2022/12/09
結成10年を迎えて共有されるバンドの現行ムード
ポップパンクやUSポップスなどの要素を取り入れ、オープンにピュアに自由に表現された前作『A Daze In A Haze』から約1年ぶり、初のセルフレコーディングで制作された4thアルバム『Thirst』についてDYGLのメンバー(諸事情により嘉本不在)に伺った。バンド結成から10年という節目を迎えても失われることのない探究心と情熱と連帯から生み出された『Thirst』は、DYGLにとって新たな出発地点となる。
photo by domu
– AVYSS Circleの出演ありがとうございました。と言ってももう2ヶ月以上は経ってるんですけど。
下中 – もうそんな経つんですね。
– THREEでライブするのは久々だったんじゃないですか?
秋山 – そうですね、何年ぶりだろ?ってレベルですね。そもそもコロナでやってなかったのもあって4年以上ぶり?
– 僕がTHREEでみんなのライブ観たのってCONDOMINIMUMとかかもです。
下中 – それ、めちゃくちゃ前すね(笑)
秋山 – あの時期よくTHREEでやってたよね。
– ライブの後はみんなどうしてたんですか?秋山くんとは不思議なメンバーでファミマの前で飲んでたね。
秋山 – ですね。食品まつりさん、Lil Soft Tennis君、uamiさんもいました。
下中 – 僕はしばらく残って、Ultrafogさんと久しぶりに話せてよかったです。
加地 – 誰観たとかは覚えてないんですけど、僕はSPREAD行ってました。その後に秋山達がいるとこにすれ違ってみたいな感じだったかな。
– 楽しんでもらえてたら良かったです。今日は4作目のアルバム『Thirst』のことを教えて欲しいなと思いまして、ひとまず率直にどんな作品になりました?
秋山 – 言葉で説明すると色々な言い方あると思うんですけど、「好きな音楽」が出来たなって感じです。自分達じゃなくて他のバンドが出しててもリスナーとして聴きたいと思うようなアルバムになったかなと。
加地 – これまでで一番インディである意味オルタナだなって感じますね。
下中 – 普段聴いてるものが直接反映された感覚は今までの作品よりも強いです。
– アルバムの制作期間に聴いていた音楽はどんなものだったんですか?
秋山 – 個人的にはAlex G、PinkPantheressはよく聴いてましたね。
加地 – 僕はSlow Pulp、Deb Never、Tirzah、Wednesdayかな。
下中 – 僕はDIIVの『Deceiver』ってアルバムだけ。
秋山 – だけ?(笑)
下中 – 最初のDIIVのエッセンスはあえて入れないようにしてて。『Deceiver』は少しシューゲイズぽくなってるんですよね。あとは加地くんと同じでSlow Pulp、あとAlex Gの新しいアルバムに入ってる「Runner」の出だしのギターの音。あの音がレコーディング中に聴いて衝撃的に良い音で楽しかったですね。それとあとJay Som、Bachelor (Jay SomとPalehoundのデュオ)、あとスロウコアのDusterとか、あと前作から引き続きでSoccer Mommyもめっちゃ聴いてた。
– DIIVだけじゃないやん。
秋山 – 今それぞれ挙げた作品はわりとみんなが共通して聴いてるアーティストが多いですね。その先を説明すると曲は最初に書いた人がリードしてディレクションする形になってるので、各々感じ方のベクトルは違う形でスタートしている感じです。
– それを全体としてまとめていくようなすり合わせはどうすんですか?
