2021/02/02
トリップ確実のダブトラップ宇宙旅行
バンコクの旧市街ウォンウェンヤイ出身、インディペンデントでDIYな活動を行うミュージシャンであり、音楽プロデューサーであり、B-BOYであり、スケーターであり、元暴走族であり、タイの伝説的レゲエ・バンド4E Rastafariのメンバーでもあるタイのミュータント・ラッパー、JUU4E(ジュウフォーイー)がニューアルバム『馬鹿世界 โลกบ้า (Crazy World)』のリリースを発表。
JUU4E自身によるセルフ・プロデュースの今作は、タイ日英語を織り交ぜたリリックにゴムのように伸び縮みするフロウ、トリップ確実のダビーで沼のようなトラップがずらりと収録。アルバム中に挟まれるピッチダウンされたスキットも含め、宇宙旅行のような物語は、圧倒的な解放とイマジネーションを与えてくれる。
前作『ニュー・ルークトゥン(New Luk Thung)』(2019)では、stillichimiya/OMKのYoung-Gプロデュースの元、タイの雑食ゲットー歌謡である「ルークトゥン」をヒップホップと折衷し、タイ国内でも権威あるRIN (Rap is Now)の年間ベストにノミネートされるなど、高い評価を得た。約2年ぶりとなる今作では、マレーシア音楽の影響を受けたタイ南部の舞踊芸能ロン・ゲン、日本民謡、そしてJUU4Eが幼い頃から慣れ親しんできたテレサ・テンの曲を引用しているという。「グッチの鞄もコンビニの袋も一緒」「ランボルギーニより自転車がクール」等々、キラー・フレーズを口するJUU4Eは、謙虚で非常に腰が低い一面もあるようだ。その笑顔と狂気溢れる楽曲のバランスも興味深い。3月19日にCD、LP、デジタルでエム・レコードよりリリース。
数十年前、新世界のジャンジャン横丁で生きたニワトリを頭に乗せて酒を呑む老婆を目撃した。心の底からヤヴァイと思った。そんなヤヴァイと音楽のヤヴァイは違う。……と言うと思ったかもしれないけど、私はそんなに違わないと考える。JUUの音楽には、謎に満ちた、宇宙人のような、もちろん笑えてしようがないヤヴァイ神秘に溢れている。JUUはニワトリというよりカラスが似合う。『ニュー・ルークトゥン』ではカラスを頭に乗せていたが、『馬鹿世界』では怒りが彼をカラスに変えた。狂った世界の中、シラフでいるためにJUUは今日も明日もキメるのだ。
(安田謙一/ロック漫筆)
JUU4E – 馬鹿世界 โลกบ้า (Crazy World)
3月19日(ミュージックの日)全バージョン一斉発売
フォーマット:CD / Vinyl 12″ LP / Digital
カタログ番号:EM1194CD/LP/DL
定価:CD, LP版共に2300円(税別)
制作発売元:エム・レコード (EM Records)
ミキシング:Young-G(stillichimiya / OMK)
マスタリング:Takuto Kuratani
VINYL用追加マスタリング&カッティング:Anne Taegart at D&B, Berlin
解説:佐藤雄彦(俚謡山脈)
英訳:Matthew Lane
装丁:高木紳介(Soi48 / OMK)
CD版 https://emrecords.shop-pro.jp/?pid=157153277
LP版 https://emrecords.shop-pro.jp/?pid=157153526
1. 「どこかへ行きたい」U Wanna Go Somewhere? =skit=
2. 「おはようござい麻す」อรุณสweed Aroon sa weed (Dawn Weed)
3. 「ネチズン星」ชาวเน็ต Netizens
4. 「保存と開発」อนุรักษ์และพัฒนา Anurak and Pattana (Preservation and Development)
5. 「酔ってるのは誰?」สรุปใครเมา? Who is Drunk?
6. 「チャス!(はっきり言うぜ)」Chassss! (Say it Clearly!)
