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Crossfaith Koie × Jin Dogg interview

ストレートな怒りが巻き起こす現代版ジャッジメントナイトの舞台裏

 

 

アルバム『EX_MACHINA』から約2年を経て、EP『SPECIES』を先日リリースしたCrossfaith。コンセプチュアルな作風の前作とは一転、楽曲それぞれが持つ個性と強さが鮮明に現れた強靭な本作は、Crossfaithの新たなスタートを示す一作となった。90年代のレイヴミュージックを彷彿させるシグネチャーなアシッドベースに、ポストハードコアから影響を受けたエモーショナルなサウンドをミックスさせたリード曲『Endorphin』を筆頭に、彼らの価値観や精神性から生まれた多彩な楽曲が計5曲収録されている。

 

中でも、収録曲『None of Your Business』ではゲストボーカルにラッパー・Jin Doggを迎え、シーンの垣根をも超越するバイオレンスな世界観を展開した。Crossfaith初の日本語詞をJin Doggが手掛けるといった化学反応で、ハードコアの新しいスタイルをシーンに見せつけた2組。この現代版ジャッジメントナイトとも言えるマッシュアップの爆誕について、エクストリームなコラボレーションを果たしたCrossfaithのボーカル・KoieとJin Doggの2人が語り合った。

 

Text by yukinoise

 

 

– まず、お二人が出会ったきっかけから教えてください。

 

Kenta Koie(以下:K):初めて会ったのは、自主企画〈NITROPOLIS  vol.2〉の大阪公演。お互い大阪出身だから、初対面からわかる空気感みたいなのがありました。

 

 

Jin Dogg(以下:J):初対面はそこだったけど、こいちゃん(Koie)のイベントの前にCrossfaithの他のメンバーが俺のライブに来てくれましたね。

 

K:ライブから帰ってきたみんなに感想を聞いたら「扇風機とAチーム / Bチームをやってた」って言われて、何の話されてるかわからなかった(笑)。詳しく聞くと、サークルピットを〈扇風機〉、ウォール・オブ・デスを「〈Aチーム / Bチーム〉に分かれてぶつかる」ってモッシュのことを表現してたそうで。〈NITROPOLIS  vol.2〉でそれを生で観たとき、やばいもん見たなって思いました。

 

 

 

– ウォール・オブ・デスを〈Aチーム / Bチーム〉と表現するようになったのはいつからですか?

 

J:以前からやってたけど、2018年の夏くらいにフリースタイルダンジョンでライブしたあたりから知れ渡っていったかな。Jin Doggのライブといえば〈Aチーム / Bチーム〉やるやろって思われるようになったのは嬉しいです。

 

K:アルバム『SAD JAKE』『MAD JAKE』も、実は〈Aチーム / Bチーム〉やもんね。

 

 

 

 

– まさに今回の『None of Your Business』は〈Aチーム / Bチーム〉のごとくお二人が激しくぶつかりあった曲ですね。今回KoieさんがJin Doggさんに声をかけた理由はなんですか?

 

Kクロスオーバーした作品を作りたいと考えてときに出会ったのがJin Doggでした。日本のヒップホップシーンの中で異質な存在というか、彼みたいにライブでハードなモッシュを起こせるラッパーはいない。そういったヒップホップのハードコアと、ロックの持つハードコアをマッシュアップさせたら、より激しくてヘビーな音に落とし込めると思い声をかけました。

 

 

– Jin Doggさんはもともとハードコアはお好きなんですか?

 

J:大阪にはSANDってハードコアバンドがいたり、彼らのライブを観たりしてこういうカルチャーがあるってことは知っていました。アメリカのヒップホップシーンで激しいジャンルのアーティストが出てきたあたりに僕も今のスタイルをやり始めたんですけど、当時ちょうどブルーハーツの動画を見たり、真っ直ぐなリリックに喰らって叫びたいと思ったりしましたね。

 

K:ティーンエイジライオット的な若き怒り、まっすぐな思いを叫ぶってのはすごい分かる。向け場のない怒りや理由もわからない激しい感情を持った若者が始めるのが、俺らのやっているような叫び散らすような激しい音楽。そういう面で音楽的、人間的にもJin Doggというアーティストにシンパシーを感じたのも声をかけた理由のひとつです。