下中 – 言葉ですり合わせするよりは、、
加地 – フレーズごとかな?あとデモが何曲もある中で、どの曲を選ぶのかとかで全体のムードが決まっていく感じですかね。
秋山 -「 今回はこういうテーマだから、これに寄せていこう」って感じじゃなくて、一個一個の細かい作業をみんなで進めていく中で一つのムードを形成していく感じです。
加地 – ライブやってても、サードの中でもこの曲気分だよねって話がちょくちょく出たりとかして、自分達の曲からも少なからず影響受けてるような感じもします。
– 制作期間に限らず普段からメンバー間でムードの共有がされてるってことですね。
秋山 – 個人的にアルバム作り出す前に思ってたのは新しい時代におけるミクスチャーがやりたいって思ってて。メタルとラップを掛け合わせる当時のものではなく、例えばKing Kruleがジャズとヒップホップとインディロックを混ぜてて、Alex Gにもフォークとラップとインディがあってみたいに、自分達になりにそれができたらいいなとはなんとなく思ってました。
– ギターロックが戻ってきた印象も少なからずあります。
下中 – 俺はいつもギターの気分ですけどね。
秋山 – サードではそれまでのDYGLがやらなそうなこと、だけどリスナーとしては好きだよなってポップパンクやUSのポップスをあえて持ってきてて、そのときはそれも気分だったわけで。ファーストとセカンドを終えて、次どうしようってなってたときにサードで肩の荷が降りたというか、少しリラックスできていて、その上で改めて自然体で取り組んだら今回のアルバムのようになったって感じです。今思うと、サードはある種スピンオフ的作品でもあって、コロナ禍を経て一回立ち止まって面白いことやりたいなって取り組んだ作品で、今回の4作目が今後のムードにも良い影響を与えるような一枚目のアルバムになるかもしれないです。
– なるほど。今作で個人的にすごくフィットする部分があってですね、あの、えーっと、emoが、、
一同 – 爆笑
– エモを発見しまして。最後の曲とかまさに。
秋山 – そこ突っ込んでもらえるのは嬉しいです(笑)
– 「Phosphorescent / Never Wait」は、作曲した秋山くんがそういうのを聴いてたってことなの?
秋山 – これまでもインディの枠の中から偶然観測されるエモ寄りのバンドを聴いたりとかはあったんですが。今回Under My Skinという曲のビデオを撮ってくれたkohepiっていう沖縄の友人がいて、彼の影響はけっこう大きくて。インディロックとは違う枠組みで音楽の話をできる人と過ごせたのは良かったですね。その流れから改めてエモを意識するようになって、Ykiki Beatをやってた頃に知人にもらったCap’n JazzのCDを思い出して聴き直したらめっちゃ気分と合致して。でも、定期的にみんなの中で(エモの)話することあるよね?
下中 – 音楽的に直接繋がりないけど、エモとの親和性があるインディ/オルタナが好きだったから違和感ないけど、個人的にその部分をこのアルバムで出そうって感じではなかったですね。
– 個人的にミッドウェストエモは自分の帰るところの一つだったりするし、AVYSS CircleでDYGLと同じステージに出演したバンドの中に(ミッドウェストエモの影響を受けている)FUJIもいたり、新しい文脈の中にもその芽がありつつ、繋がりを感じられて嬉しかったです。
秋山 – それでいうと、このアルバムの制作期間中かその少し前に、横浜にANORAK!ってバンドのライブを観に行って、それがめちゃくちゃ良くて。彼らもいろんな音楽を聴いてるし、エモで括るのも違うかもですが、そこで得た感覚も影響としてあるのかなって。
– あと歌詞の内容は変化してきていますか?
秋山 – Ykiki Beatも入れたら5枚アルバムを作ってて、英語で歌詞書くことは今でも探りながらやってる状態ではあるんですけど、制作を重ねていく度にどうやったら自分の言葉になるのか、技術面で余裕が出来てきたのもあって、その分だけ自分の感情や心をもっと表現できるようになってきたかなってのは今回特に感じましたね。
– 今作の歌詞で印象に残ってる曲はあります?
秋山 – けっこう気に入ってる曲は多いんですが、「Loaded Gun」とかナラティブな感じ、余白を残しながら自分が感じてきた孤独やヒリヒリした感情を絵を描くみたいに書けたと思います。曲中に救いはないんですけど、だからこそそんな気分に寄り添えるかなと。「The Philosophy of the Earth」は全く逆で、完全に肯定的です。こういう極端にネガティブだったり、またはその逆だったり、そういうのはあまり書いたことなくて。これまでは全体を見て、どっちもある、みたいな感覚の曲が多かったので、その2曲はかなり印象にあります。
– 今回は初セルフレコーディングだったんですよね。
秋山 – そうですね、エンジニアもいなくて、自分たちでアンプにマイク立てて、Logicに音入れて、最終的にミックスの半分とマスタリング以降はStephanie Lozaさんにお願いしました。Warehouse Tracksの山口さん経由で、エンジニアはいないけど場所として貸してくれるっていうスタジオを紹介してもらえたのが発端ですね。レンタルもしつつ機材は基本自分たちで揃えて、あとは実験しながら作業してって流れです。
– 苦労したんじゃないですか?
