2025/02/10
初のサウンド・フィクション・プロジェクト。CD+書籍で発売
韓国・ソウル出身、オランダ・ハーグ在住のマルチアーティスト・Jiyoung Wiが、最新作『4’44”』を“神聖な女性性”を追求するUKのレーベル〈Doyenne〉より2月12日にリリース。
彼女にとって初のサウンド・フィクション・プロジェクトとなり、テキストと音の関係を考察し非画像ベースの媒体の物語の可能性を示唆するものとして、書籍とCDのセット形態での販売となる。
『4’44 “』は一連の手紙として構成され、各章は会話の一方的な書き起こしで始まる。付属のオーディオ・トラックは、フィールド・レコーディングによって収集された環境音と、7人のスピーカーによる原稿の朗読を組み合わせたもの。
韓国語のほか、日本語、中国語、ベンガル語、英語、リトアニア語、トルコ語の6言語が用いられている。あえて複数の言語を使用することで、テキストの文化的、地理的な文脈を単一にまとめず、話者のアイデンティティを不明瞭にするという意図が込められているとのこと。
本作のストーリーは、語り手が自身の謎めいた病のさまざまな段階を綴りながら、分裂した精神に頼って生きていく姿を描いていくというもの。
家父長的権威がほとんど存在しない世界において、主人公のトラウマは肉体的な病気として現れ、彼女を蝕み、導く共生的な力となり、ロボトミー化された存在の未来を拒むように導く。この物語は、記憶とアイデンティティがどのように具現化され、死がどのようにして抵抗と存在の急進的な形態として現れるかを強調している。
タイトルはジョン・ケージの『4’33″』を引用したもので、273秒の長さを持ち、しばしば-273℃、つまり「絶対零度」を指していると解釈される。Jiyoung Wiは11秒を付加し「4’44”」とすることで「他者」について考えるためのインターバルを作り出し、送り手(自己)と受け手(他者)の両方が関わる「手紙を書くという行為」を映し出しているようだ。
また、「4」という数字は多くのアジア文化圏で「死」を連想させるものでもある。4分33秒の宙吊りのような雰囲気と、短時間であるにもかかわらず、思索に駆り立てられる瞬間を組み合わせた「4分44秒」の文字は、自己を超えたところにあるもの、死の端にあるものについての瞑想を誘う。
Jiyoung Wi – 4’44”
Label / Publisher : 〈Doyenne〉 (Doyenne Books)
Release date : February 12, 2025
Format : Softcover, 165 pages, Black-and-White, 128×205mm, CD included
Translation : Dayun Ryu
Editors : Yeasul Shin (Korean), Gye Taekgon (桂澤坤) (English)
Design : Yongwan Jeon
Sound mastering: Lawrence McGuire
Bandcamp : https://doyenne-books.bandcamp.com/album/d-08-jiyoung-wi-444
Tracklist :
1. Me in my flat in N*rth Korea Pt.1
2. Me in my flat in N*rth Korea Pt.2
3. MRI scanner ads on YouTube
4. Tzu Ni in the cursed elevator
5. Rina in the cursed elevator
6. Elif in the free field
7. Gabrielė at the university hospital where she hates working
8. Sohyun in the interrogation room
9. Avita in the unlicensed nursing home
10. … in the …
category:NEWS
tags:Jiyoung Wi
2024/01/31
フィールド録音+MS-20 韓国ソウル出身、オランダ・ハーグ在住のマルチアーティスト。Jiyoung Wiの作品は、フィクション文学、即興音楽、フィールド・レコーディングの中に位置づけることができ、彼女の音楽的、文学的方法論を通して、これらの実践分野を並置または接合することに興味を抱いている。 Jiyoung WiのデビューEP『Accept All Cookies』は、12インチLPフォーマットの中での彼女の作品の出発点を告げる。これまでMirae Arts、EasternNurseries、Psychic Liberationといったレーベルからコンピレーションに参加してきた彼女は、ここで映画のような構造を生み出し、彼女の技巧の中のバイオームを例証する。現在、Jiyoung Wiはヴァイオリンの体系的な解体を、接近可能なブティック・シンセサイザーと組み合わせたライヴ・インプロヴィゼーションで披露しているが、『Accept All Cookies』は、KORG MS-20と、Jiyoung Wiが韓国のソウルと釜山で上演または撮影したフィールド・レコーディングとの組み合わせである。 片面につき3つのシーンがあり、さまざまな地理的、空間的な親密さの中を私たちを歩かせる。公共空間や親密な会話は曖昧にされ、再構築される。ガラス張りのエレベーター、見知らぬホテルのロビーでのピアノ・リサイタル、オフィスのトイレでの悪口、窓辺の夜景……そして複数の言語が、演出された会話と演出されていない会話とが交錯し、彼女の見る世界へと変容していく。Jiyoung Wiが「サウンド・フィクション」と名付けたシリーズの延長線上にあるこのアルバムは、歯切れがよく、プレッシャーを感じさせ、時に滑稽で、時にメランコリックに感じられる。