:00までです ・会場周辺は住宅街です。会場外での滞留、騒音、喫煙、飲酒、その他近隣への迷惑となる行為はご遠慮ください ・再入場できません ・喫煙は指定の場所でお願いします 展示概要 「心臓に毛皮を纏い」 ” Lest our hearts grow cold “ 川村喜一 Kiichi Kawamura 黒田零 Rei Kuroda 2024年1月12日(金)~1月28日(日) 月・火曜 休廊 13:00-19:00 Arai Associates 〒130-0022 東京都墨田区江東橋5丁目6−11https://araiassociates.com/ ————— ” Lest our hearts grow cold
2020/01/21
2月4日リリース Okay Vivianは、トルコのシンガーソングライターPervin Güzeldereのプロジェクト。実験的でミニマルな構成の楽曲に独特なポップ要素を散りばめた新作『Diamond Sparks For Eyes』をポーランド・ワルシャワの〈IA〉から発表された。 彼女の音楽は、エーテルのような静かな空間に、重いビート、空間に散らばったボーカル、呼吸、ささやきを組み合わせている。アーティスト写真はSefa Sungur、EPのアートワークはOkay Vivian自身が手がけている。先行でタイトル曲が公開。 また、昨年11月に〈IA〉は全ての楽曲に声の要素を含んだコンピレーション『Love Song』を発表している。主宰のB.yhzzやKryをはじめ、〈NON〉のChino Amobi、静岡のBokugo、Nujiなどが参加した全9曲の収益は絶滅危惧種をサポートする〈The EDGE of Existence〉へ送られる。 Okay Vivian – “Diamond Sparks For Eyes” 1. Diamond Sparks For Eyes 2. The Cost Buried Beneath 3. Shield 4. Downer Journal / My Inside Out 5. Summers
4thアルバム『Reflect』リリース

有機的な音像をエレクトロポップへと昇華させるトラックメーカー、Inu。2020年よりSoundCloud にて楽曲を投稿し始め、2021年から各種ストリーミングサービス上で楽曲をリリースし本格的に活動をスタートさせた。作詞・作曲・編曲・録音・ミックスに加え、映像制作までも一貫して自身で手がけながら、2022年にリリースした1stアルバム「Reminder」で、lilbesh ramko、Asstoro、vqなどを迎え、突如シーンに存在感を示し、これまで4年間の活動の中でアルバム3作とEP3作を世に残してきた。
今回4作目のオリジナルアルバム「Reflect」のリリースに際して、自身もトラックメーカーとしての顔を持ち“POPの可能性を広げる”ライブイベント「VICTERA」をプロデュースする篠塚佑輝氏がベールに包まれたInuの素顔に迫った。
INTERVIEW : 篠塚佑輝
TEXT : 石橋肯己
──それではまずはじめに、Inuさんのお名前がユニークで気になったのですが、由来だったりとか命名の経緯を聞いても良いですか?
Inu:音楽を始めたての時は結構日本の人よりは海外の人の方で聴いてくれてる方が多くて、最初につけた名前は忘れたんですけど、ずっと変えたいと思っていて。日本の要素があって、覚えやすくて、かっこつけすぎずというのでそんなに深い意味もなく決めました。
──それこそ日本的な名前をローマ字にする方って、Mura Masaとかがイメージとしてパッと出たりするんですけど、特にそういったシーンからインスピレーションを受けたわけではないですか?
Inu:そういった影響は名前には特になくですね。
──名前を変えたのはいつ頃ですか?
Inu:2020年位ですね。
──昔から聴かせて頂いてるんですけど、僕が一番最初に聴いたのはSoundCloudで、それが2020年あたりだったんじゃないかなという記憶があって。
Inu:本当ですか!ありがとうございます!そうですね。Twitterのアカウントを作ったのも2020年とかで、1年経たないうちに名前を変えた気はするんですけど。5年前とかですね。
──音楽自体は2020年より前からやっていて、2020年ぐらいから本格的に活動しだしたということですかね?
Inu:はい。SoundCloudとかに投稿を始めたのが2020年ぐらいからです。
──それまではどういった活動をされていたんですか?