加地 – 苦労したことしかないですね。スケジュールの進行も際限がないので、そのコントロールをどうやってすればいいんだろうとか。あとライン録音ってある程度のクオリティが宅録とかでも出来るんですけど、マイク録りってほんとに知識がいるんだなって感じました。
下中 – すごくベーシックを貫いてやってて、それでも良い音は録れたので、トライ&エラーで進めたのは良い経験になったし、楽しかったし、新しいスタート地点に立てた感覚はありました。個人的に大変だったのはデータのやりとりで、それも初めてだったのでファイル形式間違えないようにとか、始まりと終わりフェードかけてって、色々とそっちに時間かかっちゃうのがなんか切なくて。
秋山 – 今日はスタジオに誰がいて誰がいないとかも違うから、どのデータが最新なのかがわかんなくなっちゃったりして、だからほとんど同じプロジェクトなのに念の為にバックアップとったりして、今回のレコーディングで溜まったファイル見たら2TBぐらいいきそうになってました。データ管理はほんと難しかった。
下中 – 良い方法知ってる人いたら教えて欲しいです。まぁエンジニアさんつけるのが一番早いけど(笑)
– クレジット見たら、かなり細かい分担作業になってますね。
秋山 – それこそギターで言ったら「Road」「I Wish I Could Feel」「Your Life」「Dazzling」は、僕は全く弾いてないし、あとミックスエンジニアはつけたってさっき言ったんですけど、僕らがレコーディング期間を延長しすぎたせいで、ミックスエンジニアのスケジュール的に全部お任せできなくなってきて、各メンバー自身でもかなりの曲数をミックスしました。
– 楽器を使用する生演奏についてもですが、ロックバンドというフォーマットを続けてることに対して聞きたいけど、この質問はすごく聞かれてるかも。。
下中 – それ欠かさず聞かれるなぁ。インタビューだけじゃなくて、音楽好きな人と話してても聞かれますね。まぁなんていうか演奏してて、お互いが変わってきてるのを感じるんですよね。スタジオ入ってるとそれがすごい速さで伝わってくる。この人こんなフレーズ弾いたっけ?こんな音出してたっけ?とか、お互いへの刺激が年々増えていってマンネリしない、個々が探究心を持ってるんで、そういうところはバンドの醍醐味かなって思います。僕は楽器抜きで音源のやりとりだけで音楽を作っていくのは出来ないし、直接的で速いコミュニケーションはバンドでしかなかなかできないかなと。
秋山 -「ロックがヒップホップに取って代わられている現状について」の質問が他のインタビューとかでもありますね。それはジャンルとしての切り口で話したりするんですけど、今下中が言ったみたいに他人と演奏する(曲を作る)良さはありますよね。退屈しないですし、自分が思いつかないアイデアが出てくるのもいいし。ラッパーでもプロデューサーでも1人で音楽やってる人はフィーチャリングとかってその感覚と近い感じでもあると思うんですけど、バンドは楽器を使いながら同じ人の変化を見ていける、そしてその中で作品が生まれていくところはバンドにしかないものなのかもしれないですね。
加地 – やっぱりいろんなライブ観てても、生演奏っていうのが今でも好きだな思うし、それが自分のバンドを続けるモチベーションになってる気がします。
下中 – シンプルに演奏出来るのが楽しいし、しかも人と一緒にやるのはもっと楽しい。
– でも、さっき秋山くんが言ってた「ロックがヒップホップに取って代わられている現状について」ってロックとヒップホップのジャンルを対比する話題は個人的にもう古いと思うんです。
一同 – おお(笑)
秋山 – インタビュアーさん側から先にその質問を否定してきたのは初めてかもです(笑)自分はリスナーとしてポップスもロックもヒップホップも好きだし、自分の表現としてはロックの存在は絶対に一番大きいんですけど、何かの音楽を聴いて最高だなって気持ちなるときってロック以外のときも全然あるわけで、「ロック対ヒップホップ」みたいな単純な構造で考えること自体が古く感じちゃいますね。アウトプットがロックの人がヒップホップ入れたり、ヒップホップの人がロックを入れたり、そういう色んな切り口があるだろうけど、DYGLとしては楽器を使ってバンドとして面白い表現を続けていけたら、それが何と呼ばれてもいいかなって思います。
– 最後に、最後にもう一つ、トピックとしてDYGL結成して10年周年です。
秋山 – いよいよ僕らと佐久間さんの関係も10年に突入です。祝いましょう。
– 何を祝うの(笑) 10年は振り返るには時間がないんですが、こないだ札幌行ったときにTSKKAさん (ex-AAPS, ex-Cuz Me Pain)通して出会ったVOLZOIも10年代インディ(Captured Tracksとか)にインスパイアを受けたサウンドだったし、もちろんVOLZOIだけじゃないけど、肌感では10年代(インディ)をフレッシュに見つめ直せる感覚はもうあるし、それを踏まえてDYGLがアップデートを続ける作品を聴いてみると感慨深いものがあります。