Jiyoung Wiの簡潔なアルバムは、言語、空間、見る視点が移り変わるにつれて、リスナーを独自の視点による聴覚世界へと誘う。外部世界(会話、年長者、Sungeun Leeをフィーチャーしたエンディング・トラック)に依拠したソースを集めながら、Jiyoung Wiの視点を深く示すリスニング体験ができる。 Jiyoung Wi – Accept All Cookies Label : Enmossed / Psychic Liberation Release date : Jan 30 2024 https://enmossed.bandcamp.com/album/accept-all-cookies Tracklist 1. Packing Up In The Penthouse 2. S*fe Word 3. Swipe Left 4. Walking Tumor 5. Godspeed 6. Nothing To Declare (feat. Sungeun Lee)
2023/02/14
東京、松本、京都でパフォーマンス 韓国・ソウルを拠点に活動するプロデューサー/DJのJoyul、Yeong Die、Jiyoung Wiのジャパンツアーが開催決定。東京、松本、京都の3都市でのパフォーマンスが予定されている。多様なスタイルのアーティストが交差するソウルのシーンを拠点に活動する3者は今回が日本では初のパフォーマンスとなる。 Joyulは2021年にアルバム『Earwitness』をリリース。音響/電子音楽でありながらGrouper, 青葉市子などを感じさせるフォーク的なアプローチを取り入れた本作で評価を得た。昨年はBig Theifのソウル公演でオープニングアクトを務めた。 Yeong Dieは昨年EP『WEATHER Z』を発表。その後、同じく韓国出身のアーティストbelaと共にヨーロッパツアーを行い、多くの都市でパフォーマンスを行った。多岐にわたるスタイルの音楽から影響を受け、カテゴリに縛られないアプローチを続けるアーティストである。影響を受けたDJとして日本の威力をあげている。 Jiyoung WiはMirae Artsから発表されたコンピレーション『Spring Snow』などへの参加や複数のミックスの発表、DJ活動に加えて、エキシビションでのパフォーマンスなども行うアーティストである。2020年に韓国と日本のアーティストに焦点を当てたコンピレーション『INTIMATE GHOSTING』をキュレートし、Nick KelinのレーベルであるPsychic Liberationより発表された。 東京公演では、RVNG Intlからアルバム『Awa』を発表したSatomimagae、butajiとのプロジェクトbutasakuでのリミックスアルバムも記憶に新しい京都の音楽家Yusaku Araiがライブセットで出演。DJには東京のshiranaihanaを迎え、UltrafogとPA Shota Murakoshiによるオーガナイズで行われる。松本公演はGive me little more、京都公演は外にて開催。詳細は近日発表される。 -東京公演– @ 下北沢 SPREAD “LISTENING TO COLORS” 2023.03.12 SUN. OPEN 18:00 | START 18:00 ADV. ¥2,900 | DOOR. ¥3,400 | U24 ¥2,400 (All +1D) TICKET: https://t.livepocket.jp/e/pgc8_ LIVE: Joyul (South Korea) Jiyoung Wi (South Korea) Satomimagae Yusaku Arai Ultrafog DJ: Yeong Die (South Korea) shiranaihana – 再入場可 *再入場毎にドリンク代頂きます / A drink ticket fee
2023/05/10
Yoshitaka Hikawa、renko、Yoyou参加 『Exstasis』は、天然と合成の関係を探ります。生命とロボット工学の境界を打ち破り、その豊かなアンビエントテクスチャと自然な雰囲気が、氷のようなエレクトロニックリードとロボットのメロディーと共に織り込まれています。『Extasis』は、削ぎ落とされた自然主義的な雰囲気の中で息をする空間を与えられた混沌としたトランス サウンドスケープの中で、圧倒的な感情の波を呼び起こします。アルバムとそのカバーアートは、スピリットとテクノロジーの境界を探り、2 つの抽象的な収束を生み出し、機械的な世界で自然とつながることの意味を探っています。 Azrel – Exstasis Label : Mizuha 罔象 Release date : May 14th 2023 Produced by Azrel Mastered by Wim Dehaen Artwork by simon https://mizuhamizuha.bandcamp.com/album/exstasis Tracklist 1. Mist Shield 2. Radiance 3. Breath 4. Emerald Vizor (w/ Yoshitaka Hikawa) 5. Sheath-Winged (ft. renko) 6. Shishigami 7. Black Luster 8. Cordyceps 9. Frozen Filter 10. Mōryō (ft. Yoyou) 11. Dryad
人工的な音像と、動植物的世界を結びつけるピュアな視点
2/23 渋谷STUDIO FREEDOM
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photo by Elsa Kostic more