Inu:スマホのよくわからないアプリでたまに適当にサンプル貼って作ってたぐらいで、それでコロナになって学校行かなくなってパソコンを買ってって感じですね。
──ではコロナがきっかけで本格的にDTMを始めたということですね。
Inu:そうですね。
──よくわからないアプリってGarageBandとかでもないって感じですか?(笑)
Inu:GarageBandでもなく。高校生の時に遊びで作ってましたね。
──なかなか高校生の時にサンプル貼って音楽作ろうと思い立つ人は少ないんじゃないかなって思ってるんですけど、最初に音楽を作り始めようと思ったきっかけはありますか?
Inu:特にきっかけとかはなくて。やることもないし、元々音楽が好きで。当時聴いてたのはEDMでPOPSよりは作り始めやすかったのかなと思いますね。
──作り方はどうやって学んだんですか?YouTubeの動画とか?
Inu:スマホの時は特に調べたりはしてなくて。パソコンでFL Studioにしたときに動画とかを見て学びました。
──そうなんですね。今もSNSとかを拝見しているとFLを使ってるイメージがあるんですけど、パソコンを買ってからはずっとFLですか?
Inu:はい。ずっとFLですね。
──僕はずっとAbleton Liveなので、FLは難しそうだなとか思ったりするんですけど笑
Inu:逆にAbletonが難しそうなイメージしかないです笑 音作りうまい人、音綺麗な人は大抵Abletonな気がします。
──逆にそれこそEDM出身の方とか、FLが多いですよね。
Inu:確かにそうですね。
──そのあたりの方の制作も見てという感じですか?
Inu:Porter RobinsonとかFLなので、その影響もあるかもしれないです。
──そうなんですね。音楽的にはPorterあたりの影響は大きいですか?
Inu:EDM聴き始めがZeddだったので、最初は多分Zeddだった気がします。Porterはもう少し後かもしれないですね。「Nurture」くらい。
──最初からがっつりダンスミュージックを聴かれていたんですね。
Inu:そうですね。最初は128(BPM)の四つ打ちのみたいなのばっかり作っていて。
──四つ打ちで言うと、一番最初に僕がInuさんを知ったのが「transient.」で。記憶が間違っていたら申し訳ないんですけど、それがなんか映画に影響を受けて制作されたとか?SNSで見た様な気がしていて、合ってますか?
Inu:そうですね。結構前ですが(笑)
──そうですよね。映画のワンシーンをそのままSNS動画で引用されてらっしゃったのが、すごく印象的だったんですけど。普段、映画などの作品がきっかけで曲作ることは多いですか?
Inu:映画からはたぶんあれくらいですかね?たぶんあの曲くらい。
もう一個だけ本から制作したものがあるんですけど、それ以外はないですね。
──なるほど、では映画や本から、というよりも、普段は最初からDAWに向かって制作するというスタイルなんですかね?
Inu:そうですね。インスト先行で後から歌を入れて制作しますね。
──インストの中でもどこから作るとかは決まっているんですか?
Inu:ピアノですかね?自分は特に音楽経験とかなくて、楽器も弾けないんですけど。
──ええ?!そうなんですね。
Inu:そうなんです。コード理論とかもちゃんとわかってなくて。でもMIDIでピアノのコードを書いて、そこから始めるのがほとんどですね。
──全然正直、そんなイメージが全くなく、めちゃめちゃアカデミックにやられてたのかなとか思っていたんですけど。ではもう、自分の感覚でコードを組んで制作しているということですね?
Inu:そうですね。これの上にこれを重ねて、いいなと思ってまた重ねて、というのをずっとやっていって作っていますね。
──それはもう本当にすごいっていうか、凄まじいですね。コード感はInuさんのセンスが一番よく光っているところだと思うので。
Inu:本当ですか?良いのか悪いのかわかっていないんですけど、ありがとうございます。
──これからもぜひ大切にしていただけたら、リスナーとしてもすごい嬉しいです。ギターなども別にやられていないんですか?
Inu:はい。やってないですね。持ってはいるんですけど、特段曲作りに使うほど弾けるわけでもなく。
──それこそAssToroさんとの「エンドロール(feat. AssToro)」はかなりロックサウンドだと思うんですけど、そのギターも全部打ち込みですかね?
Inu:そうですね。基本打ち込みしたものをメインにして、空間を埋めるためにギターのサンプルを切り刻んで入れたりして、結構音的にはそれっぽくできてるかなって感じです。
──それこそギターも弾かれる方なのかなと思っていたので…。すごいですね。ロックは普段聴くんですか?