秋山 – 10年…時期によって色々な変遷があって、課題も変わっていったし、でも今の音楽的にリラックスしたバンドの姿勢は、バンド結成当初の頃に近い感じでやれてて、かつ音楽性は当時よりもずっとアップデートしてるし、自分たちのやりたいことも出来ることも、向かいたい方向も見えてる。その時々では思えなかったことも、ちゃんと繋がってここまで来れてる感じがします。全てポジティブに捉えながらインタビューに答えられる日が来るなんて思えないぐらいのときもあったし、そもそも一つのバンドが10年も続いてることもびっくりですね。気持ちだけじゃなくて、生活のこととか、色んな理由で辞めないといけなくなるバンドもいるだろうし、それでも僕らは続けられてるってのは嬉しいですね。今は必要がなければ、わざわざ過去を振り返る暇もないぐらいずっと前向けてるから幸せです。
DYGL – Thirst
Label : Hard Enough
Format : CD / Digital
Release date : December 9th 2022
Tracklist
1. Your Life
2. Under My Skin *2022.11.16 wed 解禁
3. I Wish I Could Feel *2022.10.5 wed 解禁
4. Road
5. Sandalwood
6. Loaded Gun
7. Salvation
8. Dazzling
9. Euphoria
10. The Philosophy of the Earth
11. Phosphorescent / Never Wait
DYGL JAPAN TOUR
1/20 Fri 東京・O-EAST
1/21 Sat 京都・METRO
1/22 Sun 神戸・Varit
1/24 Tue 高松・TOONICE
1/25 Wed 岡山・EBISU YA PRO
1/27 Fri 広島・セカンドクラッチ
1/28 Sat 熊本・NAVARO
1/29 Sun 福岡・BEATSTATION
2/3 Fri 仙台・RENSA
2/5 Sun 札幌・SPiCE
2/9 Thu 名古屋・ELL
2/10 Fri 大阪・クアトロ
DYGL US TOUR in March
3/15 Wed SXSW in Austin, TX
3/16 Thu SXSW in Austin, TX
3/17 Fri SXSW in Austin, TX
3/18 Sat SXSW in Austin, TX
3/21 Tue The Coast in Fort Collins
3/22 Wed The DLC in Salt Lake City, UT
3/24 Fri Treefort Fest 2023 in Boise, ID
3/25 Sat Vera in Seattle, WA
3/27 Mon Polaris Hall in Portland, OR
3/29 Wed Cafe Du Nord in San Francisco, CA
3/30 Thu Wayfarer in Costa Mesa
3/31 Fri Lodge Room in Los Angeles, CA
category:FEATURE
tags:DYGL
2019/07/05
重ねた無垢と経験の果て。2ndアルバムを語る。 photo by YUSAKU AOKI DYGLの2ndアルバムが出る。2年前にリリースされた1stアルバム『Say Goodbye to Memory Den』を聴いてからすぐに次のアルバムの事を妄想していたのは僕だけではないはずだ。次はどういうアプローチで、どういったコンセプトで彼らは音に乗せて聴かせてくれるのだろう、イチリスナーとして楽しみにしていた。そんな思いを巡らすバンドがすぐ近くに今現在に存在している。とても幸せな事である。 彼らは1stアルバムリリース後、2017年春から夏にかけてリリースに伴った日本~アジアを周るロングツアーを成功させ、同年夏初出演のFUJI ROCKでは早速新曲を披露するなど、2017年の勢いそのままに翌年も駆け抜ける姿を想像するには十分なトピックに溢れていた。 翌年2018年2月に僕は彼らから7インチシングル「Bad Kicks」のデザイン依頼をもらい、2ndアルバムへの構想についてもその際少し話を聞かせてもらっていた。すでに新曲がいくつか完成しており数曲録り始める準備をしているということだった。しかし、その直後アルバム制作を一時中断し渡英するという大きな決断を耳にした。 その後メンバーはロンドンに住みながら新曲を作りヨーロッパツアーを敢行。制作とライブを交互に重ねる期間に入る。その間日本でのライブは数本、国内ではなかなかライブが見れない事で拍車がかかり、新しい音源を待ち望むムードがピークに達したであろう2019年初頭、突如配信リリースされたアルバムリード曲「A Paper Dream」。