 

J:そのスタイルが確立されたあとくらいに、ハードコアバンド・ヌンチャクを知って『都部ふくぶ』のカバー『the break』を出しました。僕の中では伝説のバンドだけど、もう解散してるし僕のカバーを通じて知ったリスナーも多いんじゃないかな。

 

K:2020年現在だと、ヌンチャクは日本でも本当にハードコアが好きな人しか知らなさそうなアーティスト。ここをピックアップしてくるセンスも、めっちゃマッチしているのもすごい。

 

 

– お互い異なるジャンルでありながらも、自身のルーツやコアを現在のシーンに向けてアップデートしていく姿勢が似ているように感じました。

 

K:そうですかね。でも今回のフィーチャリングに関しては、シーンに一石を投じたいってのもあるけど、ただ単純にやってみたかったという直感の方が強いです。CrossfaithとJin Doggというどっちもシーンをぐちゃぐちゃにするほど激しいアーティストがひとつの場所でやったらどうなるかっていう実験的な面ももちろんあります。

 

Jアメリカでは僕みたいなジャンルのアーティストがバンドとコラボしたり、一緒にライブ出たりしてるので、以前からずっとやってみたい気持ちはありました。やるとするなら、ロックとしてもヒップホップとしてもかっこいい曲を作りたかったので、今回のお誘いはすごい良いチャンスだったと思います。

 

K:大人の事情的なコラボはしたくなかったからこそ、このフィーチャリングが生まれました。

 

J:曲を作ったらずっと残ってしまうからこそ、本気でカッコいいことしかやりたくない。

 

 

– 楽曲の制作秘話や思い出のエピソードはありますか?

 

J:今回もいつもと変わらずスタジオに行って、その場でリリックを仕上げましたね。

 

K:俺なんか1曲書くのに2、3日はかかるのに、いきなり来てソッコー書くからすごいと思った(笑)。

 

J:逆に自分はそれができないというか、その場の雰囲気でやっていく派。パッと出てきたやつが一番ええやろ的な。

 

K:それはそれでライブ感があってええよな。

 

– 真逆な制作スタイルでも、しっかりとマッチしていて面白いと思います。

 

K:Crossfaith史上初の日本語詞を取り入れた楽曲だし、シーンにワンパン喰らわせられるような、いい意味で色んなイメージの破壊に繋がる作品になりました。ラップしか聴かないリスナーには新鮮だろうし、俺らのファンはぶち殺すぞって言われるしで(笑)。海外のリスナーにとって初めて耳にする日本語が、ラジオじゃ流せないような過激な言葉ってのも面白い。

 

J:流してくれてもええんやで(笑)。

 

K:MVの撮影ではJake(Jin Dogg)が爆睡しちゃったり、怖いラッパーの動画を見せてくれたりしましたね。

 

J:MV見ただけでこいつ絶対友達なりなくないって思うラッパーで。ビール瓶で自分の頭割ったり、ラコステ着ながら小さいワニ飼ってるような感じのヤバいやつ。

 

K:Jake(Jin Dogg)もMVで人つるしたり捨てたりしてるのにな(笑)。

 

J:俺のは演技だけどあいつはガチ(笑)。あと、撮影時にはこれからどうしていくかみたいな話もしたりしました。もっといろんな音楽できたらいいなあって。

 

K:ライブハウスでやったり、アコースティックでやったらいいんちゃうとか。俺らもクラブでやったり、お互いイベント呼び合ったりしてシーンを活性化できたらなと。こういう遊び方、踊り方もあるってことをどっちのリスナーにも伝えていきたい。

 

 

– リリース後の反応はいかがでしたか?