Inu:最近は聴いてないんですけど、高校生の頃とかは海外のポップパンクとかを結構聴いてました。Simple Planとかblink-182とか。もうめっちゃ好きで聴いてましたね。
──実は僕もポップパンク通ってきているので、すごくテンション上がります笑。EDM、ポップパンク以外に通ってきたものはあるんですか?
Inu:EDMも多分、高校生ぐらいまでそこまで聴いてなくて。それまでは海外で流行っていたPOPSのMaroon5とかを聞いてました。邦楽はスピッツくらいですかね。
──では洋楽がずっと基本ではあるんですね。
Inu:そうですね。
──ありがとうございます。もう少しコアな話題になってしまいますが、個人的にInuさんの音のテクスチャー的にいわゆるBotanicaの要素を感じる部分もあって。それこそPorter Robinsonのようなネイチャーっぽさだったり。そのあたりの音を使うようになったのって割と初期からなんでしょうか。自分の中のスタンダードとしてあったみたいな感じですかね?
Inu:はい。それこそ「Nurture」がリリースされた辺りですかね。聴いてすぐにってわけではないと思うんですけど。その時期あたりにそのような音を作った時期があって、だんだん今の感じになってきたという感じです。
──なるほど。
Inu:まあなんて言うんでしょうね。
──いや、その辺りのサウンド感って、まだ言語化があんまりされてないような気がするので文章でひとまとめにするのも嫌だなあって思ってたりするんですけど笑、個人的にはそれこそ「Nurture」以降のサウンドのネイチャー感や特有の自然観みたいなところが、僕の解釈としてはあって。それこそInuさんジャケットとかでも自然の風景をよく使われたりしてるじゃないですか。そこらへんがある種のカルチャーとしてあるのかもなとかは思ったりしてたんですよね。
Inu:ジャケットとしてはただ単に自然というか、都会的なイメージというよりかは、花とか草とかの方がただ単に好きっていうのもあるんですけど(笑)
──都会のコンクリートとかよりは緑の方がということですよね。もともとイメージとして勝手ながら「自然」のイメージがすごくあって、今日経歴も含めていろいろお聞きしたんですけど、それが合致する部分があるなあと思いました。もちろん、記事見る方もどういうアーティストなんだ?と気になって見る方が多いと思うのですが、イメージと一致する方が多いんじゃないかなと思います。
Inu:本当ですか?よかったです。
──先ほどもAssToroさんの話とかをしたと思うんですけど、ハイパーポップといいますか、ハイパーポップという括り自体が苦手なアーティストさんもいるのであまり使いたくはないですが、いわゆるハイパーポップだったりとか、オルタナティブ・ヒップホップに近いところのアーティストとコラボで曲を出されているイメージがあって、普段音楽的な交流があるのはその周辺の方々が多いですか?
Inu:はい、どちらかというと、そもそも表に顔を出さないのもあり、属してないというのもあるのですが。Uztamaさんとかa r u k a .さんとかは結構仲良くさせていただいてます。
──なんか確かにそのあたりの方々もどこかに明確に属してるとは言わないような気がしますね(笑)
Inu:そうですね。くくりっていうくくりがない気がします。
──コラボとしてボーカルで誰かに参加してもらうこともあるかと思いますが、ご自身の声も結構特徴的にミックスされているなと思っていて、あれはフォルマントを変えてるんですかね?
Inu:はい。最初の方はよくわかんないぐらいあげたりとかして、なんならピッチもあげたりとか。そもそも自分が歌から入ったわけじゃないんで、特段歌がうまいとか思ってるわけでもなく、実際そうでもなくって感じで。
──いや、めっちゃうまく聴こえますけどね(笑)
Inu:あ、本当ですか?(笑)それなら良かったです。最初はSpliceとかのボーカルを使っていて次第にオリジナリティ出したいとなってきて、誰かに依頼するのもお金ないし、どうせなら自分で入れようかと思ったのが始まりなんです。自信がないのもあってフォルマントを上げてたりとか最初はしてました。最近はそこまでではないんですけど。
──最初の時期ももちろん印象的だったんですけど、最近の曲も声の特徴が良く出ているな、良い声してらっしゃるなと思って。個人的にはどっちも好きだなと思ってました。
Inu:ありがとうございます。嬉しいです。
── 1、2曲かと思うんですけど、ボーカロイドの可不ちゃんとかも使われているじゃないですか?