7. 「あなたの心へのメッセージ」หนุ่มสาว Message for Your Mind
8. 「ホメオパシー」ธรรมชาติบำบัด Homeopathy =skit=
9. 「膝の傷跡」รอยที่เข่า Knee Scars
10. 「心の宇宙」จักรวาลภายใน The Universe Inside
11. 「緑色植物の論理」ทฤษฎีความรักสีเขียว Green Love Theory
12. 「山小屋のリズム」เถียง Rhythm (Rhythm from Da Hut)
13. 「一服しにお入り下さい」เข้ามา smoke (Come in and Smoke)
14. 「トンブリー丼」(Thonburi Donburi)
15. 「天使よ、どうかお慈悲を」เทวดาเมตตา ? Angel, Have Mercy
16. 「良い旅を」Bon Voyage =skit=
category:NEWS
tags:JUU4E
2019/06/03
6月28日リリース。 〈Gobstopper Records〉の主宰であり、〈Planet Mu〉からリリースを重ねるロンドンのプロデューサーMiles MitchellことMr. Mitchの新作EP『Not Modular』が発表。 The Bugが主宰するレーベル〈PRESSURE〉からリリースされる今作はミュータントダンスホールやアシッドラガであるとThe Bugが評している。The Bugが手がけたミックス違い2曲を含めた3曲入り。 Pre-Orderはこちら。6月28日、デジタルのみでのリリース。
2020/12/10
生い立ちやルーツが垣間見える作品に プロデューサー/ラッパー/DJとして活動し、クリエイター集団GOODMORNINGに所属するChibiChael(チビケル)がファーストアルバム『2000』を12月11日にリリース。客演には自身が専属ライブDJを務めるXY GENE、LA生まれNY育ちのシンガー/ソングライターsheidA、ゆるふわギャングのRyugo Ishidaの弟であり、注目のクルーSOUTHCLOUDに所属するS9UALL、ギタリストとしてDinoJr.、AJAH、Kaito Hirohataなどが参加。全ての楽曲プロデュースやミックスはChibiChael自身が手掛けている。 2000年、東京都世田谷区生まれのChibiChaelは幼少期にマイケルジャクソンに感化され、音楽やダンスにのめり込んでいくようになり、ケント・モリとの出会いにより、マイケルジャクソンオフィシャルイベント等に出演するようになったという。今作は、今年3月にリリースしたファーストミックステープ『Morning Glory』に続く作品で、自身の生い立ちやルーツを各曲に反映させているとのこと。 ChibiChael – 2000 Release date : 11 December 2020 Stream : https://linkco.re/N5C2qAne Tracklist 01. 無題 02. Open It Up feat. S9UALL 03. Ride feat. Kouichi Arakawa 04. 東京都世田谷区 05. BRAND NEW feat. BRANDNEW MAGAZINE 06. 長い髪にオイル 07. Can’t Nobody feat. XY GENE 08. Now Or Never feat. Kaito Hirohata 09. Xcape 10. TYO City Night Life feat. sheidA & AJAH 11. Dreamin’ (Remix) feat. LEAP,
2021/02/22
デビュー曲と2ndシングルをパッケージ Phum Viphuritを擁するバンコクのインディ・レーベル、Rats Recordsに見出されたアーティストThalassaが、初のフィジカルリリースとなる7インチシングルを、東京のTYP!CALからリリースする。 スペイン、フランス、香港、ドイツをルーツにもつThalassaは現在21歳。幼少期からクラシック/オペラなどの音楽教育を受けて育ち、13歳で作曲を開始、これまでにタイ王室御用達のアロマブランド KARMAKAMET や、ジュエリー・ブランド Joyería Suarez のコレクションにも音楽を提供してきている。 本作には、デビュー曲となった2020年の「Hey Girl」とセカンド・シングル「Love Dove」を収録(現在公開されている彼女のオリジナル曲はこの2曲のみ)。日本旅行で撮影したMVもキュートなA面「Hey Girl」は、ピアノのループ・トラックに、ハンドクラップや、ガムラン風のサイケデリックなSEをエッセンス的に散りばめたベッドルームポップ・ナンバー。そしてB面の「Love Dove」は疾走感に溢れるノスタルジックなニューウェーヴ・ポップ。Clairoやbeabadoobeeなどのデビュー時も彷彿とさせる新世代のローファイ・サウンドと、どこかノスタルジックなアジアの情緒が同居した1枚に仕上がっている。 Thalassa – Hey Girl Label : TYP!CAL Release date : 30 April 2021 Price : ¥1,700 + tax Pre-order : https://typicalrecords.bandcamp.com/album/hey-girl Tracklist A. Hey Girl B. Love Dove
『Z-POP』 – 生活のリアリティと音楽 – more
シークレット野外レイヴ『PURE2000 by SPEED』レポート more
2020年印象に残った5作品
more