 

K:今回のEPをきっかけに、もともとロックだけを聴いてたリスナーがヒップホップを聴き始めたりその逆もしかりと、曲を通してクロスオーバーが実際に起こり始めたのが嬉しかったです。そういった目的でNITROPOLISを始めたので、シーンが交わるXデー的な作品になったと思います。

 

J:僕のほうもサブスクの人気曲に上がっていたり、TwitterやInstagramを見てても反応良くて嬉しかったです。Crossfaithのみんなが有名にしてくれてるわーって。

 

K:お互い様やって(笑)。

 

J:アゲてこ(笑)。

 

– そんなお二人が最近聴いて喰らった作品があれば教えてください。

 

K:俺は最近だと田我流を聴いてます、今はチルなムード。

 

J:僕はDr. DreやEminem、50 centとか2000年代初期に流行ったヒップホップをもう一回聴き直してます。2000年代はダサかっこいいというか、曲がダサくても本人がイケてたら流行ったような時代。今もそうだと思うけど、2000年代当時の人らのほうが重みがある。

 

K:ハードコアやメタルコア、ポストハードコアあたりの激しい音楽がビルボードチャートのトップになるような、ロックが天下を取った時代も同じく2000年代後半あたり。その後も色んなバンドが出てきたけど、やっぱり最初に衝撃を起こしたアーティストが一番かっこいい。

 

– 2000年代当時、どのように過ごされていましたか?

 

K:中学2年生の頃、洋楽を聴こうと思い立って初めてエアロスミスを聴きました。あの頃の自分にとっては、洋楽を聴くという行為が反抗のひとつだったので、人と違う激しい音楽を聴こうとどんどんエスカレートしていって、すぐにSlipknotにたどり着きましたね。そういう屈折した感情を表すために音楽をやり始めたのもその時期だし、当時は激しい音楽を聴いてると自分が一番強くなったような気持ちになれていました。

 

J:自分にもそういう時期あったなあ、映画『クローズ』を観た後に自然と肩に力が入るような感覚をヒップホップで知ったというか。小学5年生くらいから姉の影響でヒップホップを聴き始め、韓国に住んでる時に当時のポータルサイトでアングラなラッパーの作品を知って喰らってました。その後アメリカンスクールに通い始めたり、NYから来たやつらから話を聞いたりして、ヒップホップやストリートカルチャーへの理解をより深めていったりとか。

 

– お二人はお互い異なるルーツを持ちながらも、それら真似るのではなくそれぞれのかたちでアップデートした音楽をやっていると思いました。

 

Jまさにそうで、かつての時代を焼き増したり再現したりというよりかは、これまで培ったものをベースに僕らなりのかたちで再構築していくところまでには持ってこれたかなと思います。ただ、ロックもヒップホップも含めどのシーンでも決められたジャンルがなくなってきているし、キャラや個性が突出していないと生き残れない時代にもなってきている。僕みたいなラッパーって言われてるアーティストでもライブでモッシュが起きているように、これからはロックバンドだけどラップ上手い人が出てきたり、オルタナ風のビートでしか歌わないR&B歌手だったりとかがいっぱい出てくるはず。

 

 

K:いまのリスナーが注目しているのはどれだけプレイするかってより、誰が歌うか、どういう存在のアーティストに惹かれるかってほうが重要。ポップスとそれ以外の音楽の二分化が激しくなったからこそ、後者のアンダーグラウンドでいろんなことが起きていってる。

 

J:たしかにいまはポップスよりアンダーグラウンドのほうが盛り上がってる気がする。

 

K:ロックブームが終わったのも、反抗としてやってたはずの音楽がポップス化したからだし。それに代わる反抗としての音楽が、いまはヒップホップの時代なのかなと。

 

– Crossfaithは海外でも精力的に活動されていますが、Koieさんは現在の音楽シーンについて国内外で異なる点を感じることはありますか?

 

K:それこそシーンやジャンル関係なく、海外のほうが日本に比べてライブやクラブに行く感覚がカジュアルな気がします。大学にライブハウスが併設されてたり、敷地内の箱に学生が酒飲みながら遊びに来たりと、音楽が娯楽のひとつとして根付いてる感じ。

 

J:もっとラフに捉えてるというか、自分の親もそうやって遊んできたから当たり前のような感覚。

 

K:ボーリングやカラオケに行くノリでクラブやライブハウスで遊ぶみたいな。

 

J:日本のアンダーグラウンドシーンもだんだんそういうノリに近づいていってる。かつてのパイオニア的存在である僕らの先輩が、いまちょうどプレイヤーとして活躍している若い人たちの親御さん世代にあたるし。僕らから下の世代の子たちは、海外みたいなナチュラルな感じで音楽を娯楽として捉えてそう。