その沈黙をあっさりと払いのけるかのような軽やかな演奏、歌い上げる姿を映し出すMVからはあらゆる面での決意を感じ取れた。そこに至る切磋琢磨からは想像をはるかに上回る経験を得たようだ。この際、何目線とかどうでもいい。僕はただ泣いた。泣きました。 というわけで、もう一度言います。DYGLの2ndアルバムが出る。どのようにしてこの2ndアルバムに至ったのか、久しぶりに会う友人でもある彼らに雑談も交えながら色々と話を聞いてみた。 text & interview by Yosuke “YYOKKE” Tsuchida photo by Yuki Kikuchi – 前作『Say Goodbye to Memory Den』出した後まで振り返ろうかな。 Kachi – ちょうど2年ぐらい前ですか。 Akiyama – だったね。1stアルバムをリリースした直後は、基本的にツアーに向けての準備をしてたと思います。ツアーの期間は半年強~1年無いぐらい。で、ツアーが落ち着いた頃から、次のアルバムを作ろうという話はしていて。でも活動が大きくなるにつれて、内容を詰めるより先に予定が決まっていく感じに慣れなくて。大きいツアーも初めてだったので、体力的にも精神的にも、どのくらいタフなものかあんまり分かってなかったですね、当時は。なので制作とツアーとの兼ね合いは難しかったです。本当に時間が飛ぶように過ぎていって。新しい経験の繰り返しだったからかもしれませんが、あっという間でしたね。新鮮な経験をしているというのと、物理的なハードさで、ツアーと並行して制作をするというのはとても難しかったです。ファースト作るまでの数年間と、ファーストが完成してツアーが終わるまでの一連の流れは、Ykiki Beatで一度経験していたとはいえ、規模感で言うと初めてのプロパーなツアーをしたなという感じはありました。SXSW、YYOKKEさんと一緒に行ったのって去年でしたっけ? – あれはSXSW 2017だったね。2年前だ。 Akiyama – もう2年前か。じゃあ、去年はアルバムツアーが終わり、そのあとのSXSW前後で次のアルバムを録ろうとしてたはずですね。 – 2年前のSXSWへ行ってるときは、1stアルバムのマスタリングの段階だったよね。 Akiyama – そうですね。アルバムツアーも終わり2018年になって2ndアルバムを作ろうとしていたのですが、当時作っていた曲のクオリティーやアレンジの進み具合がまだ自分たち的には満足できないという思いを次第に募らせて、制作日程の延期をさせてもらったんですよね。延期といっても無期限で、僕らの準備が整うまでと言う感じで。マネージメントには迷惑をかけたと思いますが、自分たち的には本当に必要な期間だったと思います。予定先行の活動に違和感を感じたとはいえ、もう少し自分らの進捗状況と予定との兼ね合いを把握することもできたはずなので、その辺は僕らも自分たち自身のことをわかっていなかった部分もあったんじゃないかな。正直な話、スタジオも日にち押さえていた上でキャンセルしたのもギリギリだったので、お金的にもモチベーション的にも当時かなり打撃ではあったと思います。 – それはすごい、俺も覚えてる。去年の今頃に、2ndアルバムについて各メンバーそれぞれに話を聞いたことがあって。そのときに、みんなからは制作が滞り始めてるみたいなことを聞いていたので。 Akiyama – そうですね。でも直前で予定をキャンセルすることが大変な選択なのは重々承知してましたが、どういう経緯であれ自分たちの作品のクオリティを落とすと言うことは絶対したくなかったし、自分たちにも非があるからと忖度せず、作品を守るために延期に踏み切れたのはとてもいい決断だったと思います。それは今回のアルバムがしっかり完成した今だからこそ言えることかもしれませんが(笑) – その前の2月に「Bad Kicks」のリリースがあるよね。その時は面白いオーダーをいただいて(笑)2月中で全部やりたいと聞いて。2月の頭に取りかかって2月の後半にはリリースするという。アートワークとレコーディングとかも全部並行して進めてって、みたいなことをやったよね。その時のみんなのエネルギーとスピード感がすごかったから、ここからDYGLが色々やってくんだろうなって思ったら、その先のアルバム止まっちゃった、みたいな。 Akiyama – あの頃バタバタしてて曖昧なんですけど、確か「Bad Kicks」はイギリスでレコーディングした初めての曲だったかな。 – 教会だっけ? Akiyama – そうです。Londonから少し東に離れたRamsgateというこじんまりした街の元々教会だった建物に作られたBig Jelly Studiosというスタジオで。CSSも使ってたのか、関係者がいたのかは分からないですけど、ロゴの入ったバスドラとかも置いてありましたね。録り音も良かったし、スタジオのスペースに滑り台なんかもあって遊び心のある素敵な場所でした。