Inu:あれはただ可不ちゃんの声を入れたいなと思って入れましたね。
──「q (feat. 可不)」めちゃめちゃ好きで、二番が可不ちゃんが歌っていると思うんですけど、シューゲイザーとかでも男性と女性が一緒に歌うスタイルがよくあるかと思うのですが、飽和した音像にすごく合ってますよね。
Inu:ありがとうございます。
──今後は昔のフォルマントを変えるボーカルよりかは、自分の声をそのまま使っていこうという方針ですか?
Inu:そうですね、もうそれで行こうかなって感じではあります。
──今後も楽しみです。ありがとうございます。ここまではそもそもアーティストとしてのInuさんがどういう方なのかっていうのを知ってもらうために、色々質問させていただいてたんですけど、次の作品のことも何個か聞いてみたいなと思ってまして、それも聞いちゃっても大丈夫ですかね?
Inu:はい。お願いします。
──ありがとうございます。では、まとまった形でアルバムをリリースされるとは思うんですけど、一番最初に先行配信する「ii」という楽曲について聞きたいと思います。まず曲名がすごく印象的だったんですけど、どういった理由でつけられたのですか?
Inu:なんていうんでしょう。「i」で「自分」という意味とか、まぁ形としても「人」みたいなのもあるし、それを思って一人だけの目線というか、誰かがいて成り立つ、みたいな。「2人」というイメージで。そんな特に深い意味に思ってつけたりはしてないんですけど(笑)あとは、今までの作品に比べて歌詞の内容が明るくなって、いわゆる数字の2みたいな、区切りというほど区切りではないんですけど、「次」みたいなのもあってつけました。
──なるほど。人を表す「i」が2つあるという要素と、あとは数字の2という番号的な意味が二つ掛け合わさってるということですかね。
Inu:うん。そうですね。曲名に意味があるみたいなのはこの曲ぐらいな気はしてます。
──そうなんですね。普段って曲名はどういう感じでつけられるんですか?
Inu:全然完全にフィーリングというか。これがいいなみたいなので。あとは歌詞の内容とかを見て考えてって感じではありますね。
──それこそ「ii」については歌詞を見ていて、「別れ」というのが一つテーマなのかなと個人的に思ってまして。ワードとして歌詞にも入ってますし。これは誰との別れをイメージしてるのかなっていうのがすごく気になっていて。例えば恋人なのか?友人なのか?それとも全く別の人との別れなのか。ご自身の中でもしイメージとしてあれば教えていただきたいなと思ったんですけど、逆に、完全に聞き手に委ねますということなのであればそれも教えていただければ。
Inu:はい。基本的に自分の歌詞は余白を持ちたいので、聴き手の人にそれぞれ当てはめてもらいたいっていうのがありますね。だから別に昔の自分でもいいし、友達でもいいし、恋人でもいいし。それぞれ当てはめてもらえたらと思いますね。
──なるほど。歌詞に余白を持たせたいっていうのがすごくいいなって思って。それこそ聞く人によってはラブソングになるし、聞く人によっては人生の別れの歌になるし、聴き手によって全然感じ方が変わってもいいっていうことですよね。
Inu:そうですね。映画を観た後にエンドロールで流れる曲を聴いたらその映画の内容が反映されたりするような感じで、聴いてくれてた人のそれぞれが当てはめられたらいいなって感じでいつも書いてます。
──映画の表現、めちゃくちゃ素敵ですね。人それぞれの人生という映画があって、その中で流れる音楽は、人によって全然感じ方が違っていいっていう話ですよね。
Inu:そうですね。
──そう言われてみると他のアルバムの楽曲でも、余白を感じる歌詞が多いなと思って、ご自身の制作の中では一貫して持っている考えなんでしょうか?
Inu:はい。そうですね。曲自体は完成されてなくても、聴いて、初めて100%になるぐらいのものが作れたらいいなとは思ってますね。
──それを聞いて他のアルバムの歌詞についても納得がいきました。アルバム全体についてもお聞きしたいです。「Intro」が入っていたり、「diary」で、インタールード的な要素を感じたりして、一貫性というか、アルバム全体としての流れをすごく感じまして。今までシングルで出した曲をまとめてアルバムにするという考え方のアーティストがすごく多い時代で、アルバムとして一つの流れを作ろうとしているように感じて。今回アルバム全体のコンセプトとかはあったりするんですか?