 

K:遊び方も含め、ここ数年のアンダーグラウンドシーンの変化はすごい。ヒップホップだと、ストリートの声がよりオープンになってリアルさが増してきてる。

 

J:日本のヒップホップシーンでは、これじゃなきゃダメみたいなのが強かったけど、いまはだんだんと変わってきていますね。誰かの真似や同じことをしても何も生まれないし広まらない。歴史を守ることはいいけど、シーンをぶっ壊して変えていかないといけないときもある。

 

 

– 現在のシーンは様々な影響で大きく変化していってますが、その中で思うことや伝えたいことはありますか?

 

K:ライブありきの激しい音楽をやってる俺らなんか特にダメージを受けてるけど、この状況下だからこそ真の音楽の力が試されてる気もします。その日その時々で色んなことが変わっていくだろうし、ライブを再開できても考えなきゃいけないことは増えていくはず。

 

J:こいちゃんの言う通り、俺らはお客さんがいないと成り立たないようなライブをしてるから、今は待つしかない。やりたいことを100%の力でできないのは全員一緒だと思うし、試行錯誤してやっていかないといけないと思います。生のライブはいったんおあずけで、音源を制作していくしかない。

 

K:それぐらいライブってアーティストにとってもリスナーにとっても、何物にも代えがたいくらい尊い。配信ライブやイベントもすごいし、それ自体はいいなと思うんですけど、やっぱり生のライブとは別物だと思います。いままで当たり前だったものがそうじゃなくなってしまったけれど、いつか実際にライブできるようになるよう今向かっているのは全員一緒。

 

J:まさにその日を待ち望んでいるわ。

 

 

CrossfaithのメンバーとJin Doggが選曲したプレイリスト “NOYB” も現在Spotifyにて公開中

 

 

 

Crossfaith – EP “SPECIES”

Now on listen

HP:http://crossfaith.jp/speciesep/

 

= Tracklist =

1. Digital Parasite

2. Endorphin

3. Truth of Insanity

4. None of Your Business (feat. Jin Dogg)

5. Your Song

category:FEATURE

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FEATURE

2020/07/13

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ストレートな怒りが巻き起こす現代版ジャッジメントナイトの舞台裏

 

 

アルバム『EX_MACHINA』から約2年を経て、EP『SPECIES』を先日リリースしたCrossfaith。コンセプチュアルな作風の前作とは一転、楽曲それぞれが持つ個性と強さが鮮明に現れた強靭な本作は、Crossfaithの新たなスタートを示す一作となった。90年代のレイヴミュージックを彷彿させるシグネチャーなアシッドベースに、ポストハードコアから影響を受けたエモーショナルなサウンドをミックスさせたリード曲『Endorphin』を筆頭に、彼らの価値観や精神性から生まれた多彩な楽曲が計5曲収録されている。

 

中でも、収録曲『None of Your Business』ではゲストボーカルにラッパー・Jin Doggを迎え、シーンの垣根をも超越するバイオレンスな世界観を展開した。Crossfaith初の日本語詞をJin Doggが手掛けるといった化学反応で、ハードコアの新しいスタイルをシーンに見せつけた2組。この現代版ジャッジメントナイトとも言えるマッシュアップの爆誕について、エクストリームなコラボレーションを果たしたCrossfaithのボーカル・KoieとJin Doggの2人が語り合った。

 

Text by yukinoise

 

 

– まず、お二人が出会ったきっかけから教えてください。

 

Kenta Koie(以下:K):初めて会ったのは、自主企画〈NITROPOLIS  vol.2〉の大阪公演。お互い大阪出身だから、初対面からわかる空気感みたいなのがありました。

 

 

Jin Dogg(以下:J):初対面はそこだったけど、こいちゃん(Koie)のイベントの前にCrossfaithの他のメンバーが俺のライブに来てくれましたね。

 

K:ライブから帰ってきたみんなに感想を聞いたら「扇風機とAチーム / Bチームをやってた」って言われて、何の話されてるかわからなかった(笑)。詳しく聞くと、サークルピットを〈扇風機〉、ウォール・オブ・デスを「〈Aチーム / Bチーム〉に分かれてぶつかる」ってモッシュのことを表現してたそうで。〈NITROPOLIS  vol.2〉でそれを生で観たとき、やばいもん見たなって思いました。

 

 

 

– ウォール・オブ・デスを〈Aチーム / Bチーム〉と表現するようになったのはいつからですか?