そこで初めて元Test Icicles、Warm BrainsのRory Attwellと仕事して。このシングル制作も音楽的な方向やアレンジについての話し合いで難航した記憶がありますが、制作自体はとても楽しかったですね。ただ、そこから2、3ヶ月で次のアルバムを作ろうって中で、新曲自体はまだそれほど出来上がってなかったので変に焦ってしまって。で、最初Kachiが今回のアルバムは延期しようって言い出したんですけど、それを踏まえて全員で話し合ったらそれぞれアルバム制作への違和感を感じていて。制作のペースを自分たちでコントロールできていないなと。それで一度制作の延期を決めたんです。でも、その延期を経てその先の活動について見直すきっかけになり、バンドとしてこの先どのように制作を進めたいのか、もっと大きな話でいうと人生レベルで自分が今一番やりたいことは何か、色々と考えを巡らせました。やりたいことをやるってシンプルなはずなんですけど、関わる人が増えたり、スケジュールが過密になったりすると、靄がかかったように自分でも自分の気持ちを見失ってしまうこともある。でもいつも遭難した船が靄の中から灯台の明かりを目指すように、自分の心がこれはやりたい、これはやりたくないと感じている感覚に目を、あるいは耳を研ぎ澄ませることはとても大切なことだなと今特に感じます。一度制作が止まったことで、もう一度ゆっくり自分の感覚や感情に向き合えたのはとてもよかったと思いますね。それで、海外に拠点を置いて制作活動をしようと言う話をここでしようと。それまでも幾度となく話には出ていたのですが、何となく流れてしまっていたのが僕はもどかしくて仕方がなくて。ここしかないなと。生ぬるい感じで話が進んでいくのに我慢ができなかったし、この延期を経て諸々見直し、今一番やりたいことにフォーカスし直そうという中で、自分のしたいと思っていることは遠慮しちゃいけないなと思いました。音楽的に刺激があって、インディペンデントな音楽のあり方に理解のある地域に身を置いてみようと改めて提案して。実際住み慣れた日本を離れて拠点を海外に置くというのは、考えないといけないことも色々出てきますが、それぞれメンバーと話し合いながらロンドンに拠点を置いてみようと相談して。一度制作環境を立て直すためにも、このきっかけでロンドンにベースを移す話に展開できたのは、本当に意義のあることだったと思いますね。大変な時期でしたけど、あの一連のやりとりがあったからこそ活動がふわっとしたまま時間だけだけ経ってしまうのを避けて、時間をかけながらこのアルバムを完成させられたんじゃ無いかなと思います。 – ちなみにアルバムレコーディング延期を決めた時期に出来た曲は、今回の2ndアルバムに入ってる? Kachi –
2024/10/04
ツアー会場にて先行販売 DYGLの新作EP『Cut the Collar』がリリース。昨年リリースのシングル「Acervation」、「Shadow」に続き久々のまとまった形でのリリースとなった本作は、バンドの季節がひと回りし立ち返ることとなった、ロックミュージックの身体的な楽しさや、生活のさまざまな制約、そしてそれに対する自由がインスピレーションの元となり生まれた4曲を収録。 本作のLPリリースも決定。一般発売日は2024年12月11日(水)。尚LPは今月30日から行われる”Cut the Collor Tour”の各会場にて先行販売される。 録音は昨年の「Acervation」、「Shadow」に続きhmc studioの池田洋が担当。マスタリングは米NYの名門スタジオsterling soundのJoe Laportaが担当。サポートメンバーとして数年にわたって活動を共にする鈴木健人(never young beach)が今回初めてレコーディングにドラマーとして参加。ジャケット及びツアーフライヤーのデザインは現地での共演経験もある香港のバンドArchesのメンバーJackが担当。 DYGL – Cut the Collar Label:Easy Enough Distributed : SPACE SHOWER MUSIC Stream : https://dayglo.lnk.to/CuttheCollar Tracklist 1. Crawl 2. Drag 3. Evil 4. Point of View Cut the Collar Tour 2024 10/30 水 福岡 BEAT STATION [18:00/19:00] 11/06 水 札幌 cube garden [18:00/19:00] 11/13 水 仙台 Darwin [18:30/19:00] 11/18 月 名古屋 CLUB QUATTRO [18:00/19:00] 11/20 水 大阪 Yogibo Meta Valley
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