Inu:音先行で大抵作るので、コンセプトは特になくて。今年の3月に出したEPはコンセプトがあるんですけど、多分それぐらいです。今後コンセプトがあるアルバム作ってみたい気持ちありますね。
──じゃあもう今作は完全に音として気持ちのいい流れを意識されているということですね。これは絶対シャッフルせず聴いてほしいですね(笑)
Inu:はい、そうですね。音の流れとしてあるので。
──今作の制作自体はいつ頃から取り掛かられたんですか?
Inu:前作が終わってからなので、今年の4月から始めました。
──制作スピードとして結構速いイメージがあるんですけど、アルバムももう4作目ですもんね。
Inu:周りの作ってる人からも速いってよく言われます。
──個人的に制作のタイプとして2種類あるかなと思ってて。流れを大枠で一気に作っちゃって、それを詰めていくタイプか、それともセクションごとに作って、とりあえずフック完成させたら次バースみたいに作っていくタイプか…。
Inu:それで言ったら後者かもしれないですね。
──ひとまずワンセクション作ってみてという感じですか?
Inu:はい。コードが良い具合に書けて、ドロップの原型ができたら自ずとできるという感じです。それを元にイントロ作ったり、ビルドアップ作ったり。
──なるほど、その制作方法もすごいEDM的だなっていうのを感じたので、ルーツが感じられますね。
Inu確かにそうかもしれないです。曲の構成も大抵EDMのものを引っ張ってきているみたいな感じです。イントロあってAメロあってビルドアップあってドロップあってみたいなとかがほとんどなので。
──個人的にはあんまり自分ではビルドアップのセクションを作らないというか、作れないタイプなので、セクションごとに作るんだと思って、すごく納得がいきました。そんなInuさんのルーツも感じられるアルバムですが、どんな人に今回の作品を聴いていただきたいですか?基本的にはやはり聴き手に委ねるというか、限定せずにいろんな人にいろんなものを感じてほしいっていうような感じですかね?
Inu:そうですね、こういう状況の時に聴いてほしいみたいなのは特になく。思い出か、現在進行形のものかなどはこだわらず聴いてほしいなと思っています。
──ありがとうございます。アルバムの全体像や、普段どのように曲を作ってらっしゃるかも含めていろいろ知れました。余談ですが、私はVICTERAというライブイベントを企画しているので、いつか出演してほしいなとも思ったり(笑)今後ライブをする予定とかはあったりするんですか?
Inu:まあゼロではないとは思うんですけど、そんなに期待していただかない方がいいかもしれません。そんな言い切りはできないですが。まあゼロではないと思います、はい(笑)
──ひとまずファンの方には作った楽曲をみんなのスマホとか、手元で聴いてもらってという感じですかね?
Inu:そうですね。自分がノイズになっちゃう気がする感覚がまだあるので。ライブはまだしたくないかなっていう感じではあります。
──なるほど。ライブも素敵だろうなと思うんですが、おっしゃっていることも納得いきます。僕もライブをプロデュースしておいて言うのもあれなんですけど、めちゃめちゃ音源派なんですよ。
Inu:あ、そうなんですか?
──ライブで音源とのギャップがあって良いイメージがつくっていう場合もあったりすると思うんですけど、音源だからこそ感じられる雰囲気というか、それこそInuさん顔出しもされてないと思うんですけど、ビジュアルとかもジャケット写真だからこそ感じられることだったりとか、アーティスト写真からしか感じられない雰囲気みたいなのが、やっぱりあるなと思っているので。聴かれ方も含めて音楽を大切にされている方なのだなっていうのがすごく伝わりました。これから出るアルバムも、リスナーの方に大切に聴いていただきたいですね。本日はありがとうございました。
Inu:ありがとうございました。

Inu – Reflect
Release date : November 26, 2025
Stream : https://inu.lnk.to/Reflect
Tracklist
1. Intro
2. ii
3. mirror
4. diary
5. mono
6. blue+
7. Outro
Music & Lyrics : Inu
Arrangement : Inu
Recorded and Mixed by Inu
Mastered by KOTARO Kojima (FLAIR)
Cover Art Design : Klimova Polina
1/23 DAY & NIGHT / 渋谷 5会場・7フロア使用
more
12月に東京大阪を回るジャパンツアー開催
more