 

J:以前からやってたけど、2018年の夏くらいにフリースタイルダンジョンでライブしたあたりから知れ渡っていったかな。Jin Doggのライブといえば〈Aチーム / Bチーム〉やるやろって思われるようになったのは嬉しいです。

 

K:アルバム『SAD JAKE』『MAD JAKE』も、実は〈Aチーム / Bチーム〉やもんね。

 

 

 

 

– まさに今回の『None of Your Business』は〈Aチーム / Bチーム〉のごとくお二人が激しくぶつかりあった曲ですね。今回KoieさんがJin Doggさんに声をかけた理由はなんですか?

 

Kクロスオーバーした作品を作りたいと考えてときに出会ったのがJin Doggでした。日本のヒップホップシーンの中で異質な存在というか、彼みたいにライブでハードなモッシュを起こせるラッパーはいない。そういったヒップホップのハードコアと、ロックの持つハードコアをマッシュアップさせたら、より激しくてヘビーな音に落とし込めると思い声をかけました。

 

 

– Jin Doggさんはもともとハードコアはお好きなんですか?

 

J:大阪にはSANDってハードコアバンドがいたり、彼らのライブを観たりしてこういうカルチャーがあるってことは知っていました。アメリカのヒップホップシーンで激しいジャンルのアーティストが出てきたあたりに僕も今のスタイルをやり始めたんですけど、当時ちょうどブルーハーツの動画を見たり、真っ直ぐなリリックに喰らって叫びたいと思ったりしましたね。

 

K:ティーンエイジライオット的な若き怒り、まっすぐな思いを叫ぶってのはすごい分かる。向け場のない怒りや理由もわからない激しい感情を持った若者が始めるのが、俺らのやっているような叫び散らすような激しい音楽。そういう面で音楽的、人間的にもJin Doggというアーティストにシンパシーを感じたのも声をかけた理由のひとつです。

 

J:そのスタイルが確立されたあとくらいに、ハードコアバンド・ヌンチャクを知って『都部ふくぶ』のカバー『the break』を出しました。僕の中では伝説のバンドだけど、もう解散してるし僕のカバーを通じて知ったリスナーも多いんじゃないかな。

 

K:2020年現在だと、ヌンチャクは日本でも本当にハードコアが好きな人しか知らなさそうなアーティスト。ここをピックアップしてくるセンスも、めっちゃマッチしているのもすごい。

 

 

– お互い異なるジャンルでありながらも、自身のルーツやコアを現在のシーンに向けてアップデートしていく姿勢が似ているように感じました。

 

K:そうですかね。でも今回のフィーチャリングに関しては、シーンに一石を投じたいってのもあるけど、ただ単純にやってみたかったという直感の方が強いです。CrossfaithとJin Doggというどっちもシーンをぐちゃぐちゃにするほど激しいアーティストがひとつの場所でやったらどうなるかっていう実験的な面ももちろんあります。

 

Jアメリカでは僕みたいなジャンルのアーティストがバンドとコラボしたり、一緒にライブ出たりしてるので、以前からずっとやってみたい気持ちはありました。やるとするなら、ロックとしてもヒップホップとしてもかっこいい曲を作りたかったので、今回のお誘いはすごい良いチャンスだったと思います。

 

K:大人の事情的なコラボはしたくなかったからこそ、このフィーチャリングが生まれました。

 

J:曲を作ったらずっと残ってしまうからこそ、本気でカッコいいことしかやりたくない。

 

 

– 楽曲の制作秘話や思い出のエピソードはありますか?

