2024/02/23
モラトリアムとして過ごした断片の集積、これからの生活
モラトリアム=moratoriumとは、主に政府による一時停止や猶予、またその期間を意味する語。心理学者エリク・H・エリクソンによって心理学に導入された概念「心理社会的モラトリアム」は、学生などが社会に出て一人前の人間となるために猶予されている状態を指す。
トラックメイカー・sngが〈KAOMOZI〉からリリースするのは、彼の中でモラトリアムとして経過した19歳という1年をパッケージングした内省的な作品集。19年間疑う余地なく生きてきた”社会生活”というものが開けた瞬間。本人にとっては最も「社会」と感じていた大学生活。治療のために与えられた休学という選択肢。「今ならば、その場所で生きていけるかもしれない」という希望の中でつくられた音楽。極度に歪められたボーカルとelectronic/digicoreの影響が伺えるサウンドは恐る恐る自らの輪郭をなぞるような躊躇いと同時に、今後へのささやかな期待を予期させる。
マスタリングは〈KAOMOZI〉からリリースを重ね、sngとも親交の深いうえだなおふみが担当。アートワーク・トレイラーはsng自身の写真をベースにしながら、〈KAOMOZI〉オーナーの駒澤零が構成している。
sng – moratorium
Label : KAOMOZI
Release date : Feb 23 2024
https://big-up.style/4WA9JkqUiL
https://kaomozi.bandcamp.com/album/moratorium
1. one’s…
2. methyl
3. fall
4. teenage dropout(s) w/NINJA漫
5. tranquilizer
6. zelle
category:NEWS
tags:sng
2024/04/17
KAOMOZIより ミニマルに都市を想像する。個人的だが同時に政治的でもあると感じる日々の生活の中で、時折見え隠れする希望と絶望。矛盾するものが同時に空間に存在することの奇妙さ、そうした奇妙さのうねりの中に身を置く違和感と、どうしようもなさ。うるさく楽しげな日々は続いていく。いつかまだ見ぬ「君」 に出会う。 トラックメイカー・&&moreが1st EPのテーマに選んだのは自分と都市との関係だった。感染症、不況、既存のシステムの崩壊、世の中が大きく変動する不安定な時期に多感な時代を過ごした世代から見た東京は、様々なアンビバレンスと要素が交錯する混沌と人の影だった。内製的なElectronicサウンドが、ほんの少しの躊躇いをもってリスナーの生活にアクセスする。 ビジュアルにはモデルの曖寧を起用し、≪KAOMOZI≫オーナーの駒澤零が撮影を担当。ポップな色合いの中で撮られた写真や映像たちは、生活感とふんわりとした未来への手触りを予期させる。 &&more – そこに住むあなたへ Label : KAOMOZI Release date : April 17 2024 Bandcamp : https://kaomozi.bandcamp.com/album/–76 Stream : https://linkcloud.mu/581e6d21 Tracklist 1. 観光案内所 2. 東京より 3. ある横断歩道 (interlude) 4. 銀
2024/03/27
夢から醒めても沢山の出来事を思い出せるように 佐々木虚像が〈KAOMOZI〉より2枚目のEP『目を覚ましたら』をリリース。 「自分の人生は全部夢なんじゃないか」と思った瞬間に、夢から醒めた時にたくさんの出来事を思い出せるように書いたメモ、というコンセプトでパッケージングされた7曲は、ポップさの中に一抹の寂しさが混じった宛先不明の手紙のような作品。 自分の内側にある感覚をそのまま純粋にアウトプットした前作から打って変わって、沢山のものに影響されてみようと思って視野を広げて制作したという本作。部屋の丁寧な情景描写や穏やかな平行世界のような音世界には、シンプルだが心を打つポップサウンドが一段階前進したような印象を受ける。 アートワークは前作に引き続き、〈KAOMOZI〉オーナーの駒澤零が担当。 佐々木虚像 – 目を覚ましたら Label : KAOMOZI Release date : March 27 2024 Stream : https://big-up.style/L0BpQqBooF Bandcamp : https://kaomozi.bandcamp.com/album/–82 1. Another Room 2. 安全のために 3. collapse 4. 揺蕩う信号 5. 幽霊 6. 目を覚ましたら 7. 壊れた空を見ています
2024/05/01
地上に堕ちた天使の居場所、孤独感、感情 音楽ユニット・yohakの元トラックメイカーであり、文学賞を多数受賞している現代詩人、歌人でもある木田昨年のソロプロジェクト・ネオンネウロンが7thアルバム『僕は彼女をリマと名付けた』を〈KAOMOZI〉よりリリース。 制作の際に「居場所」を意識した作品を作っていると語る氏の最新作では、”地上に堕ちた天使”の居場所を探している。天使の感じる居場所のなさへの孤独感。異物のような存在である人間と暮らすことで揺れ動く感情。文学的に表現された言葉と音の揺れは、リアリズムと幻想の間にリスナーを招き入れる。 木田自らの経験をテーマに「ストックホルム症候群」を扱ったという本作。投影された実体験と幻想の残滓は「不可思議ポップ」の形をもって立ち上がる。 屋上を駆ける天使を描いたアートワークは〈KAOMOZI〉オーナーの駒澤零が担当している。 ネオンネウロン – 僕は彼女をリマと名付けた Label : KAOMOZI Release date : May 1st 2024 https://kaomozi.bandcamp.com/album/–85 https://big-up.style/geeUT2W9uc 1.天国行きのチケット 2.バニラ・シェイクと拳銃 3.屋上で天使を拾ったら 4.驫 5.バナナフィッシュにうってつけの日々 6.絶頂のダリア 7.おしえてあげるよガリレオガリレイ 8.np 9.リマ 10.壊れた翅のレントゲン
出会いからEP『Soul Kiss』に至るまで
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20年代ネオの高みへ more
18年の歴史を紐解く more