 

J:今回もいつもと変わらずスタジオに行って、その場でリリックを仕上げましたね。

 

K:俺なんか1曲書くのに2、3日はかかるのに、いきなり来てソッコー書くからすごいと思った(笑)。

 

J:逆に自分はそれができないというか、その場の雰囲気でやっていく派。パッと出てきたやつが一番ええやろ的な。

 

K:それはそれでライブ感があってええよな。

 

– 真逆な制作スタイルでも、しっかりとマッチしていて面白いと思います。

 

K:Crossfaith史上初の日本語詞を取り入れた楽曲だし、シーンにワンパン喰らわせられるような、いい意味で色んなイメージの破壊に繋がる作品になりました。ラップしか聴かないリスナーには新鮮だろうし、俺らのファンはぶち殺すぞって言われるしで(笑)。海外のリスナーにとって初めて耳にする日本語が、ラジオじゃ流せないような過激な言葉ってのも面白い。

 

J:流してくれてもええんやで(笑)。

 

K:MVの撮影ではJake(Jin Dogg)が爆睡しちゃったり、怖いラッパーの動画を見せてくれたりしましたね。

 

J:MV見ただけでこいつ絶対友達なりなくないって思うラッパーで。ビール瓶で自分の頭割ったり、ラコステ着ながら小さいワニ飼ってるような感じのヤバいやつ。

 

K:Jake(Jin Dogg)もMVで人つるしたり捨てたりしてるのにな(笑)。

 

J:俺のは演技だけどあいつはガチ(笑)。あと、撮影時にはこれからどうしていくかみたいな話もしたりしました。もっといろんな音楽できたらいいなあって。

 

K:ライブハウスでやったり、アコースティックでやったらいいんちゃうとか。俺らもクラブでやったり、お互いイベント呼び合ったりしてシーンを活性化できたらなと。こういう遊び方、踊り方もあるってことをどっちのリスナーにも伝えていきたい。

 

 

– リリース後の反応はいかがでしたか?

 

K:今回のEPをきっかけに、もともとロックだけを聴いてたリスナーがヒップホップを聴き始めたりその逆もしかりと、曲を通してクロスオーバーが実際に起こり始めたのが嬉しかったです。そういった目的でNITROPOLISを始めたので、シーンが交わるXデー的な作品になったと思います。

 

J:僕のほうもサブスクの人気曲に上がっていたり、TwitterやInstagramを見てても反応良くて嬉しかったです。Crossfaithのみんなが有名にしてくれてるわーって。

 

K:お互い様やって(笑)。

 

J:アゲてこ(笑)。

 

– そんなお二人が最近聴いて喰らった作品があれば教えてください。

 

K:俺は最近だと田我流を聴いてます、今はチルなムード。

 

J:僕はDr. DreやEminem、50 centとか2000年代初期に流行ったヒップホップをもう一回聴き直してます。2000年代はダサかっこいいというか、曲がダサくても本人がイケてたら流行ったような時代。今もそうだと思うけど、2000年代当時の人らのほうが重みがある。

 

K:ハードコアやメタルコア、ポストハードコアあたりの激しい音楽がビルボードチャートのトップになるような、ロックが天下を取った時代も同じく2000年代後半あたり。その後も色んなバンドが出てきたけど、やっぱり最初に衝撃を起こしたアーティストが一番かっこいい。

 

– 2000年代当時、どのように過ごされていましたか?

 

K:中学2年生の頃、洋楽を聴こうと思い立って初めてエアロスミスを聴きました。あの頃の自分にとっては、洋楽を聴くという行為が反抗のひとつだったので、人と違う激しい音楽を聴こうとどんどんエスカレートしていって、すぐにSlipknotにたどり着きましたね。そういう屈折した感情を表すために音楽をやり始めたのもその時期だし、当時は激しい音楽を聴いてると自分が一番強くなったような気持ちになれていました。

 

J:自分にもそういう時期あったなあ、映画『クローズ』を観た後に自然と肩に力が入るような感覚をヒップホップで知ったというか。小学5年生くらいから姉の影響でヒップホップを聴き始め、韓国に住んでる時に当時のポータルサイトでアングラなラッパーの作品を知って喰らってました。その後アメリカンスクールに通い始めたり、NYから来たやつらから話を聞いたりして、ヒップホップやストリートカルチャーへの理解をより深めていったりとか。

 

– お二人はお互い異なるルーツを持ちながらも、それら真似るのではなくそれぞれのかたちでアップデートした音楽をやっていると思いました。

 

Jまさにそうで、かつての時代を焼き増したり再現したりというよりかは、これまで培ったものをベースに僕らなりのかたちで再構築していくところまでには持ってこれたかなと思います。ただ、ロックもヒップホップも含めどのシーンでも決められたジャンルがなくなってきているし、キャラや個性が突出していないと生き残れない時代にもなってきている。僕みたいなラッパーって言われてるアーティストでもライブでモッシュが起きているように、これからはロックバンドだけどラップ上手い人が出てきたり、オルタナ風のビートでしか歌わないR&B歌手だったりとかがいっぱい出てくるはず。

 

 

K:いまのリスナーが注目しているのはどれだけプレイするかってより、誰が歌うか、どういう存在のアーティストに惹かれるかってほうが重要。ポップスとそれ以外の音楽の二分化が激しくなったからこそ、後者のアンダーグラウンドでいろんなことが起きていってる。

 

J:たしかにいまはポップスよりアンダーグラウンドのほうが盛り上がってる気がする。

 

K:ロックブームが終わったのも、反抗としてやってたはずの音楽がポップス化したからだし。それに代わる反抗としての音楽が、いまはヒップホップの時代なのかなと。

 

– Crossfaithは海外でも精力的に活動されていますが、Koieさんは現在の音楽シーンについて国内外で異なる点を感じることはありますか?

 

K:それこそシーンやジャンル関係なく、海外のほうが日本に比べてライブやクラブに行く感覚がカジュアルな気がします。大学にライブハウスが併設されてたり、敷地内の箱に学生が酒飲みながら遊びに来たりと、音楽が娯楽のひとつとして根付いてる感じ。

 

J:もっとラフに捉えてるというか、自分の親もそうやって遊んできたから当たり前のような感覚。

 

K:ボーリングやカラオケに行くノリでクラブやライブハウスで遊ぶみたいな。

 

J:日本のアンダーグラウンドシーンもだんだんそういうノリに近づいていってる。かつてのパイオニア的存在である僕らの先輩が、いまちょうどプレイヤーとして活躍している若い人たちの親御さん世代にあたるし。僕らから下の世代の子たちは、海外みたいなナチュラルな感じで音楽を娯楽として捉えてそう。

 

K:遊び方も含め、ここ数年のアンダーグラウンドシーンの変化はすごい。ヒップホップだと、ストリートの声がよりオープンになってリアルさが増してきてる。

 

J:日本のヒップホップシーンでは、これじゃなきゃダメみたいなのが強かったけど、いまはだんだんと変わってきていますね。誰かの真似や同じことをしても何も生まれないし広まらない。歴史を守ることはいいけど、シーンをぶっ壊して変えていかないといけないときもある。

 

 

– 現在のシーンは様々な影響で大きく変化していってますが、その中で思うことや伝えたいことはありますか?

 

K:ライブありきの激しい音楽をやってる俺らなんか特にダメージを受けてるけど、この状況下だからこそ真の音楽の力が試されてる気もします。その日その時々で色んなことが変わっていくだろうし、ライブを再開できても考えなきゃいけないことは増えていくはず。

 

J:こいちゃんの言う通り、俺らはお客さんがいないと成り立たないようなライブをしてるから、今は待つしかない。やりたいことを100%の力でできないのは全員一緒だと思うし、試行錯誤してやっていかないといけないと思います。生のライブはいったんおあずけで、音源を制作していくしかない。

 

K:それぐらいライブってアーティストにとってもリスナーにとっても、何物にも代えがたいくらい尊い。配信ライブやイベントもすごいし、それ自体はいいなと思うんですけど、やっぱり生のライブとは別物だと思います。いままで当たり前だったものがそうじゃなくなってしまったけれど、いつか実際にライブできるようになるよう今向かっているのは全員一緒。

 

J:まさにその日を待ち望んでいるわ。

 

 

CrossfaithのメンバーとJin Doggが選曲したプレイリスト “NOYB” も現在Spotifyにて公開中

 

 

 

Crossfaith – EP “SPECIES”

Now on listen

HP:http://crossfaith.jp/speciesep/

 

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